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アクティブ・ファンド運用の肝は「変化に対応する力」 日本株ファンドマネージャーが語る

アクティブ・ファンド運用の肝は「変化に対応する力」 日本株ファンドマネージャーが語るのイメージ

写真/竹井俊晴

野村アセットマネジメントで「ノムラ・ジャパン・オープン」「小型ブルーチップオープン」など、日本株のアクティブ・ファンド運用戦略を担当しているのが、チーフ・ポートフォリオマネージャーの福田泰之です。今回、アクティブ・ファンドを運用するうえでのポリシーや日本株市場の見方を語りました。

優れた企業に投資するとは限らない 人と違うことをする

日本株のアクティブ・ファンド運用を担当するファンドマネージャー(ポートフォリオマネージャーともいう)として、運用の方針はどのように決めていますか。

私の戦略は、特定の運用スタイルを定めるのではなく、投資環境の変化に合わせて柔軟に運用スタイルを変えていくのが特徴です。その際、他の人と同じ考え方ばかりを基にしていては、平均を上回ることができません。他の人が考えていない独自のアイデアを実行する、または皆が同じ方向を向いているときには疑う。コンセンサスを疑う姿勢を大事にしています。

普通に考えると、ある企業が優れた競争力を持っており、それに伴って業績や株価が上がっている場合、「買い」だと判断するでしょう。でも、私の場合は「皆が知らない情報はないのか」と探します。皆が気付いていない将来性はないのか、または、ポートフォリオの一つの部品として他の企業で代替することはできないのか、と。そして、替えがきくと思うならどんなに優れた企業でも投資をしないことはあります。

逆に、「普通はこの銘柄に投資しないだろう」と思われているような銘柄でも、「替えがきかない」独自の魅力があると思えば投資を決断します。

投資アイデアを思いついて、実行するまでの間にどのようなプロセスがありますか。

株式の取得を実行するまでの間には、他のポートフォリオマネージャー、アナリストたちとよく議論します。社外のアナリスト数名ともミーティングを重ねて、投資アイデアに対してどのような反論やデータがあるかを聞きます。

自分だけですべての銘柄を把握するのは不可能ですから、自分が気付かない視点をくれるアナリストとのミーティングは重要です。

また、クオンツ・ストラテジスト(有価証券投資において高度な数学的手法を使って分析する人)とは、私の独自の投資アイデアを裏付ける数字があるかどうかを議論します。

例えば、保有している銘柄の株価が上昇しているときに、その銘柄にどのくらい投資家が集まっているかを把握するために、データ分析を依頼することがあります。今後も業績が上がりそうな銘柄でも、投資家が集中している状態がデータから見てとれれば、一度売却しておこうという判断もします。

2022年の時点で日本株は上がると考えていた

福田さんは、2022年9月のインタビューで「上昇相場は来年に始まるのではないか」と発言しており、実際そのとおりになりました。そのときにはどんな考えにより上昇相場を想像していましたか。

2022年に、日本株市場の上昇を予測していたのはマイノリティーだったと思います。そう思えたのは、1990年代、2000年代と比べて日本企業の収益体質が良くなっていたことが大きいですね。仮に景気が悪くなったとしても、赤字になりBPS(1株当たり純資産)が大幅に減るようなことが起こりにくく、アップサイドポテンシャルのほうがあるのではないかと思ったのです。

リーマンショック以降は、金融緩和を背景にグロース株(成長株)が比較的優位な相場が続いていました。しかし、グロース株は金利上昇に弱い。景気が良くなれば、物価が上がり金利も上がります。私はその市場の転換が来るのではないかとあらかじめ予想していました。そこで私は、2020年夏ごろからじわじわとポートフォリオをグロース株からバリュー株(割安株)へと切り替えていたのです。早めに対策をしていたことが奏功したと思います。

2023年には東京証券取引所(以下、東証)が全上場企業を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。PBR(株価純資産倍率)が低い企業に対して、改善策を開示・実行するように要請したのです。

