マーケットアウトルック - インドルピー -

投資の視点は2017年3月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/3/27 現在

投資の視点

インド経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は引き続き安定しています。消費者物価(CPI)は2013年11月には前年比+11.2%と高い伸びでしたが、直近判明分の2017年2月には同+3.7%まで減速しています。また、経常赤字の対GDP比は2013年1-3月期の6.5%から2016年10-12月期には1.4%まで縮小しています。
一方、鉱工業生産は2015年終盤以降伸びが低迷しています。しかし、農村部需要の回復と、第7次賃金委員会による賃上げなどを受けて、鉱工業生産の基調的な勢いが今後は回復すると野村證券は予想しています。他方、新車販売台数は2015年7月以降、前年比でプラスの伸びが続いており、2016年7~9月には2桁の伸びを記録しました。高額紙幣廃止の影響を受け、11-12月は前年比で減少しましたが、2017年1月は同+11.2%、2月は同+8.7%と回復しています。なお、製造業PMIは1、2月と好不況の分岐点である50を上回っています。
公務員賃金引き上げが今後も消費を支えると期待される一方、中央政府のプロジェクト認可のペースが加速しており、2017年に公共投資が増加すると見込まれ、向こう数四半期の建設活動が拡大すると想定されます。野村證券は2017年の実質GDP成長率は前年比+7.0%、2018年は同+7.7%と堅調な成長を予測しています。
一方、インド準備銀行は2月8日の金融政策会合で予想外に政策金利を6.25%で据え置きました。声明文では政策スタンスを「緩和的」から「中立」に変更しており、タカ派的なメッセージが打ち出された内容です。インフレ加速の要因として、(1)原油価格の反発、(2)外部環境の変化(トランプ米大統領誕生)に起因する為替変動率の上昇、(3)第7次賃金委員会の勧告に基づく賃金上昇と住宅賃料への影響、を列挙しています。更に、足もとのインフレ率の低下は一部の品目(野菜・豆類)の昨年の比較時点の価格上昇が大きかったことが影響しており、今後、こうした一時的な要因が剥落することで物価の加速リスクが高まるとしています。
3月11日、5つの州の地方議会選挙結果が一斉開票され、インド最大の人口(2億人)を抱えるウッタルプラデシュ州で与党のインド人民党が過半数を獲得しました。改選前の同党の議席は10%弱からの大きな躍進となり、この結果は、以下の2点でインド金融市場にとって追い風となるでしょう。2016年11月に実施された高額紙幣廃止が国民の理解を得られていることが明らかになったこと、州議会による間接選挙で選出される上院での与党の過半数獲得に向けた重要な一歩となること。モディ政権による構造改革にも弾みがつく公算が大きいと考えられます。
2016年を通じてインドルピーの対ドルレートは1ドル=66~67ルピー台を中心に概ね安定的に推移しました。米新大統領にトランプ氏が決定した前日の11月7日から24日にかけてインドルピーの対米ドルレートは2.9%下落し、23日には一時1米ドル=68.9ルピーと史上最安値を更新しました。新興国の中でもファンダメンタルズ(基礎的条件)は良好ではありますが、高額紙幣廃止の影響や、トランプ新大統領がIT機器の国内生産化を示唆していることから、ソフトウェアを中心としたインドのIT産業へ悪影響を及ぼすのでは、との懸念が意識されました。
その後、2017年2月1日に2017/2018年度(2017年4月~2018年3月)予算案が発表されましたが、成長加速に向けた施策が打ち出される一方で、財政健全化姿勢も維持されたバランスのとれた内容であり、市場から好感され、ルピーは反発しています。
インドルピーの対円レートは2016年年明け以降は原油価格の反発を受けて、2月中旬には2013年9月以来の史上最安値圏へ軟化しました。その後はドル安円高基調の中、緩やかな下落傾向を辿りました。10月下旬以降はドル高円安への転換を受け、概ねルピー高円安基調が足もとまで続いています。2017年3月27日15時現在、1米ドル=65ルピー台前半、1ルピー=1.69円台半ばで推移しています。向こう1年間のインドルピーの対円レートのレンジを1ルピー=1.63-1.77円と予想します(従来は1.63-1.75円)。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年3月24日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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