マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2019年9月17日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2019/10/15 現在

投資の視点

豪州経済は、世界最長となる過去28年間にわたり、景気後退(2四半期連続の前期比マイナス成長)に陥ることなく、プラス成長を維持しています。ただし、足元の景気は減速傾向にあります。2019年4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+1.4%と、1-3月期の同+1.8%から減速しました。
消費者物価(CPI)上昇率は、豪州準備銀行(RBA)による政策目標(前年比+2~3%)を当面下回る水準にとどまると見られ、追加利下げ観測が高まる中、豪ドルには下押し圧力がかかりやすくなっています。また、米中通商協議の動向は豪ドル相場を見る上で注目されます。

金融政策

豪州準備銀行(RBA)は、2019年6月、7月および10月にそれぞれ0.25%ポイントずつ利下げを実施し、政策金利を過去最低の0.75%へ引き下げました。野村證券では、2019年11月と2020年2月に0.25%ポイントずつ追加利下げが実施され、政策金利は最終的に0.25%まで引き下げられると予想しています。

金融政策

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年10月10日)

豪ドルの注目点と今後の見通し

豪ドルは、米中通商協議の動向の影響を受けやすくなっています。豪州の輸出全体に占める中国向けの割合は3割超に上り、米中の対立で中国の景気減速感が強まる場合、豪ドル相場には下落圧力がかかりやすくなります。今後、米中の通商問題をめぐる対立が先鋭化する場合には、市場のリスク回避姿勢が強まりやすいことにも注意が必要です。
豪ドルが下落基調にある要因の一つには、米国との金利差拡大も挙げられます。現在、米国の政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利誘導目標の上限と豪州の政策金利との格差は1.25%ポイントに拡大しています。米国の追加利下げ観測が高まる中、豪州においても追加利下げ観測が根強くあることから、豪ドル相場には下押し圧力がかかりやすくなっています。野村證券では、利下げ打ち止め感が広がるまで、豪ドルの上値は重くなるとみています。向こう1年間の豪ドルの対円相場レンジを1豪ドル=67.0~78.0円と予想します。

豪ドルの市場動向

豪ドル相場は、2019年5月初旬に米中通商摩擦が再燃し、5月21日にロウRBA総裁が利下げの可能性を示唆すると、下落基調を強めました。6月と7月の連続利下げ後は、米国の利下げ観測が支援材料となり、豪ドルは7月下旬にかけて対円で75円台に上昇しました。しかし、7月末に住宅市場の落ち込みやインフレ低迷を示す指標を受けて利下げ観測が再燃し、豪ドルは軟化しました。8月1日にトランプ米大統領が対中制裁関税第4弾の発動を表明すると、豪州の中国向け輸出需要の低下が懸念され、豪ドルは急落しました。8月6日に政策金利据え置きが決定され、15日公表の7月の雇用統計で市場予想を上回る雇用増加が示されると、豪ドルは底値を固めました。9月3日に政策金利据え置きが決定されると、豪ドルは上昇に転じましたが、9月19日公表の失業率が前月に比べ上昇し、追加利下げ観測が強まると、豪ドルは再び軟化しました。10月1日に0.25%ポイントの利下げが実施されたことを受け、豪ドルは対米ドルで2009年3月以来、対円で約1ヵ月振りの安値をつけました。足元では米中通商協議の進展期待が豪ドル相場を下支えしています。10月11日15時現在、対米ドルでは0.67米ドル台後半、対円では73円台前半で推移しています。

豪ドルの市場動向

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年10月10日)

需給動向

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は、売り持ち超過が続いています。2019年10月1日現在、約6.2万枚(約4,500億円)の売り持ち超過となっています。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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