マーケットアウトルック - インドルピー -

投資の視点は2018年3月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/4/9 現在

投資の視点

インドの消費者物価(CPI)は2013年11月には前年比+11.2%と高い伸びでしたが、直近判明分の2018年2月は同+4.4%と大幅に低下しています。なお、足もとでは、食料品やエネルギーなどの項目を除いたコア項目の伸びは落ち着きを見せており、2017年後半に見られた広範な物価上昇圧力は後退しています。
インド準備銀行(RBI)は4月5日、市場予想通り政策金利を6.00%で据え置きました。声明文を見ると、中立のスタンスを維持した点や、政府が主要穀物を買い上げる際の最低支持価格(MSP)を引き上げる方針を示していることなど、先行きのインフレ加速リスクを挙げている点は前回2月7日の会合から変更はありません。一方、RBIはインフレ予測を大幅に下方修正しました。2019年度(2018年4月-2019年3月)の前半の消費者物価(CPI)予測は前回の前年比+5.1%~+5.6%から同+4.7%~+5.1%へ、後半は同+4.5%~+5.6%から同+4.4%に引き下げられました。食料・エネルギー価格の安定を受け、先行きのインフレ加速リスクは後退したとの判断と思われます。
また、同時に発表された実質GDP成長率について、2019年度は前年比+7.4%と、2018年度の同+6.6%から大幅に加速するものと予測しています。CPIの下方修正とともに、RBIの見立てはインド経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が良好に推移するというものであり、市場にとって安心材料となるでしょう。
一方、ウッタル・プラデシュ州で行われた2つの下院補欠選挙で与党・インド人民党(BJP)が敗北し、野党各党は連携を進めています。この補欠選挙では社会主義党(SP)と大衆社会党(BSP)というライバル関係にある野党政党が連携しました。BJP系の連合が州政府の与党となっているビハール州でも、州議会の補欠選挙が実施され、3議席のうち2議席で敗北を喫しました。これに先立つマディヤ・プラデシュ州、ラジャスタン州の補欠選挙でもBJPは現有議席を最大野党のインド国民会議(INC)に奪われています。
下院補欠選挙におけるBJPの敗北を受けて国民会議派(INC)が主導する野党各党の間に全国レベルでBJPに対抗する政治同盟の結成を求める声が強まっています。BJPの支持に陰りが見えたことは与党連合の結束低下や連立政党からの不満の増大にもつながっています。アンドラ・プラデシュ州の地方政党、テルグ・デサム(TDP)はBJPが主導する国民民主連合(NDA)を離脱し、同州でこれまで対立関係にあった「YSR会議派」と連携し始めました。
連邦下院(ロクサバー)におけるBJPの議席は2014年改選時の282から274に減少していますが、引き続き単独過半数の272を上回っています。TDPが連立を離脱したため、与党連立NDAの下院における議席数は16減少しましたが、他の連立政党が40議席前後を有しており、BJPの連立政権は十分な過半数を維持しています。
一方、連邦上院(ラージャサバー)ではBJPは58議席、連立政党を含めると76議席(連立を離脱したTDPの6議席を含まず)を有しています。現状では、単独過半数の125議席に届いておらず、重要な改革の実現には幅広い合意形成が必要です。BJP政権に対する不信任案の提出には最低でも50名の議員の支持を必要ですが、INCがTDP/YSRを支持しており、この要件を満たすことは可能です。しかし、たとえ不信任案が提出されても、下院でBJP連合は絶対多数を有しているため、政権に対する脅威とはならないでしょう。
インドルピーの対ドルレートは2017年9月以降上昇基調を続けました。米金利の上昇が緩やかな状況の中、2016年11月の高額紙幣の廃止や、2017年7月に導入された統一GST(物品・サービス税)の悪影響が一時的であり、インド経済が順調に回復していることや、他新興国に比べて経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)が良好であることがその背景にあります。2018年年明け以降も米金利が上昇する中で総じて堅調に推移していましたが、2019年度予算案は市場予想以上に財政赤字が拡大したことや、不正行為に伴う国営銀行の巨額損失発生から銀行セクターへの懸念が広がり、更に2月入り後の米金利の上昇を受けて軟調気味に推移し、1米ドル=64ルピー台へ下落しています。
一方、インドルピーの対円レートは円高ドル安を背景に2017年9月には1ルピー=1.69円台へ下落しましたが、インド経済の回復を受けて2018年1月には1.78円台へ上昇しました。しかし、2月以降は米金利上昇、円高ドル安の流れを受けて、足もとでは同1.64円台へ下落しています。2018年4月9日15時現在、1米ドル=64ルピー台後半、1ルピー=1.64円台後半で推移しています。向こう1年間のインドルピーの対円レートのレンジを1ルピー=1.57-1.70円と予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年4月6日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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