マーケットアウトルック - インドルピー -

投資の視点は2017年12月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/1/9 現在

投資の視点

インド経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は引き続き安定しています。消費者物価(CPI)は2013年11月には前年比+11.2%と高い伸びでしたが、直近判明分の2017年11月には同+4.9%まで大幅に減速しています。また、経常赤字の対GDP比は2013年1-3月期の6.5%から2017年7-9月期には1.2%まで縮小しています。
実体経済は回復の兆しを見せています。新車販売台数は高額紙幣廃止の影響を受け、2016年11-12月は前年比で減少しましたが、2017年1月以降5月までプラスの伸びへと回復しました。6月は7月1日からの物品サービス税(GST)導入を前に買い控えが生じ同-5.1%と減少しましたが、7月以降11月まで回復しています。
2017年7-9月期の実質GDP成長率は前年比+6.3%と市場予想の同+6.4%とほぼ一致し、4-6月期の同+5.7%から回復しました。実質GDP成長率は2016年1-3月期の同+9.1%をピークに5四半期連続で伸びが鈍化しましたが、ようやく持ち直しました。総固定資本形成の伸びが加速しており(前期の前年比+1.6%→同+4.7%)、製造業の増産、投資の持ち直しが全体の回復を主導した形です。家計消費は鈍化しましたが(同+6.7%→同+6.5%)、高額紙幣廃止(2016年11月8日)と物品サービス税導入(GST・2017年7月1日)によって混乱したインドのサプライチェーンが総じて回復していることを示唆しています。
インド準備銀行(RBI)は2017年12月6日、市場予想通り、政策金利を6.00%で据え置くことを決定しました。RBIは食料品・エネルギー価格の上昇や財政赤字の拡大、主要国中銀の金融政策正常化に目を配る中、2017-18年度後半(17年10月から18年3月)のインフレ見通しを0.1%ポイント上方修正していますが、政策金利スタンスを「中立」で据え置いており、当面は様子見を続ける公算が大きいと思われます。
インド政府は2017年10月24日に不良債権処理を進めるための金融機関への大規模な資本注入計画をはじめとする財政刺激策を発表しました。景気減速を受け、インド政府が刺激策を発表する可能性はありましたが、2.1兆ルピーの資本注入策は市場の想定を大きく上回りました。同時に発表されたインフラ投資計画も含め、実施時期は未定であり、すぐに効果が出るか否かは不透明です。
大手格付け会社は11月16日にインドの自国通貨建ておよび外貨建ての長期格付け(※無登録格付け)を1段階引き上げました。同社は2015年4月以降インドの国債格付け見通しを「ポジティブ」としてきましたが、インド政府が進める構造改革を評価しています。
12月18日、グジャラート州、及びヒマチャルプラデシュ州の議会選挙の開票が行われ、両州で与党・インド人民党(BJP)が過半数の議席を獲得しました。モディ首相が州首相を務めていたグジャラート州の議会選挙は2019年の総選挙に向けた重要な試金石と市場でみなされていました。与党は2012年の115議席から98議席(182議席中)へ減少しましたが、過半数(92)を維持し、信認されたと思われます。ヒマチャルプラデシュ州では野党の国民会議派から与党の座を奪いました。インド上院の議員は地方議会の党別議席割合に応じ選出され、全245議席中、グジャラート州は11議席、ヒマチャルプラデシュ州は3議席が割り当てられています。BJPはグジャラート州での議席減に伴い、2018年に上院での議席を1-2議席、国民会議派に明け渡す可能性がありますが、同党が進める構造改革は支持を取り付けていると思われます。 
インド政府は2017年2月1日に2017/18年度予算案を発表しましたが、成長加速に向けた施策が打ち出される一方で、財政健全化姿勢も維持されたバランスのとれた内容であったため市場から好感され、インドルピーの対ドルレートは一時1ドル=66ルピー台へ上昇しました。3月11日に開票された大型地方選挙で与党が大勝したこともインドルピーの追い風となりました。その後も米金利の安定などを背景に堅調に推移し、足もとで63ルピー台となっています。インドルピーの対円レートは年初来の円高ドル安傾向の中でも堅調に推移し、2017年3月中旬には1ルピー=1.74円台へ上昇しました。その後一時弱含む局面もありましたが、再び上昇に転じ、5月中旬には1.77円台を示現しました。その後円高ドル安への揺り戻しから1.71円台へ軟化しましたが、足もとでは1.77円台へ回復しています。2018年1月9日15時現在、1米ドル=63ルピー台前半、1ルピー=1.77円台後半で推移しています。向こう1年間のインドルピーの対円レートの想定レンジを1ルピー=1.70-1.95円とします。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年1月8日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

本ページに記載の内容は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、将来の投資成果を示唆または保証するものではございません。投資の最終決定はご自身の判断で行ってください。なお、使用するデータおよび表現等の欠落や誤謬につきましては、当社はその責を負いかねますので、あらかじめご了承ください。また、本ページの内容につきましては当社が著作権を有しております。電子的または機械的な方法、目的の如何を問わず、本ページの内容を当社に無断で複製、転載または転送等を行うことは、固くお断りいたします。