マーケットアウトルック - ブラジル市場・ブラジルレアル -

投資の視点は2020年8月17日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2020/09/14 現在

投資の視点

ブラジルレアルは、5月半ばに対米ドル・対円で共に過去最安値へ下落した後、世界的な経済活動の再開や資源価格の復調などを背景に6月初旬にかけて一旦持ち直しましたが、その後再び軟化しました。消費や生産など主要な経済指標は底打ちを示していますが、国内で感染拡大が続く中、景気の先行き不透明感が強まっています。実質政策金利(政策金利ー消費者物価上昇率)がマイナス圏にあることや、財政悪化懸念がレアルの重石となっています。

金融政策

ブラジル中央銀行(BCB)は8月5日に0.25%ポイントの利下げを実施し、政策金利を過去最低水準の2.00%とすることを決定しました(利下げは9会合連続)。BCBの民間エコノミスト調査における市場コンセンサス(9月4日公表)では、2020年中は政策金利が2.00%に据え置かれ、2021年以降に利上げが実施されることが予想されています。

金融政策

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2020年9月10日)

ブラジルレアルの注目点と今後の見通し

鉄鉱石や大豆などブラジルの主要産品の最大の輸出先は中国であることから、レアル持ち直しには、資源価格と中国景気の回復が続くかどうかが重要となります。他方、政策金利が過去最低水準にあることで、利回り追求目的の資金流入が見込みにくいことには注意が必要です。ブラジルの感染者数が米国、インドに次ぐ世界第3位の規模であり、経済活動の再開が後ずれしていることは、景気回復や利上げ再開時期を遅らせるリスクがあることにも留意が必要です。

ブラジルレアルの市場動向

3月11日に議会で政府の歳出削減策が否決され、財政改革のとん挫が懸念されたこと、18日にブラジル中央銀行(BCB)が0.50%ポイントの追加利下げを決定したことを受け、レアルは下落基調を強めました。ブラジル政府は22日、全土にわたり共同体感染状態にあることを宣言し、感染者を隔離するなどしました。しかし、感染拡大の影響を軽視するボルソナロ大統領との意見の対立から4月16日にマンデッタ保健相を解任し、24日に汚職対策で実績を上げたモロ法務相が辞任を表明すると、レアルは下げ足を速めました。
BCBが5月6日に市場予想(0.50%ポイント)を上回る0.75%ポイントの利下げを実施したことや、景気悪化懸念から、レアルは14日に対円で17円台後半と史上最安値を更新しました。15日にネルソン・タイシ保健相が大統領との政策方針の違いから就任後1ヵ月で辞任したこともレアル安を招きました。5月半ば以降には、世界的な経済活動の再開や資源価格の持ち直しから、レアルは上昇に転じました。
6月1日にサンパウロを中心に経済活動が段階的に再開され、6日に主要産油国が協調減産延長に合意して原油価格が反発すると、レアルは一段高となりました。しかし、ブラジル国内で感染拡大が続く中、レアルは再び軟化しました。 BCBによる17日の0.75%ポイントの利下げや、25日の2020年の成長見通し下方修正もレアル安につながりました。
7月7日にボルソナロ大統領が新型コロナウイルスに感染したと伝わり、主要閣僚の感染も確認されたことや、8月5日の追加利下げ決定により政策金利が過去最低の2.00%となったこともレアルの上値を重くしました。ブラジル国内で感染拡大が続く中、景気後退長期化への懸念や、財政拡大圧力に抗議する経済省幹部の辞任など、経済政策をめぐる政権内の不協和音もレアルの下落圧力となり、8月下旬にレアルは対円で18円台後半と、約3ヵ月振りの低水準へ下落しました。9月に入り、ブラジルの製造業景況感が大幅に改善すると、レアルは上昇しました。他方、景気の先行き不透明感は引き続きレアルの上値を抑えています。9月11日15時現在、対ドルで1ドル=5.3レアル台前半、対円で1レアル=19円台後半で推移しています。向こう1年間のブラジルレアル対円相場レンジを1レアル=19.4~23.5円と予想します。

ブラジルレアルの市場動向

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2020年9月10日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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