マーケットアウトルック - ブラジル市場・ブラジルレアル -

投資の視点は2018年9月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/10/15 現在

投資の視点

決選投票に進出したボルソナロ候補はアダジ候補よりも、ブラジル経済の喫緊の課題である財政再建に前向きと見られ、市場の好感度が上昇していますが、議会の運営手腕は未知数です。ボルソナロ候補優勢との世論調査などからブラジルレアルは反発しましたが、レアルの持続的な上昇には、新政権が財政再建に取り組む姿勢を示すことが不可欠と見られます。厳しい財政事情を踏まえると、決選投票でどちらの候補が勝利しても、2019年に発足する新議会は年金改革などの財政再建に取り組まざるを得ないと見られますが、時間を要することになる見込みです。

金融政策

ブラジル中央銀行(BCB)は2016年10月以降利下げ局面で、2018年5月に初めて利下げを見送り、政策金利据え置きを続けています。BCBは通貨安に伴うインフレリスクの高まりを警戒していますが、野村證券では大統領選第1回投票後のレアル反発を受けて、利上げ開始時期を従来予想の年内から当面様子見継続に変更しました。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)

ブラジルレアルの注目点と今後の見通し

10月7日の大統領選では過半数を獲得する候補が不在で、得票率46%でトップの極右政治家のボルソナロ候補と、同29%で第2位の左派のアダジ候補による決選投票(28日実施)に持ち越されました。
決選投票の世論調査ではボルソナロ候補がアダジ候補をリードしており、市場は好感していますが、年金改革などの実現には議会での多数派工作など時間が必要であり、レアルは変動の大きな推移が続くと見込まれます。ただし、財政を除く経常収支などの経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)は安定している上に、BCBのインフレ抑制姿勢は市場で評価されており、レアルは下支えされると見込まれます。年金改革など財政再建の動きが具体化すれば、レアルは反発に転じると見込んでいます。向こう1年間のブラジルレアルの対円相場を1レアル=26.1~31.9円と予想します。

ブラジルレアルの市場動向

2018年2月に米国金利の急上昇からレアルの安定性が損なわれ始めました。ブラジルの主要輸出相手国である隣国アルゼンチンの通貨ペソが5月に急落したこともレアル安圧力となりました。内外要因からBCBは5月16日に利下げを見送りましたが、レアル安は止まりませんでした。
5月下旬に国営石油会社が原油高に連動して燃料価格を値上げしたことへの抗議ストが広がり、景気混乱や財政悪化への懸念でレアルは急落しました。その後、BCBの通貨スワップ市場での介入強化が次第に下支え効果を発揮しました。7月に入り、ストの景気への悪影響がサーベイ指標に現れ始めた上に、米中通商摩擦、中国景気の減速懸念に伴う商品市況の下落もあり、軟調な推移が続きました。8月には、トルコショックで新興国通貨売りが強まった上に、大統領選挙に関する世論調査における構造改革支持派候補の支持率低迷や、米中通商摩擦の先鋭化が嫌気され、8月30日に対円で同26.3円台の史上最安値を更新しました。9月6日のボルソナル候補襲撃事件や、大統領選の世論調査発表などにレアルが神経質に反応する展開が続きました。BCBの9月の金融政策会合議事録でインフレリスクの高まりが指摘され、利上げ期待が高まったことや、有力候補の中では比較的構造改革に前向きとみられるボルソナロ候補が優勢との見方からレアルは反発しました。大統領選の第1回投票で同候補が高い得票率を獲得したことが好感され、レアルは一段高となり、10月12日15時現在、対ドルで3.7レアル台後半、対円で29円台後半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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