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【3分で読める】フィジカルAIとは?

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2026年7月に閣議決定された「日本成長戦略」において、国内投資の促進に徹底的なてこ入れをしていく、とされた「戦略17分野」の筆頭に位置付けられたのが、「フィジカルAI(特にAIロボット)」です。
本コラムでは、フィジカルAIとは何か、そして注目されている背景について解説します。

「フィジカルAI」とは

フィジカルAIとは、AIがロボットや機械などの「身体」を持ち、現実世界の状況を認識しながら自律的に判断・行動する技術です。
カメラやセンサーなどから得た視覚・聴覚・力覚などの情報をAIが理解し、「何を、どのように動かすべきか」を瞬時に判断します。その判断をロボットが実際の動作として実行することで、人の作業を支援したり、危険・複雑な作業を代替したりできます。
フィジカルAIは、AIだけで実現できるものではなく、複数の技術要素が役割を分担しながら連携することで成り立っています。人間に例えると、AIは状況を理解して判断する「頭脳」、ロボティクスは指示を動作に変える「身体」、センサーやビジョンは周囲を感じ取る「五感」、通信は情報と指令を伝える「神経」にあたります。

フィジカルAIを支える5つの技術要素を示した図

図はイメージです

出所:各種資料を基に、野村證券株式会社 投資情報部作成

従来のロボットのように決められた手順だけを繰り返すのではなく、目的達成に向けて行うべき行動を自ら判断し、環境の変化に応じて手順や挙動を調整しながら、作業を自律的に実行できる点が大きな特徴です。

なぜ、フィジカルAIが注目されているのか

―背景にあるのは、深刻な人手不足

日本では、人口減少や高齢化を背景に、幅広い産業で人手不足が深刻化しています。特に製造、物流、建設、介護、医療、外食、インフラ保全などでは、担い手の確保と生産性向上が大きな課題です。
こうした中で、フィジカルAIは、人の作業を補完・代替し、生産性を大きく向上させる手段として期待されています。
また、政府はフィジカルAIに対して、官民で2040年度までに10.5兆円を投資する方針を発表しました。2026年7月21日に公表された骨太の方針でも、持続的な成長と賃上げを実現するため、生産性向上、人手不足への対応、AI・デジタル技術の活用が重要な政策課題として位置づけられています。このように、国策としても重要な投資分野に位置づけられていることが、フィジカルAIへの注目をさらに高めています。

フィジカルAIをめぐる日本の強みと課題

日本は、産業用ロボット市場において世界で約7割のシェアを誇り、受注残高も着実に積み上がっています。これまで日本企業は、産業用ロボットの分野で豊富な実績と高い技術力を蓄積してきました。こうした強みとなる知見にAIが加わり、製造装置や自動車・ロボット産業で活用が進むことで、フィジカルAIへの期待も高まっています。
一方で、サービスロボット市場での世界シェアは1割強にとどまり、海外勢、特に中国勢の台頭が目立ちます。今後は、産業用ロボットで培ってきた日本企業の技術力に加え、AI、データ、ソフトウェア、現場実装を含めた総合力が重要になると言えるでしょう。
フィジカルAIの主な実装先として注目されるAIロボット市場は、2030年ごろを境に急速に拡大し、2040年までに約60兆円規模に達すると見込まれています。国策による後押しも追い風となる中、日本が世界市場で存在感を高められるかが、今後の重要なポイントとなりそうです

経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の今後の方向性について」(令和8年3月18日)より一部抜粋

編集協力:野村證券株式会社 投資情報部 大坂 隼矢、笠原 光
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部

記事公開日:2026年9月28日

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