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2018.03.08 NEW

【雑談力特集:後編】雑談から逃げない! 話のきっかけ、最初の一言を身につけよう

【雑談力特集:後編】雑談から逃げない! 話のきっかけ、最初の一言を身につけようのイメージ

人見知りを克服した営業マンが行き着いた最強の雑談力とは? 雑談ネタを仕入れるより大切な「最初の一言」で、上司も取引先も乗り切れる!

雑談力を磨くために、必死に「雑談ネタ」を仕入れる努力をしている人がいる。話題豊富になるのは悪いことではないが、常に情報を更新しないといけないために時間がかかるうえに、場合によっては、雑談で失敗してしまうことがあるという。なぜなら、仕入れた話題をつい披露したがってしまい、「自分の話」ばかりしてしまうためだ。

前編で触れたように、雑談力の基本は「相手の関心に合わせること」。その基本を押さえたうえで、自分のネタを会話に入れ込むのは、実は高度な技術が必要だ。それよりも、老若男女どんな相手でも雑談ができるようになるほうが効率的だ。再現性が高い雑談力に必要なのは、相手が話しやすくなるような言葉がけだ。つまり、最初の一言が肝心なのだ。

人見知りを克服した元リクルート営業マンで、現在はコミュニケーションを軸にした企業研修を請け負う伊庭さんには、雑談で上手くいくための「最強の一言」があるという。
どれも、初対面で使いやすいとっておきのフレーズばかりを、エルボルデ読者に向けて厳選してもらった。ぜひ活用していただきたい。

初対面でも話がはずむ。とっておきの最初の一言

  1. 「元々、どちらにいらっしゃったのですか?」

    初対面の人と話す場合、お互いの共通点があると話が盛り上がりやすいものだ。ただし、その共通点を見つけるのは案外難しい。「趣味は何ですか?」と突然聞くのもスマートではないし、趣味が合わなかった場合、沈黙だけしか残らない。そこでオススメなのが、相手の過去に関心を寄せる質問だ。

    社外の人であれば「元々、どちらにいらっしゃったんですか?」、社内の人であれば「入社の時はどちらにいらっしゃったんですか?」と聞いてみる。
    この質問の良さは、そこから話題を広げることができるところだ。

    例えば、先ほどの質問から次のような展開が考えられる。

    (相手)「元々、関西にいたんだよ」
    (自分)「そうなんですね、ご出身が関西だったりするんですか?」
    (相手)「いや、出身は東京なんだけどね」
    (自分)「関西の後、東京に戻られたんですね」
    (相手)「いや、その次は東北に行ってね」
    (自分)「へー、そんなに転々とされてきたのですね。単身赴任の期間もあったんですか?」
    (相手)「いや、私はずっと独身でね…」

    このように、普通なら初対面では突っ込んで聞きづらいようなプライベートな話まで自然と入っていける。

    初対面の人であっても、人は自分の過去のことなら話してくれやすい。ましてや、自分の過去に興味を持ってくれたことに、悪い気はしないものだ。過去の話を導入に、今の話や未来の話へと自然と話題を膨らますことができるのも良い面だ。

    例えば、「入社の時はどちらにいらっしゃったんですか?」という質問に、上司が「営業部」と答えた場合。

    「今の営業部とは全然違ったりするんですか?」(今の話)
    「これからの営業部は、どのようにした方がいいと思っていますか?」(未来の話)

    というように、初回から突っ込んだ話を展開することができるのだ。

  2. 「この時期、お忙しいですか?」

    このフレーズは、とても短く覚えやすいうえに、社内外問わずに誰にでも使えるのが魅力だ。また「忙しいか・忙しくないか」を聞いている「YES/NO」クエッションなので、相手が人見知りで口ベタであっても答えやすい。

    もし、相手がYESの反応として「最近、忙しいんですよ」と答えたら、その理由を聞いていけばいい。逆に相手がNOの反応として「いや、最近ちょっと落ち着いてきました」と答えたら、「そうなんですね。忙しさのピークはあるんですか?」と仕事の話題を掘り下げても良い。

    もし、プライベートの話を深堀りしたいなら、「落ち着いたんですね。週末はしっかり休めているんですね。何をして過ごされることが多いですか?」と話題を週末にスライドしていける。

    この忙しさを聞くフレーズは、相手のことを気遣う質問なので、警戒心を取り払うことが期待できる。ぜひビジネスシーンで困った時の切り札として、会話のストックに入れて欲しい。

  3. 「実は、私も……」

    先に紹介した2つのフレーズは、相手の関心に合わせた会話を展開するための最初の一言だったが、雑談でもう一つ大事なのは「自己開示」することだ。8割相手に合わせて、2割自分を出すのが丁度いいバランスとなる。
    相手が自分の話ばかりしてしまったな、と思う頃合いを見て、「実は、私も……」と自分のことを話すのがポイントだ。

    ただ、注意すべきなのは、相手の反応を見ずに自分の話を長く続けてしまうケースだ。これでは、せっかく先ほど聞き役に回った会話が台無しになる。

    先ほどの「元々、どちらにいらっしゃったんですか?」に続く会話で、自己開示する場合、

    (相手)「元々、関西にいたんだよ」
    (自分)「そうなんですね、ご出身が関西だったりするんですか?」
    (相手)「いや、出身は東京なんだけどね」
    (自分)「え、そうなんですか? 実は、私も出身は東京なんですよ!」
    (相手)「あ、そうなんだ。でも、東京で生まれただけなんだよね」
    (自分)「東京のどちらなんですか?」

    ここで気づくべきなのは、「実は、私も……」の後に、相手があまり乗り気ではない返事をしていることだ。東京で生まれただけなのであれば、東京の話を深追いしないのが得策。そんな時は自己開示を中断して、また聞き役に回るといい。「転々とされていたんですか?」など、さらに過去を探っていくのだ。

    一度自己開示して興味を持ってもらえなかったからといって、自己開示を諦めないことも肝心だ。折を見て何度か自分の話を切り出せるようになると、相手の印象に残ることができる。最初は1割でもいいが、慣れてきたら2割の自己開示を目指そう。

相手と仲良くなりたい気持ちを伝える機会が雑談

以上、前編・後編と雑談力についてお伝えしてきたが、くれぐれも頭でっかちになって気負わないでいただきたい。「目の前にいる相手と仲良くなりたい」という純粋な気持ちは、どんなテクニックにも勝るものだ。

仲良くなりたいから、その人の価値観や心模様を知りたいと思い、自分のことも知ってもらいたくなる。この基本は仕事もプライベートも同じ。一緒にいると楽しい人だな、と思ってもらえれば成功なのだ。

監修:伊庭 正康(いば まさやす)

株式会社らしさラボ代表取締役。1991年リクルートグループ入社。4万件を超える訪問活動を通して人見知りを克服。累計40回以上の社内表彰を受け、株式会社フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、株式会社らしさラボを設立。年間200回以上のコミュニケーションを軸にした研修を実施。リビート率9割以上。近著は『1分で打ち解ける!戦略的な雑談力』(明日香出版社)。

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