マーケットアウトルック - メキシコペソ -
投資の視点は2020年12月14日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。2021/01/12 現在
投資の視点
2020年10月1日公表の製造業の景況感が改善し、5日に政府が140億米ドル(GDP比1.2%相当)のインフラ投資計画を発表すると、ペソは上昇基調を強めました。米国の追加経済対策の合意観測も相場を下支えしました。月末にかけ、米大統領選における民主党のバイデン候補の優勢が伝わると、トランプ政権の厳しい対メキシコ政策が新政権の発足により見直されるとの期待から上昇基調となりました。
11月3日の米大統領選後に民主党のバイデン候補が当選する可能性が高いことが報じられると、メキシコの対米関係改善への期待から、ペソは急伸しました。12日の金融政策会合で市場の利下げ予想に反して政策金利が据え置かれたことも底堅さにつながりました。原油高や、新型コロナのワクチン開発の進展期待によるリスクセンチメントの改善も通貨高要因となりました。
12月に入り、米国で政権移行が進み政治不透明感が後退したことに加え、原油価格の高値維持などから、ペソは底難く推移しました。9日にメキシコ上院で中央銀行の外貨買入れを義務づける法案が可決されると軟化しましたが、15日に同法案の下院での審議が先送りされると反発しました。メキシコの新型コロナ感染再拡大を受け、16日に首都メキシコシティにおける新型コロナへの警戒レベルが最高水準に引き上げられたことや、世界的な国境封鎖に伴う需要減退観測から原油価格が軟化したことが相場を下押ししました。
2021年に入り、米国の追加経済対策への期待から、米景気回復に伴いメキシコ経済へ好影響が及ぶとの見方や原油価格の一段高を受けてペソは一時強含みました。しかし、米金利上昇に伴う新興国からの資金流出懸念が強まると一転、下落に転じました。1月8日15時現在、対米ドルでは1ドル=19ペソ台後半、対円では1ペソ=5.2円台前半で推移しています。向こう1年間のメキシコペソの対円相場レンジを1ペソ=5.02~5.68円と予想します。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2021年1月7日)
- 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
- 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。