マーケットアウトルック - 米ドル/円 -

投資の視点は2018年5月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/6/11 現在

マーケット動向から

2018年1月26日に黒田日銀総裁がダボス会議において「2%の物価上昇目標にようやく近づいている」と発言し、ドルは108円台前半へ軟化しました。その後、2月2日公表の2018年1月の米国の時間当たり賃金が予想を上回る伸びとなり、ドルは110円台半ばへ上昇しましたが、先行きの日米の金融政策への不透明感から16日には2016年11月以来となる105円台へ下落しました。その後一時107円台を回復しましたが、日銀が28日に実施した満期までの期間が25年超の超長期国債の買い入れ額が減額されたため、再び106円台へ軟化しました。3月1日にはトランプ大統領がアルミ・鉄鋼に輸入関税を課す計画を発表し106円台前半へ弱含みました。更に22日にトランプ政権が対中関税措置を打ち出したことを受けて23日には104円台へ下落しました。その後、米朝首脳会談開催との報道を受けて106円台で推移しましたが、米中通商摩擦に対する悲観論が徐々に後退し、4月5日には107円台を回復しました。17-18日に開催された日米首脳会談では日本の対米貿易黒字に対する米国からの強硬な批判は見られず、107円台で落ち着いた反応となりました。その後、24日に米国10年国債利回りが2014年1月以来となる3%台へ上昇する中、ドルも109円台を示現しました。
5月3-4日に通商問題を巡る米中ハイレベル交渉は平行線に終わりました。しかし、20日に通商交渉に関する米中共同声明が発表され、ムニューシン財務長官が米中貿易摩擦問題は「保留」と述べたことを受け、ドルは一時111円台半ばへ上昇しました。しかし、その後は円高へ振り戻す材料が重なりました。25日にトランプ大統領が米朝首脳会談の延期を示唆し、加えて、米国が輸入する自動車に対して25%の追加関税を検討すると発言したことから、ドルは108円台へ下落しました。また、イタリアの政局の混迷も円高に拍車をかけました。6月1日にイタリアで新政権が発足し、5月の米企業景況感指数が大きく回復する中、ドルは110円台へ上昇しました。6月11日午後15:00現在、109円台後半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年6月8日)

金利動向より

2018年年明け以降も好調な経済指標を背景に米国10年国債利回りは上昇基調をたどりました。2月2日に発表された米2018年1月の時間当たり賃金が予想を上回る伸びとなり、2014年1月以来となる2.8%台へ上昇し、更に2月の消費者物価(CPI)が予想以上に加速したことから2.9%台へ上昇しました。その後は米中通商問題の不透明感から2.7%台へ低下する局面となりましたが、貿易摩擦への過度な懸念が後退したことや原油高を受けてじり高となり、5月11日には約6年10ヶ月ぶりの水準となる3.11%へ上昇しました。その後、イタリアの政局の混迷から一時2.75%台へ低下しましたが、6月1日のイタリア新政権発足を受けて2.9%台へ再上昇しています。6月8日現在、2.946%で推移しています。

グラフ

需給動向より

シカゴ通貨先物市場の円ポジションは2016年11月22日以降、売り持ちが続きましたが、2018年3月27日に買い持ちに転じましたが、その後売り持ちとなり、6月5日時点では約1万枚(約1,200億円)の売り持ちとなっています。

今後の注目点と見通し

今後、米国景気の持ち直しが一層明確になるに伴い、ドルは堅調に推移すると予想されます。日米金利差とドル円の相関関係も3月後半以降回復し始めており、日米金利差拡大で2018年12月末のドル円レートを1ドル=110円と予想します。なお、ドル円相場が100円に到達するような場合、そのきっかけとなるのは、(1)FRB(米連邦準備理事会)による想定利上げ回数が減少する、(2)米国財政赤字拡大への懸念、(3)米国と主要国の通商摩擦が一層先鋭化するなど、主に海外の要因であり、国内要因としては政局流動化によるアベノミクス継続への懸念の高まりが挙げられます。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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