マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2017年8月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/9/11 現在

マーケット動向から

・豪ドルは、鉄鉱石価格の回復などを受けて、2016年11月初めにかけて概ね1豪ドル=0.75~0.77米ドルのレンジで推移しました。その後、米トランプ大統領当選後の米国金利上昇を背景に軟調に転じ、12月下旬には同=0.72米ドルまで下落しました。
・2017年初めからは人民元安期待の後退や資源市況の回復を好感して反発し、2月半ばには同=0.77米ドルまで上昇しましたが、4月上旬にかけて鉄鉱石価格の下落を背景に、同=0.75米ドル前後まで軟化しました。加えて、米国の6月利上げ期待が高まったことや、米大手格付け会社による中国国債の格下げを受けて下押し圧力が強まり、6月上旬にかけて同=0.73米ドル~0.75米ドルのレンジで弱含みで推移しました。
・しかし、豪州経済の下振れリスクの後退に加えて、中国経済が安定感を増していることが確認されたことや米国長期金利の低下を背景に、豪ドルは7月に入ってから急伸し、9月9日には同=0.805米ドルと2015年1月以来の高値を付けました。
・一方、対円では、米大統領当選後の円安進行から2016年12月半ばに87円台まで急騰しました。2017年初めからは円高傾向から下落しましたが、資源市況に下支えされ、2月15日に2016年初め以来の88円を付けました。3月半ばからの更なる円高を受けて下押し圧力が強まり、82円前後まで軟化しました。
・その後、6月下旬からは円安進行を受けて、豪ドルは対円で上昇基調に転じました。7月に入ると、中国景気の上振れを好感する形で続伸し、同下旬には1豪ドル=89円と年初来高値を付けました。8月上旬には軟化しましたが、足元では持ち直し気味です。2017年9月11日15時現在、対米ドルでは0.80米ドル台半ば、対円では87円台前半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年9月8日)

金融政策動向

RBA(豪州準備銀行)は2017年9月5日の金融政策会合で政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。声明文では、労働市場は斑模様ながら低金利や通貨安などを背景に豪州経済は緩やかに回復するとの見方を維持しました。また、賃金上昇率は鈍いものの、基調インフレ率は景気の持ち直しを背景に緩やかなペースで加速するとの見通しを維持しています。野村證券では、利下げ局面は終了し、RBAが2018年末まで現行の政策金利を維持すると予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年9月8日)

需給動向より

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は、2016年2月下旬から中国経済の安定化や商品市況底入れを受けて買い持ち超過に転じました。同年12月から2017年1月下旬に一時的に売り持ち超過となった期間を除いて、5月半ばまで買い持ち超過で推移しました。その後、売り持ち超過に転じましたが、6月下旬より再び買い持ち超過となっています。2017年9月5日現在、約8.3万枚(約7,300億円)の買い持ち超過となっています。

今後の注目点と見通し

2017年4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+1.8%と1-3月期と同水準にとどまりましたが、内需は底堅く推移しており、豪州経済は年後半には同+2%台の成長率へ回復するとみられます。一方、4-6月期の消費者物価上昇率は前年同期比+1.9%と1-3月期の同+2.1%から若干低下し、RBAのインフレ目標圏(同+2~3%)を下回りました。米国金利の上昇ペースへの不透明感が残る一方、中国経済の安定化および底堅い豪州景気を踏まえると、豪ドルの対米ドル相場の下値リスクは限定的との見方を継続します。他方、米国経済の復調や日米金利差拡大を背景に、中期的に円安米ドル高基調が予想されます。もっとも、豪州経済の回復傾向が鮮明となるまでは、本格的な豪ドル高局面入りするのは容易ではないでしょう。今後1年間の対円相場のレンジを1豪ドル=84~92円と予想します。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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