マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2017年5月15日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/5/22 現在

マーケット動向から

・豪ドルは、中国経済の底割れ懸念、軟調な資源市況、RBA(豪州準備銀行)による利下げを背景に、2016年5月にかけて1豪ドル=0.72米ドル前後まで軟化しました。その後、6月初から鉄鉱石価格の回復などを好感して上昇に転じ、同23日の英国国民投票でのEU離脱選択直後の下落幅は限定的でした。
・8月2日の追加利下げは織り込み済みであり、11月初めにかけて中国経済の減速懸念の後退と米国の利上げペースなどに関する市場関係者の思惑が綱引きする形で、概ね1豪ドル=0.75~0.77米ドルのレンジで推移しました。その後、トランプ米大統領の当選を受けた米ドル高・米金利高を背景に豪ドルは再び軟調に転じ、12月下旬には同=0.72米ドルまで下落しました。
・2017年初めからは人民元安期待の後退や資源市況の回復を好感して反発、2月半ばには同=0.77米ドルまで上昇しました。その後、4月上旬にかけて鉄鉱石価格の下落を背景に同=0.75米ドル前後まで軟化しました。さらに、米国の6月利上げ期待が高まったことを受けて下押し圧力が強まり、5月9日には1月6日来の安値となる同=0.734米ドルを付けました。足元では、商品市況の反発を好感する形で持ち直し気味です。
・一方、対円では2016年8月以降は76~80円のレンジで推移しましたが、12月半ばにかけて米トランプ大統領当選後の米国金利上昇を映した円安進行から87円台まで急騰しました。2017年初めから円高が進む中、資源市況に下支えされ、2月15日に2016年初め以来の88円を付けましたが、3月半ばからの更なる円高進行を受けて下押し圧力が強まり、82円前後まで軟化しました。その後、円安進行を背景に5月半ばにかけて84円まで戻しましたが、足元では円急騰を受けて軟調な展開となっています。2017年5月22日15時現在、対米ドルでは0.74米ドル台前半、対円では83円近傍で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年5月19日)

金融政策動向

RBAは2017年5月2日の金融政策会合で政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。声明文では、底堅い消費や資源輸出の拡大などを受けて豪州景気は緩やかに持ち直すとの見方を示しました。また、基調インフレ率については景気の持ち直しを背景に緩やかな加速傾向が続くとの見通しを示しました。野村證券では、RBAが8月に0.25%ポイント利下げするとの予想を維持しますが、利下げは既に打ち止めとの見方が有力になりつつあります。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年5月19日)

需給動向より

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は中国悲観論などを背景に売り持ち超過が続きましたが、2016年2月下旬から中国経済の安定化や商品市況底入れを受けて、買い持ち超過に転じました。その後も総じて買い持ち超過で推移していましたが、12月13日から売り持ち超過となりました。2017年1月下旬以降は再び買い持ち超過で推移しましたが、2017年5月16日現在、約0.9万枚(約800億円)の売り持ち超過に転じています。

今後の注目点と見通し

2016年10-12月の実質GDP成長率は前年同期比+2.4%と市場予想を上回り、7-9月期の同+1.9%から持ち直しました。当面の成長率は緩やかな回復基調にあると見込まれます。一方、2017年1-3月期の消費者物価上昇率は前年同期比+2.1%と2年半ぶりにRBAのインフレ目標圏(同+2~3%)に戻り、追加利下げ期待は後退しつつあります。米国金利の先高観は根強いですが、資源市況の持ち直しおよび底堅い豪州景気を踏まえると、豪ドルの対米ドル相場の下落余地は限定的と言えるでしょう。他方、米国経済の復調や日米金利差拡大を背景に、再び円安米ドル高基調に回帰することが期待されます。もっとも、豪州経済の回復傾向が鮮明となるまでは、豪ドルが本格的な上昇局面に入るのは容易ではないでしょう。今後1年間の対円相場のレンジを1豪ドル=81~91円と予想しています(従来は80~95円)。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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