マーケットアウトルック - インドルピー -

投資の視点は2018年1月15日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/2/5 現在

投資の視点

インドの消費者物価(CPI)は2013年11月には前年比+11.2%と高い伸びでしたが、直近判明分の2017年12月は同+5.2%と大幅に低下しています。足もとでインフレ率が上昇していますが、その主因は野菜など食品価格の上昇です。
インド準備銀行(RBI)は2018年2月7日の金融政策会合でインフレ予想を引き上げると予想されますが、野村證券は引き続き政策金利は据え置かれると予想します。RBIは野菜価格の上昇、公務員家賃手当引き上げ、物品サービス税(GST)導入など一時的なインフレ上昇の先を見据えた政策運営を行うとみられることから、2018年内は政策金利が据え置かれるものと予想します。ただし、4-6月期については、経済成長率とインフレがいずれも加速するとみられることから、政策スタンスの変更を通じて、ややタカ派(インフレ警戒)的なスタンスになるとみています。
インフレ率は目標の同+4%±2%の範囲内に留まっています。インフレ加速による金融引き締めを懸念すべき水準はCPIが同+6%を超えてからになると予想されます。
実体経済は回復しています。新車販売台数は高額紙幣廃止の影響を受け、2016年11-12月は前年比で減少しましたが、2017年1月以降5月までプラスの伸びへと回復しました。6月は7月1日からの物品サービス税(GST)導入を前に買い控えが生じ同-5.1%と減少しましたが、7月以降12月まで回復しています。また、2017年11月の鉱工業生産は前年比+8.4%と、10月の同+2.0%から伸びが回復しています。
2017年12月18日、グジャラート州、及びヒマチャルプラデシュ州の議会選挙の開票が行われ、両州で与党・インド人民党(BJP)が過半数の議席を獲得しました。モディ首相が州首相を務めていたグジャラート州の議会選挙は2019年の総選挙に向けた重要な試金石と市場でみなされていました。与党は2012年の115議席から98議席(182議席中)へ減少しましたが、過半数(92)を維持し、信認されたと思われます。ヒマチャルプラデシュ州では野党の国民会議派から与党の座を奪いました。
インド上院の議員は地方議会の党別議席割合に応じ選出され、全245議席中、グジャラート州は11議席、ヒマチャルプラデシュ州は3議席が割り当てられています。BJPはグジャラート州での議席減に伴い、2018年に上院での議席を1-2議席、国民会議派に明け渡す可能性がありますが、同党が進める構造改革は支持を取り付けていると思われます。 
一方、2018年2月1日に発表された2019年度(2018年4月-2019年3月)予算案は、財政赤字の縮小を目指す姿勢が後退したほか、税収見通しは楽観的であり、同国の財政運営に対する信頼感をやや低下させるものでした。2018年度当初予算の財政赤字見込みが対GDP比3.2%でしたが、今回は同3.5%へ拡大するとの見通しが示され、2019年度予算では財政赤字の同比率が3.3%と市場予想の同3.2%よりもやや大きいものでした。農家から生産物を買い取る際の最低保証価格の50%引き上げなど、農村支援に軸足が置かれたものとなっています。こうした施策がインフレ圧力の高まりにつながるリスクには一定の留意が必要となるでしょう。
インドルピーの対ドルレートは2017年9月以降上昇基調を続けました。米金利の上昇が緩やかな状況の中、2016年11月の高額紙幣の廃止や、2017年7月に導入された統一GST(物品・サービス税)の悪影響が一時的であり、インド経済が順調に回復していることや、他新興国に比べて経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)が良好であることがその背景にあります。2018年年明け以降も、米金利が上昇する中でも総じて堅調に推移し、足もとで1米ドル=64ルピー台となっています。
一方、インドルピーの対円レートは2017年初来の円高ドル安傾向の中でも堅調に推移し、3月中旬には1ルピー=1.74円台へ上昇しました。その後一時弱含む局面もありましたが、再び上昇に転じ、5月中旬には1.77円台を示現しました。その後円高ドル安への揺り戻しから1.71円台へ軟化した後、2018年年初には1.78円台へ上昇しました。足もとでは再び1.71円台へ下落しています。2018年2月5日15時現在、1米ドル=64ルピー台前半、1ルピー=1.71円台後半で推移しています。向こう1年間のインドルピーの対円レートの想定レンジを1ルピー=1.71-1.95円とします。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年2月2日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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