小学校6年間で平均895.7万円の差!! 公立と私立小学校の学習費を徹底比較(小学校編)

人生の3大費用と言われているもののうちのひとつである「教育費用」。
今回は小学校における学習関連費用についてお伝えします。
小学校6年間でこんなに違う!公立と私立の学習費総額
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、小学校6年間にかかる学習費は、公立小学校で約201.7万円であるのに対し、私立小学校では約1,097.4万円となっています。つまり、6年間で895.7万円もの差があるということです。

ちなみに同調査によると学習費は、中学校では3年間で約300万円の差(公立中学162.6万円、私立中学467.2万円)、高校では3年間で129万円の差(公立高校178.7万円、私立高校307.7万円)となっています。
詳しくは、下記のコラムをご参照ください。
学習費の内訳を詳しくチェック!
「学習費」の内訳を見てみましょう。「学校教育費」、「学校給食費」、「学校外活動費」に分類されており、各々の定義は以下のようになっています。
| 学校教育費 | 学校教育のために各家庭が支出した全経費で,学校が一律に徴収する経費及び必要に応じて各家庭が支出する経費の合計。 |
|---|---|
| 学校給食費 | 給食費として支払った経費。 |
| 学校外活動費 | 補助学習費及びその他の学校外活動費の合計。 |
6年間の「学校教育費」をもう少し細かく分類し、私立と公立の差額を計算したのが下記の表になります。
金額差が大きいものは何と言っても「授業料(約321万円)」であり、差額全体の55%を占めています。これに次ぐ項目は「施設整備費等(約63万円)」ですが、これは公立の場合では通常かからない費用です。
小学校6年間における学校教育費の私立と公立との差 (私立生費用 - 公立生費用)
| 学校教育費 | 差額(単位:万円) |
|---|---|
| 入学金・入園料 | 24.2 |
| 入学時に納付した施設整備費等 | 11.0 |
| 入学検定料 | 3.3 |
| 授業料 | 321.2 |
| 施設整備費等 | 62.6 |
| 修学旅行費 | 5.2 |
| 校外学習費 | 13.7 |
| 学級・児童会・生徒会費 | 3.4 |
| その他の学校納付金 | 14.3 |
| PTA会費 | 3.0 |
| 後援会費 | 3.1 |
| 寄附金 | 31.6 |
| 教科書費・教科書以外の図書費 | 13.4 |
| 学用品・実験実習材料費 | 9.3 |
| 教科外活動費 | 6.3 |
| 通学費 | 27.0 |
| 制服 | 23.8 |
| 通学用品費 | 2.7 |
| その他 | 4.0 |
| 計 | 583.2 万円 |
続いて、「学校外活動費」を見てみます。
こちらも私立と公立での差が大きく、6年間で平均303万円の開きがあります。
内訳を見ると、すべての項目で私立の方が費用大きくなっています。特に学習塾費については差額が125.7万円と大きくなっています。つまり、私立の小学校に通っても通塾させている家庭が多いということでしょう。
また、芸術文化活動、スポーツ・レクリエーション活動といったいわゆる「習い事」の費用も私立通学者の方が多く支払っていることが見て取れます。
小学校6年間における学校外活動費の私立と公立との差 (私立生費用 - 公立生費用)
| 学校外活動費 | 差額(単位:万円) |
|---|---|
| 補助学習費 | 170.5 |
| 家庭内学習費 | 18.2 |
| 通信教育・家庭教師費 | 22.9 |
| 学習塾費 | 125.7 |
| その他 | 3.7 |
| その他の学校外活動費 | 132.9 |
| 体験活動・地域活動 | 12.7 |
| 芸術文化活動 | 40.0 |
| スポーツ・レクリエーション活動 | 26.7 |
| 国際交流体験活動 | 14.6 |
| 教養・その他 | 38.9 |
| 計 | 303.4 万円 |
相対的に費用はかかるが、私立小学校の人気上昇傾向
次は、費用以外の部分を比較してみましょう。
全国の公立小学校の児童数は約570万人に対し、私立小学校の児童数は約8万人と大きな差があります。しかし、2016年度から2025年度にかけて公立小学校の生徒数は10.5%減少する一方で、私立小学校においては少子化にも関わらず2.8%の増加となっており、私立の人気が伺えます。

