マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2018年12月17日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2019/1/15 現在

投資の視点

豪州経済は、世界最長となる過去28年間にわたり、景気後退(2四半期連続の前期比マイナス成長)に陥ることなく、プラス成長を維持しています。一方、2018年7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+2.8%と、同4-6月期の同+3.1%を下回り、景気の勢いはピークを過ぎたと見られます。
また、2018年7-9月期の消費者物価上昇率は前年同期比+1.9%とインフレ目標(同+2~3%)の下限を下回る水準にあります。政策金利は当面据え置かれる見通しであることに加え、米中通商摩擦に伴う中国の景気減速懸念は豪ドルの下押し圧力につながりやすいことには留意が必要です。

金融政策

豪州準備銀行(RBA)は2018年12月4日の金融政策会合において26会合連続で政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。野村證券では、景気はピークアウトし、インフレ率の加速は緩やかなペースにとどまると見られることから、向こう2年間にわたり政策金利は現行水準に据え置かれると予想しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年1月10日)

豪ドルの注目点と今後の見通し

豪ドルの主な変動要因として、(1)米国との政策金利差、 (2)中国の景気動向が挙げられます。豪米金利差(米国ー豪州)に関しては、米国の利上げ継続が見込まれる一方、豪州は政策金利据え置きを続けると予想され、当面は拡大が見込まれます。今後、米国の利上げ打ち止め観測が高まり、米国長期金利が安定化すれば、豪ドルの支援材料となると考えられます。また、豪州は中国向け輸出が全体の3割超を占め、最大輸出品目である鉄鉱石は約8割が中国向けであることから、米中通商摩擦に伴う中国の成長鈍化懸念は、豪ドルの上値を重くする一因とみられます。豪ドルが回復に向かうには、米中の通商関係に対する懸念が後退して年後半に中国景気が回復し、中長期的な豪州の利上げ期待が醸成されることが条件になると見られます。2019年末の豪ドルの対円相場を1豪ドル=85円と予想します。

豪ドルの市場動向

豪ドル相場は、RBAが政策金利を据え置く一方、米国が利上げを継続し、豪米政策金利差(米国ー豪州)が拡大したことを主因に、2018年を通じて下落基調となりました。2018年9月下旬以降に米国の長期金利が急上昇し、豪米長期金利差(米国-豪州)も拡大したことや、10月中旬以降に米国株式相場が乱高下し、市場のリスク回避傾向が強まったことも豪ドルの軟化につながりました。
12月1月の米中首脳会談を経て米中通商摩擦に対する過度な懸念が後退したことなどを背景に、豪ドルは対円で一時83円台後半と、約9ヶ月半振りの水準へ上昇しました。
しかし、2018年末に世界的な景気減速懸念を背景に市場でリスク回避傾向が強まると、豪ドルは軟化しました。2019年入り後には、米中貿易摩擦に伴う中国景気の減速懸念を背景に、豪ドルは一時対米ドルで0.70米ドルの節目を下回り、対円では2009年4月以来となる70円台前半へ下落しました。その後、1月4日に中国の預金準備率引き下げを受けて同国経済の鈍化懸念が和らいだことや、米国株の上昇でリスク回避傾向が後退したことで豪ドルは持ち直しました。2019年1月11日15時現在、対米ドルでは0.72米ドル台前半、対円では78円台前半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年1月10日)

需給動向

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は、売り持ち超過が続いています。2018年12月18日現在、約4.8万枚(約3,900億円)の売り持ち超過となっています(米国政府機関閉鎖に伴い公表は遅延)。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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