マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2018年7月17日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/8/13 現在

投資の視点

豪州では、緩やかなペースで景気回復が続く見通しです。足元のインフレ率は、賃金の伸び悩みや小売業の競争などにより低迷していますが、今後は景気拡大とともに緩やかに加速に向かうとみられます。2018年3月以降に豪州の政策金利は米国の政策金利を下回る水準にあり、豪ドル安の一因となっています。今後インフレ加速に伴って利上げ期待が高まれば、豪ドル相場の支援材料となるでしょう。一方、豪ドルは、豪州最大の輸出品である鉄鉱石の価格との連動性が高い傾向がみられることから、米国の保護主義的な通商政策による資源市況への影響には留意が必要です。

金融政策

豪州準備銀行(RBA)は2018年8月7日の金融政策会合において、22会合連続で政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。野村證券では、利上げ開始を2019年2月 と予想します。ただし、米中通商摩擦をめぐり市場におけるリスク回避傾向が続く中、2019年に0.25%ポイントずつ2回の利上げが実施される見込みは低くなりつつあります。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年8月9日)

豪ドルの注目点と今後の見通し

豪ドルの主な変動要因として、(1)鉄鉱石などの資源市況、(2)米国との政策金利差が挙げられます。豪州の輸出全体の3割強、鉄鉱石輸出の約8割が中国向けであり、米中の通商摩擦に伴う中国の成長鈍化懸念は豪ドルの上値を重くする一因とみられます。中国政府は7月末に積極的な財政政策で景気を下支えする方針を打ち出しており、同国経済の急減速による資源市況低迷は避けられる見通しです。
米国との政策金利差は、米国が利上げを継続する中で拡大が予想されます。他方、豪州経済は向こう1年にわたり前年比+2%台後半~3%台の安定的な成長が見込まれ、インフレ率はRBAの目標範囲(同+2~3%)内での推移が予想されています。利上げ期待が醸成される過程で豪ドルは底堅さを維持しやすいと見られます。向こう1年間の豪ドルの対円相場を1豪ドル=79.0~85.0円と予想しています。

豪ドルの市場動向

豪ドル相場は、2017年12月中旬以降、資源市況の好調を背景に反発し、2018年1月下旬には対米ドルで4ヶ月振りの高値となる1豪ドル=0.80米ドル台、対円では3ヶ月振りの高値となる1豪ドル=88円台を回復しました。その後、インフレ率の低迷や、2月初旬の世界的な株安に伴うリスク回避の動きなどから、豪ドルは下落に転じました。RBAが政策金利の据え置きを継続する一方、3月21日に米国で利上げが実施され、豪米の政策金利水準が逆転したことも豪ドル相場を下押ししました。3月下旬以降には、米トランプ政権による鉄鋼とアルミニウムの輸入制限(ただし豪州は適用除外)を受けて、世界的な鋼材需要の落ち込み懸念から鉄鉱石価格が低迷したことも、豪ドルの重しとなりました。また、米国が中国に対する制裁措置を表明したことをきっかけに、米中通商摩擦に対する懸念が強まり、市場でリスク回避的な動きが強まったことも豪ドル相場を下押ししました。6月下旬には、米国の対中国追加関税措置への警戒感から、豪ドルは対円で80円台まで下落しました。足元では、米国の通商政策に対する過度な懸念が後退しつつあることに加え、円安・米ドル高の進行も追い風となり、豪ドルは対円で底堅さを取り戻しています。2018年8月10日15時現在、豪ドルは対米ドルでは0.73米ドル前半、対円では81円台前半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年8月9日)

需給動向

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は、豪米政策金利の逆転などを背景に、売り持ち超過が続いています。2018年8月7日現在、約7.1万枚(約5,800億円)の売り持ち超過となっています。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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