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100年続くノーベル財団の資産運用

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2024年のノーベル平和賞は日本原水爆被害者団体協議会が受賞しました。世界で最も権威ある賞のひとつと言われるノーベル賞は、スウェーデンの発明家アルフレッド・ノーベルの遺言により1901年に第1回の賞が授与され、既に100年以上の歴史があります。

ノーベル財団のホームページによると、ノーベルが亡くなったとき、彼の遺言には財産について「前年に、人類に最も大きな利益をもたらした者に報いるために授与されるべき」との記載がありました。ノーベル賞は、彼が生前に最も関わった5つの分野において優れた業績を表彰するものでした。それが物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞です。そして1969年には、新たな賞が設立されました。「アルフレッド・ノーベルの記憶に残る経済学に関するスウェーデン国立銀行賞」、いわゆる経済学賞です。この賞の追加は例外的なものであり、スウェーデンの中央銀行の設立300周年を祝うためのものでした。

5つの分野に対しての賞金やメダル授与などに必要な費用は、ノーベルの遺産の管理と、ノーベル賞の運営を行っているノーベル財団が運用して得た利益を原資としています。ノーベル財団の運用資産は、2023年末で約60億スウェーデンクローナ、日本円に換算すると、約900億円(1スウェーデンクローナ=15円で計算)になります。ノーベル財団は、この資産を管理・運用しながら毎年のノーベル賞の運営費を捻出しているのです。

ノーベル財団の資産は増加傾向を続け、12年で2倍以上に

下のグラフは、2012年から2023年までのノーベル財団の運用結果を棒グラフで示しています。運用資金のリターンはマイナスになる年もありますが、ノーベル賞の運営費(ノーベル賞賞金+運営費用)から求められる事業費率を概ね上回る運用結果となっていて、財団の資産も増加傾向を続けています。

2012年から2023年までのノーベル財団の運用結果の棒グラフ
注:資金額は各年12月末時点の値、直近値は2023年。金額の単位は「百万スウェーデンクローナ」。事業費率は2020年までは公表値で2021年以降は野村證券投資情報部による推計。
出所:ノーベル財団「アニュアルレポート」より野村證券投資情報部作成

ノーベル財団は、インフレ調整後で少なくとも年率3%のリターンを目指すという運用上の目標を掲げています。リターンがこのレベルであれば、将来の費用を賄うことができるとの見立てです。

分散投資で継続的に利益を獲得

運用の目標達成のための基本ポートフォリオは、株式が55%、債券が10%、不動産が10%、そしてオルタナティブが25%です。実際の運用においては、各資産の配分比率をずらしてもよい許容範囲が設けられていて、2023年末の実際のポートフォリオは、株式が52%、債券が17%、不動産が9%、オルタナティブとしてのヘッジファンドが20%となっています。

ノーベル財団は、複数の資産に分散投資をして、継続的な利益を生み出しています。

ノーベル財団のポートフォリオ(2023年)の保有資産の内訳は株式55%、債券10%、不動産10%、オルタナティブ25%を長期分散投資を示しているグラフ
注:2023年の資産配分は12月末時点の値。数値処理の関係等で実際の資産配分の合計値は必ずしも100%とはならない。基本ポートフォリオのカッコ内は各資産の配分における許容範囲。オルタナティブ(ヘッジファンド等)とは伝統的な運用資産である株式や債券とは異なる値動きをするとされる運用対象のこと。
出所:ノーベル財団「アニュアルレポート」より野村證券投資情報部作成

人類に最も貢献した人々を称える、というノーベルの遺志を継承していくためのノーベル財団の資産運用を真似ることは難しいかもしれません。しかし、今ある資産を取り崩しながらも長期分散投資で資産寿命を延ばすというノーベル財団の資産運用は、長生きによる資産寿命の延命がテーマになりつつある個人の資産運用においても、大いに参考になるものではないでしょうか。

編集協力:野村證券株式会社 投資情報部 井上政則/丹羽紘子
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室

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