マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2020年8月17日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2020/09/14 現在

投資の視点

4-6月期の実質GDP成長率は前期比-7.0%と過去最大の落ち込みとなり、豪州は29年振りの景気後退(2四半期連続で前期比マイナス成長率となること)入りしました。豪州全体の約4分の1の経済規模を有するビクトリア州において新型コロナウイルスの感染再拡大を受けた都市封鎖が9月28日まで延長されたことは、目先の成長率を下押しするとみられます。一方、世界的な景気底打ちを背景に市場のリスクセンチメントが改善傾向にあることや、米国の低金利長期化観測、さらに中国の需要回復に伴う鉄鉱石価格の上昇は豪ドルの支援材料となっています。

金融政策

豪州準備銀行(RBA)は、4月から9月まで6会合連続で政策金利を過去最低の0.25%に据え置くと同時に、3年物国債利回りが0.25%程度で推移するように国債や政府機関債の買入れを実施しています。野村證券では、政策金利は少なくとも2022年末まで現行水準に据え置かれると予想しています。

金融政策

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2020年9月10日)

豪ドルの注目点と今後の見通し

豪州の長期金利が米長期金利より高い水準で推移していることや、資源価格の復調が豪ドル高につながっています。一段の豪ドル高には、政府の景気対策とRBAの低金利・量的緩和政策によって豪州経済が持ち直し、金融緩和策の解除期待が高まる必要があるとみられます。ただし、ビクトリア州で感染が再拡大し、都市封鎖が延長されたことで豪州全体の景気回復が後ずれし、豪ドルの上値を抑制する可能性には留意が必要です。

豪ドルの市場動向

豪ドル相場は、3月初旬に原油価格が急落したことに続き、世界的な株安の進行を背景に下落基調を強めました。RBAが19日の緊急金融政策会合で追加利下げと量的緩和政策を打ち出すと、豪ドルは対円で59円台と、2009年2月下旬以来の低水準へ下落しました。政府が22日に追加景気支援策を発表すると、豪ドルは持ち直しました。
4月7日の金融政策会合で追加利下げが見送られたことは、豪ドルの上昇につながりました。28日には大都市における移動制限措置が一部緩和される方針が示され、豪ドルは一段高となりました。5月15日以降にシドニーなどで公共施設やレストランの営業が再開されると、豪ドルは上昇基調を強めました。6月2日にRBAが景気判断を上方修正したことや、鉄鉱石価格の回復を背景に、豪ドルは年初来高値圏へ上昇しました。しかし、新型コロナウイルスの感染再拡大や雇用悪化への懸念が強まると、豪ドルは軟化しました。
7月に入り、RBAの景気に対する楽観的な見方や資源価格の上昇を背景に、豪ドルは底堅さを増しました。8月中旬には、ビクトリア州の都市封鎖に伴う景気回復の遅れ、RBA総裁の豪ドル安を容認する発言などを受け、豪ドルは上値を重くしました。8月下旬には、米国の低金利長期化観測や資源価格の堅調さを背景に豪ドルは再び上昇基調となりました。9月1日にRBAが金融機関への低利資金供給の増額を発表すると、豪ドルは78円台前半と2019年5月初旬以来の高値へ上昇しました。2日発表の4-6月期の実質GDPが予想以上に悪化し、世界的な株安が進むと、豪ドルは軟化しました。足元では、市場のリスクセンチメントが改善し、豪ドルは底堅さを取り戻しています。豪ドルは9月11日15時現在、対米ドルでは0.72米ドル台後半、対円では77円台前半で推移しています。向こう1年間の豪ドルの対円相場レンジを1豪ドル=73.0~83.0円と予想します。

豪ドルの市場動向

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2020年9月10日)

需給動向

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は、7月に入り約2年3ヵ月振りに買い持ち超過へ転じました。2010年9月1日現在、約1.1万枚(約850億円)の買い持ち超過となっています。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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