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2018.02.19 NEW

2040年、約4割が単身世帯に!? 80年代生まれは「ソロ社会」をどう生きる?

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晩婚化・未婚化、そして離婚率の上昇などによって急増する単身世帯。ひとり暮らし世帯が日本の4割を超える「ソロ社会」がもたらす未来とは?

男性の4人に1人が生涯未婚、3割の夫婦が離婚するリアル

総務省統計局の国勢調査によると、日本人男性の生涯未婚率は2000年に10%を突破。以降は年々上昇を続け、2015年時点では男性で約23%、女性で約14%にもなるという結果が出ている(図1)。

また、1970年には9%程度だった離婚率※も、2000年ごろから現在までは約35%で推移。たとえ結婚しても3組に1組が別れを選ぶのが、日本の夫婦のリアルだ。(※年毎の離婚数を婚姻数で割った特殊離婚率と呼ばれる数値で、人口1,000人あたりの普通離婚率とは異なる)

こうした未婚率や離婚率の増加、さらには高齢化に伴って増えるパートナーとの死別によって、日本でもその数を大きく増やしているのがひとり暮らしの単身世帯。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、全世帯に占める単身世帯の割合は2010年に3割を超え、2040年には約4割に迫るという(図2)。

つまり、未婚の男性や女性を含む単身世帯が大きな割合を占める「ソロ社会」時代は、すでに到来しているというわけだ。

図1:生涯未婚率の推移
図1:生涯未婚率の推移

出典:「平成27年国勢調査」(総務省統計局)を加工して作成

図2:単身世帯率の推移
図2:単身世帯率の推移

出典:「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(2018(平成30)年推計)(国立社会保障・人口問題研究所)を加工して作成

ソロで生きるという選択がアリな時代に

「すでに現在でも、地域や職場といった従来のコミュニティが希薄になり、社会はどんどん個人化しています。とはいえ、すべてのソロ生活者が孤独化・孤立化するかというと、決してそうではありません。例えば、結婚していなくてもパートナーがいたり、インターネットなどで誰かとすぐにつながれたり、趣味などを通じてできた友人がいたりすると、独身でも充実した生活が送れますからね」

そう話すのは、「超ソロ社会」というタイトルの本を出版し、博報堂ソロもんLABO(ソロ生活者研究ラボ)リーダーでもある荒川和久さん。同プロジェクトでは、独身20代~50代男性、親と同居していない単身世帯、自立・自給しながら自由なライフスタイルを楽しむ人々を「ソロ男」と定義し、様々な調査やマーケティング活動を行っている。

図3は荒川さんらが調査した結果の一部であるが、そこから見えてくるのは、非ソロ男よりも平均年収は少し低いものの、日々の買い物や好きなモノ・コトに自由に金を使い、仕事とプライベートのバランスを上手に取って趣味にいそしむなど、自由と独立を謳歌する「ソロ男」たちの姿だ。

「日本では明治時代から1980年代にかけて、生涯未婚率が1%から5%という皆婚時代でした。そうした時代に、結婚して家族を持つことが当たり前だという社会規範が刷り込まれてしまった。しかし、長い日本の歴史から見れば、全員が結婚していた皆婚時代の方が異常だったとも言えるのです。若い人たちに言いたいのは、いま常識とされていることがいつまでも常識のままではないということ。これからの時代に大切なのは、既婚でも未婚でも、それぞれが“ソロで生きる力”を身につけておくことだと思います」

図3:ソロ男の消費意識、生活意識
分類 項目 ソロ男 非ソロ男
家計 平均年収 511万円 541万円
消費 コンビニエンスストアを週に5回以上利用する 37.1% 27.8%
スーパーを週に2回以上利用する 69.6% 45.9%
週当たりのコンビニエンスストア、スーパー平均利用金額 5,442円 4,186円
ひとつのブランドを買い続ける 41.8% 34.1%
計画的な買物をすることが多い 54.3% 48.1%
週の平均外食数 5.75回 4.63回
生活 仕事に関して責任ある地位よりも、気楽な地位の方が良い 63.2% 36.1%
仕事に関して、高い給料よりも休みがたっぷりの方が良い 41.4% 21.8%
こだわりの強い趣味がある 54.6% 27.1%
趣味にかける時間が週に20時間以上 38.9% 15.8%

