マーケットアウトルック - カナダ市場・カナダドル -

投資の視点は2017年12月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/1/9 現在

マーケット動向から

カナダドルと連動性が高いWTI原油価格は2018年1月8日現在、61.90ドル/バレルと2015年半ば以降の高値水準となっています。米国のシェールオイルの増産に加えて、OPEC(石油輸出国機構)の減産の枠外であるリビアやナイジェリアの増産を受けて2017年6月22日には42.74ドルへ下落しました。その後は、米国のシェールオイルの増産が続く中で在庫が減少していることを背景に反発に転じ、足もとで60ドルの大台へ上昇しています。サウジ国内での汚職摘発や、イランの反政府デモなど中東情勢に対する懸念が浮上していることも原油価格押し上げの一因になっています。なお、2017年11月30日に開催されたOPEC総会は協調減産の期限を2018年12月まで延長することを決定しました。
カナダドルの対米ドルレートは2017年5月上旬以降原油価格が軟調に推移する中、一時1.37カナダドル台へ弱含む展開となりましたが、足もとでは同1.24カナダドル台を回復しています。2017年7月12日、カナダ銀行(中央銀行)は2010年6月以来となる0.25%ポイントの利上げを実施しました。市場予想通りの利上げ決定でしたが、声明文が想定以上にタカ派的と解釈され、カナダドルは大きく上昇しました。更に9月6日にカナダ銀行は市場予想に反し、0.25%ポイントの利上げを決定しました。対円では2017年年初以降のドル安円高基調を背景に88円台から、一時80円台へと下落しました。その後、カナダドルが対ドルレートで反発する中で80-84円台で安定的に推移した後、足もとで90円台へ上昇しています。2018年1月9日15時現在、1米ドル=1.24カナダドル台前半、1カナダドル=90円台後半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年1月8日)

金融政策より

カナダ銀行(BOC)は2017年12月6日、市場予想通り、政策金利の据え置き(1.00%)を決定しました。声明文は追加利上げへの慎重姿勢を継続することを示唆しました。実体経済は概ねBOCの想定通りの展開ではあるものの、「労働市場のスラック(余剰資源)は継続している」とし、「追加利上げは今後のデータ次第である」としています。また、NAFTA(北米自由貿易協定)継続に向けた進展が見えるまで、BOCは追加利上げを見送ると見込まれます。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年1月8日)

需給動向より

シカゴ通貨先物市場における投機筋のカナダドル(対米ドル)の持ち高は米利上げ期待や原油価格の下落を背景に2015年6月以降売り越しが続きました。原油価格の反発を受けて2016年4月以降は買い越しとなっていましたが、米金利上昇を受けて9月27日には売り越しへ転じました。2017年1月24日以降は買い越し、3月21日以降は売り越しとなった後、7月11日以降は再び買い越しとなっています。2018年1月2日現在、約3.1万枚(約2,800億円)の買い持ち超過です。

今後の注目点と見通し

カナダ経済は概ね堅調に推移しています。2017年11月の雇用者数は前月比で約8万人増加し、2012年以来の増加幅となりました。失業率も5.9%と前月から0.4%ポイント低下し、2008年以来の低水準となりました。また、2017年12月の製造業PMIも54.7と好不況の分かれ目である50を上回っています。輸出の約3割をエネルギー関連製品が占めるカナダ経済にとって原油価格の上昇、安定は好材料です。米国のシェールオイル増産とOPEC加盟国の減産との綱引きから原油価格は横這い推移が当面続く見通しです。WTIは2018年末まで45-60ドル/バレルでのレンジ推移を想定します。一方、NAFTAの第5回交渉は進展がありませんでした。米国が自動車のゼロ関税の条件として自国製部品の使用割合を50%以上とするよう提案したため、3ヶ国間に大きな見解の相違が残りました。第6回交渉はカナダのモントリオールで2018年1月23-28日に開催されます。米国が現在の提案に固執するとNAFTAが終了するリスクも否定できません。ただし、トランプ大統領がこれまでに実行した貿易上の措置は選挙期間中の発言に比べればより穏やかなものであり、現状に見合った協定内容の刷新に着地する模様です。向こう1年間のカナダドルの対円レートの想定レンジを1カナダドル=85-98円とします。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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