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2021.11.04 NEW

“ふるさと納税”に変化の兆し。返礼品期待から地域貢献へ

“ふるさと納税”に変化の兆し。返礼品期待から地域貢献へのイメージ

応援したい自治体に寄付ができる制度「ふるさと納税」。総務省の発表によると、2020年度(令和2年度)の実績は、受入額が前年度比約1.4倍の約6,725億円、受入件数が同約1.5倍の約3,489万件に増加した(図1)。

図1:ふるさと納税の受入金額及び受入件数の推移

図1:ふるさと納税の受入金額及び受入件数の推移

出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和3年度実施)」をもとに編集部作成

※ 令和2年度受入額の実績等については、全地方団体(都道府県及び市区町村)の令和2年度(令和2年4月1日~令和3年3月31日)決算見込の状況

ふるさと納税といえば、魅力的な返礼品が話題になることが多い。しかし、最近では地震や洪水など、自然災害からの復興を目指す自治体や、地域の人たちを応援したいという、「地域貢献・応援消費」を意識して寄付をする人も増えている

その様子や「ふるさと納税」の基本的な仕組みや、返礼品以外の魅力、活用術などを、アンケート結果などから見てみよう。

ふるさと納税の仕組み

まずは、基礎的なふるさと納税の制度に触れておきたい。ふるさと納税のメリットのひとつは、税金の還付・控除が受けられること

控除上限額の範囲内で寄付すれば、1年間で寄付した額のうち2,000円を超える分は、住民税や所得税から控除される。自治体の多くが寄付のお礼として、各地域の地場産品やサービス券などを用意しており、それらが実質的に2,000円の自己負担額で手に入るのだ。

控除を受けるには、ふるさと納税を行った翌年に確定申告が必要だ。ただし、確定申告を免除されている給与所得者などは、ふるさと納税先の自治体の数が5団体以内であれば、確定申告の代わりに「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用できる。ふるさと納税を行う際に申請することで、確定申告が不要になるため、簡単な手順でふるさと納税ができる制度だ(図2)。

図2:ふるさと納税の2つの申請方法の違い

図2:ふるさと納税の2つの申請方法の違い

出典:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」、「さとふる」をもとに編集部作成

ただ、控除される上限額は、収入や納税額によって異なる

たとえば、住宅ローン控除などを受けた人や家族構成が変わって納税額が減る人、掛け金が全額所得控除となるiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用している人は注意したい。上限額を上回った金額は控除の対象にならず、その分自己負担額が増えることになってしまう。

「地域貢献・応援消費」がふるさと納税を盛り上げている

ここからは、アンケート調査をもとに、ふるさと納税の現状を見ていこう。ふるさと納税では返礼品に注目が集まりがちだが、地域貢献を意識して寄付をする人も多い。コロナ禍でインバウンドや外食需要減少などの影響を受けた事業者・生産者などの支援につながる寄付や、お礼の品を伴わず、ダイレクトに自治体を支援できる寄付などがある。

株式会社さとふるが、ふるさと納税経験者を対象に実施した2021年の調査では、52.7%の人が「地域貢献・地域応援を意識した」と回答。その理由を聞くと、新型コロナウイルスの影響が表れる結果となった(図3)。そのほかの回答では、「九州なので水害の被災地を応援した(50代女性/福岡県在住)」や「大雪に苦悩している自治体を応援したいから(50代男性/神奈川県在住)」などの声もあり、それぞれ応援の想いを込めて寄付をしていたことがわかる。

図3:「地域貢献」「地域応援」を意識した理由

図3:「地域貢献」「地域応援」を意識した理由

出典:株式会社さとふる「2021年 ふるさと納税利用実態アンケート」

※ ふるさと納税経験者6,295名を対象にしたインターネット調査。2021年2月18日~2021年2月24日に実施。

※ n数は、「2020年のふるさと納税は、これまで以上に『地域貢献』『地域応援』などを意識しましたか?」の質問に対して、「そう思う」「どちらかというとそう思う」と回答した人数(複数回答可)

また、近年はクラウドファンディング型のふるさと納税も登場し始めている。通常のふるさと納税でも、寄付金がどういった分野の行政サービスに使われるのか、寄付を行った本人が使い道を選択できる自治体も多い。一方、クラウドファンディング型のふるさと納税は、寄付金があてられる使途をより明確にし、プロジェクトごとに寄付ができる制度だ。

クラウドファンディング型のふるさと納税について質問した調査では、約4割の人は寄付意向があると回答しており、多くの人が税金の使い道を意識している様子がうかがえる(図4)。

図4:具体的な寄付金の使い道から選ぶクラウドファンディング型のふるさと納税について、寄付したいと思いますか?

図4:具体的な寄付金の使い道から選ぶクラウドファンディング型のふるさと納税について、寄付したいと思いますか?

出典:株式会社さとふる「2021年 ふるさと納税利用実態アンケート」

※ ふるさと納税経験者6,295名を対象にしたインターネット調査。2021年2月18日~2021年2月24日に実施。

さらに制度を活用するために

最後に、ここまでのふるさと納税のポイントを振り返りつつ、発展的な内容を押さえておこう。ふるさと納税の1つめのポイントは、税金の還付・控除が受けられ、返礼品ありのものの場合、実質的な自己負担額2,000円で、地場産品やサービス券などをもらえる点だ。

また、さらに制度やサービスを活用するなら、実はポイントモールも有効だ。ふるさと納税も対象のポイントモール経由で寄付をした場合、ふるさと納税の返礼品に加え、ポイントが貯まるため二重にメリットがある(図5)。

図5:ポイントモール経由でふるさと納税をすることで、ポイントが貯まる主な仕組み

図5:ポイントモール経由でふるさと納税をすることで、ポイントが貯まる主な仕組み

2つめのポイントは、「地域貢献・応援消費」の文脈のふるさと納税が盛り上がりはじめていることからわかる通り、ふるさと納税を通じて、自分たちの税金の使い道を選択できることだ。

所得税などは給料から自動的に天引き(源泉徴収)されるため、税金を支払っているという意識は薄れがちになるが、ふるさと納税が税金について考えるきっかけになるだろう。

返礼品以外の魅力も多いふるさと納税。お金の使い方を見直すためにも、ぜひ活用してはどうだろうか。

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