また、これに合わせるように学校数も公立では減少傾向が続いているのに対し、私立では緩やかな増加傾向が見られます。

一方、教職員数は、公立・私立共に長期的には増加傾向にあるようです。

単純平均ですが、2025年度データにおける教職員1人あたりの生徒数は、公立が13.6人、私立が13.9人とほぼ同数です。なお、2015年度における同数値は公立で15.7人、私立では15.6人でしたので、双方ともに生徒あたりの教職員を増やしている姿が見られます。

都市部に偏在している私立小学校
私立小学校は地域によってその数は大きく異なっており、東京都は55校で全国の22%を占めています。
首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)には全体の41.2%が集中している一方で、青森県や島根県など12県では私立小学校がまったく存在しません。
これは都市部における私立小学校の需要増加を示しており、私立進学を検討する場合、地域別の学校選択肢も踏まえた計画が必要となるようです。
| 都道府県 | 公立小学校数 | 私立小学校数 |
|---|---|---|
| 北海道 | 905 | 5 |
| 青森県 | 241 | 0 |
| 岩手県 | 258 | 0 |
| 宮城県 | 344 | 6 |
| 秋田県 | 166 | 0 |
| 山形県 | 220 | 0 |
| 福島県 | 367 | 4 |
| 茨城県 | 426 | 7 |
| 栃木県 | 328 | 1 |
| 群馬県 | 292 | 3 |
| 埼玉県 | 780 | 6 |
| 千葉県 | 745 | 10 |
| 東京都 | 1254 | 55 |
| 神奈川県 | 843 | 32 |
| 新潟県 | 422 | 0 |
| 富山県 | 170 | 1 |
| 石川県 | 194 | 1 |
| 福井県 | 187 | 1 |
| 山梨県 | 171 | 4 |
| 長野県 | 343 | 9 |
| 岐阜県 | 335 | 2 |
| 静岡県 | 473 | 5 |
| 愛知県 | 959 | 4 |
| 三重県 | 357 | 2 |
| 都道府県 | 公立小学校数 | 私立小学校数 |
|---|---|---|
| 滋賀県 | 218 | 0 |
| 京都府 | 343 | 11 |
| 大阪府 | 957 | 17 |
| 兵庫県 | 712 | 11 |
| 奈良県 | 178 | 6 |
| 和歌山県 | 231 | 3 |
| 鳥取県 | 111 | 0 |
| 島根県 | 187 | 0 |
| 岡山県 | 356 | 4 |
| 広島県 | 441 | 10 |
| 山口県 | 282 | 1 |
| 徳島県 | 179 | 2 |
| 香川県 | 157 | 0 |
| 愛媛県 | 271 | 0 |
| 高知県 | 215 | 2 |
| 福岡県 | 686 | 10 |
| 佐賀県 | 155 | 0 |
| 長崎県 | 304 | 6 |
| 熊本県 | 325 | 0 |
| 大分県 | 250 | 1 |
| 宮崎県 | 228 | 1 |
| 鹿児島県 | 467 | 3 |
| 沖縄県 | 258 | 4 |
| 合計 | 18,291 | 250 |
費用とその他のバランスをどう考えるか
私立小学校は教育方針や特色が多彩です。英語教育や国際教育、宗教教育、特色あるカリキュラムを提供する学校も多く存在します。
一方、公立小学校も地域に根差した教育活動や学外活動の充実を図っており、費用負担は抑えられるメリットがあります。
また、昨今では「インターナショナルスクール」を選択する家庭も増加している模様です。
インターナショナルスクールは、授業を含めすべて英語で行われており、クラスメイトが多国籍であることから、異文化理解や多様性の尊重など、日本に居ながらにして国際的視野を養える機会があります。
ただし、インターナショナルスクールは一般的に費用が私立小学校に比しても高額であることや、国から義務教育を行う学校と認められていないため、インターナショナルスクールを卒業しても、小学校や中学校を卒業したと認められないことがあるようですので注意が必要です。
ここまで、教育にかかる費用を中心にお伝えしてきましたが、どちらを選択するかは居住されている場所や、家庭の方針、子どもの個性等によって変わってくるものと言えるでしょう。教育費用の比較だけでなく、教育内容も慎重に検討しましょう。
文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部 籔内 大助
記事公開日:2025年10月22日