出典:「博報堂ソロもんLABO」2014年
※20~59歳の1都3県(東京都・神奈川・埼玉県)在住者を対象にしたインターネット調査。2014年2月に実施。サンプル数803人。
※「束縛されないで自由に過ごしていきたい方だ」「(家族がいても)一人で過ごす時間を確実に確保したい方だ」「(家族がいても)誰かにあまり頼らず生きていける方だ」の三問すべてに「そう思う」「ややそう思う」と回答した対象者を「ソロ男」、それ以外を「非ソロ男」に分類。同調査結果の数字は未婚ひとり暮らしの「ソロ男」のみの平均値。

ソロ社会時代に必要な、多様性を育む力とつながる力

「特に若い世代では、結婚してこそ一人前といった社会規範はどんどん薄れています」と荒川さん。そう指摘する一方で、「結婚した方がシアワセという価値観は日本人の潜在意識に根強く残っていて、未婚男女の不幸度を見ると、どちらも40代で最も高くなる(図4)。そうすると人は刹那的なシアワセを欲します。そのためソロ男はおいしいものやお菓子をよく食べるんです。甘いものは即時的な幸福感を得られますから。事実彼らのエンゲル係数は相当高いんです」とも話す。

図4:未婚男女と既婚男女の幸せ度

図4:未婚男女と既婚男女の幸せ度

出典:荒川和久著「超ソロ社会」(PHP新書)より
※20~59歳の1都2県(東京都・神奈川・埼玉県)在住者を対象にしたインターネット調査。2016年8月にソロもんLABOが調査実施。サンプル数520人。

多様な価値観が認められる現在では、「結婚する」という選択も「結婚しない」という選択も、もちろんどちらもアリだろう。さらに言えば、そもそも離婚や死別ということを考えると、誰もがソロになる可能性だってある。単身世帯がマジョリティになり、そして従来のコミュニティはどんどん希薄になる。そんな、来るべきソロ社会で生きるための力とは、一体どのようなものなのだろうか?

「“ソロ社会=人と関わらずに生きる社会”ではなく、むしろ逆。ソロだからこそ、人とつながり自分でコミュニティをつくる力が必要になるのです」と荒川さんは言う。

「そのために大切なのは、自分の中の多様性を育む力。例えば、会社にいる自分と家にいる自分は違ってもいいし、Aさんといる自分とBさんといる自分は違ってもいい。唯一無二のアイデンティティなんていうものは幻想で、どれも本当の自分ですからね。誰と会っている自分が楽なのかを認めて、その人といる時間を長くして関係性を育んでいけばいい。そうして多様性を磨くことで、誰かとつながったりコミュニティができたり。さらには、結婚するつもりがなかった人でも、この相手ならと思う人に出会えば結婚すればいいんです。そもそも20代、30代で自分が生きる道を決めることなんてできませんし、決める必要もありませんからね」

ソロ化する社会に生まれる新たなコミュニティ

既婚男性とソロ男の交友関係を見ると、既婚男性の友人の約4割が「職場の友人」であるのに対し、ソロ男ではその割合が3割未満。職場以外で人とつながる力を見れば、実はソロ男の方に軍配が上がる(図5)。

社会がソロ化することで孤立する危険性をはらむのは、何も未婚のソロ生活者だけではない。誰もがソロで生きる覚悟を持っておくべきソロ社会時代。最後に荒川さんに、そんなソロ社会がもたらす未来を予想してもらった。

「既婚者だっていつソロになるかわかりませんし、会社だっていつかは退職します。そうなったときに、趣味もなく友人もいないという状況が最も孤独なのは間違いありません。ですから、未婚や既婚、子のありなしに関わらず、異なる価値観と触れ合いながらゆるやかな家族のようにつながれる、拡張家族的なコミュニティをそれぞれが築くことが大切。ソロ社会というのは絶望の未来ではなく、むしろ精神的に自立した個々人がつながり、『お互い様』と支えあう新たなコミュニティが生まれる未来なのだと思います」

図5:ソロ男と既婚男性の友人分布比較

図5:ソロ男と既婚男性の友人分布比較

出典:荒川和久著「超ソロ社会」(PHP新書)より
※20~59歳の1都2県(東京都・神奈川・埼玉県)在住者を対象にしたインターネット調査。2016年8月にソロもんLABOが調査実施。サンプル数520人。

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