マーケットアウトルック - 米ドル/円 -

投資の視点は2020年6月15日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2020/07/13 現在

投資の視点

米国では、テキサス州でマスク着用の義務化や一部経済活動の制限が行われ、カリフォルニア州やニューヨーク市でもレストランの店内飲食の解禁が遅れるなど、新型コロナウイルス感染再拡大の経済活動正常化への悪影響がより鮮明となってきました。移動制限の再強化などの対策が新規感染の減少に明確に結び付くには時期尚早であり、当面、感染拡大の傾向が続くことでドル円の上値は抑えられやすいと思われます。年後半に感染収束の明確な兆しが見られれば、市場のリスク回避姿勢が大きく好転する可能性はあるでしょう。なお米中対立の先鋭化の影響については、第一段階通商合意の破棄といった動きがなければ、ドル円相場が過度に円高に振れる可能性は小さいものと思われます。

金利動向

米国10年国債利回りは、FRB(米連邦準備理事会)による緊急利下げが実施された3月3日には、史上初めて1%を下回りました。3月9日には新型コロナウイルス感染拡大の加速に原油価格急落が加わり、0.5%台へと更に低下しました。その後はドルへの現金化の流れが加速し(国債を売却)、反転上昇する局面もありましたが、FRBによる追加の金融緩和措置や、物価統計が下振れる中で、概ね0.6~0.7%台で推移しました。7月9日現在0.61%で推移しています。

金利動向

米ドル・円の注目点と今後の見通し

米中対立再燃への懸念は、ドル円相場には逆風となり得ますが、(1)トランプ大統領が足元でドル高志向を強める中で「米中対立懸念=ドル安政策」との関係が成立しにくいこと、(2)FRBがマイナス金利政策を導入する可能性が低いこと、(3)「人民元安=円高」との昨年見られた逆相関関係が消失していること、などの点から、昨年夏場のようなドル安円高圧力にはなりにくいとみられます。総じて、ドル円相場は小動き継続の公算が大きくなっていると予想されます。2020年12月末のドル円相場を1ドル=110円と予想します。

米ドル・円の市場動向

ドル円相場は、短期のドル資産に対する需要の高まりを受けて、3月23日には111円台へ上昇しました。その後は、新規失業保険申請件数が過去に例を見ない水準に拡大するなどマクロ経済統計が大幅に悪化する中で、米金利が低下基調となったことを背景に、一時105円台へ下落しました。その後、概ね106~107円のレンジ相場が続きましたが、世界経済底入れ期待などからドルはじり高となり、6月4日には一時109円台へ上昇しました。10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見でパウエルFRB議長が「今後3年かけて景気はゆっくり回復」と発言し、ドルは一時107円割れとなりました。その後、米国での新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、ドルは頭の重い展開となっています。7月10日15:00現在、107円近傍で推移しています。

米ドル・円の市場動向

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2020年7月9日)

需給動向

シカゴ通貨先物市場の円ポジションは2016年11月22日以降、概ね売り持ちが続きましたが、2019年8月6日に買い持ちに転じました。その後売り持ちに転じましたが、2020年6月30日時点で約2.8万枚(約3,600億円)の買い持ちとなっています。


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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