マーケットアウトルック - インドルピー -

投資の視点は2017年10月16日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/11/13 現在

投資の視点

インド経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は引き続き安定しています。消費者物価(CPI)は2013年11月には前年比+11.2%と高い伸びでしたが、直近判明分の2017年9月には同+3.3%まで大幅に減速しています。また、経常赤字の対GDP比は2013年1-3月期の6.5%から2017年4-6月期には2.4%まで縮小しています。
実体経済は回復の兆しを見せています。新車販売台数は高額紙幣廃止の影響を受け、2016年11-12月は前年比で減少しましたが、2017年1月以降5月までプラスの伸びへと回復しました。6月は7月1日からの物品サービス税(GST)導入を前に買い控えが生じ同-5.1%と減少しましたが、7-9月は回復しています。
一方、9月の鉱工業生産は前年比+3.8%と、8月の同+4.3%から減速しましたが、堅調な伸びが続いています。特に9月の非耐久消費財の生産は前年比+10.0%と8月の同7.3%から加速し、同月の資本財生産も同+7.4%と8月の同+5.2%から加速しています。鉱工業生産の回復はGST導入に伴う落ち込みは一時的であったことを示しているものと考えられます。
また、9月の貿易収支では、輸出が前年比+25.7%と8月の同+10.3%から大幅に加速しましたが、幅広い品目で改善が見られています。経常収支が改善する公算が大きくなっていると言えます。野村證券は7-9月期の経常赤字の GDP比は1.6%前後、2017/18年度(17年4月~18年3月)前半は同2.0%前後と予想します。
野村證券は実質GDP成長率について、2017年を前年比+6.3%、2018年を同+7.5%、2019年を同7.6%と予想します。2017年後半の実質GDP成長率は同+7.4%と、前半の同+5.9%からV字型の回復を予想します。貨幣流通量の回復、GST導入後の在庫投資回復、公務員給与引き上げ、貸出金利の低下などに支えられるものと考えます。 
インド政府は10月24日に不良債権処理を進めるための金融機関への大規模な資金注入計画の発表をはじめとする財政刺激策を発表しました。景気減速を受け、インド政府が刺激策を発表する可能性はありましたが、2.1兆ルピーの資金注入策は市場の想定を大きく上回りました。インドの銀行株には大きな好材料であり、一部の公的金融機関の株価は前日比30%程度と急騰しました。一方、同時に発表されたインフラ投資計画も含め、実施時期は未定であり、すぐに押し上げ効果が出るか否かは不透明です。 
一方、2017/18年度は期初4ヶ月間で先行的に前倒し支出を行ったため、財政赤字が期初目標を超過するリスクが高まっていましたが、政府はここにきて期初目標の対GDP比3.2%を達成する努力を行っていると評価します。統一物品サービス税(GST)導入を巡る懸念があったものの、2017年4~9月の実績で歳入不足は見られませんでした。また、インド政府は8~9月に支出、とりわけ資本支出を大幅に削減しています。こうした進展を踏まえ、野村證券は政府が財政赤字目標を対GDP比3.2%に据え置く確率を40%(従来は30%)に引き上げ、期初目標を上回る同3.7%に変更する確率を5%(同15%)に引き下げます。基本シナリオである同3.5%へ拡大する確率は55%に据え置きます。
インド政府は2017年2月1日に2017/18年度予算案を発表しましたが、成長加速に向けた施策が打ち出される一方で、財政健全化姿勢も維持されたバランスのとれた内容であったため市場から好感され、インドルピーの対ドルレートは一時1ドル=66ルピー台へ上昇しました。3月11日に開票された大型地方選挙で与党が大勝したこともインドルピーの追い風となりました。その後も米金利の安定などを背景に堅調に推移し、足もとで65ルピー台となっています。
インドルピーの対円レートは年初来の円高ドル安傾向の中でも堅調に推移し、3月中旬には1ルピー=1.74円台へ上昇しました。その後一時弱含む局面もありましたが、再び上昇に転じ、5月中旬には1.77円台を示現しました。その後円高ドル安への揺り戻しから1.71円台へ軟化しましたが、足もとでは1.73円台を回復しています。
2017年11月13日15時現在、1米ドル=65ルピー台前半、1ルピー=1.73円台後半で推移しています。向こう1年間のインドルピーの対円レートの想定レンジを1ルピー=1.68-1.89円とします。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年11月10日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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