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インフレ時代の資産形成のポイント(4)NISAの魅力

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日本はインフレ時代に突入しています。私達を取り巻く環境を理解して、これからの資産形成に必要な知識を身につける必要があります。野村證券ファイナンシャル・ウェルビーイング室長の園部晶子、投資情報部長の東英憲の2名による計4回のトークセッション。最終回では、インフレの時代に有効なNISA(少額投資非課税制度)の魅力や活用の方法について解説します。

画像左:園部 晶子
1991年野村證券入社。5支店でお客様の資産運用のアドバイス業務に従事。現在はファイナンシャル・ウェルビーイング室において「お金について学ぶことで、あらゆる人が自由に自分の人生を選択できる世界」を目指し、小学生から大人まで幅広い世代に対して金融経済教育のコンテンツを提供中。

画像右:東 英憲
1990年、野村證券入社。池袋、静岡などの支店で個人向け営業に従事し、調布、盛岡、奈良、岐阜の各支店長、ソリューション・アンド・サポート部長(現在は改組)を経て、2022年4月から現職。個人投資家向けに情報を発信するおよそ約40人のリサーチャーやスタッフを率いる。

―園部

Part3では、分散投資、長期投資、積立投資により、価格変動リスクを低減できることを説明しました。ここからは、投資の運用益を非課税で受け取ることができる「NISA制度」について解説します。

2024年から改正されたNISAの主なポイントは、

(1)「非課税投資枠」が拡大した点

(2)「非課税期間」が無期限化した点、

(3)「投資枠の再利用」が可能になった点

の3点です。

 

まず1つ目の非課税投資枠の拡大についてです。NISAでは非課税で投資できる金額に上限が設けられています。2023年までのNISA制度では、一般NISAとつみたてNISAの選択制で、年間の非課税投資枠が高い一般NISAを選択した場合でも上限金額が120万円まででした。

NISA制度改正の主な概要
(注)上記内容は、2024年1月から開始される「新しいNISA制度」の概要説明を目的として作成したもので、同制度のすべてを説明したものではありません。今後制度内容が変更されることもありますので、上記内容についても事前の告知なく変更する場合があります。
(出所)財務省、金融庁資料より野村證券投資情報部作成

しかし、2024年からは年間360万円までに投資枠が拡大し、その範囲内であれば成長投資枠とつみたて投資枠の両方を併用できるようになったのです。

成長投資枠は、上場株式などが購入可能で、年間の非課税投資枠が従前の120万円から240万円へと2倍に増えました。さらに、つみたて投資枠は、積立投資や分散投資に適した投資信託が購入可能で、2023年までのつみたてNISAの年間40万円から、120万円へ非課税投資枠が3倍に拡大しました。

NISA制度改正の主な概要
(注)新しいNISA制度の生涯投資枠(非課税保有限度額)は、簿価(=取得価額)残高方式で管理されます。つみたて投資枠と成長投資枠の考え方は異なりますので詳細は別途ご確認ください。
上記内容は、現行のNISA制度と2024年1月から開始される「新しいNISA制度」の概要説明を目的として作成したもので、同制度のすべてを説明したものではありません。
2024年からNISAは、口座開設期間・非課税保有期間の恒久化、年間投資枠・非課税保有限度額の大幅な拡大など、制度が抜本的に改正されることとなりました。これに伴い、現行の「一般NISA」および「つみたてNISA」(以下、「現行のNISA」といいます。)での投資は2024年以降できなくなります。なお、現行のNISAで投資されたものは、2024年以降のNISAの非課税保有限度額(総枠)とは別枠で、当初の非課税保有期間終了まで非課税のまま保有することができます。ただし、当該非課税保有期間終了時に2024年以降のNISAに移管することはできません。
(出所)財務省、金融庁資料より野村證券投資情報部作成

また、生涯で投資できる総額が計1,800万円となりました。このうち成長投資枠が1,200万円です。

 

続いて、2つ目のポイントは非課税期間の無期限化です。2023年までのNISAでは、一般NISAが投資した年から5年、つみたてNISAが20年までと非課税期間が決められていました。現行NISAでは、非課税期間の無期限化により、非課税で保有できる期間の制限もなくなりました。利用可能な方の対象年齢は18歳以上、口座の開設期間も無期限です。

3つ目のポイントは、非課税投資枠の再利用が可能になったことです。2023年までのNISAは、商品を売却した分の非課税投資枠の再利用はできませんでした。しかし、現行NISAでは、売却した翌年以降に、商品の取得価格分の投資枠が再利用できるようになりました。ただし、売却してすぐ再利用できるわけではなく、翌年まで再利用ができない点には注意が必要です。

例えば、成長投資枠で年間240万円、積立投資枠で年間120万円、合計年間360万円ずつ5年間投資をすると、下図の左側のように、最短の5年間で生涯投資枠の1,800万円を使い切ることになります。

非課税保有限度額を一旦使い切ったとしても…
(注)2024年1月から開始される「新しいNISA制度」の概要説明を目的として作成したもので、同制度のすべてを説明したものではありません。
今後制度内容が変更されることもありますので、上記内容についても事前の告知なく変更する場合があります。
(出所)野村證券マーケティング部作成

6年目以降、右側のように、成長投資枠とつみたて投資枠を、それぞれ120万円ずつ、仮に売却したとすると、その商品の取得価額分が翌年に年間投資枠の範囲内で再利用可能とります。ただし、売却した金額分ではなく、取得価格分となるのでご注意ください。

 

―東

ずいぶん使い勝手が良くなりましたね。ところで、NISAで購入できる商品について教えてください。

―園部

はい、つみたて投資枠は、金融庁へ届出された、長期の積立・分散投資に適した投資信託のみが購入の対象です。2023年までのつみたてNISAの対象商品は、そのままつみたて投資枠のNISAの対象商品となりました。今回のNISA改正を受けて、つみたてNISAで投資できる新しい投資信託も登場しています。選択肢がますます充実してきています。

NISA制度における対象商品
(注)詳しくは利用する金融機関のホームページ、もしくは店頭等でご確認ください。
(出所)野村證券投資情報部作成

一方、成長投資枠の購入可能な対象商品は、上場株式や公募株式型投資信託に加えて、不動産投資信託(REIT)なども含まれます。

ちなみに、つみたて投資枠の対象となる商品を、成長投資枠で購入することもできます。つまり、成長投資枠を使って追加で積立投資をすることも可能というわけです。

詳細や最新情報については、金融庁のホームページ(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/)に、充実した情報が初心者にもわかりやすい形で掲載されています。

NISAを活用して、長期にわたり成長資産に投資するという観点から考えれば、成長投資枠での積立投資を検討されるのも良い方法といえそうですね。

このように、投資の運用益を非課税で受け取ることができるNISAの魅力について、ご理解いただけましたでしょうか。条件を満たしていれば、NISAをいつでも始めることができます。NISAを十分に活用し、資産形成に役立てていただければと思います。

※このコラムは2024年6月時点の情報に基づくものです

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