マーケットアウトルック - インドルピー -

投資の視点は2017年6月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/7/10 現在

投資の視点

インド経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は引き続き安定しています。消費者物価(CPI)は2013年11月には前年比+11.2%と高い伸びでしたが、直近判明分の2017年5月には同+2.2%まで減速しています。また、経常赤字の対GDP比は2013年1-3月期の6.5%から2017年1-3月期には0.6%まで縮小しています。
一方、新車販売台数は2015年7月以降、前年比でプラスの伸びが続き、2016年7~9月には2桁の伸びを記録しました。高額紙幣廃止の影響を受け、11-12月は前年比で減少しましたが、2017年1月以降5月までプラスの伸びへと回復しています。また、製造業PMIは1-6月に好不況の分岐点である50を上回っています。
インド経済は2017年後半に「V字型」の回復を遂げると予想します。2017年後半の実質GDPは前年比+7.5%、2018年は同+7.7%と予想します。年度ベースでは、2016/17年度(2016年4月-2017年3月)の前年比+7.1%から2017/18年度(2017年4月-2018年3月)は同+7.4%と成長加速を見込んでいます。
6月7日、インド準備銀行(RBI)は市場予想通り政策金利を6.25%で据え置きました。4月のインフレ率の大幅な低下を受け、声明文では以下2点のややハト派的な変更が見られました。(1)インフレ見通しを前回4月6日時点から下方修正しており、2017年4-9月期を前年比+4.5%から同+2.0~+3.5%へ引き下げ、2017年10月-2018年3月期は同+5.0%から同+3.5~+4.5%へと引き下げた。(2)「インフレリスクはほぼ均衡」とし、前回4月の「上振れリスク」から表現を和らげた。
ただし、RBIは先行きの金融緩和に関しては慎重であり、国内の賃金上昇や、海外での政治リスクの高まりが金融市場に波及するリスクなどを注視する姿勢を示しています。総じて、今回の金融政策はややハト派色が強かったものの、市場の政策金利見通しやインド金融市場に大きく影響するものではないと考えられます。
従来、野村證券はRBIが年内は政策金利を据え置き、2018年には利上げを実施すると予想していましたが、次回8月1-2日の金融政策決定会合で0.25%ポイントの利下げを実施する、との予想へ変更します。インフレ率の大幅な低下や、2017年1-3月期の実質GDPの下振れを受け、政府からのRBIへの金融緩和要請が強まっていると見られることが背景にあります。ただし、先行きのインフレ加速リスクが払拭されたわけではなく、8月会合での利下げは「一回きりの」となる公算が大きいと考えます。また、2018年後半に計0.50%ポイントの利上げを実施するとの見方も変更し、2018年中は政策金利を据え置くと予想します。
7月1日、物品サービス税(GST)が予定通り導入されました。州毎に異なる税目で課されてきた既存の間接税が廃止となり、全国統一のGSTに集約されます。導入当初の対応の遅れや混乱が報じられ、2016年11月8日に突発的に実施された高額紙幣廃止に伴う消費の一時的減速のような混乱を懸念する見方も浮上しています。しかし、州をまたいだ経済活動が容易となることにより、消費の活発化や対内直接投資の流入拡大につながる中長期的なプラス効果が期待されます。一時的な消費の下振れ生じたとしても、市場において悪材料視されないものと思われます。
インド政府は2017年2月1日に2017/18年度予算案を発表しましたが、成長加速に向けた施策が打ち出される一方で、財政健全化姿勢も維持されたバランスのとれた内容であったため市場から好感され、インドルピーの対ドルレートは一時1ドル=66ルピー台へ上昇しました。3月11日に開票された大型地方選挙で与党が大勝したこともインドルピーの追い風となりました。その後も米金利の安定などを背景に堅調に推移し、64ルピー台へ上昇しています。
インドルピーの対円レートは年初来の円高ドル安傾向の中でも堅調に推移し、3月中旬には1ルピー=1.74円台へ上昇しました。その後一時弱含む局面もありましたが、再び上昇に転じ、5月中旬には1.77円台を示現しました。その後円高ドル安への揺り戻しから1.72円台へ軟化しています。2017年7月10日15時現在、1米ドル=64ルピー台半ば、1ルピー=1.77円近傍で推移しています。
向こう1年間のインドルピーの対円レートの想定レンジを1ルピー=1.68-1.91円とします。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年7月7日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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