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2017.07.20 NEW

起源は「武士道」にあった!? データで見る80年代生まれ男子の美容意識

起源は「武士道」にあった!? データで見る80年代生まれ男子の美容意識のイメージ

最近、若い男性の美容意識が「高すぎる」と話題に。だが、昔から日本では「高い」のが普通で、最近まで一時的に「低すぎた」のだとしたら?

「武士道」の指南書に見る武士の身だしなみとは?

「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」という強烈な一節が有名な、武士の心得が書かれた江戸時代中期の書物「葉隠」には、武士の身だしなみについての言及がある。

該当箇所を現代語に訳して紹介すると、「武士というものは、毎朝、行水し、月代(前頭部から頭頂部にかけての頭髪を剃り上げた部分)を剃り、髪に香をとめ、手足の爪を切って軽石にてこすり、なまけることなく身元を嗜(たしな)み」といった具合だ。

これは単に洒落者であれという話ではない。いつ何時も決死の覚悟を持ち、見苦しく恥をさらさないように、常に己の外見を整えておく。それも武士道のひとつと、「葉隠」では説いているのである。こうした美容への意識は、武家社会を生きる男性にとって共通のものでもあった。

若手世代ではスキンケアが当然の嗜みに

では、現代の日本人の美容意識はどうなっているのだろうか? 実は過去10数年を見ると、化粧品全般の出荷額は2007年をピークに数年前までは大きく落ち込んでいた。そうした状況のなかで市場規模を拡大し続け、13年間で80%近い伸びを見せているのが男性皮膚用化粧品である(図1)。

図1:男性皮膚用化粧品の出荷額推移
図1:男性皮膚用化粧品の出荷額推移

出典:経済産業省 化学工業統計年報

株式会社ブラシナの調査によると、20代男性の67%が「日常的にスキンケアをしている」と回答(図2)。
さらには、20代男性の60.9%、30代男性の47.4%が自分専用の化粧水を所有しているという結果も出ている(図3)。

図2:肌の手入れの頻度

図2:肌の手入れの頻度

図3:自分専用のスキンケアアイテムの種類と保有率
図3:自分専用のスキンケアアイテムの種類と保有率
図3:自分専用のスキンケアアイテムの種類と保有率

出典(図2,図3):株式会社ブラシナ「メンズスキンケアの実態調査」

※全国の20代~50代の男性を対象にしたインターネット調査。2015年8月5日~7日に実施。

男たるものいつ何時も気を抜かぬ。そんな武士の嗜みならぬビジネスパーソンの嗜みとしてのスキンケアは、80年代生まれ世代のビジネスマンにとって、もはや当たり前のことになっているようだ。

また、首都圏に住む男性を対象にした別の調査によると、20代の約70%、30代の65%以上が「男性でもスキンケアは必要」と回答している。注目すべきは、20代の多くが「異性から好印象を持たれたい」「オシャレな人と思われたい」という観点よりも、「清潔感」や「周囲への配慮やマナー」を重視していることだ(図4)。

図4:男性のスキンケア意識に関する調査
図4:男性のスキンケア意識に関する調査

※表内の数値は、質問に対する回答の内、「非常にあてはまる」「ややあてはまる」の合算値

出典:ジャストリサーチサービス株式会社「男性の身だしなみに関する調査」

首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)居住の20~60代男性を対象にしたインターネット調査。2013年10月9日~10日に実施。

美意識を磨いて「武士道男子」を目指す?

こうして並べてみると、日本の男性はもともと美容意識が高かったのが、最近までは一時的に低下していただけで、最近の若い男性の美容意識の高まりは、もとに戻ってきただけと言えるのかもしれない。

忙しい現代人だからこそ、「清潔感がある」あるいは「周囲に配慮できる」といった“手抜きのない姿勢”は、ビジネスの場で好印象を与えるための強力な武器となり得る。さらにいうなら、身だしなみに対する周囲の意識や視線は「どんどん厳しくなっている」と考えるべきだ。

となれば、例えば上司に「男のくせに肌荒れなんて気にするな」と言われたら、「男だからこそ気にするべきなんですよ」と返せばいい。ただ、「葉隠」の精神に倣って気品も高めることを忘れないようにしたい。

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