マーケットアウトルック - 欧州市場 -

投資の視点は2017年6月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/7/10 現在

投資の視点

ユーロ圏では政治リスクが後退し、また銀行の不良債権処理問題も進展を見せており、投資環境は英国とは対照的に好転しています。これらを受けて、ECB(欧州中央銀行)の量的緩和(QE)縮小観測が強まっていますが、インフレ上昇は緩慢であり、ECBはQE縮小を慎重に進めると見込まれます。ユーロ圏経済は堅調な個人消費や輸出回復を起点とした投資拡大から安定した成長を続け、企業業績の改善を背景に株価は上昇基調が続くと予想します。

経済指標より

ユーロ圏の2017年1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+2.3%と高い成長が続き、6月製造業PMIが2011年4月以来の高水準になるなど、輸出を起点に製造業が好調です。今後は設備投資の回復やドイツの減税が見込まれ、同成長率を2016年実績の前年比+1.7%に続いて2017年は前年比+2.1%と成長持続を予想します。

金融政策動向

・ECBは6月8日の金融政策会合で金利の先行き方針を従来の追加緩和の可能性を含めたものから中立に変更しました。6月27日のドラギECB総裁発言からQE縮小観測が強まっていますが、ECBは6月にユーロ圏消費者物価予想を下方修正しており、ECBは慎重にQE縮小を進めると予想します。ECBは9月に2018年初からのQE縮小を発表して金融政策の正常化に着手し、同年半ばに資産購入額をゼロとし、同年後半に利上げ実施と予想します。
・英国では、総選挙で過半数を失った保守党が地域政党の閣外協力で政権を維持したものの、景気はインフレ加速から消費が減速しています。英国中央銀行は目標を上回るインフレ上昇に警戒を強めており、8月にも利上げを実施すると予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年7月7日)

今後の注目点

仏ではマクロン大統領が支持基盤を固めるなど政治リスクが後退、またイタリア、スペインの銀行救済で進展があり、銀行の不良債権問題に対する懸念も後退しています。長期金利とユーロ相場の緩やかな上昇が見込まれますが、グローバル景気の持ち直しに伴い、欧州ストックス600指数のEPS(1株当たり利益)予想は2017年12月期に同17.8%増益の見通しです(トムソンロイター調べ、7月5日時点)。同指数は上昇基調を継続し、1年後目標を420ポイントと予想します。

株式のマーケット動向から

2017年に入り、米トランプ政権の政策への懸念が重石になりましたが、ユーロ圏の堅調な景気動向を好感し、DAX指数は3月1日に1年11ヶ月ぶりに終値で12,000ポイント台を回復しました。その後は業績改善期待と、ECBのQE縮小観測や4月に迫る仏大統領選などの政治リスクとの綱引きとなりました。
3月15日のオランダ総選挙で反EUを掲げる政党が伸び悩み、さらにフランス大統領選の世論調査でEU支持のマクロン候補の支持率がルペン候補と並んだことで、DAXは再び上昇しましたが、米国のシリアへのミサイル攻撃など地政学リスクや、仏大統領選挙の不透明感の再浮上から市場では警戒感が高まり、揉み合いが続きました。4月23日の同選挙でマクロン候補が決選投票進出を決め、反EUのルペン候補当選の可能性が低下したと市場は受け止め、翌24日にDAXは史上最高値を更新しました。好調な決算発表、5月7日の仏大統領決選投票でのマクロン候補の勝利などから上昇基調が強まりました。
米トランプ政権の政策期待後退や「ロシアゲート」が重荷になりましたが、グローバル経済の拡大が好感され、高値圏の推移が続きました。5月29日にイタリアで早期総選挙観測が高まり、政治リスクが意識されて株価は一時的に軟化しましたが、英国総選挙の悪影響は限定的でした。フランスの下院選挙ではマクロン大統領が支持基盤を固めたことが好感され、DAXは6月19日に12,888ポイントと年初来高値を更新しました。6月27日にドラギECB総裁の「デフレの圧力がインフレの圧力に代わりつつある」との発言からECBの金融緩和の出口が意識され、株価は足踏みとなりました。7月7日時点でDAXは12,388ポイント、欧州ストックス600は380ポイントとなっています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年7月7日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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