マーケットアウトルック - ブラジル市場・ブラジルレアル -

投資の視点は2019年6月17日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2019/07/01 現在

投資の視点

ボルソナロ政権は年金改革などを通じて財政再建を図り、成長のための投資資金を捻出し、資源ブーム終了後のブラジル経済停滞からの脱出を狙っています。焦点の年金改革法案は、財政問題への危機感を強めている中道政党が主導する形で審議が進み始め、下院特別委員会を間もなく通過する見通しです。今後も高いハードルが残っているものの、ある程度の財政軽減効果を有する同法案の年内成立が見込まれ、レアルを下支えすると見込まれます。

金融政策

ブラジル中央銀行(BCB)は景気下振れリスクを認識するものの、同法案の審議を見守り、様子見の方針ですが、審議の進展に伴い、金融緩和姿勢に転換して年内に利下げを実施し、減速する景気を支えると見込まれます。米国の利下げ観測が根強いことから、新興国の利下げは資金流出には結び付きにくく、レアルには好材料と見られます。

金融政策

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年6月27日)

ブラジルレアルの注目点と今後の見通し

米中通商問題の激化など外部環境の悪化や、国内では雇用悪化などに伴う消費の弱さなどから市場の景気見通しは下方修正が続く中、利下げ観測が浮上し、レアルは4月中旬以降、下落基調となりました。しかし、足元で年金改革法案の審議などが進展し始め、レアルは底打ちしています。レアルは年金改革法案の審議動向に敏感に反応し、変動幅の大きい状況が続く可能性が高いと見られます。同法案の審議は進捗する見通しであり、下値は限定的で、今後1年間のブラジルレアルの対円相場を1レアル=26.2~28.7円と予想します(従来は同26.7~28.8円)。

ブラジルレアルの市場動向

2019年1月4日のパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の市場に配慮した発言や、米中通商協議の進展観測を受けて地合いが好転し、ボベスパ株価指数が史上最高値を連日更新、レアルは反発しました。ボルソナロ政権の年金改革への取り組みに市場の関心が集まる中で、2月に発表された年金改革法案が抜本的な財政負担軽減効果を持つ内容であったことが好感され、レアルは上昇しました。
3月中旬に実施された空港の運営権入札が順調であったことが好材料となりましたが、下院議長などの有力者がボルソナロ大統領の議会への対応に不満を漏らすなど、議会での支持基盤がぜい弱な同政権が法案成立に手間取るとの見方が強まりました。さらに、原油価格上昇に伴い、燃料費値上げに対して政府が介入する動きを見せたことで、ボルソナロ政権の親ビジネスの姿勢に変化が見られるとの懸念も浮上し、上値の重い推移が続きました。
その後、ドル高基調が強まり、新興国通貨が総じて軟調な中で、4月24日に同法案は第一関門である憲法・司法・市民権委員会で可決され、レアルは下げ止まりました。
5月に入り、米中の通商問題が一段と激化し、世界景気への懸念が高まると共に、国内では雇用悪化などから消費や生産の低調さが顕著となりました。景気見通しの下方修正が続き、さらに政権と議会の関係改善が見られないことが嫌気され、軟調な新興国通貨の中でもレアルの不振が目立ち、対円では昨年8月以来の1レアル=26円台に下落しました。
その後、年金改革法案の審議の遅れに危機感を強めた中道政党が同法案に前向きな姿勢を見せ、審議が進み始めたことでレアルは底打ちしました。下院本会議での第1回目の採決を休会となる前の7月中旬に実施する方針を下院議長が示し、またFRBの利下げ観測の高まりもあり、レアルは持ち直しています。6月28日15時現在、対ドルで3.8レアル台前半、対円で28円前半で推移しています。

ブラジルレアルの市場動向

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年6月27日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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