マーケットアウトルック - 欧州市場 -

投資の視点は2018年9月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/10/15 現在

投資の視点

9月のユーロ圏PMI指数では製造業が低下、サービス業が上昇となりました。生産活動が鈍化する一方、雇用改善と賃金の持ち直しを背景とした堅調な内需が景気を支える構図が続くと予想されます。イタリアの財政問題、英国の合意なしでのEU(欧州連合)離脱の場合に想定されるデリバティブ(金融派生商品)清算関連など金融システムリスクなどが株価の頭を押さえる可能性がありますが、ユーロ高が抑制される形でユーロ圏景気を下支えすると見込まれます。また、これらのリスクは市場の圧力などを通じて最終的には回避され、相場は底値を探り、反発をうかがう展開が見込まれます。

金融政策

欧州中央銀行(ECB)は9月13日の金融政策理事会で10月からの資産買取り額半減、2018年末の量的緩和(QE)終了、夏までの政策金利据え置きの方針を再確認しました。賃金加速の兆しはあるものの、物価に加速感は乏しく、さらにイタリアの財政問題などもあり、ECBは金融政策の正常化を慎重に進めると見られます。
英国ではEUとの離脱交渉がまとまる可能性は高まっていますが、英国議会で離脱案が承認されず、無秩序離脱に陥るリスクが懸念されています。景気動向からは半年毎の利上げが見込まれますが、EU離脱交渉次第と言えます。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)

欧州株の注目点と今後の見通し

ユーロ圏景気は拡大を続けていますが、年初からの景気減速や高い中国依存度などを背景に、欧州ストックス600指数(欧州ストックス)の2018年12月期の1株当たり純利益見通しは前年比8.6%増と1ケタ成長に留まっています(トムソンロイター調べ、10月9日時点)。一方、ECBのQE終了の見通しから予想されるユーロ高は、イタリアの財政を巡るEUとの対立などのリスクが意識されて、抑制されています。企業業績を下支えする形になっています。予想PER(株価収益率)は12.3倍台と2006年以降の平均13.1倍を下回る水準に低下(ブルームバーグ調べ、10月5日時点)、割安感が高まっています。リスク要因が後退すると共に反発に転じると予想します。ただし、当面は株価の変動が高まることは避けられないでしょう。欧州ストックスの1年後目標を380ポイントと予想します。

株式市場動向

イタリアでは6月1日にコンテ内閣が誕生、財政悪化懸念からイタリアの長期金利が急上昇し、同国国債を保有する同国銀行株を中心に株価が下落、その後も米中摩擦に関連してドイツの大手自動車メーカーが業績見通しを下方修正したことが下押し要因となりました。6月下旬に難民の取り扱いを巡るドイツの連立与党間の対立が嫌気されましたが、一時的に留まり、7月下旬に米EU首脳会談での通商交渉入りの合意を好感して反発しました。
8月中旬のトルコショックではトルコに進出するユーロ圏銀行株下落や、新興国通貨の下落など新興国経済への懸念の強まりが株価の頭を押さえました。9月に入り、トルコの大幅利上げに伴う新興国リスクの後退や、イタリアの財政懸念の一服などからリスク回避的な傾向が緩和し、株価は反発しました。また、アクティビスト投資家からの圧力による欧州主要企業における事業分割や多角化部門売却が株価を支える局面も見られました。
しかし、9月27日にイタリアが2019-2021年に財政赤字拡張の方針を明らかにすると、財政健全化を求めるEUとの対立が広がって6月のようにイタリアの長期金利が上昇し、イタリア株の下落が他の欧州市場にも広がりました。10月11日現在、DAXは11539ポイント、欧州ストックは359ポイントとそれぞれ年初来安値を更新しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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