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買い替え時における3,000万円特別控除と住宅ローン控除の適用関係

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本コラムでは、自宅を買い替えた場合の3,000万円特別控除と住宅ローン控除の適用関係について解説します。
自宅の売却・購入に伴う税制優遇は金額が大きく、ライフプランにも影響しますので、買い替え前に確認しておきましょう。

買い替え時の3,000万円特別控除と住宅ローン控除は併用不可

自宅を売却したときに譲渡所得が発生した場合、所得税・住民税の課税対象になりますが、一定の要件を満たせば、3,000万円特別控除の適用により、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。

また、住宅ローンを利用して新たに自宅を購入した場合、一定の要件を満たしていれば、住宅ローン控除が適用され、確定申告により税金が還付されます。
ただし、買い替えのため自宅を売却した際に3,000万円特別控除の適用を受け、新たに購入した自宅で住宅ローン控除を受けることはできません。自宅の買い替えにあたっては、どちらを選ぶのがよいかを考えておく必要があります。

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具体例でシミュレーション

ここでは、自宅を売却して新築住宅を購入する事例をもとに、「3,000万円特別控除」を使う場合と、「住宅ローン控除」を使う場合を比較します。

【前提条件】
  • 20年前から住んでいた自宅を5,000万円で売却(取得費1,500万円、譲渡費用200万円)
  • 新築住宅を購入するために、全期間固定金利、35年返済で4,000万円の住宅ローンを借り入れ

1)3,000万円特別控除を受ける場合

自宅を売却した場合の譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
=5,000万円-(1,500万円+200万円)=3,300万円1
となり、譲渡所得は3,300万円です。
自宅売却時に利用できる「3,000万円特別控除」を適用すると、課税対象となる譲渡所得は3,300万円 - 3,000万円 = 300万円2となります。
なお、譲渡所得にかかる税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間により、短期譲渡所得か長期譲渡所得かで異なります。この例では、20年間所有していたため長期譲渡所得に該当します。

所有期間 区分 譲渡所得税率
5年超 長期譲渡所得 20.315%
5年以下 短期譲渡所得 39.63%

さらに、所有期間10年超の自宅については、「軽減税率の特例」を適用できる場合があります。
3,000万円特別控除の適用を受けた場合の税額は、課税対象の譲渡所得300万円2×14.21%(所得税10%、住民税4%、復興特別所得税:所得税額の2.1%)=約43万円・・・A
となります。

一方、3,000万円特別控除の適用を受けない場合の税額は、譲渡所得3,300万円1×20.315%=約670万円・・・B
となります。
つまり、3,000万円特別控除の適用を受けることにより、軽減される税額は「約670万円B-約43万円A=約627万円」です。

2)住宅ローン控除を受ける場合

次に、新築住宅の購入にあたり、住宅ローン控除を受ける場合を考えます。住宅ローン控除とは、一定の要件に該当すれば年末時点の住宅ローン残高等に応じて、一定額を所得税・住民税から控除する制度です。ただし、原則として本人が負担する所得税・住民税が上限となります。

この事例では、2026年8月時点の制度を元に年末の住宅ローン残高の0.7%を控除額とし、控除期間を10年間と仮定して住宅ローン控除を受ける場合を試算してみます。

年 住宅ローン
年末残高
控除額
(初回)
2026年
約3,864万円 約27万円
2027年 約3,712万円 約26万円
2028年 約3,555万円 約25万円
2029年 約3,393万円 約24万円
2030年 約3,226万円 約23万円
2031年 約3,055万円 約21万円
2032年 約2,878万円 約20万円
2033年 約2,695万円 約19万円
2034年 約2,507万円 約18万円
2035年 約2,314万円 約16万円
住宅ローン控除額の合計 約219万円

注:2026年8月時点で、年末の借入残高の0.7%を控除、控除期間は10年間と仮定、「ローン返済-高精度計算サイト」による試算、あくまで参考値。制度改正により控除率や借入限度額、控除期間が変わることがあるため必ず最新制度を確認してください。

この試算では、住宅ローン控除される税額は約219万円となります。一方、3,000万円特別控除を使った場合の節税効果は約627万円でした。したがって、この事例では、住宅ローン控除よりも3,000万円特別控除を利用した方が有利と考えられます。

なお、3,000万円特別控除と住宅ローン控除は、原則併用できないため、どちらを利用するか事前に比較検討することが重要です。

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住宅ローン控除で注意したい点

前述の事例では、自宅売却時に3,000万円特別控除の適用を受ける方が有利という結果でした。しかし、住宅ローン控除による税負担の軽減額は、適用できる年数や借入限度額、控除率によって変わります。

そこで、住宅ローン控除で注意が必要な点をまとめてみます。

1)自宅の売却益の有無と売却金額
譲渡益が生じるケースは、古くから所有している自宅の売却で購入価格が安かったために取得費が低くなっている場合や、一般的に一等地などで売却価格が高額になった場合などが多く、自宅の売却で譲渡益が出るケースはそれほど多いわけではありません。また、譲渡益があったときでもその額が少ないのであれば、3,000万円特別控除の適用による節税額よりも、住宅ローン控除による節税額の方が大きい場合があります。どちらの制度を選ぶかは、それぞれの税負担の軽減額を比較して判断する必要があります。
2)自宅の所有期間
所有期間が5年以下の自宅を売却する場合は、短期譲渡所得に該当するため税率が高くなります。譲渡益に対する所得税や住民税の額が大きくなるため、住宅ローン控除よりも3,000万円特別控除の適用を受けて譲渡所得を少なくする方が有利というケースが考えられます。
なお、購入した自宅について住宅ローン控除の適用を受けた後に3,000万円特別控除の適用に切り替えることは一定の手続きにより可能です。一方、3,000万円特別控除の適用を受けた後に、住宅ローン控除の適用に切り替えることはできませんので注意が必要です。
3)住宅ローン控除の適用期間
取得時期や住宅性能により、適用期間が異なる場合があります。そのため、買い替え時には、何年間控除を受けられるのかを必ず確認してください。住宅ローン控除の適用期間は原則10年間ですが、13年間にわたって控除を受けることができる特例もあります。
4)繰上げ返済
住宅ローン控除は、年末時点の住宅ローン残高を基準に計算されます。期間短縮型の繰上げ返済により、契約上の償還期間が10年未満となった場合は、その年以降住宅ローン控除を受けることができなくなります。また、繰上げ返済した場合は年末の借入金残高が減少するため、控除額も小さくなる可能性があるので注意が必要です。

まとめ

自宅を売却して譲渡益が出た場合、3,000万円特別控除の適用により、課税対象となる譲渡所得を減らすことが可能です。ただし、3,000万円特別控除と住宅ローン控除は、買い替え時に原則併用できないため、買い替えをする場合は、売却時の3,000万円特別控除と、購入時の住宅ローン控除のどちらを選ぶのか事前に試算して判断することが重要です。特に住宅ローン控除は、制度改正により控除率や借入限度額、控除期間が変わることがあるため必ず最新制度を確認し、実際に買い替えを検討する際は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部

更新公開日:2026年10月5日
初回公開日:2022年1月11日

本文は、2026年9月時点で信頼できると判断したデータを基に作成したものであり、正確かつ完全であることを保証するものではありません。また、将来変更される可能性があります。この資料のいかなる部分も一切の権利は野村ホールディングス株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等はできません。

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