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【3分で読める】いまさら聞けない「金本位制」とは <金にはなぜ価値があるの?>

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「金(ゴールド)」は、宝飾品として利用されてきた歴史やその美しさによる価値だけではなく、その希少性を背景として信頼性の高い実物資産と言われています。そのため「金(ゴールド)」は、長い間通貨発行の裏付けとしての役割を担ってきました。本コラムでは、「金(ゴールド)」の希少性について数字を見ていきましょう。また、現在の経済の仕組みを理解するうえでも大切なキーワード「金本位制」とは何か、一緒に確認していきたいと思います。

「金(ゴールド)」にはなぜ価値があるのか

「金(ゴールド)」の特徴には、美しさ、加工のしやすさ、歴史的な価値などに加え、希少性があります。WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)によると、有史以来の金の採掘量(地上在庫)は、2024年末時点で約21万6,265トンと推定されます。これはオリンピックの公式プールなどで使用される50メートルプール約3.3杯分に相当します。また、2024年末時点の金の推定埋蔵量は約5万4,770トンと推定され、こちらも同様に50メートルプール約0.8杯分に相当します。つまり、現時点で地球に存在する採掘済み・採掘可能な金のうち、およそ8割をすでに採掘していることになります。2024年の金の年間産出量は約3,661トンで、このペースが継続すると仮定すると、金の残りの採掘可能年数は約14.96年と言われています。このようにこれまでの採掘量、推定埋蔵量からもその希少性を確認することができます。

「金(ゴールド)はどのくらい希少性が高いのか」金(ゴールド)には美しさと加工のしやすさや歴史的な価値と希少性があり2024年末時点で有史以来の金(ゴールド)の採掘量は約21万6千2百65トン(地上在庫)と推定されオリンピックの公式プールなどで使用される50メートルプール約3.3杯分に相当し推定埋蔵量は約5万4千7百70トンと推定され埋蔵量も同じくオリンピックの公式プール約0.8杯分に相当し現時点で地球に存在する採掘済みと採掘可能な金(ゴールド)のおよそ8割をすでに採掘していることになり2024年の金(ゴールド)の年間産出量は約3千6百61トンのため同様のペースで採掘可能な年数は約14.96年と言われているため採掘量や推定埋蔵量からもその希少性の高さを示している
注:年間産出量は、鉱山生産量。採掘可能年数は、2024年の年間産出量(約3,661トン)が継続した場合。オリンピック公式競技用プールは、長さ約50メートル、幅約25メートル、深さ約2.7メートル。推定埋蔵量は採掘可能な埋蔵量。
出所:World Gold Councilより野村證券投資情報部作成

「金本位制」とは何か

金本位制とは、中央銀行が通貨を発行する際に「等価の金」を準備(=金準備)として保有する制度です。英国で1816年に始まったのを皮切りに、19世紀から20世紀にかけて主要国の中央銀行が採用し、日本も日清戦争で得た賠償金をもとに1897年に金本位制が始まりました。主要国が金と各国通貨の交換比率を固定したことで、主要国間の固定相場制にもつながりました。
金は価値が安定した信用度が高い交換手段ですが、持ち運びに不便で摩耗するという弱点があります。そこで兌換(だかん)通貨が発行されました。金との交換を保証された兌換通貨は利便性が高く、金の準備高が上限となることから、通貨の乱発を防ぐことができるため、インフレ抑制にもつながりました。そのメカニズムは下図の通りです。金本位制の下では、ある国で景気が過熱(後退)すると、輸入が増加(減少)することで金の流出(流入)が起こり、通貨の減少(増加)を通じて景気や国際収支が調節されるメカニズムが働きます。

