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【社会貢献特集:後編】社会のために何かしたい! 広がる「第3の社会貢献活動」とは

【社会貢献特集:後編】社会のために何かしたい! 広がる「第3の社会貢献活動」とはのイメージ

企業の社会課題解決の動きに個人も参画したい場合、「投資」という手段がある。ボランティアや寄付とは異なる「第3の社会貢献活動」の可能性に迫る。

前編では、発展途上国でのビジネスチャンスの拡大、企業の社会貢献に対する意識がここ数年で、急速に高まってきていることを解説した。

そんな社会の動きを若者はどのように捉えているのだろうか。前編で話をお伺いした小沼さんによると、「モノや情報があふれる時代に育った今の若者は、金銭的欲求より、むしろ社会課題解決の方にモチベーションが湧く傾向にあり、そういう若者を惹きつけるためにも、企業は社会課題の解決にコミットしようという意識が強まっている」という。

実際に、平成25年に厚生労働省が行なったミレニアル世代(2000年代に成人あるいは社会人になる世代、主に1980年代から2000年代初頭までに生まれた人)に向けた「若者の意識に関する調査」の中の社会貢献に関する質問では、5人に4人が「企業は利益追求だけではなく、社会的責任も果たすべき」と回答。

また、「今後、社会的責任を軽視する企業は存続できないと思う」という問いに対しても、5人に4人が賛同する結果となった。

とはいえ、このように企業間で広がる社会課題解決の動きに、「個人」としても参画したい場合、勤める企業を選ぶ以外に、どのような手段が存在するのだろうか。

これまでは「寄付」や「ボランティア」といったものがその選択肢であったが、その手段の一つとなるのが、社会貢献を実践する企業への「投資」である。

「投資」と「社会的価値」の関係の歴史

実は企業の収益性だけでなく、社会的価値を重視する「投資」活動というのは、約100年前から存在した。20世紀初頭、米国では一部の投資家に、「社会的に問題のある企業には投資したくない」という意識が生じた結果、たばこやアルコール、ギャンブルなどを扱う企業を投資対象としない金融商品が生まれた経緯がある。

また、地球温暖化への影響が指摘される化石燃料を扱う企業などに対して、「ダイベストメント(投資撤退)」する動きも株式市場で見られるようになった。社会課題解決への姿勢を示さなければ、企業が投資家に「NO」といわれる時代が訪れているのだ。

こうした流れから生まれたのが、E(Environment、環境)、S(Social、社会)、G(Governance、ガバナンス)という3つの側面に配慮している企業を重視・選別して行う「ESG投資」だ。

その広がりは目覚ましく世界的に注目されているが、より社会的課題の解決に注目し、投資収益の獲得を目標にしているのが「インパクト投資」という投資手法だ。

増え続ける、インパクト投資の運用額

インパクト投資とは、貧困や差別、環境、教育、福祉などの社会的な課題の解決を図るとともに、経済的な利益を追求する投資行動のことで「社会的インパクト投資」とも言う。

このインパクト投資は、ここ数年で運用額を急速に拡大しており、日本では、2016年の337億円だったものが、2017年には少なくとも718億円にまで拡大。たった1年間で、2倍以上伸びている。

図1:社会的インパクト投資残高(推計)の推移

図1:社会的インパクト投資残高(推計)の推移

出典:GSG国内諮問委員会「日本における社会的インパクト投資の現状2017」より編集部作成

では、なぜインパクト投資がここまで急速に拡大しているのだろうか。

伊吹 幸子のイメージ

学生時代にボランティアを通じて社会貢献に携わり、今は野村アセットマネジメントでインパクト投資の普及・推進を担当する伊吹幸子さんに聞いた。

伊吹さんは、ここ数年で運用額が急拡大している要因について、「国内外には数多くの社会的課題がありますが、すべてを政府が限られた財源の中で解決することは困難です。民間の支援が必要になってきている背景の中で、民間企業もこの分野の成長の可能性に注目し支持しているのだと思います」と話す。

伊吹さんがその投資対象として、「成長の可能性」に着目する業界の一つがヘルスケアだ。

「たとえば、今年ノーベル生理学・医学賞を受賞する京都大学の本庶佑特別教授と小野薬品工業が共同開発したがんの免疫治療薬『オプジーボ』のように、ヘルスケアの分野にはこうしたイノベーションの芽がまだまだあると考えています」。

最近では、スマートフォンと連動したウェアラブルデバイスが注目されるなど、世界の先進IT企業も、こぞってヘルスケア分野に注力している。「IoTデバイスなどを食生活管理や予防医療に活用する動きは今後急速に広まっていくことでしょう」と伊吹さん。

伊吹 幸子のイメージ

一方で日本が先駆けて直面している高齢化も、これから世界のいたるところで生じてくる。「それに伴う医療ニーズの増加は、ヘルスケア企業にとっても成長の追い風になってくるでしょう」。

そして、伊吹さんが、ヘルスケア業界の中でも着目しているのが米国企業。その理由を次のように語る。

「米国は国土が広く、日本のような近所の町医者が少ない。そのため遠隔診療のニーズが大きい。つまり、技術進化によって、今後成長が期待できます」。

「また、日本では厚生労働省が薬価を決めますが、米国では日本のような体系にはなっていません。企業や病院の裁量が多くなり、医療費増大が社会的課題となっています。今後、予防医療の開発が進むことで、高額医療の課題が解決できると予測されています」。

個人でできる社会貢献活動、第3の手法としての「投資」

企業の社会課題解決に「投資」を通じて参加する。こうした動きは、今まで、ボランティアに興味があっても時間がなかったり、寄付したくても一つの団体に絞れなかったりするような人にとっては、手軽に始めやすい社会貢献の手段の一つとなるだろう。

もしインパクト投資に興味があるなら、投資信託という選択肢もある。テーマがあらかじめ定められている場合が多いため、何を選べばいいか分からない人にとっても、選別しやすく始めやすい。

ボランティアや寄付に続く、個人の「第3の社会貢献活動」としての「投資」の可能性は注目に値するだろう。

伊吹 幸子のイメージ

【お話をお伺いした方】

伊吹 幸子(いぶき さちこ)
2014年に野村アセットマネジメント入社。商品企画部でさまざまな投資信託の商品組成に携わった後、投資信託営業企画部にて商品の企画・プロモーション活動を担当する。その後、投資信託営業部にて、投資信託・資産運用のセミナーを全国で行う。投資初心者向けや、女性向けの資産運用セミナーを数多く担当し、投資信託の普及・推進を手掛ける。

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