米ドル/円
投資の視点は2012年4月16日「野村マンスリー・リサーチ会議」に基づいています。
2012年5月15日現在
マーケット動向から
- 日銀が2月14日に予想外の追加金融緩和を決定したことを契機に、円相場は全面安の展開となりました。さらに、(1)29日にECB(欧州中央銀行)が実施した3年物長期資金供給オペの応札が5,259億ユーロとなり、金融市場の緊張が緩和したこと、(2)3月8日に発表された日本の1月経常収支が4,373億円赤字と1985年以降で最大の赤字になったこと、(3)9日に発表された2月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比22.7万人増と市場予想を上回ったこと、(4)13日のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文で景気認識が小幅上方修正され、追加緩和期待が後退したことなどを受けて、円安・ドル高が進み、3月15日には1米ドル=84円18銭と昨年4月以来の水準を付けました。
- その後、円相場は反発し、3月22日に発表された日本の2月貿易収支が5ヵ月ぶりに黒字になったことや、米住宅関連指標の悪化を受けて米長期金利が低下したことなどを背景に、23日には1米ドル=81円台後半へ上昇しました。4月3日に公表されたFOMC議事録(3月分)で追加緩和を支持するメンバーが2人に留まったことが確認され、ドル高圧力が強まる場面もありましたが、その後は円高・ドル安傾向が続き、16日には一時、1米ドル=80円29銭を付けました。背景として、(1)4月4日のスペイン国債入札の不調などを受けて、ユーロ圏債務不安が再燃したこと、(2)6日発表の3月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比12.0万人増に留まったことを受けて、追加緩和観測が浮上し、長期債利回りが大幅に低下したこと、(3)9日に発表された日本の2月経常収支が約1.2兆円の黒字に転じたこと、などが挙げられます。
- 4月19日に発表された日本の3月貿易収支が826億円の赤字となったことや、日銀による追加緩和期待の強まりを受けて、円は81円台半ばへ軟化しました。しかし、25日にバーナンキFRB議長がFOMC後の記者会で、追加緩和に含みを残したことを受けて、円高・ドル安圧力が強まりました。他方、日銀は27日の金融政策決定会合で追加金融緩和(資産買入等基金の5兆円増額など)を決めましたが、予想の範囲内と受け止められ、80円台前半へ円高が進みました。27日に発表された米国の1-3月期実質GDP・速報値が前期比年率+2.2%と前期の同+3.0%から鈍化したこと、30日に発表されたスペインの1-3月期実質GDP・速報値が2四半期連続で前期比マイナスとなったことを受けて、欧米景気の先行き不透明感や投資家のリスク回避姿勢が強まりました。5月4日に発表された米4月雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比11.5万人増と、市場予想の16万人増を大幅に下回ったことで米景気の減速懸念が広がったこと、6日のフランス大統領選やギリシャ総選挙の結果を受けて、これまでの緊縮財政・構造改革路線が大きく後退するとの警戒感が強まったこと、スペインの金融機関の不良債権問題が浮上したこと、などを背景に円高圧力が強まり、5月9日には一時、1米ドル=79円42銭と2月下旬以来の円高水準を付けました。ギリシャの連立協議が難航していることで、6月再選挙の可能性やユーロ圏離脱リスクが懸念され、投資家のリスク回避姿勢が強まる一方、中国人民銀行が12日に預金準備率の引き下げを発表したことが好感され、米ドル・円相場は14日15時現在、1米ドル=80円前後で推移しています。

(注)ニューヨーク連邦準備銀行資料(ニューヨーク市場正午の買いレート)より
(出所) 野村證券投資情報部作成(直近値は2012年5月4日)
金利動向より
- 米10年国債利回りは3月19日に2.39%へ上昇しましたが、その後、低調な住宅関連指標や米雇用情勢の改善ペースの鈍化などを受けて低下し、5月11日現在、1.83%で推移しています。

需給動向より
- 4月24・25日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)などを受けて、野村證券では、従来7-9月期を想定していたQE3(量的緩和策第3弾)の実施をメインシナリオから外しました(4月26日)。ただ、4-6月期は、近年の季節性を踏まえると米国経済指標は弱含みやすく、市場におけるQE3(量的緩和第3弾)への期待が高まると考えられることから、ドル安・円高方向への一時的な揺り戻しが予想されます。一方、円高リスクは徐々に限定されると見ています。理由として、(1)一段の円高が進行した場合、追加金融緩和や為替介入への期待が高まると見込まれること、(2)米国の金利低下余地が狭まってきていること、などが挙げられます。
今後の注目点と見通し
- 4月24・25日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)などを受けて、野村證券では、従来7-9月期を想定していたQE3(量的緩和策第3弾)の実施をメインシナリオから外しました(4月26日)。ただ、4-6月期は、近年の季節性を踏まえると米国経済指標は弱含みやすく、市場におけるQE3(量的緩和第3弾)への期待が高まると考えられることから、ドル安・円高方向への一時的な揺り戻しが予想されます。一方、円高リスクは徐々に限定されると見ています。理由として、(1)一段の円高が進行した場合、追加金融緩和や為替介入への期待が高まると見込まれること、(2)米国の金利低下余地が狭まってきていること、などが挙げられます。
- 年央以降は、中長期の資金流出が明確化し、緩やかな円安基調で推移すると予想します。具体的には、(1)日本の貿易収支が当面赤字基調で推移する可能性、(2)国内投資家による対外証券投資の回復、(4)国内企業による対外直接投資の高水準維持、などが見込まれます。今後1年間の米ドル・円相場の想定範囲を、1米ドル=79.0〜86.0円とします。
- ※内容は、「野村マンスリー・リサーチ会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
- ※野村では、グローバルなリサーチ体制の下、世界各地のエコノミストやストラテジストがマクロ経済、株価、金利、為替を分析、予測しています。「野村マンスリー・リサーチ会議」は、グローバルな各資産の見方を議論するうえで必要となる、先行き1年間の主要国・地域の景気、金利、株価、為替見通しを、野村のエコノミスト、ストラテジストが解説する月例の会議です。
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