マーケットアウトルック - カナダ市場・カナダドル -

投資の視点は2017年10月16日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/11/13 現在

マーケット動向から

カナダドルと連動性が高いWTI原油価格は2017年11月10日現在、56.74ドル/バレルとなっています。OPEC(石油輸出国機構)は2017年5月25日の総会でロシアなどOPEC非加盟の主な産油国と実施している協調減産を2018年3月まで9ヶ月間延長することで合意しました。しかし、米国のシェールオイルの増産に加えて、OPECの減産の枠外であるリビアやナイジェリアの増産を受けて6月22日には42.74ドルへ下落しました。その後は、米国のシェールオイルの増産が続く中で在庫が減少していることなどを背景に反発に転じ、足もとで50ドル大台を回復しています。
カナダドルの対米ドルレートは堅調な原油価格に支えられ、2017年4月中旬までは1ドル=1.30-1.34カナダドル台で安定的に推移していました。5月上旬以降原油価格が軟調に推移する中、一時1.37カナダドル台へ弱含む展開となりましたが、足もとでは同1.26カナダドル台へ上昇しています。7月12日、カナダ銀行(中央銀行)は2010年6月以来となる0.25%ポイントの利上げを実施しました。市場予想通りの利上げ決定でしたが、声明文が想定以上にタカ派的と解釈され、カナダドルは大きく上昇しました。更に9月6日にカナダ銀行は市場予想に反し、0.25%ポイントの追加利上げを決定しました。対円では年初以降のドル安円高基調を背景に88円台から、一時80円台へと下落しました。その後、カナダドルが対ドルレートで反発する中で80-84円台で安定的に推移した後、足もとでは89円台へ上昇しています。11月13日15時現在、1米ドル=1.26カナダドル台後半、1カナダドル=89円台半ばで推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年11月10日)

金融政策より

10月25日、カナダ銀行(中央銀行・BOC)は市場予想通り政策金利を1.00%での据え置くことを決定しました。BOCは先行きの金融政策について「今後は慎重姿勢を取る」と表明し、2会合(7・9月)連続の利上げを行ったこれまでとは一線を画しました。また、BOCはカナダドル高を主因に景気、インフレ見通しを小幅に下方修正し、「見通しはNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉など不確実性に晒されている」とも指摘しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年11月10日)

需給動向より

シカゴ通貨先物市場における投機筋のカナダドル(対米ドル)の持ち高は米利上げ期待や原油価格の下落を背景に2015年6月以降売り越しが続きました。原油価格の反発を受けて2016年4月以降は買い越しとなっていましたが、米金利上昇を受けて9月27日には売り越しへ転じました。2017年1月24日以降は買い越し、3月21日以降は売り越しとなった後、7月11日以降は再び買い越しとなっています。10月31日現在、約7.2万枚(約6,400億円)の買い持ち超過です。

今後の注目点と見通し

足もとのカナダ経済は9月製造業PMIが55へ上昇するなど堅調に推移しています。輸出の約3割をエネルギー関連製品が占めるカナダ経済にとって原油価格の上昇、安定は好材料です。米国のシェールオイル増産とOPEC加盟国の減産との綱引きから原油価格は横這い推移が当面続く見通しです。2017年末のWTIは40-60ドル/バレル、2018年も40-60ドル/バレルのレンジ推移を想定します。一方、ワシントンで行われていたNAFTA(北米自由貿易協定)の第4回交渉は大きな進展なく終了しました。米国が5年ごとの更新制度や域内、及び米国産部品の調達率の引き上げを要求したものの、カナダ、メキシコは強く反発し、議論は平行線となりました。第5回交渉は11月17-21日に開催される見込みです。また、交渉が2018年1-3月期に及ぶことで合意しています。交渉期限の延長で合意したことは好材料ですが、米国が現在の提案に固執するとNAFTAが終了するリスクも否定できません。ただし、トランプ大統領がこれまでに実行した貿易上の措置は選挙期間中の発言に比べればより穏やかなものにとどまっており、最終的には現状に見合った協定内容の刷新が求められる模様です。向こう1年間のカナダドルの対円レートの想定レンジを1カナダドル=88-103円とします。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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