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大学の学費ってどれぐらい? 国公立と私立、学部で大きく違う学費を検証(大学編)

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東京大学が2025年度から授業料を値上げ(53万5,800円から64万2,960円)ということが一時期話題になっていました。
今回はそんな大学にかかる費用についてお話していきます。
(なお、以下は短期大学を含まず4年制大学についての内容となります。)

国立大学の授業料は2005年から据え置かれている

まずは、上述の授業料から見ていきましょう。
国立大学の授業料・入学料・検定試験料は「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」によって標準額が定められており、その標準額の2割までは引き上げが可能となっています。各大学はこの標準額を基に各自の費用を決定します。
今回の東京大学の授業料の値上げは、この標準額のちょうど2割増であり、引き上げられる最大に定めたということになります。
この授業料の標準額ですが、下記グラフにある通り2005年度から現在(2025年9月)においても変わっていないのが現状です。
一方、私立大学においては2005年度から2023年度の授業料平均は81.1万円から95.9万円へと15%上昇しています。
このような環境や昨今の物価上昇を勘案すれば、他の国立大学も授業料等の引き上げ、もしくは標準額自体の引き上げが行われてもおかしくないと思われます。
公立大学の授業料については、自治体がその税金を財源としているため、国立大学の「標準額」に準拠しつつ、大学が設置された地域の在住者に対する優遇措置を設けるなど、大学・学部によって金額が異なっています。

国立大学と私立大学(平均)の年間授業料推移を説明しているグラフ
出所:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より野村證券作成

世界主要国と授業料を比較すると

下記のグラフは、OECD(経済協力開発機構)調査の2022/23年における主要国における大学の平均授業料(年額)からの一部抜粋です。
ご覧の通り、米英は授業料が非常に高い一方で、欧州の一部の国々ではゼロまたは非常に低い授業料となっていますが、これは一定の条件下で授業料を無償としていることに起因しています。
これを見る限り、日本の大学授業料は中位レベルというところでしょうか。

OECD(経済協力開発機構)調査による、2022/23年における主要国における大学の平均授業料(年額)のグラフで、日本の大学授業料は中位レベルであることを説明している
出所:OECD“Education at a Glance 2024”より野村證券作成

国公立大学の場合は国や地方自治体からの資金を受けて一部運営されている場合が多いため、多くの国では自国民かどうかで授業料を変えています。例えばアメリカの場合では自国民かどうかで年間1万ドル以上の費用差があります。
日本の場合はこのような差を設けていない分、自国民以外から見ると他国よりも割安感があるように見えるかもしれません。
そのためか、東京大学における全学生数に対する外国人留学生数の比率(大学院、研究所含む。永住者等含まず)は2025年5月1日時点で17.47%にも上るそうです。

東京大学「2025年(R7年)5月1日現在 外国人学生・留学生数」

国公立大学の平均年間授業料(単位:USドル)

自国民 自国民以外 差額
アメリカ 9,596 20,328 10,732
日本 5,645 5,645 (自国民と同額)
カナダ 5,590 20,876 15,286
オーストラリア 5,108 20,880 15,771
ニュージーランド 4,748 22,363 17,615
オランダ 3,041 20,328 17,288
イタリア 2,570 2,570 (自国民と同額)
ルーマニア 2,163 8,150 5,987
スペイン 1,708 1,708 (自国民と同額)
スイス 1,427 3,159 1,732
オーストリア 1,043 2,085 1,042
フランス 252 5,592 5,340
フィンランド 0 14,292 14,292
ノルウェー 0 0 0
出所:OECD“Education at a Glance 2024”より野村證券作成

国立大学と私立大学(平均)における4年間の学費の差は231.4万円

次に学費全体を見てみましょう。
4年間の学費で比較すると、平均では私立大学では国立大学よりも231.4万円多く費用がかかっています。

4年間学費(単位:万円)

入学金 授業料 施設設備費 合計
国立大学 28.2 214.3 - 242.5
私立大学 24.1 383.7 66.1 473.9
出所:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より野村證券作成

