マーケットアウトルック - 欧州市場 -

投資の視点は2017年8月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/9/11 現在

投資の視点

ユーロ圏では景気拡大が続き、政治リスクは後退するなど投資環境は好転しています。これらを受けて、ECB(欧州中央銀行)は量的緩和(QE)縮小に着手する見通しですが、インフレ上昇は緩慢であり、ECBはインフレやユーロの動向に配慮しながら、慎重にQE縮小を進め、長期金利の上昇は緩やかと見込まれます。ドイツのDAX指数はユーロ高などから6月をピークに足踏みが続いていますが、ユーロ高懸念は行き過ぎとみられ、業績相場に転換すると予想します。

経済指標より

ユーロ圏の2017年4-6月期実質GDP成長率は前期比年率+2.6%と前期の同+2.2%から加速しました。雇用改善に伴う消費に加えて、輸出を起点とした製造業が好調です。今後は設備投資の回復やドイツの減税が見込まれ、同成長率を2016年の前年比+1.7%に続いて2017、2018年にそれぞれ同+2.1%、同+1.9%と成長持続を予想します。

金融政策動向

・6月27日のドラギECB総裁発言からQE縮小観測が強まりましたが、同総裁は9月7日の金融政策会合後の記者会見でQE縮小などに関して10月に決定する可能性を明言しました。ECBは同時に2018、2019年のユーロ圏の物価予想を下方修正しており、QE縮小を慎重に進める見通しです。ECBは2018年初からのQE縮小を開始して金融政策の正常化に着手し、同年9月までに資産購入額をゼロとし、同年末に利上げを実施すると予想します。
・英国では、消費者物価上昇率が英国中央銀行(BOE)の目標を上回る一方、景気はEU(欧州連合)離脱に伴う不透明感が強まっており、BOEは8月に政策金利を据え置きました。今後も景気動向を睨みながら慎重な政策運営が予想されます。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年9月8日)

今後の注目点

9月24日のドイツ総選挙でメルケル首相再選の公算が大きく、政治リスクは後退しています。ECBが出口戦略に着手すると見込まれますが、長期金利とユーロ相場は緩やかな上昇に止まる見通しです。足元のユーロ高から欧州ストックス600指数のEPS(1株当たり利益)予想は2017年12月期に同15.8%増益見通しと下方修正傾向ですが(トムソンロイター調べ、9月5日時点)、業績拡大見通しは変わらず、株価推移から同指数の1年後目標を400ポイントと予想します。

株式のマーケット動向から

2017年に入り、米トランプ政権の政策への懸念が重石になりましたが、ユーロ圏の堅調な景気動向を好感し、DAX指数は3月1日に1年11ヶ月ぶりに終値で12,000ポイント台を回復しました。その後は業績改善期待と、ECBのQE縮小観測や4月に迫る仏大統領選などの政治リスクとの綱引きとなりました。
仏大統領選の世論調査でEU(欧州連合)支持のマクロン候補の支持率が反EUのルペン候補に追いついたことで、DAXは再上昇しましたが、4月に入り、米国のシリアへのミサイル攻撃や仏大統領選挙の不透明感再浮上から揉み合いとなりました。4月23日の同選挙でマクロン候補が決選投票進出を決め、ルペン候補当選の可能性が低下したと受け止められ、翌24日にDAXは史上最高値を更新、さらに5月7日の仏大統領決選投票でのマクロン候補の勝利から上昇基調が強まりました。
イタリアでの早期総選挙観測など政治リスクが意識され株価は一時軟化しましたが、英国総選挙を乗り越え、フランス下院選挙でマクロン大統領の与党勝利が好感され、DAXは6月19日に12,888ポイントと史上最高値を更新しました。27日にドラギECB総裁が「デフレ圧力がインフレ圧力に代わりつつある」と発言、ECBの金融緩和の出口が意識され、ユーロ高傾向となり、さらに7月には英仏が2040年を目途にガソリン・ディーゼル車の新車販売を禁止すると発表、またドイツ自動車メーカーの談合疑惑が浮上し、自動車株が低迷し、株価は軟調な推移となりました。4-6月期決算は好調でしたが、ユーロ高や地政学リスクが懸念され、株価は横ばい推移が続きましたが、自動車株の持ち直しもあり、9月8日時点でDAXは12,303ポイント、欧州ストックス600は375ポイントとなっています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年9月8日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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