マーケットアウトルック - カナダ市場・カナダドル -

投資の視点は2017年8月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/9/11 現在

マーケット動向から

カナダドルと連動性が高いWTI原油価格は2017年9月8日現在、47ドル/バレルとなっています。2016年12月10日、OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの非加盟の主要産油国は15年ぶりに協調減産で合意しました。その後、OPECは2017年5月25日の総会でロシアなどOPEC非加盟の主な産油国と実施している協調減産を2018年3月まで9ヶ月間延長することで合意しました。しかし、米国のシェールオイルの増産に加えて、OPECの減産の枠外であるリビアやナイジェリアの増産を受けて6月22日には42.74ドルへ下落しました。その後は、米国のシェールオイルの増産が続く中で在庫が減少していることなどを受け、反発に転じました。カナダドルの対米ドルレートは堅調な原油価格に支えられ、2017年4月中旬までは1ドル=1.30-1.34カナダドル台で安定的に推移していました。5月上旬以降原油価格が軟調に推移する中、一時1.37カナダドル台へ弱含む展開となりましたが、足もとでは同1.22カナダドル台へ上昇しています。7月12日、カナダ銀行(中央銀行)は2010年6月以来となる0.25%ポイントの利上げを実施しました。市場予想通りの利上げ決定でしたが、声明文が想定以上にタカ派的と解釈され、カナダドルは大きく上昇しました。更に9月6日にカナダ銀行は市場予想に反し、0.25%ポイントの追加利上げを決定しました。対円では年初以降のドル安円高基調を背景に88円台から、一時80円台へと下落しました。その後、カナダドルが対ドルレートで反発する中で80-84円台で安定的に推移した後、足もとでは89円台へ上昇しています。9月11日15時現在、1米ドル=1.21カナダドル台、1カナダドル=89円台で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年9月8日)

金融政策より

9月6日、カナダ銀行は翌日物貸出金利の目標水準を0.25%ポイント引き上げ、1.00%に設定しました。利上げは7月以降で2回目となります。声明文は「現在の金融刺激策の一部」を取り除くためとしていますが、一方で余剰能力、賃金・物価上昇圧力の弱さ、地政学的リスク、更には金利上昇が負債を抱える家計に与える影響にも言及しています。なお、将来の金融政策判断は予め決まっておらず、今後の経済指標や金融市場動向に導かれる、と指摘しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年9月8日)

需給動向より

シカゴ通貨先物市場における投機筋のカナダドル(対米ドル)の持ち高は米利上げ期待や原油価格の下落を背景に2015年6月以降売り越しが続きました。原油価格の反発を受けて2016年4月以降は買い越しとなっていましたが、米金利上昇を受けて9月27日には売り越しへ転じました。2016年1月24日以降は買い越し、2017年3月21日以降は売り越しとなり、足もとでは再び買い越しとなっています。9月5日現在、約7.1万枚(約6400億円)の買い持ち超過です。

今後の注目点と見通し

輸出の約3割をエネルギー関連製品が占めるカナダ経済にとって、原油価格の上昇は好材料です。米国のシェールオイル増産やOPECと非OPECの減産順守に対する懸念もあり、足もとでは原油価格が頭打ちの展開となっています。しかし、今年下期に減産効果から需給均衡となる可能性が高く、2017年末のWTIは40-60ドル/バレルと予想します。ただし、シェールオイル増産が壁となり2018年も40-60ドル/バレルのレンジ推移を想定します。一方、カナダ、メキシコ、米国の通商代表による北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを巡る交渉が8月16日に開始され、その行方を注視する必要があります。ただし、トランプ大統領がこれまでに実行した貿易上の措置は選挙期間中の発言に比べればより穏やかなものにとどまっており、最終的には現状に見合った協定内容の刷新が求められる模様です。向こう1年間のカナダドルの対円レートの想定レンジを、従来通り1カナダドル=85-93円とします。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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