マーケットアウトルック - 豪州市場・豪ドル -

投資の視点は2018年10月15日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/11/12 現在

投資の視点

豪州経済は、世界最長となる過去27年間にわたり、景気後退(2四半期連続の前期比マイナス成長)に陥ることなく、プラス成長を維持しています。足元のインフレ率は、賃金の伸び悩みなどにより低迷していますが、今後は緩やかに加速に向かうとみられます。2018年3月以降、豪州の政策金利は米国の政策金利を下回る水準にあり、豪ドル安の一因となっています。今後インフレ加速に伴って利上げ期待が高まれば、豪ドル相場の支援材料となるでしょう。一方、豪ドルは鉄鉱石価格との連動性が高いため、米国の保護主義的な通商政策が景気に与える悪影響には留意が必要です。

金融政策

豪州準備銀行(RBA)は2018年11月6日の金融政策会合において25会合連続で政策金利を1.50%に据え置くことを決定しました。声明文では、インフレ率は2019年から2020年にかけて緩やかに上昇を続けるとの見方が示されました。野村證券は利上げ再開は2019年8月となり、政策金利は0.25%ポイント引き上げられると予想しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年11月8日)

豪ドルの注目点と今後の見通し

豪ドルの主な変動要因として、(1)鉄鉱石などの資源市況、(2)米国との政策金利差が挙げられます。豪州は輸出全体の3割強、最大輸出品目である鉄鉱石の約8割が中国向けであり、米中通商摩擦に伴う中国の成長鈍化懸念は豪ドルの上値を重くする一因とみられます。当面は豪米金利差の拡大が見込まれますが、豪州の利上げ期待が醸成されるに従って、豪ドルは底堅さを維持しやすいと見られます。11月の金融政策報告書では、足元の景気上振れを受けて、2018年末の成長および物価見通しが上方修正されました。消費者物価上昇率は2019年後半にかけて前年比+2.25%へ加速するとの見通しが示されており、2019年入り後に利上げ期待が高まれば、豪ドルは底固めに向かうと見られます。向こう1年間の豪ドルの対円相場を1豪ドル=77.0~86.0円と予想します。

豪ドルの市場動向

豪ドル相場は、資源市況の好調を背景に2018年1月下旬に対円で3ヶ月振りの高値となる1豪ドル=88円台を回復しました。しかし、2月初旬に世界的な株安に伴いリスク回避の動きが強まると、豪ドルは下落基調に転じました。
RBAが政策金利の据え置きを継続する一方、米国が3月に追加利上げを実施し、米国の政策金利が豪州を上回る水準となったことも豪ドルの下落につながりました。
3月下旬以降には、米トランプ政権による鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を受けて世界的な鋼材需要の落ち込み懸念から鉄鉱石価格が低迷したことや、米中通商摩擦が豪ドルの重しとなりました。9月下旬以降に米国の長期金利が急上昇し、米豪金利差(米国-豪州)が拡大したことや、10月中旬以降に米国株式相場が軟調となり、市場のリスク回避傾向が強まったことで豪ドルは軟化しました。
しかしその後、雇用情勢の改善を確認する指標が発表されたことや、11月の会合でRBAが先行きの物価見通しを上方修正する可能性を示唆したことなどから、豪ドルは対円で約3ヵ月振りの水準へと反発しました。2018年11月9日15時現在、豪ドルは対米ドルでは0.72米ドル台前半、対円では82円台前半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年11月8日)

需給動向

シカゴ通貨先物市場における投機筋の豪ドル(対米ドル)の持ち高は、豪米政策金利の逆転などを背景に、売り持ち超過が続いています。2018年10月30日現在、約9.3万枚(約7,400億円)の売り持ち超過となっています。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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