マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2017年6月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/7/10 現在

マーケット動向から

・豪ドルは、2016年6月初から鉄鉱石価格の回復などを好感して上昇に転じ、同23日の英国国民投票でのEU離脱選択直後の下落幅は限定的でした。8月2日の利下げは織り込み済みであり、11月初めにかけて、概ね1豪ドル=0.75~0.77米ドルのレンジで推移しました。その後、トランプ米大統領の当選を受けた米ドル高・米金利高を背景に豪ドルは再び軟調に転じ、12月下旬には同=0.72米ドルまで下落しました。
・2017年初めからは人民元安期待の後退や資源市況の回復を好感して反発し、2月半ばには同=0.77米ドルまで上昇しましたが、4月上旬にかけて鉄鉱石価格の下落を背景に同=0.75米ドル前後まで軟化しました。さらに、米国の6月利上げ期待が高まったことを受けて下押し圧力が強まり、5月9日には1月6日来の安値となる同=0.734米ドルを付けました。
・その後、商品市況の回復を好感して反発しましたが、5月24日の大手格付け会社による中国国債の格下げなどから、6月1日に再び同=0.74米ドル割れとなりました。しかし、足元では、豪州経済の下振れリスク後退、中国経済の安定化および資源価格の持ち直しを背景に約3ヵ月ぶりの高値圏まで上昇しています。
・一方、対円では、米トランプ大統領当選後の米国金利上昇を映した円安進行から2016年12月半ばに87円台まで急騰しました。2017年初めから円高が進む中、資源市況に下支えされ、2月15日に2016年初め以来の88円を付けましたが、3月半ばからの更なる円高進行を受けて下押し圧力が強まり、82円前後まで軟化しました。その後、円安基調となったことを背景に5月半ばにかけて84円まで戻しました。足元では、6月半ばからの円安進行を受けて急上昇しています。2017年7月10日15時現在、対米ドルでは0.76米ドル近傍、対円では86円台後半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年7月7日)

金融政策動向

RBAは2017年7月4日の金融政策会合で政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。声明文では、労働市場は斑模様ながら低金利や通貨安などを背景に豪州経済は緩やかに回復するとの見方を維持しました。また、賃金上昇率は鈍いものの、基調インフレ率は景気の持ち直しを背景に緩やかに加速するとの見通しを維持しています。利下げは打ち止めとの見方が有力となっており、野村證券では、RBAが2017年末まで現行の政策金利を維持すると予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年7月7日)

需給動向より

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は、2016年2月下旬から中国経済の安定化や商品市況底入れを受けて買い持ち超過に転じました。その後も総じて買い持ち超過で推移した後、12月13日から売り持ち超過となりました。2017年1月下旬以降は買い持ち超過で推移した後、5月半ばから売り持ち超過に転じましたが、足元では再び買い持ち超過となっています。2017年7月4日現在、約3.9万枚(約3,300億円)の買い持ち超過となっています。

今後の注目点と見通し

2017年1-3月の実質GDP成長率は前年同期比+1.7%と10-12月期の同+2.4%から鈍化しましたが、悪天候が一因であり、景気下振れ懸念は緩和されました。豪州経済は緩やかな回復基調にあるとみられます。一方、同1-3月期の消費者物価上昇率は前年同期比+2.1%と2年半ぶりにRBAのインフレ目標圏(同+2~3%)に戻り、追加利下げ期待は後退しています。米国金利の先高観は根強いですが、中国経済の安定化および底堅い豪州景気を踏まえると、豪ドルの対米ドル相場の下落余地は限定的と言えるでしょう。他方、米国経済の復調や日米金利差拡大を背景に、円安米ドル高基調に回帰することが期待されます。もっとも、豪州経済の回復傾向が鮮明となるまでは、豪ドルが本格的な上昇局面に入るのは容易ではないでしょう。今後1年間の対円相場のレンジを1豪ドル=81~91円と予想しています。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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