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2018.09.25 NEW 境界線の越えかた

惣菜スナックや新食感グミ――最先端菓子の生みの親が語る“失敗の流儀”

惣菜スナックや新食感グミ――最先端菓子の生みの親が語る“失敗の流儀”のイメージ

UHA味覚糖「Sozaiのまんま」のイメージ

コロッケや焼売など、食卓になじみの深い惣菜をスナックの素材にしてしまったUHA味覚糖の「Sozaiのまんま」(Sozaiは「素材」と「惣菜」をかけた表記)。この商品の開発責任者で、新食感グミの「コロロ」や「コグミ」の開発にも関わった鈴木潔に菓子開発の裏側を聞いた。

現在10種類以上の商品が展開されている「Sozaiのまんま」シリーズ。コロッケや焼売をお菓子の素材にしてしまおうという発想もさることながら、実際に食べてみると、そのコロッケ感、リアルな焼売感に驚かされます。キャンディやグミの印象が強いUHA味覚糖が、こうしたユニークなスナックを開発するに至った経緯を教えてください。

きっかけになったのは、2000年ごろに他社が手掛けた“素材の味を生かした野菜チップス”が注目されたことですね。「Sozaiのまんま」を発売する前、弊社はさつまいもチップスの「おさつどきっ」以外のスナック菓子をほとんど持っていなかったのですが、その「おさつどきっ」が、まさに素材の味を生かした商品。だったら時代の流れにのって、素材を生かしたほかの商品も開発しようということになったんです。

「茸のまんま」シリーズがそれですね。

はい、しいたけと白しめじが最初でした。スナック菓子って一つ食べるとまた食べたくなりますが、あれは、スナック菓子に“ダシ(うまみ成分)”が含まれているため。その点でいうと、きのこはダシの宝庫。スナックにしてみたらサクサクしておいしかったので、「商品化してみよう」ということになりました。しいたけ、白しめじにエリンギを加えた3種類が発売されましたが、予想以上に売れましたね。

その後、シリーズは海老焼売、コロッケ、青椒肉絲などの「惣菜」に発展しました。もはや「素材」ではなくなっていますが(笑)。「素材」から「惣菜」に発展させた理由は何だったのですか?
鈴木潔のイメージ

はじめの頃は、素材を生かすことばかりを考えて商品を作っていたのですが、実は味を含めて、素材そのもので商品化できるバリエーションが少なかったんです。そこで、「人はなぜスナック菓子を食べるのか」という根本的なところから見つめ直してみました。すると、「消費者はおいしいものが食べたいのであって、べつに素材が食べたいだなんて思っていないんじゃないか?」という考えに行き着いた。
もしそうなら、消費者が「素材をそのままスナックにしたからって、それが何?」と思い始めた時点で、その商品は売れなくなってしまいますよね? だったら、素材にこだわり続けるよりも、おいしくてリピート性を持たせることにこだわるべきだろうと。そうした中で、素材を「料理」という完成度まで仕上げればいいのではないかと思い立ち、“おかずをスナック菓子にする”という方向性に辿り着きました。

惣菜をスナックにするというのは、言葉にするほど簡単ではないように思うのですが、どのようなことから始めたのでしょう。

まずは、開発担当全員でスーパーの冷凍食品売り場に行き、購入した冷凍食品を片っ端から揚げて、食べてみました(笑)。おいしかったのが、焼売とコロッケ。肉団子やハンバーグは正直まずかったですね。
でも、焼売とコロッケもそのまま揚げて、スナックにしているわけじゃないんですよ。どちらもそのまま揚げると、膨らんで割れてしまうんです。「素材や材料の配分を検討する」「業者さんに実物を作ってもらう」「揚げる」という作業を幾度となく繰り返して、スナック菓子としておいしく食べられる配合を見つけ出したんですが…。そこに至るまでに1年半から2年くらいかかったでしょうか。
そんな感じで進めていったので、商品化されなかった惣菜の数は、現在販売されているものの10倍くらいはあります。

牛もつ炒めや鶏肉とナッツ炒めなど、「大人向け」をイメージさせる商品もラインアップされています。もともとの購買層はどのあたりを想定されていたのでしょう?

