マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2016年12月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/1/10 現在

マーケット動向から

・2016年初めより原油価格の急落や中国経済底割れ懸念などを背景に豪ドルは急落し、1月15日には1豪ドル=0.68米ドル台を付けました。3月初め以降は商品市況の底入れが好感され反発しましたが、消費者物価(CPI)上昇率の下振れを背景とする5月3日の利下げを受けて、1豪ドル=0.72米ドル前後まで軟化しました。
・6月初から鉄鉱石価格の回復などを好感して豪ドルは反発に転じました。同23日の英国国民投票でのEU離脱選択直後の下落幅は限定的で、欧州信用不安リスクの後退や豪州総選挙(7月2日)における与党・保守連合の勝利も追い風となりました。8月2日のRBA(豪州準備銀行)による追加利下げは、市場に概ね織り込み済みでした。その後は、中国経済の安定化を映した商品市況の持ち直しと、米国の利上げ時期やRBAの追加利下げに関する市場関係者の思惑が綱引きする形で、概ね1豪ドル=0.75~0.77米ドルのレンジで推移しました。
・11月8日の米大統領選挙におけるトランプ氏当選を受けた米ドル高・米金利上昇を背景に、豪ドルは下落基調に転じました。12月下旬には2016年5月下旬以来の1豪ドル= 0.72米ドルまで軟化しましたが、足元では持ち直し気味です。
・一方、対円では2016年初めより78~87円のレンジで推移した後、円高進行とRBAの利下げを受け5月上旬から1豪ドル=80円割れが定着しました。その後、英国のEU離脱選択後の円急伸を受けて6月27日に4年ぶりの74円台を付けましたが、8月以降は76~80円のレンジで一進一退の展開となりました。その後、トランプ米次期大統領当選後の米金利上昇を受けた円安進行から86円台まで急騰しましたが、豪ドルにも下押し圧力が生じており、足元は一進一退の展開となっています。2017年1月10日15時現在、対米ドルでは0.73米ドル台後半、対円では85円台前半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年1月9日)

金融政策動向

RBAは2016年12月6日の金融政策会合で政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。声明文では、低金利と豪ドル安が景気を下支えしており、2017年には景気持ち直しが見込まれる、と指摘しています。他方、インフレ率はより正常な水準に回帰するまで当面低水準が続くとの見通しを示しました。野村證券では、RBAが2月に0.25%ポイントの利下げを実施すると予想していますが、景気・インフレ動向次第では後ずれする可能性があります。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年1月9日)

需給動向より

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は中国悲観論と商品市況下落を背景に売り持ち超過が続きましたが、2016年2月下旬以降は中国経済の安定化や商品市況底入れを受けて買い持ち超過に転じました。一時的な売り持ち超過を経て、6月下旬以降は再び買い持ち超過で推移していましたが、12月13日以降売り持ち超過に転じています。2017年1月3日現在、約1.4万枚(約1,200億円)の売り持ち超過となっています。

今後の注目点と見通し

2016年7-9月の実質GDP成長率は前年同期比+1.8%と4-6月期の同+3.1%から鈍化しました。当面の景気は減速基調ながらも底割れリスクは小さいと見込まれます。7-9月期の消費者物価(CPI)上昇率は前年比+1.3%とRBAのインフレ目標(同+2~3%)を下回りましたが、4-6月期の同+1.0%を上回り、追加利下げ観測は後退しています。米国の金利先高観が強まっていますが、商品市況の持ち直し及び底堅い豪州景気を踏まえると、豪ドルの対米ドル相場の下落余地は限定的と言えます。他方、米大統領選挙後からの円安ドル高圧力は今後も続く公算が大きいと見込まれます。もっとも、商品市況の回復が明確化するまでは、豪ドルが本格的な上昇局面に入るのは容易ではないでしょう。今後1年間の対円相場のレンジを1豪ドル=82~89円と予想しています。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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