【3分で読める】次世代型太陽電池 ペロブスカイト太陽電池とは?

脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の拡大が必要とされています。なかでも太陽光発電は再エネの中で大きな割合を占めており、導入の拡大が期待されます。本コラムでは、新たな技術として注目を集めている次世代型の太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」について見ていきます。
参考:【3分で読める】再生可能エネルギーの現状と成長のカギ
次世代の太陽光発電技術「ペロブスカイト太陽電池」
広い土地や民家の屋根に設置されている黒いパネルの太陽電池の多くは「シリコン型太陽電池」と呼ばれるもので、太陽電池の約95%を占めています。シリコン型太陽電池は耐久性や発電効率に優れていますが、重くかさばるため広大な土地などが必要になります。しかし日本国内に設置できる場所は限られており、設置場所の確保が課題となっています。この課題解決のために期待されているのが、シリコン型太陽電池にはない特性をもつ「ペロブスカイト太陽電池」です。
経済産業省「次世代型太陽電池戦略」より
ペロブスカイト太陽電池とは
ペロブスカイト太陽電池(以下、ペロブスカイト)とは、2009年に開発された日本発の技術であり、「曲げられる」「軽くて薄い」などの特徴があります。そのため、これまで設置が困難だった場所にも活用できるなど、多くのメリットがあります。近年、発電効率が従来のシリコン型に匹敵するレベルまで向上したことなどをきっかけに、各国で開発が活発化しています。
ペロブスカイトの活用
ペロブスカイトはその特性を活かし、さまざまな活用法が検討されています。例えば、光を透過する特性を利用して窓ガラスにペロブスカイトを重ね、ビルの側面に設置する方法や、既存のシリコン型太陽光パネルの上にペロブスカイトを重ねて発電効率を高める「タンデム型」、また軽さを活かしてIoT機器へ搭載するなど、特徴を活かした新しい商品開発が期待されています。

今後の課題
ペロブスカイトは軽くて薄く、設置の柔軟性が高いなどの利点がある一方で、湿度や紫外線などの影響を受けやすく、性能の安定性が課題とされています。また屋外に設置した場合の耐用年数はシリコン系に比べると半分程度と言われており、屋外環境での耐久性や発電量などにおける技術の向上が期待されます。
その他、太陽電池全体の課題もあります。太陽電池はペロブスカイトだけではなく、シリコン系のパネルにも有害物質が含まれています。寿命をむかえた太陽光パネルの放置や不法投棄は、環境や人体へ悪影響を与える可能性があり、適切に処理をするために廃棄やリサイクルの仕組みを確立する必要があります。
まとめ
ペロブスカイトは脱炭素化や、新たな輸出産業としての期待から、国や地方自治体が積極的に普及を推進しています。また、企業も課題解決に向けてさらなる技術開発を進めています。この先、ペロブスカイトが日本の再エネ拡大への切り札となるか注目されます。
編集協力:野村證券株式会社 投資情報部 照屋 利幸
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部
記事公開日:2025年10月28日


