マーケットアウトルック - 米国市場 -

投資の視点は2018年3月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/4/9 現在

投資の視点

米通商代表部(USTR)は4月3日、知的財産権侵害への制裁措置として25%の追加関税対象となる中国からの輸入品目リストを発表しました。約1,300品目に上り、500億ドル程度の財輸入が対象で、関税収入で125億ドルに相当します。パブリックコメントの募集期間が長く設定されており、その調査期間を経て実際に関税が適用されます。特徴的な点は品目リストに最終消費財がほとんど含まれていないことです。関税によって消費者が直接影響を受けることを避ける意図と考えられ、発表資料でも消費者への影響が小さくなるように品目を選んだと明記されています。一方、中国政府も直ちに大豆、自動車、化学品など米国からの輸入品に報復関税を課すことを発表しました。中国政府高官は米国の追加関税と同率かつ同等の規模であり、米国からの500億ドル程度の輸入品に対し25%の追加関税を課すと述べています。米国と同様に中国の報復関税は即時実施ではなく、実施日も示されていません。なお、4月5日にトランプ大統領がUSTRに対し対中制裁関税を1000億ドル積み増すように指示しました。1000億ドルは米国の中国からの財輸入額(米側統計による)5056億ドル(2017年)の約5分の1に相当する大規模なものです。中国も対抗姿勢を示していますので、市場の変動要因として注意深く見守る必要があります。最終的には話し合いで解決される可能性が高いと思われますが、中国側が市場開放などを巡る交渉でどこまで譲歩できるかが鍵でしょう。一方、米国経済は概ね堅調に推移しています。3月の非農業部門雇用者数は前月比+10.3万人と前月の同+32.6万人から拡大ペースが減速しましたが、直近6ヶ月間では月平均+21万人となっており、堅調さが続いていると言えます。

金融政策より

ニューヨーク(NY)連銀は、退任するダドリー総裁に代わり、現在、サンフランシスコ連銀総裁であるジョン・ウィリアムス氏が6月18日に新総裁に就任すると発表しました。NY連銀総裁は他の地区連銀総裁とは異なり、常にFOMC(米連邦公開市場委員会)で投票権を持ちます。また、NY連銀は公開市場操作の執行や金融機関を監督する権限を有しています。金融政策に対する影響としては、ウィリアムス氏はインフレ目標水準の引き上げや物価水準ターゲットなど、物価の安定を実現するための新たなフレームワークを提案してきました。同氏がNY連銀総裁に就任すると、長期的な課題としてインフレ目標の変更やゼロ金利制約に直面した場合の物価水準ターゲットの導入などが議論される可能性があります。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年4月6日)

米国株の注目点

4月5日現在、米アトランタ連銀のGDP予想である「GDP Now」によれば、2018年1-3月期の実質GDPは前期比年率+2.3%と予測されていますが、所得税還付の遅れにより消費が下振れ、2%を下回る可能性があります。しかし、景況感などから見て米国経済の基調は引き続き良好です。リスクはインフレ急上昇による長期金利の急騰ですが、労働参加率が上昇して賃金が上がりにくいなど労働市場の「たるみ」が残っており、そのリスクは高くないと思われます。なお、米国景気のピークは2019年半ば以降になるものと予想されます。S&P500指数を構成する米国主要企業の業績は、2018年通期は前年比+19.7%、2019年通期は同+10.1%と2桁増益が見込まれています(S&P500、トムソンロイター調べ、4月6日時点)。今後1年間のS&P500指数の想定レンジを2500-2900ポイント、1年後を2900ポイントと予想します。

株式のマーケット動向から

2018年年明け後は堅調な経済指標を受けて主要3指数(NYダウ、S&P500指数、ナスダック総合指数)は史上最高値を更新しました。NYダウは1月4日に25000ドル台、17日には26000ドル台へ続伸しました。しかし、2月2日に発表された2018年1月の時間当たり賃金が予想を上回る伸びとなり、米金利が大幅に上昇する中、同日の終値は2.5%下落し、25520ドルとなりました。その後も米10年国債利回りが約4年ぶりとなる水準へ上昇し、落ち着き所を模索する中、8日には23000ドル台後半へ下落しました。9日以降は6営業日連続で上昇するなど持ち直しましたが、27日のパウエルFRB議長の想定よりもタカ派的な発言を受けて同日は299ドル安、28日は380ドル安となりました。トランプ大統領がアルミ・鉄鋼に輸入関税を課す計画を発表した3月1日には420ドル安と続落しました。しかし、米朝首脳会談の可能性が浮上したことを好感し9日には25000ドル台を回復しました。その後は米中通商摩擦に対する懸念から24000ドル台へ下落し、22日にトランプ政権が対中関税措置を打ち出したことを受けて724ドルの大幅安となり、23日も424ドル安となりました。その後は米中通商摩擦に対する悲観論がやや後退し、24000ドル台を回復しましたが、4月5日にトランプ大統領がUSTRに対し1000億ドルの中国製品の関税を引き上げる追加制裁を指示したことを受け、4月6日は572ドル安の23932ドルで引けました。 

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年4月6日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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