1. TOP
  2. コラム
  3. 家事代行・ベビーシッターが生み出すものとは

家事代行・ベビーシッターが生み出すものとは

  • facebook
  • x
  • LINE

一般家庭における資源というと「お金」に関することを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、実際の生活では、もう一つの重要な資源があります。

それが「時間」です。

掃除、洗濯、食事の準備、子どもの送迎や見守りなど、家庭の中には毎日積み重なる仕事があり、その負担は家計や働き方にも影響します。政府が家事支援サービスやベビーシッターの利用促進を成長戦略の中で扱っている背景にも、こうした家事・育児負担の軽減を通じて、就業継続や生産性向上につなげたいという思いがあります。

支出増か、それとも資源の再配分か

家事代行やベビーシッターの利用は、家計にとっては「支出増」です。そのため単純に使うのではなく、その支出が自分の持つ「資源」にどんな意味を持つのかを考えることが大切です。
実際に、家事支援サービスやベビーシッターは認知されている一方、利用はまだ限定的です。その理由として「所得に対して価格が高い」ことが多く挙げられています。

家事支援サービスの状況を示した円グラフ
出所:内閣官房「家事等の負担軽減に資するサービスの利用促進について」より野村證券作成

一方で、この支出は別の見方もできます。家事を外部に任せることで生まれた時間は、休養、家族との時間、仕事、学び直しなどに振り向けることができます。つまり、家事支援サービスは単なる消費ではなく、お金と時間という、限られた「資源」をどう配分するかを考える選択肢ともいえます。

野村の関連サービスはこちら

就業継続を支える見えにくい基盤

このテーマが政策として注目される理由の一つは、家事負担の軽減が就業につながるからです。家事や育児の負担が重いと、働く時間を減らしたり、離職したりせざるを得ない場合があります。逆に、その負担が軽くなれば、勤務時間を維持しやすくなったり、復職しやすくなったりする可能性があります。政府の関連会議でも、家事等の負担軽減は、育児や介護をしながら働く人を支える環境整備として位置づけられ、経済的支援、税制措置、品質向上、信頼性確保などが検討課題とされています。

利用する人だけでなく、働く人の選択肢にも

家事支援を使うということは、利用者の「時間」の創出だけでなく、就業機会の創出にもつながります。経済産業省「家事支援サービス業の実態把握・活用推進に係る調査 調査報告書」では、家事支援サービス業で人材を確保するためには、「空いた時間で働ける」・「ライフスタイルに合わせて働ける」といった柔軟な働き方が求められており、これが確立できれば家事や育児、自身の都合と両立しながら働きたい人にとって、こうした仕事は就業の選択肢の一つになると思われます。促進するだけで自然にうまくいくわけではなく、担い手を安定して確保できるかどうかも重要な論点です。

「高齢者向け」だけではない現状

家事支援サービスには、「高齢者向け」という印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、経済産業省の調査によると、利用者は40代以下が半数を占め、特に40代の利用が多いというのが実態のようです。高齢者の利用が存在することは確かですが、全体としてみれば、現役世代、とくに仕事や家庭責任を抱える層の利用も目立っている状況です。

サービス利用者に関するデータを示した帯グラフ
出所:経済産業省「家事支援サービス業の実態把握・活用推進に係る調査 調査報告書」より野村證券作成

家計の支出を考えるとき、時間制約に目を向ける

家事代行やベビーシッターの利用促進は、家計から見れば支出を伴う話です。けれども同時に、それは家計という側面だけでは測りきれなかった「時間」の価値をどう考えるかという問いでもあります。支出を増やしてでも時間を確保し、就業や休養、家族との時間につなげるのか。あるいは、その支えとなるサービスを提供する側として働くのか。政府がこの分野を成長戦略の中で議論している背景には、家事を個人の努力だけで抱え込まず、社会全体で支える仕組みに変えていこうという発想があります。

自身の限りある資源を考えるとき、「お金の収支」だけでなく、「時間の配分」という視点を持ってみてはいかがでしょうか。

文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部

記事公開日:2026年6月30日

  • facebook
  • x
  • LINE

関連記事