この場合の私立大学の費用はあくまでも全学部の平均です。
私立大学を分野別に分けた統計データを見てみましょう。
以下は、私立大学(分野別)と国立大学の平均学費との比較です。
医歯系以外の学部は4年間、医歯系学部は6年間の費用で計算しています。

大学部門別4年間の平均学費(2023年度)

入学金(万円) 授業料(万円) 施設設備費(万円) 合計(万円)
文化系学部 22.4 330.9 57.5 410.8
理科系学部 23.5 465.1 53.2 541.8
その他学部 25.1 391.1 92.7 508.9
国立大学 28.2 214.3 - 242.5

大学医歯系学部6年間の平均学費(2023年度)

入学金(万円) 授業料(万円) 施設設備費(万円) 合計(万円)
医歯系学部 107.7 1,718.2 528.3 2,354.3
国立大学 28.2 321.5 - 349.7
出所:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より野村證券作成

このように文化系学部における4年間の国立大学と私立大学の学費差は168.3万円ですが、医歯系学部6年間ではその差が2,000万以上になります。

大学では学費以外の支出も考慮

大学生ともなると学費以外の諸費用も少なからず考慮に入れておく必要があります。
全国大学生活協同組合連合会の「第60回学生生活実態調査の概要報告」によると、自宅生の生活費は平均で月69,500円(年間834,000円)なのに対し、自宅外生の生活費は平均で月131,710円(年間1,580,520円)と月で6万円強、年間換算すると75万円程度の差、4年間で引き直すと約300万円の差となり、かなりの家計負担になることは認識しておく必要があるでしょう。
また、この数値はあくまでも平均ですので、どこで生活するかによって大きく変わってくることは認識しておく必要があります。

大学入学までにかかる費用

大学受験から入学までの短い期間でさまざまなお金がかかります。
全国大学生活協同組合連合会の「2025年度保護者に聞く新入生調査」概要報告によると、出願から大学入学金や教科書代で少なくとも100万円以上かかっているようです。さらに、下宿する場合は部屋探しや入居・引越費用等も追加されるため、200万円前後が支払われています。
どのような状況でどの大学に入学するにしても一定の大きな費用を準備しておく必要があるようです。

入学までにかかった費用(国公立/私立、住まい別)

費目 国公立計
(万円)
国公立計
自宅生
(万円)
国公立計
下宿生
(万円)
私立計
(万円)
私立計
自宅生
(万円)
私立計
下宿生
(万円)
出願費用 12.3 13.1 11.9 14.9 15.7 13.7
受験交通・宿泊費等 5.3 2.6 6.5 3.3 2.0 5.4
入学大学納付金 57.2 57.7 57.2 88.1 87.8 88.3
未入学大学納付金 26.5 26.5 26.6 26.8 26.9 26.6
入学式交通・宿泊費等 3.1 0.6 4.3 2.0 0.5 4.1
教科書・教材・パソコン費用 24.3 23.5 24.9 20.1 19.5 21.3
部屋探し等交通・宿泊費 3.3 0.5 4.3 2.6 0.5 4.7
入居・引越費用 21.9 - 22.4 24.9 - 25.2
生活用品購入費用 23.7 10.1 32.2 16.9 9.4 31.1
その他 25.2 14.0 31.7 16.6 11.2 26.5
合計 167.3 129.4 192.7 181.4 161.1 222.6
出所:全国大学生活協同組合連合会「2025年度保護者に聞く新入生調査」概要報告より野村證券作成

教育の高度化・長期化を見据えて今から準備を

文科省「令和6年度学校基本調査」によると、大学(学部)進学率(過年度卒を含む)は59.1%で、過去最高となっています。さらに大学院等への進学率は12.6%と教育の高度化・長期化が進んでおり、親・保護者の金銭的負担は大きくなる傾向にあると言えます。
また前述の通り、日本の大学の授業料は現状他国に比して割安であることや他のモノ・サービスの費用が継続的に上昇傾向にあることを考えると、これまで以上に教育費用についての準備が欠かせなくなってきていると言えるでしょう。

文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部 籔内 大助

記事公開日:2025年11月26日

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