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2017.05.08 NEW 境界線の越えかた

俳優・玉木宏が語る成長の仕方
「人とのつながりを大切にして、自身で道を切り拓く」

映画『ウォーターボーイズ』や、月9ドラマ『のだめカンタービレ』で人気を博し、NHKの朝ドラ『あさが来た』で俳優としての地位を不動のものに。さらに音楽活動やカメラマンとしても注目されている玉木宏は、今、最も脂の乗った俳優の一人だ。ますます芸域を広げていく彼の素顔に迫った。

俳優という仕事をしようと思ったきっかけは?
中学生のころから芸能活動に興味があり、いくつかオーディションを受けたりしていましたが、高校生になってから今の事務所の社長にスカウトされ、高校を卒業後に上京。そこから本格的に芸能活動をスタートさせました。
俳優という仕事は、想像していたものと同じでしたか?

まったく違うとはいい切れませんが、やっぱり思い描いていたものとは違いました。
映画の撮影の場合、通常1カ月半とか2カ月といった長い時間をかけます。撮影は早朝から深夜まで、時には朝までかかることもあります。でも、その結果完成するのは1時間半とか2時間の作品なわけですから、かけた時間と出来上がったものの時間の対比はずいぶんアンバランスですよね。
俳優という仕事は表面的にはすごく華やかに見えますが、けっこう大変で、肉体を使う仕事なんです。でも、そういった仕事の経験を積み重ねてきたことの結果が今の僕につながっていると思っています。

俳優を仕事にされている方は大勢いらっしゃいますが、一人一人個性が違います。玉木さんご自身で差別化しようと意識していることはありますか?

仕事柄、コマーシャルや演じた役のイメージが、僕のイメージとして世間に広まっていきますが、それが本来の自分を表しているかというとそうではありません。本来の自分というのは役と違うわけだし、加えて僕は昔から自己アピールが大の苦手だったので、20代のころまでは、自分のどこかに、世間に持たれている自身のイメージに対する反発があったりしました。
でも、今はそういうことをあまり考えなくなりました。どんなふうに見てほしいとか、自分のオリジナルは何だろうということを考えるのではなく、とにかく目の前にある仕事を一生懸命やっていこうと自然と考えるようになってきたというのが正直なところです。

自己アピールが苦手ということですが、人づきあいも苦手でしたか?

もともと苦手でした。人と話すことが子どものころからあまり好きではなくて、何を話していいのか分からなかった。でも、あるときそれは吹っ切れました。話すのが苦手ということを先にカミングアウトして、それを前提に話すという技を覚えたからです(笑)。なんだ、正直にやればいいのかという感じでしたね。
今はもう、自分の思いや聞かれたことへの反応を自分の言葉で発信することができるようになり、インタビューなども、少しずつですが楽しくなってきました。苦手なことでも、「なんだ、こうすればできるじゃないか」と思えた瞬間に、楽しみに変わるものだと思っています。

俳優という仕事ならではの難しい点は?

俳優という仕事は、新しい作品に出演するたびに、新しい人生を生きられるという楽しい面もありますが、そのたびに新たな課題に直面する難しい仕事です。例えば、『のだめ』の千秋と『あさが来た』の新次郎は全く違う人間です。それをしっかりと演じ分けるには、自分自身のどこかに「自分を変える」という強い意識がないと簡単にはできないものだと思っています。

俳優という仕事を続ける中でこれまで壁や逆境がたくさんあったと思います。それらを乗り越える原動力は何でしたか?

役作りの際に「ああ、もうできない」と思ったことは何度もありました。でも、逃げ出して人に迷惑を掛けるわけにもいかないので、とにかく時間ぎりぎりまで試行錯誤を繰り返しながら粘るんです。すると、どこかのタイミングで「あれっ、こういうことか」とトンネルを抜ける瞬間があるんですね。俳優をやっていて、そうなる瞬間が「楽しいな」と思える瞬間です。逆に、「これくらいできるな」と軽く見ているときに、失敗してしまったこともありました。(笑)そう考えると、僕の場合の壁を突破する原動力は、「人に迷惑を掛けたくない」という気持ちでしょうか。

後輩の役者さんたちからアドバイスを求められることは?

後輩、といっても仕事になれば仲間ですが、僕からは、積極的にアドバイスのようなことは言わないようにしています。仮に求められたとしても、ヒント程度しか言わないようにしています。なぜかといえば、僕は今までの経験から、自分で苦しんで得たものだけが身に付くと考えているからです。
道は自身で切り拓く。その姿勢が大切なのではないでしょうか。

30代のビジネスマンに対して何か伝えたいことはありますか?

僕は昔からビジネスマンの方々を尊敬しています。僕自身、同じことができない性格で、毎日同じ時間に家を出て、同じ時間に同じオフィスに着いて仕事をする立場になったとしたら、たぶん数カ月くらいしか持たないと思うんです。
でも、そういった方々のおかげで、今の日本の経済が成り立っているわけですから、われわれのようなエンターテインメントの世界の人間が(この世界に)いられるのも、ビジネスマンの皆さんのおかげだと考えています。そんなビジネスマンの方々に、私から伝えることがあるとすれば、月並みかもしれませんが、世の中は人と人とのつながりで成り立っているということです。

映画やドラマは、人が人を動かしていくことで成立します。私のデビューのきっかけも人との出会いですし、仕事上の様々な課題も、自分自身の力や経験だけでなく、監督やスタッフの方と一緒に乗り越えてきました。
技術や物に目を奪われることもあるかもしれませんが、結局、大切なのは人。人とのつながりを広げながら、少しずつ小さな階段を上るように自分を成長させ、自身で道を切り拓いていく。それが大切なのだと思います。

玉木 宏(たまき ひろし)
俳優。1980年1月14日、愛知県生まれ。ドラマ『のだめカンタービレ」で人気を不動に。 近年の主な出演作品は、テレビドラマ『山崎豊子ドラマスペシャル 女の勲章』、 『キャリア~掟破りの警察署長~』ほか出演作多数。舞台『危険な関係』で主演予定。 趣味のカメラは写真展も開催するほど本格的。特技は水泳。

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