米ドル/円
投資の視点は2012年1月16日「野村マンスリー・リサーチ会議」に基づいています。
2012年1月24日現在
マーケット動向から
- 昨年11月下旬にかけて、欧州の銀行間の信用ひっ迫や不測の事態に備えるドル需要の強まりを受けて、米ドルが全面高の動きとなり、11月29日には一時、1米ドル=78円28銭へ円は軟化しました。しかし、11月30日に日米欧の6中銀がドル資金供給拡充を決めたことを受けて、投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ、ユーロが対米ドルで急反発しました。米ドル安の流れが円相場にも波及し、77円台前半へ円高が進みました。
- ところが、12月8日にECB(欧州中央銀行)総裁が国債買入れ拡大に否定的な見解を表明したことを受けて失望感が広がり、8・9日に開催されたEU(欧州連合)首脳会議で、財政規律強化のための新条約を12年3月までに成立させることなどで合意しましたが、市場では問題解決には不十分との見方が広がりました。12日に大手格付け会社がユーロ圏諸国の格付けを見直すと表明したことなどを受けて、ユーロ安・ドル高が加速し、対円でもドル高傾向となりました。
- ECBが12月21日に期間3年の流動性供給オペを実施し、事前予想を大きく上回る総額4,892億ユーロが落札されたことで、銀行の資金繰り懸念がやや緩和しました。加えて、米国で景気回復を示す経済指標の発表が相次いだこと、22日に米議会が年末に期限を迎える給与税減税等について2ヵ月の暫定延長で合意したことを受けて、投資家の過度なリスク回避姿勢が緩和し、円相場は23日には1米ドル=78円22銭へ軟化しました。
- その後、米景気指標の改善や米国株を始め世界的な株価の堅調、欧州銀行間金利の落ち着きなどを受けて、投資家のリスク回避姿勢が後退し、米ドルはユーロや主要通貨に対して反落しました。ドル安の流れが円相場に波及し、1月4日には一時、1米ドル=76円58銭まで円高が進みました。1月6日発表の米12月雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比20万人増加するとともに失業率が8.5%へ低下しましたが、FRB(米連邦準備理事会)高官が追加の量的緩和に積極的と受け止められる発言をしたことなどを受け、円は底堅く推移しました。
- しかし、1月13日に米格付け会社がフランスやイタリアなどユーロ圏9ヵ国の格付けを引き下げたことや、ギリシャ2次支援の前提となる民間投資家負担を巡る交渉が一時中断したことなどを受けて、ユーロ相場は急落、円は対米ドルでやや軟化しました。足もとでは、格下げ後に実施された各国の国債入札が概ね順調に消化されたことや銀行間金利の落ち着き、国際通貨基金が18日に危機に陥った国々を支援するための融資枠を拡充する方針を明らかにしたことなどを受けて、債務問題への悲観的な見方がやや後退し、20日現在、1米ドル=77円前後で推移しています。

(注)ニューヨーク連邦準備銀行資料(ニューヨーク市場正午の買いレート)より
(出所) 野村證券投資情報部作成(直近値は2012年1月20日)
金利動向より
- 米10年国債利回りは、追加緩和策や投資家の安全志向を受け、9月下旬には1.67%と史上最低水準へ低下しました。その後、10月中旬に2.2%台へ上昇する場面もありましたが、1月20日現在、2.02%で推移しています。

需給動向より
- シカゴ通貨先物市場における円(対米ドル)の買い持ち超過は、1月3日時点で約5.16万枚と12月27日時点の約1.2万枚から急拡大し、1月17日現在、約5.99万枚(約7,485億円)となっています。
今後の注目点と見通し
- 春先にかけて、ユーロ圏での金融債や国債の大量償還を迎え、金融市場の不安定化が懸念されることから、円高圧力が根強い展開が見込まれます。一方、野村證券では、雇用など経済情勢の改善が見られることを受けて、FRBが住宅市場テコ入れのために住宅ローン担保証券の購入拡大(量的緩和第3弾)を開始する時期を従来予想の1-3月期から4-6月期へと変更しました(1月13日)。加えて、日本政府は円高のスピード次第では大規模な円売り介入も辞さない姿勢を維持していると見られることから、極端に円高が進行するリスクは小さいと考えられます。
- 春先以降は、米欧の積極緩和姿勢により金融情勢の安定化が進み、投資家のリスク志向の回復と緩和打ち止め感による米国中・長期金利の反転などを背景に、緩やかなドル高・円安が進むと予想します。
- 今後1年間の米ドル・円相場の想定範囲を、1米ドル=75.0〜79.0円とします。
- ※内容は、「野村マンスリー・リサーチ会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
- ※野村では、グローバルなリサーチ体制の下、世界各地のエコノミストやストラテジストがマクロ経済、株価、金利、為替を分析、予測しています。「野村マンスリー・リサーチ会議」は、グローバルな各資産の見方を議論するうえで必要となる、先行き1年間の主要国・地域の景気、金利、株価、為替見通しを、野村のエコノミスト、ストラテジストが解説する月例の会議です。
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