マーケットアウトルック - 欧州市場 -

投資の視点は2018年3月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/4/9 現在

投資の視点

通商問題が先鋭化する中で、米中間の交渉が開始され、対立激化が回避されるとの見通しが固まるに伴い、相場は落ち着きを取り戻すでしょう。ユーロ圏の成長ペースに一服感がありますが、景気拡大見通しを継続します。イタリアの政局やフランスでの構造改革反対のストライキなど政治不安はありますが、ドイツでメルケル政権が誕生して政治は安定化しており、金融市場を揺るがす事態には至らず、割安感や底堅い業績見通しを背景に株価は反発に転じると予想します。

経済指標より

3月のユーロ圏製造業PMIやドイツIFO企業景況感が前月比で低下しましたが、依然として高水準で、3月のユーロ圏消費者信頼感は17年ぶりの高水準で推移しています。失業率低下などから消費は堅調で、設備投資も拡大しており、景気拡大シナリオを継続します。野村證券では2018年のユーロ圏実質GDPを前年比+2.8%と予想します。

金融政策動向

・ECB(欧州中央銀行)は3月8日の金融政策理事会でQE(量的拡大)再拡大に逆戻りしない方針を明らかにしましたが、2019年の消費者物価(CPI)見通しを下方修正するなどハト派的な姿勢も示しました。ユーロ圏3月CPIは前年同月比+1.4%に加速しましたが、ユーロ高に伴い、インフレ圧力は抑制されています。9月にQEは終了すると見られるものの、利上げは2019年に先送りされる可能性が高まっています。金融政策正常化は慎重に実施されるとの見方を継続します。
・英国ではCPIが2月に6ヶ月ぶりに前年比+3%割れとなりましたが、依然として高水準であり、5月利上げが市場で織り込まれています。EU(欧州連合)離脱交渉は移行期間などでEUと合意し、前進しています。利上げ継続が見込まれます。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年4月6日)

今後の注目点

ユーロ圏経済は2019年まで3年連続の2%台の成長となる見通しで、景気拡大継続を予想します。また、ユーロ圏の賃金上昇率は緩慢な上にユーロ相場は緩やかな上昇にとどまると見込まれます。欧州ストックス600指数(欧州ストックス)の2018年1株当たり純利益は前年比8%増益と業績拡大が続く見通しですが(トムソンロイター調べ、4月3日時点)、予想PER(株価収益率)は14倍近傍と低水準で推移しています。欧州ストックスの1年後の予想を410ポイントと予想します。

株式のマーケット動向から

2017年6月27日にドラギECB総裁が「デフレ圧力がインフレ圧力に代わりつつある」と発言、ECBの金融緩和の出口が意識されてユーロ高傾向となり、株価は軟調に転じました。7月には英仏が2040年を目途にガソリン・ディーゼル車の新車販売を禁止すると発表し、ドイツメーカーの談合疑惑もあり自動車株が低迷、地政学リスクも懸念され、軟調な地合いが続きました。
8月末以降、ユーロ高が一服し、国境をまたぐ大型の業界再編の動きが浮上、株価は反発に転じました。10月16日にDAXは13,000台に達し、11月初めに欧州ストックスも年初来高値を更新しました。ドイツ総選挙後の混乱も、大連立政権樹立交渉が開始されることになり、安心感が広がりました。年末にECB理事が量的緩和終了を示唆し、2018年入り後、ユーロが反発し、株価は足踏みしましたが、ECB高官の火消しに回る発言が相次ぎ、ユーロの先高観は後退、さらにユーロ圏景気の好調さが再確認されたことから1月23日にDAX、欧州ストックス共に昨年来高値を更新しました。
ユーロ圏の景気拡大や米国の財政悪化懸念から欧米金利が上昇し、株価は下落基調となり、2月2日の米国1月雇用統計でインフレ懸念が浮上し、株価は急落しました。3月1日にトランプ米大統領が輸入関税導入を発表し、再び下落しましたが、ドイツで3月4日に大連立政権誕生が決まり、政治リスクが後退し、株価は反発しました。米トランプ政権の主要閣僚の解任や保護主義的な政策が嫌気され、株価の変動が大きい展開となっていますが、米中が通商交渉に入るとの見通しから下値を固め、4月6日時点でDAXは12,241ポイント、欧州ストックスは374ポイントで推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年4月6日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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