マーケットアウトルック - 米ドル/円 -

投資の視点は2018年6月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/7/9 現在

マーケット動向から

2018年2月28日に日銀は超長期国債の買い入れ額を減額したため、ドルは106円台へ軟化しました。3月1日にはトランプ大統領がアルミ・鉄鋼に輸入関税を課す計画を発表し106円台前半へ弱含みました。更に22日にトランプ政権が対中関税措置を打ち出したことを受けて23日には104円台へ下落しました。その後、米朝首脳会談開催との報道を受けて106円台で推移しましたが、米中通商摩擦に対する悲観論が徐々に後退し、4月5日には107円台を回復しました。17-18日に開催された日米首脳会談では日本の対米貿易黒字に対する米国からの強硬な批判は見られず、107円台で落ち着いた反応となりました。その後、24日に米国10年国債利回りが2014年1月以来となる3%台へ上昇する中、ドルも109円台を示現しました。
5月20日に通商交渉に関する米中共同声明が発表され、ムニューシン財務長官が米中貿易摩擦問題は「保留」と述べたことを受け、ドルは一時111円台半ばへ上昇しました。しかし、25日にトランプ大統領が米朝首脳会談の延期を示唆し、加えて、米国が輸入する自動車に対して25%の追加関税を検討すると発言したことから、ドルは108円台へ下落しました。イタリア政局の混迷も円高に拍車をかけました。
6月1日にイタリアで新政権が発足し、5月の米企業景況感指数が回復する中、ドルは110円台へ反発しました。その後、15日に米国政府が500億ドル相当の中国からの輸入品に対して25%の関税を課すと発表し、翌16日に中国政府は米国からの同額の輸入品に対して追加関税を課す方針を表明、更にトランプ大統領は2,000億ドル規模の中国製品に対し10%の追加関税を課すと警告するなど、米中通商摩擦が先鋭化する中、ドルは109-110円台で膠着しました。米政府は7月6日に中国に対して340億ドルの追加関税を発動しましたが、ほぼ織り込み済みとしてドル円は小動きとなりました。7月9日午後15:00現在、110円台半ばで推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年7月6日)

金利動向より

2018年2月2日に発表された米2018年1月の時間当たり賃金が予想を上回る伸びとなり、米国10年国債利回りは2.8%台へ上昇し、更に2月の消費者物価が予想以上に加速したことから2.9%台へ上昇しました。その後は米中通商問題の不透明感から2.7%台へ低下する局面となりましたが、貿易摩擦への過度な懸念が後退したことや原油高を受けてじり高となり、5月11日には約6年10ヶ月ぶりの水準となる3.11%へ上昇しました。その後、イタリア政局の混迷から一時2.75%台へ低下しましたが、6月1日のイタリア新政権発足を受けて2.9%台へ再上昇しました。その後は米国の堅調な経済指標と米中通商摩擦の綱引きで一進一退の動きとなっています。7月6日現在、2.822%で推移しています。

グラフ

需給動向より

シカゴ通貨先物市場の円ポジションは2016年11月22日以降、売り持ちが続きましたが、2018年3月27日に買い持ちに転じましたが、その後売り持ちとなり、6月26日時点で約4.7万枚(約5,900億円)の売り持ちとなっています。

今後の注目点と見通し

米国景気の好調さが一層明確になるに伴い、ドルは堅調に推移すると予想されます。米中通商摩擦が先鋭化する中でも、日米金利差拡大が下支え要因となり、2018年12月末のドル円レートを1ドル=110円と予想します。なお、中国政府は資金流出リスクが多大であるため、人民元を切り下げる可能性は小さいと思われますが、米中通商摩擦が一層先鋭化した場合、今年12月に予想されるFRB(米連邦準備理事会)の利上げは見送られ、3~5円/ドル程度のドル安となり、105円程度までドルが下落する可能性がある点には留意が必要です。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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