マーケットアウトルック - インドルピー -

投資の視点は2017年8月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/9/11 現在

投資の視点

インド経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は引き続き安定しています。消費者物価(CPI)は2013年11月には前年比+11.2%と高い伸びでしたが、直近判明分の2017年7月には同+2.4%まで大幅に減速しています。また、経常赤字の対GDP比は2013年1-3月期の6.5%から2017年1-3月期には0.6%まで縮小しています。
一方、新車販売台数は2015年7月以降、前年比でプラスの伸びが続き、2016年7~9月には2桁の伸びを記録しました。高額紙幣廃止の影響を受け、11-12月は前年比で減少しましたが、2017年1月以降5月までプラスの伸びへと回復しています。なお、6月は7月1日より物品サービス税(GST)が導入されることから買い控えが生じ同-5.1%と減少しましたが、7月には同+14.9%と回復しています。
8月31日に発表された2017年4-6月期の実質GDP成長率は前年比+5.7%と1-3月期の同+6.1%から減速し、3年ぶりの低い伸びとなりました。7月1日の物品サービス税(GST)導入を控え、税率軽減を睨んだ買い控えが起きたと見られるほか、製造業も停滞しました。しかし、(1)インド経済の減速は改革の痛みと原因がはっきりしていること、(2)金融や不動産など高額紙幣廃止の悪影響が直撃したセクターの成長率が持ち直していること、(3)今回のGDPでは外需寄与度が-2.6%ポイントと大幅なマイナスとなっていますが、主要貿易相手国である中国・米国の経済指標が堅調さを維持しており、先行き輸出が持ち直す公算が大きいこと、などを考慮すれば、成長減速は一時的に留まるものと思われます。 
野村證券は4-6月期の成長下振れを踏まえ、2017年通年の成長率予想を従来の前年比+6.9%から同+6.7%へ下方修正し、2018年の予想を同+7.7%から同+7.8%に上方修正します。2017年後半の実質GDP成長率は同+7.4%となり、前半の同+5.9%から加速すると予想されます。貨幣流通量の回復、GST導入後の在庫投資回復、公務員給与引き上げ、貸出金利の低下などに支えられるものと考えます。 
一方、7月1日付で中央政府職員の住宅家賃手当が約106%引き上げられました。インド準備銀行(RBI)は家賃手当の引き上げがCPI上昇率を1.00-1.50%ポイント引き上げると予想しています。ただし、RBI金融政策委員会のラビンドラ・ドラキア委員はこの推定は高すぎるとし、すべての州が同時に家賃を引き上げる訳ではなく、中央政府の家賃手当引き上げのインパクトは0.36%ポイントにとどまるとしています。
いずれにせよ、影響の大部分は統計上のものであり、家賃手当引き上げの決定が物価の中期見通しを大きく左右することはないと思われます。
インド政府は2017年2月1日に2017/18年度予算案を発表しましたが、成長加速に向けた施策が打ち出される一方で、財政健全化姿勢も維持されたバランスのとれた内容であったため市場から好感され、インドルピーの対ドルレートは一時1ドル=66ルピー台へ上昇しました。3月11日に開票された大型地方選挙で与党が大勝したこともインドルピーの追い風となりました。その後も米金利の安定などを背景に堅調に推移し、64ルピー台へ上昇しています。
インドルピーの対円レートは年初来の円高ドル安傾向の中でも堅調に推移し、3月中旬には1ルピー=1.74円台へ上昇しました。その後一時弱含む局面もありましたが、再び上昇に転じ、5月中旬には1.77円台を示現しました。その後円高ドル安への揺り戻しから1.70円台へ軟化しています。
2017年8月28日15時現在、1米ドル=63ルピー台、1ルピー=1.70円近傍で推移しています。向こう1年間のインドルピーの対円レートの想定レンジを1ルピー=1.68-1.93円とします。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年9月8日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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