マーケットアウトルック - 米ドル/円 -

投資の視点は2018年9月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/10/15 現在

投資の視点

米中通商摩擦は長期化が見込まれますが、米国経済は好調であり、中国も財政、金融両面で景気刺激的政策へシフトしていますので、世界経済への悪影響は限定的と見られます。米国の利上げは継続され、7月に示された日銀による政策金利のフォワードガイダンスは長期化し、現行の長短金利操作、及びその下での長短金利誘導目標は長期にわたって据え置かれる可能性が高いと判断され、金利差の観点から円高進行は回避されるでしょう。なお、円高リスクとして人民元の切り下げが考えられますが、中国からの資本流出のリスクが大きいため、中国政府にとってハードルが高いでしょう。

金利動向

米国10年国債利回りは通商摩擦への懸念が後退したことを受けて、5月11日に3.11%へ上昇しました。イタリア政局混迷から一時2.7%台へ低下しましたが、6月1日のイタリア新政権発足を受けて2.9%台へ再び上昇しました。9月17日に発表された米国の中国に対する追加関税措置が想定よりも穏当であったため、3%台へ上昇し、更に堅調な米国経済指標を受け、10月5日には約7年ぶりの水準となる3.246%へ上昇しました。10月11日現在、3.15%で推移しています。

グラフ

米ドル・円の注目点と今後の見通し

ドル円相場は、(1)9月13日のトルコの大幅利上げに伴い、リスク回避的な地合いが後退し、(2)米国の対中追加関税発動が米国の消費者に配慮した内容(関税率は当初10%で、来年年初に25%に引き上げ)で最悪シナリオではなかったため、円安で反応しました。中国景気が再び悪化する可能性や、米国で賃金インフレが加速して悪いインフレとなるリスクなどの不透明要因はあるものの、年内は1ドル=112-114円で推移し、来年半ばに同115円示現の可能性が高まってきたと思われます。今後1年間のドル円のレンジを107-118円と予想します。

米ドル・円の市場動向

6月15日に米国政府が500億ドル相当の中国からの輸入品に対して25%の関税を課すと発表し、16日に中国政府は米国からの同額の輸入品に対して追加関税を課す方針を表明、更にトランプ大統領は2000億ドル規模の中国製品に対し10%の追加関税を課すと警告するなど、米中通商摩擦が先鋭化する中、ドルは109-110円台で膠着しました。トランプ政権は7月10日に中国からの輸入品2000億ドルの追加関税措置のリストを発表しましたが、中国からの報復措置が発表されなかったため、ドルは18日に113円台へ上昇しました。しかし、20日にトランプ大統領が5000億ドル強の中国からの輸入品すべてに関税を課す準備をしていると発言し、110円台後半へ下落しました。その後、9月17日に発表された米国の中国に対する追加関税措置が想定よりも穏当であったため、その後はドル高円安の流れとなり、10月1日には114円台を回復しました。その後、イタリアの財政赤字目標を巡るEU(欧州連合)とイタリア政府の対立で9日には112円台へ下落しました。12日午後15:00現在、112円台前半で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)

需給動向

シカゴ通貨先物市場の円ポジションは2016年11月22日以降、売り持ちが続きましたが、2018年3月27日に買い持ちに転じました。その後売り持ちとなり、10月2日時点では約13.6万枚(約1兆7,000億円)の売り持ちとなっています。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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