マーケットアウトルック - 欧州市場 -

投資の視点は2017年5月15日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/5/22 現在

投資の視点

ユーロ圏経済は底堅い個人消費や投資の回復を支えに安定した成長が続くと見込まれ、デフレリスクが後退しています。さらに仏大統領選が波乱なく終了して政治リスクも大幅に後退し、ECB(欧州中央銀行)は6月に量的緩和(QE)縮小の開始を示唆し、9月にQE縮小を発表する見通しです。政治リスクは経済を揺さぶる事態には至らず、景気回復を背景とした企業業績の改善見通しを反映して、株価は底堅く推移すると予想します。

経済指標より

ユーロ圏2017年1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+2.0%と前期並みの高い成長となり、足元の景況感も好調さが続いています。今後も堅調な消費、輸出に加えて、設備投資の回復や緊縮財政の見通し後退が見込まれます。同成長率を2016年実績の前年比+1.7%に続いて2017年は前年比+1.9%と成長持続を予想します。

金融政策動向

・好調な景気動向が続く中で、ユーロ圏の消費者物価が4月に同+1.9%に加速し、ECBのインフレ目標である同+2.0%未満の近傍に近づきました。政治リスクの後退もあり、今年後半に金融政策の正常化に向けての取り組みを開始すると予想します。6月の金融政策委員会でQE縮小に向けて文言を変更し、秋に資産購入額縮小を発表、2018年半ばに債券購入額をゼロとして、同年後半には小幅ながら中銀預金金利引き上げに踏み切ると予想します。
・英国では消費者物価が高止まる一方、1-3月期実質GDPが前期比+0.3%と減速しました。野村證券では景気減速は一時的と見ていますが、6月8日に総選挙後もEU離脱を巡る不確実性があり、金融政策の据え置きが続くと予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年5月19日)

今後の注目点

仏大統領選では親EU(欧州連合)のマクロン候補が当選し、ドイツ州議会選挙で与党が連勝するなど政治リスクが後退しています。長期金利は緩やかに上昇すると見込まれますが、グローバル景気の持ち直しに伴い企業業績は拡大が予想されます。欧州ストックス600指数のEPS(1株当たり利益)予想は2017年12月期に同19.9%増益の見通しで(トムソンロイター調べ、5月16日時点)、同指数は底堅く推移し、1年後目標を420ポイントと予想します。

株式のマーケット動向から

2016年11月に米国大統領選でトランプ候補が勝利し、米国景気拡大への期待、金利上昇を背景に、景気敏感株や金融株が主導してDAXは上昇基調を強めました。12月4日のイタリアの国民投票で憲法改正案が否決され、イタリア大手行が破たんするなど悪材料が相次ぎましたが、同国政府が公的支援に乗り出すなど事前の予想通りの展開となり、リスクイベントの無事通過が安心感を生み、DAXは上昇し、12月30日に11,481ポイントと年初来高値を更新しました。
2017年に入り、米新政権の政策への懸念が重石になりましたが、堅調な景気動向を好感し、3月1日に1年11ヶ月ぶりに12,000ポイント台を回復しました。その後は業績改善期待と、ECBのQE縮小観測や4月に迫る仏大統領選などの政治リスクとの綱引きとなりました。3月15日のオランダ総選挙で反EUを掲げる政党が伸び悩み、政治リスクが後退すると受け止められ、さらにフランス大統領選の世論調査でEU支持のマクロン候補の支持率がルペン候補と並んだことで、DAXは再び上昇し、3月31日に12,312ポイントと年初来高値を更新しました。その後は、米国のシリアへのミサイル攻撃などの地政学的リスクや、仏大統領選挙の不透明感の高まりから市場では警戒感が高まり、揉み合いが続きました。4月23日の同選挙でマクロン候補が決選投票進出を決め、反EUのルペン候補当選の可能性が低下したと市場は受け止め、翌24日にDAXは史上最高値を更新しました。好調な決算発表、5月7日の仏大統領決選投票でのマクロン候補の勝利などから高値圏での推移が続き、5月19日時点でDAXは12,638ポイント、欧州ストックス600は391ポイントとなっています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年5月19日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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