マーケットアウトルック - ブラジル市場・ブラジルレアル -

投資の視点は2020年10月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2020/11/16 現在

投資の視点

ブラジルレアルは、5月半ばに対米ドル・対円で共に過去最安値へ下落した後、世界的な経済活動の再開や資源価格の復調などを背景に6月初旬にかけて一旦持ち直しましたが、その後再び軟化しました。消費や生産など主要な経済指標は底打ちを示しましたが、国内で新コロナ感染拡大が続く中、景気の先行き不透明感が強まっています。実質政策金利(政策金利ー消費者物価上昇率)がマイナス圏にあることや、財政悪化懸念がレアルの重石となっています。

金融政策

ブラジル中央銀行(BCB)は2019年7月以降、9会合連続で利下げを実施した後、9月16日に政策金利を過去最低の2.00%に据え置くことを決定しました。BCBの民間エコノミスト調査における市場コンセンサス(11月6日調べ)では、政策金利は2020年末が2.00%、2021年末が2.75%と、来年以降に利上げが再開される見通しが示されています。

金融政策

(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成(直近値は2020年11月12日)

ブラジルレアルの注目点と今後の見通し

鉄鉱石や大豆などブラジルの主要産品の最大輸出先は中国であることから、レアル持ち直しには、資源価格と中国景気の回復が続くかどうかが重要となります。他方、政策金利が過去最低水準にあり、利回り追求目的の資金流入が見込みにくいことには注意が必要です。ブラジルの新型コロナ感染者数が米国、インドに次ぐ世界第3位の規模であり、雇用情勢が悪化していることは、景気回復や利上げ再開時期を遅らせるリスクとなることにも留意が必要です。

ブラジルレアルの市場動向

ブラジルレアルは、2月26日に国内初の新型コロナウイルスへの感染が確認されて以降、原油価格の急落や株安を伴って下落基調を強めました。感染拡大の影響を軽視するボルソナロ大統領との意見の対立から、4月16日にマンデッタ保健相が解任され、24日に汚職対策で実績を上げたモロ法務相が辞任を表明したこともレアル安につながりました。
景気悪化懸念が強まる中、5月6日に利下げ幅が0.75%ポイントへ拡大されて金利先安観が強まると、レアルは14日に対円で一時17円台後半と、史上最安値を更新しました。5月半ば以降には、世界的な経済活動の再開や資源価格の持ち直しから、レアルは上昇に転じました。
6月1日にサンパウロを中心に経済活動が段階的に再開されると、レアルは一段高となりましたが、その後ブラジル国内で感染拡大が続く中、レアルは再び軟化しました。7月7日にボルソナロ大統領と主要閣僚の新型コロナウイルスへの感染が伝えられたことや、8月5日に政策金利が過去最低水準(2.00%)へ引き下げられたこともレアルの重石となりました。
9月に入り、ブラジルの製造業景況感が大幅に改善し、24日発表のブラジル中銀のインフレ報告書で2020年の成長見通しが上方修正されると、レアル高が進みました。しかし、欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、景気低迷の長期化が意識されると、レアルは下落基調に転じました。
10月初旬に景況感の改善や個人消費の復調が示されると、レアルは強含みました。しかし、欧州での新型コロナ感染再拡大を受けて市場のリスク回避姿勢が強まると、レアルは軟化しました。19日に米国とブラジルが貿易・経済協定に署名し、両国の通商関係の改善への期待が高まると、レアルは一時持ち直しましたが、21日にブラジルで実施された新型コロナウイルスのワクチン臨床試験で被験者が死亡したと伝えられると、レアルは下落しました。
11月に入り、米大統領選をめぐる不透明感が後退したことや、新型コロナウイルスのワクチン開発の進展期待から市場のセンチメントが改善すると、ブラジルレアルは反発しました。しかし足元では、ブラジルの景気先行きに対する不透明感が再びレアルの重石となっています。11月13日15時現在、対ドルで1ドル=5.4レアル台後半、対円で1レアル=19円台前半で推移しています。向こう1年間のブラジルレアルの対円相場レンジを1レアル=18.3~22.8円と予想します。

ブラジルレアルの市場動向

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2020年11月12日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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