マーケットアウトルック - 米ドル/円 -

投資の視点は2018年3月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/4/9 現在

マーケット動向から

2018年1月9日に日銀が超長期ゾーンの国債買い入れオペを減額したことを受けてドルは110円台へ軟化しました。24日にはムニューシン米財務長官が「ドル安は我々にとって良いことだ」と述べ、更に108円台へ下落しましたが、25日にトランプ大統領が「最終的に強いドルを望んでいる」と述べたことを受けて、109円台へ反発しました。26日には黒田日銀総裁がダボス会議において「2%の物価上昇目標にようやく近づいている」と発言し、再び108円台前半へ軟化しましたが、30-31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文でインフレに対する見方がやや上方修正されたため、109円台を回復しました。
2月2日に発表された2018年1月の時間当たり賃金が予想を上回る伸びとなり、ドルは110円台半ばへ上昇しましたが、先行きの日米の金融政策への不透明感から16日には2016年11月以来となる105円台へ下落しました。その後は米債券市場が徐々に落ち着き始める中で107円台を回復する動きも見られましたが、日銀が28日に実施した満期までの期間が25年超の超長期国債の買い入れ額が減額されたため、再び106円台へ軟化しました。
更に、3月1日にはトランプ大統領がアルミ・鉄鋼に輸入関税を課す計画を発表し、106円台前半へ弱含みました。その後も、米国金利が上振れ気味に推移する中でも、トランプ政権の主要閣僚の交代、ロシアゲートの行方、通商を巡る不透明感からドルの上値は抑えられました。20-21日に開催されたFOMCにおいて、参加メンバーの2019年、及び2020年の政策金利予測中央値が上方修正されたものの、反応は限定的でした。22日にトランプ政権が対中関税措置を打ち出したことを受けて、23日には2016年11月以来となる104円台へ下落しました。28日に北朝鮮労働党中央が幹部に「日朝首脳会談を6月初めにもと説明」との報道を受けて、ドルは一時107円台へ上昇したものの、米中通商摩擦の不透明感から米金利が低下基調で推移する中、ドルの上値は重く、106円台で推移しました。その後、米中通商摩擦に対する悲観論が徐々に後退し、4月5日には107円台を回復しました。9日午後15:00現在、107円台前半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年4月6日)

金利動向より

2018年年明け以降も、好調な経済指標に加えて、トランプ大統領が1.5兆ドル規模のインフラ投資計画に言及したため、米国10年国債利回りは上昇基調をたどりました。2月2日に発表された米2018年1月の時間当たり賃金が予想を上回る伸びとなり、2014年1月以来となる2.8%台へ上昇しました。更に2月の消費者物価(CPI)が予想以上に加速したことから2.9%台へ上昇しました。その後は、米中通商摩擦の不透明感から低下気味に推移しています。4月6日現在、2.77%で推移しています。

グラフ

需給動向より

シカゴ通貨先物市場の円ポジションは2016年11月22日以降、売り持ちが続きましたが、2018年3月27日には買い持ちに転じました。4月3日時点では、約1.1万枚(約1,400億円)の買い持ちとなっています。

今後の注目点と見通し

保護主義的通商政策との関連でトランプ大統領がドル安指向ではとの懸念がありますが、同大統領は明確な為替政策は持っていないと考えられます。今後、保護主義が先鋭化せず、FRB(米連邦準備理事会)の2018年の利上げ回数が4回になることを織り込めば、ドル円レートは2018年末に向けて緩やかなドル高円安へ向かうものと考えられます。なお、ドル円相場が100円に到達するような場合、そのきっかけとなるのはFRBによる利上げペースの後退、米国財政赤字拡大への懸念、米中通商摩擦の先鋭化など主に海外要因であり、国内要因では政局流動化によるアベノミクス継続への懸念の高まりが挙げられます。2018年12月末のドル円レートを1ドル=110円と予想します。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

本ページに記載の内容は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、将来の投資成果を示唆または保証するものではございません。投資の最終決定はご自身の判断で行ってください。なお、使用するデータおよび表現等の欠落や誤謬につきましては、当社はその責を負いかねますので、あらかじめご了承ください。また、本ページの内容につきましては当社が著作権を有しております。電子的または機械的な方法、目的の如何を問わず、本ページの内容を当社に無断で複製、転載または転送等を行うことは、固くお断りいたします。