マーケットアウトルック - 欧州市場 -

投資の視点は2018年6月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/7/9 現在

投資の視点

米との通商摩擦問題は、EU(欧州連合)の報復関税が発動されましたが、自動車関税引き下げの話し合いが持たれるなど交渉の動きがみられます。イタリア政府が10月に2018年予算案を提出する欧州委員会と財政赤字を巡って対立する政治リスクが見込まれますが、同国国債利回りの上昇が同政府の姿勢を軟化させると予想します。また、欧州債務危機時と比べると、金融支援制度などは整備されており、ユーロ圏金融市場全体を揺るがす事態には至らないと予想します。

経済指標より

ユーロ圏6月のPMI景況感は製造業が前月より低下したものの、事前の市場予想を上回り、非製造業は前月を上回りました。内需は堅調とみられます。ドイツの5月製造業受注が回復するなど設備投資は底堅い推移が見込まれます。 1-3月期実質GDPは純輸出の不振から減速しましたが、ユーロ圏景気は底堅いと見込まれます。

金融政策動向

・ECB(欧州中央銀行)は6月14日の金融政策理事会で資産買取り額を10-12月に現行の月額300億ユーロから150億ユーロに半減させ、2019年1月には新規買取り額をゼロとして量的緩和(QE)を終了させることを決定しました。また、政策金利は同年夏まで据え置く方針を明らかにしました。ECBの利上げは同年秋以降と利上げを急がない姿勢が再確認されました。野村證券では、利上げ開始時期を2019年9月とする予想を継続します。
・英国では、英国中央銀行(BOE)は6月21日に利上げを見送りましたが、景気減速は一時的との見方から政策金利据え置きに反対した委員が増えました。サービス業の景況感などは好調で、野村證券では、利上げは8月に実施されると予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年7月6日)

今後の注目点

欧州ストックス600指数(欧州ストックス)の2018年1株当たり純利益は前年比9.1%増益と業績拡大が続く見通しです(トムソンロイター調べ、7月3日時点)。通商摩擦問題などから足元で株価は調整が続き、欧州ストックスの予想PER(株価収益率)は14倍を割り込みました。景気の底堅い推移や、ECBの慎重な金融政策正常化に伴う、緩やかなユーロ高見通しを踏まえると割安な水準と言えます。欧州ストックスの1年後の予想を410ポイントと予想します。

株式のマーケット動向から

2018年入り後、ユーロの先高観後退、好調なユーロ圏景気に支えられ、1月23日にDAX、欧州ストックスは共に昨年来高値を更新しました。その後、米国の財政悪化懸念から欧米金利が上昇して株価は下落に転じ、2月2日発表の米国1月雇用統計を契機に急落すると共に株価の変動性が高まりました。
3月1日にトランプ米大統領が輸入関税導入を発表し、株価は急落したものの、ドイツで4日に大連立政権が誕生し、反発しました。米中通商摩擦が嫌気されましたが、米中が通商交渉に入るとの見通しが浮上した3月末を底に反発に転じました。4月下旬にはユーロ圏景気の減速懸念が高まり、ECBのQE縮小が慎重に行われるとの見方からユーロ安が進み、1-3月期決算発表が良好であったこともあり、株価は続伸しました。
5月8日に米国がイラン核合意からの離脱、経済制裁復活を表明したことでイラン関連の欧州株が下落しました。中旬にイタリアではポピュリスト政党による連立交渉が進展し、6月1日にコンテ政権が誕生しました。財政悪化懸念からイタリアの長期金利が急上昇し、イタリア国債を大量に保有する同国の銀行株を中心に株価が下落しました。その後、イタリアの政治リスク後退で相場は持ち直しましたが、米中通商摩擦に関連してドイツの大手自動車メーカーが業績見通しを下方修正したことで、株価は下落しました。6月下旬には難民の取り扱いを巡り、ドイツの連立与党間の対立が鮮明になり、メルケル政権瓦解リスクが嫌気されましたが、対立が解消され、米・EUの自動車関税を巡る交渉が持たれたことが好感され、7月6日時点でDAXは12496ポイント、欧州ストックスは382ポイントで推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年7月6日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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