マーケットアウトルック - インドルピー -

投資の視点は2018年4月16日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/4/23 現在

投資の視点

インドの2018年3月の消費者物価(CPI)は前年比+4.3%と引き続き安定しています。食料品やエネルギーなどの項目を除いたコア項目の伸びは落ち着きを見せており、2017年後半に見られた広範な物価上昇圧力は後退しています。
インド経済は堅調に推移しています。2月の鉱工業生産は前年比+7.1%と、1月の同+7.4%からやや減速したものの、市場予想の同+6.8%を上回りました。業種別にみると、資本財が引き続き全体をリードし、1月の前年比+12.8%から加速し、同+20.0%と2年4ヶ月ぶりの高い伸びとなりました。インフラ・建設関連財も1月の同+7.0%から同+12.6%へ加速しました。
インド準備銀行(RBI)は4月5日、市場予想通り政策金利を6.00%で据え置きました。声明文を見ると、中立のスタンスを維持した点や、政府が主要穀物を買い上げる際の最低支持価格(MSP)を引き上げる方針を示していることなど、先行きのインフレ加速リスクを挙げている点は前回2月7日の会合から変更はありません。一方、RBIはインフレ予測を大幅に下方修正しました。2019年度(2018年4月-2019年3月)の前半の消費者物価(CPI)予測は前回の前年比+5.1%~+5.6%から同+4.7%~+5.1%へ、後半は同+4.5%~+5.6%から同+4.4%に引き下げられました。食料・エネルギー価格の安定を受け、先行きのインフレ加速リスクは後退したとの判断と思われます。
一方、米財務省は4月13日に公表した半期為替報告書において、インドを新たに為替監視国に指定しました。米財務省は為替監視国認定の基準として(1)対米貿易黒字が200億ドル超、(2)経常黒字額のGDP比が3%超、(3)過去12ヶ月の外貨純購入(自国通貨売り介入)が継続的(12ヶ月月中8ヶ月以上)で対GDP比2%、の3つの基準のうち2つに該当した場合としています。インドはこのうち、(1)には従来から該当していましたが、今回、年間560億ドル(対GDP比2.2%)のルピー売りドル買い介入を行ったとして(3)にも該当することとなりました。
RBIによるルピー売り介入に対し米国からの牽制がやや強まった形であり、基本的にはルピー高要因と見られますが、市場の反応は限定的でしょう。指摘できる主な理由は次の通りです。(1)米財務省がインドの自国通貨売り介入を牽制したのは今回が初めてではなく、前回(2017年10月)にも言及していた。(2)RBIは介入データを公表しており、監視国認定は市場に織り込まれていたと見られる。(3)インドが対GDP比1.5%の経常赤字国であり、現在のルピーの水準はやや割高とするIMF(国際通貨基金)の分析を支持する記載が見られること。総じて、インドの為替監視国認定は「現状追認」の域を出ないものと思われます。
インドルピーの対ドルレートは2018年年明け以降も米金利が上昇する中で総じて堅調に推移していましたが、2019年度予算案が市場予想以上に財政赤字拡大となったことや、不正行為に伴う国営銀行の巨額損失発生から銀行セクターへの懸念が広がったこと、更に2月入り後の米金利の上昇を受けて軟調気味に推移し、足もとでは約半年ぶりの安値である1米ドル=66ルピー台へ下落しています。
一方、インドルピーの対円レートはインド経済の回復を受けて2018年1月には1.78円台へ上昇しました。しかし、2月以降は米金利上昇、円高ドル安の流れを受けて、足もとでは同1.62円台へ下落しています。2018年4月23日15時現在、1米ドル=66ルピー台、1ルピー=1.62円台で推移しています。
向こう1年間のインドルピーの対円レートのレンジを1ルピー=1.59-1.70円と予想します(従来は1.57-1.70円)。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年4月20日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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