マーケットアウトルック - インド市場・インドルピー -

投資の視点は2018年9月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/10/15 現在

投資の視点

野村證券はインドの実質GDP成長率を2018年は前年比+7.6%、2019年は同+7.2%と、7%台の高成長が続くと予想しています。インフレ率はやや高まり、経常赤字は拡大していますが、対外債務の水準など経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)は新興国の中で優位にあるとの判断を継続します。なお、銀行の不良債権問題が懸念材料ですが、インド政府は2017年10月に国営銀行への資本注入などの政策を導入していますので、金融システムリスクへ発展する可能性はかなり小さいでしょう。

金融政策

インド準備銀行(RBI)は、10月の会合では予想に反して政策金利を据え置きました。政策スタンスは、「中立」から「慎重な引き締め」に変更しています。RBIは、次会合での利下げの可能性を排除し、利上げか据え置きになると説明しています。今回の決定により、 RBIは通貨防衛よりも物価上昇に重きを置いて政策決定を行うものと予想されます。  消費者物価指数は、8月は前年同月比+3.69%と、前月及び市場予想を下回りました。今後は、原油高等がインフレ上昇要因となるものの、賃金上昇率の伸び悩みや食糧品インフレの鈍化等が物価上昇率を抑制すると野村證券では見ています。また、世界経済の成長鈍化や原油高などがインド経済の成長を抑制することにより、政策金利はしばらく据え置かれる可能性が高いと見ています。

グラフ

(注)Selic誘導目標は国債の翌日物レポ取引金利が対象
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)

インドルピーの注目点と今後の見通し

インドルピーは対ドルで史上最安値を更新しています。米国長期金利の上昇、中国景気減速懸念 原油価格上昇による貿易赤字の拡大などの要因に加えて、大手ノンバンクの債務不履行(デフォルト)という悪材料が重なっています。こうした中、インド政府は資本流入促進策、消費財の輸入関税を引き上げるなどの政策を発表し、国際収支の悪化を防止する姿勢を打ち出しています。ノンバンクのデフォルトにより、債券発行が滞るなど悪影響が表面化していますが、格付の低い債券に限定されています。9月23日、インド準備銀行と証券当局は共同声明を発表し、「必要があれば適切な措置を講じる」と表明しています。先進国の株安にともなう投資家心理の悪化も手伝って、当面、インドルピーは軟調な展開が続く可能性がありますが、インドの経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)は新興国の中でも優位にあることが市場で改めて認識され、インド政府のルピー下支え効果も奏功するものと思われます。向こう1年間のインドルピーの対円レートのレンジを1ルピー=1.45-1.64円と予想します。

インドルピー市場動向

インドルピーの対ドルレートは2019年度予算案が市場予想以上に財政赤字拡大見通しとなったことや、不正行為に伴う国営銀行の巨額損失発生から銀行セクターへの懸念が広がったこと、米金利の上昇、原油価格上昇を受け、2018年5月中旬に約1年4ヶ月ぶりの安値である1米ドル=68ルピー台へ下落しました。原油価格上昇の一服、RBIの利上げを受け、同67ルピー台へ持ち直しましたが、8月16日には同70ルピー台となり、史上最安値を更新しました。 その後もトルコショックや米中通商摩擦に対する懸念などから新興国通貨全般に売られる流れの中で、ルピーの下落基調が続きました。9月12日以降、インド政府が通貨を支える対策を相次いで発表したことにより、対ドルレートは一旦下げ幅を縮めましたが、原油価格や米国金利の急上昇に伴い、再度下げ幅を拡大しています。インドルピーの対円レートについても、9月中旬から下旬にかけて一旦持ち直しましたが、10月上旬から再度下落に転じています。
10月12日15時現在、1米ドル=73ルピー台後半、1ルピー=1.52円台で推移しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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