マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2017年1月16日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/2/6 現在

マーケット動向から

・2016年初めより豪ドルは原油価格の下落や中国経済底割れ懸念を背景に急落した後、4月半ばには1豪ドル=0.77米ドルまで反発しました。その後、 RBA(豪州準備銀行)の5月3日の利下げを受けて同=0.72米ドル前後まで軟化しましたが、6月初から鉄鉱石価格の回復などを好感して再び上昇に転じました。同23日の英国国民投票でのEU離脱選択直後の下落幅は限定的であり、豪州総選挙(7月2日)における与党・保守連合の勝利も追い風となりました。8月2日の追加利下げは、市場に概ね織り込み済みでした。
・その後は、中国経済の失速懸念の後退と米国の利上げペースやRBAの追加利下げに関する市場関係者の思惑が綱引きする形で、概ね1豪ドル=0.75~0.77米ドルのレンジで推移しました。
・11月8日の米大統領選挙におけるトランプ氏当選を受けた米ドル高・米金利上昇を背景に、豪ドルは軟調に転じました。12月下旬には2016年5月下旬以来の1豪ドル= 0.72米ドルまで下落しましたが、2017年初めからは人民元安期待の後退や中国経済の安定化を受けた商品市況の回復を好感して上昇基調で推移しています。
・一方、対円では2016年初めより78~87円のレンジで推移した後、円高進行とRBAの利下げを受け5月上旬から1豪ドル=80円割れが定着しました。その後、英国のEU離脱選択後の円急伸を受けて6月27日に4年ぶりの74円台を付けましたが、8月以降は76~80円のレンジで一進一退の展開となりました。12月半ばにかけて米トランプ大統領当選後の米国金利上昇を受けた円安進行から86円台まで急騰した後、84円近辺まで反落しましたが、2017年初めからは緩やかな上昇傾向にあります。2017年2月6日15時現在、対米ドルでは0.76米ドル台後半、対円では86円台前半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年2月3日)

金融政策動向

RBAは2016年12月6日の金融政策会合で政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。声明文では、低金利と豪ドル安が景気を下支えしており、2017年には景気持ち直しが見込まれる、と指摘しています。他方、インフレ率はより正常な水準に回帰するまで当面低水準が続くとの見通しを示しました。野村證券では、RBAが8月に0.25%ポイントの利下げを実施すると予想していますが、景気・インフレ動向次第では見送られる可能性もあります。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年2月3日)

需給動向より

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は中国悲観論などを背景に売り持ち超過が続きましたが、2016年2月下旬から中国経済の安定化や商品市況底入れを受けて買い持ち超過に転じました。その後も総じて買い持ち超過で推移していましたが、12月13日から売り持ち超過となりました。1月下旬から5週間ぶりに買い持ちに転じており、2017年1月31日現在、約1.6万枚(約1,300億円)の買い持ち超過となっています。

今後の注目点と見通し

2016年7-9月の実質GDP成長率は前年同期比+1.8%と4-6月期の同+3.1%から鈍化しました。当面の景気は減速基調ながらも底割れリスクは小さいと見込まれます。10-12月期の消費者物価上昇率は前年同期比+1.5%と依然RBAのインフレ目標(同+2~3%)を下回っていますが、底堅い内需や外需の持ち直し傾向を背景に利下げ期待は後退しつつあります。米国の金利先高観が強まっていますが、商品市況の持ち直し及び底堅い豪州景気を踏まえると、豪ドルの対米ドル相場の下落余地は限定的と言えます。他方、米大統領選挙後からの円安ドル高圧力は今後も続く公算が大きいと見込まれます。もっとも、商品市況の回復が明確化するまでは、豪ドルが本格的な上昇局面に入るのは容易ではないでしょう。今後1年間の対円相場のレンジを1豪ドル=82~88円と予想しています。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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