バリュー株の株価が上がらない原因として大きいのは、市場に割安ではないと判断されることではなく、割安であるのにかかわらずスルーされてしまうことなのですが、東証の要請によりスルーはできなくなりました。これはインパクトが大きかったですね。

2024年に入ってからの日本株市場をどう見ていますか。

私は実は年初の段階で、今年は1989年の日経平均株価高値までは到達しないんじゃないかと思っていたんです。トライするけれども跳ね返され、結局高値を更新するのは2025年になるだろう、と。ところが、2024年3月に早々と史上最高値を更新してしまいました。さすがに5か月で1万円も上がっていた過熱感を冷ます意味で、今は最高値から株価が下がっています。この調整が長くなっても不思議はありませんが、2025年以降はまた上昇すると見ています。

今、日本株投資の魅力はなんですか。

最近は、特に若い個人投資家が外国株へ投資を増やしていると聞きます。日本の将来に投資することは米国の将来に投資することに劣ると思われているのかもしれませんが、果たしてそうでしょうか。過去30年間はそうだったかもしれませんが、今後もずっと続くとは言い切れないと思っています。

日本は安全で食事がおいしくて、観光資源の多いことがインバウンドで評価されていますよね。GDPに即反映される価値ではありませんが、日本の国力の一つだと思っています。私は日本は素晴らしい国だという想いを持って、日本株市場へ投資しています。もし今、若い人が外国株ばかりに投資し、日本株にあまり投資していないとすれば、せっかく日本株が上昇してもその恩恵を受けられない。それはとても残念に思います。

日本株は欧米の株とは違う値動きを見せる可能性もあります。1980年代に起きたブラックマンデーなどでは、欧米の株と比べて日本株の下落は緩やかでした。世界の株が一斉に下落するような事態が起きたときに、日本株はその下落幅が少なくすむかもしれません。1980年代と同じことが起きる根拠はないのですが、最近30年ぶり、40年ぶりに起きる経済事象が多いだけに、その当時、日本株は米国株との相関係数が低いという特徴があったことを、常に心のどこかで意識しています。

アクティブ・ファンドを選ぶ意味

日本株ファンドへの投資方法として、インデックス・ファンドではなく、福田さんが運用するようなアクティブ・ファンドを選ぶ意味はどこにありますか。

米国株式のインデックスであるS&P500は、時価総額の約3割がマグニフィセント・セブン(注)と呼ばれる7社で占められています。それをオーバーウエイトで保有できるアクティブ・ファンドは少なく、インデックス・ファンドに勝つのは難しいと思います。ただし、それは米国株式市場の話であり、日本株式市場でたった7社の超大型株で市場が占められているという現象はなく、良い企業を見極められるアクティブ・ファンドが勝つ余地が十分にあると思っています。

(注)アマゾン・ドット・コム、アップル、アルファベット、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラの米国テクノロジー企業7社の総称

私は、TOPIXをベンチマークとして、それを上回ることを目指すアクティブ・ファンドを運用してきた過去14年(2011年4月~2024年5月、暦年ベース)の運用成績中、12年は勝ち越しています。「アクティブ・ファンドは手数料の安いインデックス・ファンドに勝てない」という意見に対しては、「私が運用しているファンドは勝っている」と自信をもって言えます。

ファンドが生き残るために大事なのは、「強さ」ではないと思います。ダーウィンが「強い者が生き残るのではない。変化に適応できた者が生き残る」と言い残したように、変化に対応できる力があるから生き残れるのだと考えています。変化の激しい株式市場において、いちはやくその波をつかもうとするし、間違っていてもすぐに自己変革する。変幻自在であることが、私のファンドマネージャーとしての強みです。

福田 泰之
野村アセットマネジメント
チーフ・ポートフォリオマネージャー
1995年に野村證券投資信託委託(現:野村アセットマネジメント)に入社し、アナリストとして企業調査・分析を担当。その後、英国拠点においても企業調査・分析に従事したのち、東京本社にてポートフォリオマネージャーとして国内の投資信託・年金の運用担当を歴任。25年以上の運用調査経験を有する。

※本コラムで取り上げられた投資に関する基本的な考え方などについては、あくまで個人の見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。

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