マーケットアウトルック - メキシコペソ -
※長年ご愛読いただきましたマーケットアウトルックは、2021年3月をもちまして終了させていただきます。何卒ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。投資の視点は2021年3月8日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。
2021/03/15 現在
投資の視点
メキシコペソは、2020年12月9日にメキシコ上院で中央銀行の外貨買入れを義務づける法案が可決されると軟化しましたが、15日に下院で同法案の審議が先送りされたことを受けて反発しました。新型コロナ感染再拡大を受け、16日に首都メキシコシティで感染警戒レベルが最高水準に引き上げられたことや、世界的な国境封鎖に伴う需要減退観測から原油価格が軟化したことは、相場を下押ししました。
2021年1月に入り、米国の追加経済対策への期待から、米景気回復に伴いメキシコ経済へ好影響が及ぶとの見方が高まったことや原油価格の一段高を受けてペソは強含みました。しかし、米金利上昇を受けて、新興国からの資金流出懸念が強まると、ペソは再び下落しました。メキシコ政府が新型コロナ感染抑制のため行動規制を強化し、景気下振れ懸念が強まったことや、24日にロペスオブラドール大統領の新型コロナ感染が伝わったことも相場を押し下げました。
2月に入り、原油価格の上昇を背景に、ペソは強含みました。11日の金融政策会合で3会合振りの利下げが実施されましたが、ペソは小動きにとどまりました。月後半に、米国テキサス州の寒波の影響で原油・天然ガスのパイプラインが閉鎖され、メキシコ北部の工場が電力供給不足に伴って稼働を停止すると、景気先行き不透明感の強まりからペソは下落基調を強めました。
3月に入り、米長期金利の上昇を受けて短期資金の流出が加速し、ペソは大幅に下落しました。しかし、9日発表の2月の消費者物価上昇率が市場予想を上回る加速を示して追加利下げ観測が後退したことや、原油高を背景として、大きく上昇に転じました。3月12日15時現在、対米ドルでは1ドル=20ペソ台後半、対円では1ペソ=5.2円台半ばで推移しています。向こう1年間のメキシコペソの対円相場レンジを1ペソ=4.95~5.68円と予想します(従来予想は同5.04~5.68円)。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2021年3月11日)
- 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
- 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。