「金本位制は国際収支を調節」中央銀行が通貨を発行する際に「等価の金」を準備(金準備)として保有する制度であり主要国が金と各国通貨の交換比率を固定したことで主要国間の固定相場制にもつながるが金(ゴールド)は価値が安定し信用度も高い交換手段ではあるものの持ち運びに不便で摩耗するという弱点があるため金(ゴールド)との交換を保証された兌換(だかん)通貨によって利便性を高めるだけでなく金(ゴールド)の準備高が上限となることから通貨の乱発を防ぐことができるためインフレ抑制にもつながり金本位制においては景気が過熱(または後退)すると輸入が増加(一方は減少)することで金の流出(または流入)が起こり通貨の減少(または増加)を通じて景気や国際的な収支が調節されるメカニズムが働く
注:2か国間の取引しか存在しない場合を想定したイメージ図。純輸出=輸出―輸入。
出所:野村證券投資情報部作成

ニクソン・ショックによる金本位制の終焉

金本位制により景気や国際収支が調節される一方で、各国の金融政策の自由が阻害されることもあります。1929年に始まった世界恐慌では、各国とも金本位制を一時停止しました。1944年にブレトンウッズ協定が締結され、米ドルのみ金1トロイオンス(約31グラム)あたり35米ドルの兌換が維持され、それ以外の通貨は米ドルに対する固定相場制になりました。米国が金本位制に復帰し、戦後はその他主要国では自国通貨と米ドルを固定相場で連動させる「金・ドル本位制」が普及しましたが、1971年に米国は財政悪化やインフレの影響で米ドルと金の交換を停止(ニクソン・ショック)し、金1トロイオンスあたり38米ドルへの切り下げも実施しましたが、米ドルへの信頼は低下し、1973年には変動相場制へ移行しました。1976年のキングストン協定で各国の変動相場制移行が認められ、1978年の発効をもって金本位制は完全に終了しました。
これらのお話は、中学や高校の社会・歴史で学んだ記憶のある方もいるのではないでしょうか。

金本位制に関する年表

内容
1816 イギリスが金本位制開始
1914 第一次世界大戦勃発:以降、各国が金本位制を一時停止
1919 アメリカが金本位制復帰
1925 イギリスが金本位制復帰
1929 世界恐慌:以降、各国が金本位制から離脱
1944 ブレトンウッズ協定締結
1945 ブレトンウッズ体制:金1トロイオンス=35米ドル、1米ドル=360円の固定相場制
1971 ニクソン・ショック:米ドルと金の兌換停止
スミソニアン体制:金1トロイオンス=38米ドル、1米ドル=308円の固定相場制
1973 スミソニアン体制が崩壊し、変動相場制へ
1976 キングストン協定締結:IMF(国際通貨基金)暫定委員会が変動相場制を承認
1978 キングストン協定発効に伴い、米ドルの金本位制が終了
出所:野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成

まとめ

中央銀行等の金保有量ランキング

順位 国/地域/機関名 金準備(トン) 外貨準備高に占める金の割合(%)
1 米国 8,133トン 78.5
2 ドイツ 3,350トン 77.6
3 IMF(国際通貨基金) 2,814トン -
4 イタリア 2,452トン 74.4
5 フランス 2,437トン 75.1
6 ロシア 2,330トン 36.2
7 中国 2,296トン 6.7
8 スイス 1,040トン 11.2
9 インド 880トン 13.2
10 日本 846トン 6.9
注:小数点以下第一位を四捨五入。2025年5月時点。
出所:World Gold Council、IMF(International Financial Statistics(IFS))より野村證券投資情報部作成

金本位制は終わったものの、現在も各国の中央銀行やIMF(国際通貨基金)は、準備資産の一つとして金を保有しています。最も多くの金を保有している中央銀行は米国FRB(連邦準備制度理事会)で8,133トンです。次いでドイツのドイツ連邦銀行の3,350トン、IMFの2,814トンと続きます。金は引き続き、通貨制度にとって重要な役割を担っています。
このような通貨制度としての金本位制や歴史的な流れを改めて知っておくと、ニュースなどで目にする金(ゴールド)の価格変動や関連する出来事の見方も変わってくるかもしれません。

編集協力:野村證券株式会社 投資情報部 寺田 絢子/山口 正章
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部

記事公開日:2025年10月6日

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