マーケットアウトルック - 米ドル/円 -

投資の視点は2018年1月15日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/2/5 現在

マーケット動向から

2017年10月6日に「北朝鮮が米西海岸に到達可能な長距離ミサイルの発射実験を計画」との報道を受け、ドルは112円台へ反落しました。22日の日本の総選挙における連立与党の大勝を受けて、日銀の金融緩和政策継続見通しなどもあり、113円台へ上昇し、更に11月2日に米共和党指導部が減税案を公表したことなどを受けて一時114円台へ上昇しました。その後、13日に黒田日銀総裁が講演でリバーサル・レート(金利がある一定水準を下回ると貸し出しなど金融仲介機能に悪影響を与えるとの議論)に言及したことを受けて、円高気味に推移しました。29日にはイエレンFRB議長が議会証言で「インフレ率の低位での推移は一時的な要因によるもの」と発言し112円台を回復しました。12月に入ると米減税法案成立の期待から113円台へ上昇する局面も増えましたが、概ね112-113円台で推移しました。
2018年に入ると、1月9日に日本銀行が超長期ゾーンの国債買い入れオペを減額したことを受けて、市場は出口戦略を意識したため、110円台へドルが軟化しました。その後、1月24日にムニューシン米財務長官が「ドル安は我々にとって良いことだ」と述べ、108円台へ下落しましたが、25日にトランプ大統領が「最終的に強いドルを望んでいる」と述べたことを受けて、109円台へ反発しました。
その後、26日に黒田日銀総裁がダボス会議において「2%の物価上昇目標にようやく近づいている」と発言し、再び108円台前半へ軟化しましたが、30-31日のFOMC声明文でインフレに対する見方がやや上方修正されたと市場は受け止め、109円台を回復しました。なお、2月2日に日銀は指値オペを実施しましたが、円ドル相場への影響は限定的でした。2月2日に発表された米2018年1月の時間当たり賃金が予想を上回る伸びとなり、米金利が大幅に上昇する中、ドルは110円台半ばへ上昇しました。2月5日午後15:00現在、109円台後半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年2月2日)

金利動向より

2017年9月に入ると米10年国債利回りは、北朝鮮の地政学リスクを意識して7日には2.04%まで低下しました。以降、CPI(消費者物価)が徐々に加速したことや、減税期待を背景に上昇に転じ、12月下旬には2.50%台へ上昇しました。2018年年明け以降も、好調な経済指標に加えて、トランプ大統領が1.5兆ドル規模のインフラ投資計画に言及したため、上昇基調が続いています。2月2日に発表された米2018年1月の時間当たり賃金が予想を上回る伸びとなり、2014年1月以来となる2.84%へ上昇しています。

グラフ

需給動向より

シカゴ通貨先物市場の円ポジションは2016年1月12日以降買い持ち超過が続きましたが、11月22日には売り持ち超過へ転じました。2018年1月30日時点では約11万枚(約1兆3,800億円)の売り持ちとなっています。

今後の注目点と見通し

米国経済が好調の環境下、2018年のFRBによる利上げの織り込みは順調に進み、足もとでドル安に歯止めがかかっています。堅調な世界景気拡大を受けて、原油価格が上昇し資源国通貨が強含んでいることなどがこれまでの相対的なドルの弱含みの背景にあったものと思われますが、今後、原油価格の上昇に歯止めがかかれば、ドル高円安基調へ回帰することが予想されます。原油価格は世界景気拡大に加え、米国の寒波などの要因で上昇していますが、OPEC(石油輸出国機構)が協調減産の出口を検討し始めていることや米シェールオイル生産拡大の可能性を考えると、上昇継続は考えにくいとのシナリオを野村證券は想定しています。2018年末のドル円レート予想を120円、向こう1年間の想定レンジを109-123円とします。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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