マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2018年5月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/6/11 現在

マーケット動向から

豪ドルは、2017年12月中旬以降、資源市況の持ち直しを背景に反発し、2018年1月下旬には1豪ドル=0.80米ドル台を回復しました。しかし、2018年1月末に発表された2017年10-12月期の消費者物価上昇率が前年同期比+1.9%と市場予想を下回ったことや、2月初旬の世界的な株安に伴うリスク回避の動きなどから、豪ドルは下落に転じました。豪州準備銀行(RBA)が政策金利の据え置きを継続する一方、3月21日に米国で利上げが実施され、豪米の政策金利水準が逆転したことも、豪ドル相場の重しとなりました。米トランプ政権が3月23日に発動した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限(ただし豪州は適用除外)を受けて、世界的な鋼材需要の落ち込み懸念から鉄鉱石価格が下落したことも豪ドルの重しとなりました。足元にかけては、鉄鉱石を含む資源市況の回復や豪州の2018年1-3月期の実質GDP成長率が市場予想を上回る加速を示したことなどを受けて、豪ドルは底堅さを維持しています。
豪ドルの対円相場も、2018年1月半ばから下旬にかけて資源市況の上昇を好感する形で上昇し、1豪ドル=88円台で推移しました。しかし、3月22日に米国が中国に対して「通商法301条」に基づく制裁措置を表明したことをきっかけに米中貿易摩擦に対する警戒感が強まると、円買いが加速し、豪ドルは対円で同=80円台と約1年4ヵ月振りの水準まで下落しました。4月上旬には米中双方が貿易をめぐる報復措置を表明・実施したものの、4月10日に中国政府が市場開放を積極化させる方針を打ち出したことで、両国間における貿易戦争が避けられるとの見方から金融市場は落ち着きを取り戻し、円安・豪ドル高が進みました。米国の金利上昇に伴い円安傾向が強まる一方、豪州金利の先安観もあり、豪ドルの対円相場はレンジ内の動きに留まっています。2018年6月11日15時現在、対米ドルでは0.76米ドル近傍、対円では83円台前半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年6月8日)

金融政策動向

RBAは2018年6月5日の金融政策会合において、20会合連続で政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。野村證券では、米国金利上昇に伴う新興国市場の動揺やイタリアの財政懸念を反映して金融市場が不安定化していることや、豪州において住宅価格が軟化し、財政刺激による消費押し上げ効果が限定的と見られることなどを考慮し、利上げ開始時期を2019年2月と予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年6月8日)

需給動向より

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は、中国経済の安定化や商品市況回復を背景に、2016年12月以降は概ね買い持ち超過で推移しました。2018年年初には一時的に売り持ち超過となりましたが、2月以降は買い持ち超過が続きました。しかし足元では、豪米政策金利の逆転などを背景に、売り持ち超過が続いています。2018年6月5日現在、約4万枚(約3,000億円)の売り持ち超過となっています。

今後の注目点と見通し

2018年1-3月期の実質GDP成長率は前年比+3.1%へ加速し、市場予想(同+2.8%)を大幅に上回りました。今後は、インフラ投資の増加に加え、新たな天然ガスプロジェクトが稼働することによる資源輸出の増加や、観光客や留学生向けなどサービス輸出の拡大も期待されることから、野村證券では2018年を通じて前年比+2%台後半~3%台と、潜在成長率とされる同+2.75%を上回る成長を予想しています。一方、足元のインフレ率はRBAのインフレ目標圏(同+2~3%)を依然下回る水準にあります。野村證券ではRBAによる利上げは2019年入り後になると予想しており、利上げ期待醸成の遅れは当面豪ドルの重しになると見ています。一方、資源価格の安定は豪ドルの支援材料になると見られます。2018年末の豪ドルの対円相場を1豪ドル=81.4円と予想しています。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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