20代後半から40代です。スナック菓子は「安い・うまい・多い」が基本ですが、そのへんの年代は「おいしいものをちょっと食べたい」「そこでしか買えないものが食べたい」といったニーズも強いので、そうした思いを裏切らないものを作ろうと思っていました。
「Sozaiのまんま」については、「お菓子を食べることへの罪悪感をやわらげるために惣菜をテーマにしたのでは?」という声を聞くこともあるのですが、実をいうと私の中にその考え方はありませんでしたね。あったのは、おやつとしてだけでなく、食卓に並べたり、お弁当に入れたりしながら、新しい食文化として楽しんでいただけたらという思い。いつでも食べられる、食べたくなるスナック菓子にしたかったんです。

このシリーズを開発するにあたって、一番大変だったのはどのようなことでしたか?
鈴木潔のイメージ

社内に先達者がいなかったことですね。前例が「おさつどきっ」しかなかったために、誰もスナック菓子のマーケティングをわかっていない。そんな状況だったので、営業担当者に同行して店舗の方から色々なお話を聞き、パッケージのサイズや値段などを一つひとつ決定していく必要がありました。
中でも、サイズの決定には意外なほど苦労しましたね。「おいしいものをちょっと」のコンセプトを大事にしたいけれど、他のスナック菓子より小さなサイズにすると売り場に専用のコーナーを作ってもらわなくてはいけなくなる。そんな中で「ターゲット世代はグミやチョコレートをよく購入する」というデータを手に入れたので、店舗側と相談しながら、それらと同じサイズにして、同じ場所に陳列してもらうことに落ち着いたのですが、「商品は作るだけじゃダメ」ということをあらためて感じました。

開発担当者でありながら、営業の現場にも足を運ばれるのですね。

グミや健康食品の開発を担当しているときに、何をやってもうまくいかない時期があったんです。「自分が作った商品を長く世に残すためにはどうすればいいのか」について、ずっと思い悩んでいた。そんなとき、営業担当者と一緒に店舗を回る機会をいただいて、「さまざまな立場の意見を聞かないと問題は解決できない」ということに気づかされたんです。以来、人と関わり合うことを大事にするようになりましたね。今は開発だけでなく、マーケティングやリサーチなど、商品に関するすべてのことを統括する立場ですが、その姿勢は変わらずに持ち続けようと思っています。

UHA味覚糖には新卒で入社されたのでしょうか。

いえ、大学院で農学の博士号をとり、その後は大学や研究施設で糖質化学の基礎研究を行っていました。商品開発に関わる研究をしてみたいと思って味覚糖に入社したのが34歳のときでした。

アカデミックの現場から実業の現場へ。最初は違和感があったのでは?

最初に配属されたのはグミの部署だったのですが、開発室には鍋と釜しかないんですよ。ほんの数日前までは、最新の機器に囲まれていたのに(笑)。がっかりして、最初はやめたくて仕方がありませんでした。

そこからスタートして、「コロロ」や「コグミ」などの新商品を生み出した。特に心掛けていたことはありますか?

科学的なアプローチでお菓子づくりを行う、ということでしょうか。「食感を研究したり、味の研究をしたりするのは当たり前では?」と思われるかもしれませんが、入社当時は誰もそんなことやっていなかったんです。

そうした研究者・開発者としてのご経験を踏まえて、部下に伝えていることがあればお聞かせください。

失敗するのは当たり前なので、どうせなら大きなものを狙って失敗しろということは、日頃から伝えています。例えば「小さなヒット商品を10個作るよりも、大きなヒット商品を1個でいいから作りましょう」と。当面の売上はそれほど変わらないかもしれませんが、大きなヒット商品を一個作りあげるほうが圧倒的に難しいと思います。当然、そのほとんどは失敗しますが、それでも「ビッグ(ヒット)商品が1個出せたらそれだけで後々飯が食える」と自分に言い聞かせて、一生懸命にやる。仮に全部失敗したとしても、たくさん試行錯誤した分、たくさん前進できるじゃないですか。

最後になりますが、今後の野望はありますか?

さまざまなことがグローバル化していますが、お菓子の市場も例外ではありません。「Sozaiのまんま」は中国でも好評ですし、「コロロ」も取り扱う国が増えるにつれて売り上げが上がっています。なので、そういう波にのって世界中の人たちに受け入れられるような商品を作っていきたいですね。
味覚糖には、古参の製菓会社でありながら、新しいものに挑戦していく風土がある。せっかく恵まれた環境にいるのだから、どんどんチャレンジしていきたいと思います。

鈴木 潔(すずき きよし)
1970年生まれ、埼玉県出身。宇都宮大学卒業後、京都大学大学院前・後期課程を経て博士(農学)の学位を取得。日本学術振興会特別研究員(PD)や大阪府立大で糖質化学の研究に従事し、2005年にUHA味覚糖に入社。現在は執行役員とマテリアル開発セクションのリーダー職を兼務している。実はお菓子はそれほど好きでないのだとか。「開発の人間は、わりとそういう人が多いんですよ」。

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