マーケットアウトルック - 米国市場 -

投資の視点は2017年12月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/1/9 現在

投資の視点

2017年12月22日、税制改正法案が成立しました。個人所得税は最高税率を39.6%から37.0%へ引き下げる一方、連邦法人税率を35%から21%へ大きく引き下げ、企業の海外子会社からの配当課税も廃止します。2011-2015年度のS&P500指数構成企業の連結ベースの(連結損益計算書から計算される)実効税率は概ね30%です。2015年度に税引き前利益が赤字や、実効税率がマイナスだった企業を除いた414社の財務数値を用いた場合、実効税率が25%へ低下すると、純利益は6.3%増加、同じく20%に低下すると13.4%増加すると試算されます。米国内売上高比率が高く実効税率が高い通信、公益事業などのセクターに恩恵が相対的に大きく、一般消費財、生活必需品の中の小売企業の一部など米国内での売上高比率が高い企業も恩恵を相対的に受けやすいと推察されます。一方、米国経済は好調です。2017年12月のISM製造業景気指数は59.7と2004年以来の高水準となりました。また、同月の非農業部門雇用者数は前月比+14.8万人と市場予想の同+19.0万人を下回りましたが、直近3ヶ月は月平均20万人を超えており、労働市場は堅調です。実質GDP成長率は2017年4-6月期、7-9月期と2四半期連続で前期比年率で+3%を超えましたが、アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」によると、10-12月期の実質GDP見通しは同+2.7%となっています。

金融政策より

2017年12月12-13日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が公表されました。インフレに関して、減税政策や財政出動によって物価圧力が過度に増す可能性と、逆に実質インフレ率もしくは期待インフレ率がFRBの目標である2%に届かない可能性について議論されましたが、多くの参加者は労働市場の引き締まりが中期的な物価上昇圧力に波及すると予想し、前回や前々回のFOMCからほとんど変更がありませんでした。変更があった点は税制改正の影響についてです。多くの参加者が税率引き下げにより2018年の成長率が小幅に押し上げられるとの見方を示しています。また、イールドカーブの平坦化(長短金利差が縮小する現象)についても議論されました。イールドカーブの平坦化は景気減速の予兆を示す可能性がありますが、参加者の間では現時点で懸念する必要はないとされました。野村證券は2018年に3回利上げ、2019年に1回利上げとの予想を維持します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年1月8日)

米国株の注目点

米国景気はやや上振れ気味の中、インフレ率は順調に持ち直しています。設備投資は2017年前半までは建機やエネルギー関連の産業機械など機械設備が牽引し、7-9月期以降はIT関連に動きがみられます。米国株価は割高感を示す指標もあり、FRBの保有資産圧縮の影響にも注意は必要ですが、企業業績に支えられていますので、引き続き堅調に推移するでしょう。S&P500を構成する米国主要企業の業績は、2018年通期は前年比12.7%、2019年通期は同10.1%の2桁増益が見込まれています(S&P500、トムソンロイター調べ、1月8日時点)。今後1年間のS&P500株価指数の想定レンジを2500-3000ポイント、1年後を2800ポイントと予想します。

株式のマーケット動向から

1-3月期の主要企業の良好な決算などを背景に米国株式市場は堅調に推移し、2017年5月5日にNYダウは21000ドルを回復しました。ロシアゲートを巡るスキャンダルが懸念材料となる中でも、米国企業の良好な業績見通しを背景に6月以降もNYダウ、S&P500、ナスダック指数(主要3指数)は連日史上最高値を更新しました。インフレ指標の減速で金利が低下する中、7月中旬以降に主要3指数は再び史上最高値を更新しました。
4-6月期の米国企業の好決算を受けて、8月2日にNYダウは22000ドル大台へ上昇しました。その後、北朝鮮を巡る地政学リスクなどにより軟調な展開となりましたが、9月11日に国連安保理が北朝鮮に対する制裁決議を採択したことや堅調な経済指標を受けて、9月半ば以降もNYダウは堅調に推移しました。10月に入ると税制改正への期待や良好な7-9月期企業決算を背景に主要3指数は史上最高値を更新し、NYダウは10月18日に23000ドルの大台、11月30日に24000ドルの大台を示現しました。12月第4週に入ると税制改正法案が成立する見込みとなり、24000ドル台後半へじり高となりました。2018年入り後も好調な企業景況感などの経済指標を受けて、主要3指数は史上最高値を更新しています。1月4日にNYダウは25000ドルの大台へ上昇しました。8日の終値は25283ドルとなっています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年1月8日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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