マーケットアウトルック - トルコ市場・トルコリラ -

投資の視点は2019年5月20日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2019/06/17 現在

投資の視点

トルコでは、インフレ高止まりや金融引き締めの影響により消費や投資が落ち込み、2019年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比-2.6%と前期に続きマイナス成長となりました。景気後退が続く中、3月31日の統一地方選挙では、全国区で与党連合が過半数を維持するも、首都アンカラで最大野党の候補が勝利するなど、現政権の求心力低下が示されました。イスタンブール市長選の再選挙が6月23日に決定されて政治的不透明感が増したことや、ロシア製武器の購入計画をめぐり米国がトルコに経済制裁を課す可能性が高まっていることはリラの重しとなっています。

金融政策

2019年6月12日の金融政策会合では政策金利が24.0%に据え置かれた一方、声明文では金融引き締めスタンスを維持する条件として、前回示された「物価見通しが大幅に改善するまで」とする文言が削除されました。中銀がハト派(景気重視)姿勢を強めたことを受け、野村證券では次回7月25日の会合で利下げが実施される可能性が高まったと見ています。

金融政策

(注)政策金利の指標は、2017年1月23日までは1週間レポ金利、その後2018年5月31日まで後期流動性貸出金利、
2018年6月1日以降は再び1週間レポ金利を使用している。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年6月13日)

トルコリラの注目点と今後の見通し

トルコリラ安の一因として、金融当局に対する信認低下が挙げられます。当局は通貨安の一因となっているリラ建て預金の流出に歯止めをかけるため、2019年5月15日にリラを外国通貨に両替する際の総額の0.1%に外貨購入税を再導入しました(以前は1998~2009年に実施)。また、5月20日には銀行規制監督庁(BRSA)が10万ドル超の外貨購入の受渡日を従来よりも1日遅らせるよう通達しました。
対外政策面においては、トルコはNATO(北大西洋条約機構)の加盟国であるにもかかわらず、仮想敵国のロシアから最新鋭地対空ミサイルシステムS400を導入する計画であり、その場合、米国がトルコに対して「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づく制裁を発動することが最大のリスクと考えられます。向こう1年間のトルコリラの対円相場レンジを1トルコリラ=17.8~19.6円と予想します。

トルコリラの市場動向

トルコリラ相場は、2019年入り後に世界景気の減速懸念から軟調となりましたが、トルコ中央銀行の金融引き締め姿勢の維持が好感され、2月初旬にかけて底堅さを取り戻しました。しかし、2018年10-12月期の実質GDP成長率がマイナス圏に陥ったことを受けて、リラは下落基調となりました。3月下旬には世界的な景気減速懸念が再び強まり、トルコリラは対米ドルで一時6.5%下落しました。トルコ金融当局が通貨防衛策を講じたことでリラ相場は一時反発したものの、当局の市場介入姿勢が嫌気され、リラ相場は軟化しました。
3月31日の統一地方選挙で与党の求心力低下が明らかになったことや、トルコ政府が米国のけん制に反してロシアから最新鋭地対空ミサイルS400の購入計画を進め、米国との緊張が高まったことで、リラ相場は下げ足を強めました。4月17日付で英紙が、トルコ中銀の外貨準備水増し疑惑を指摘し、さらに、同25日の金融政策会合の声明文で金融引き締め姿勢が弱められたことが、リラ安に拍車をかけました。
トルコの選挙管理当局が5月6日、最大都市イスタンブールの市長選の再選挙を6月23日に実施することを決定すると、政治的不透明感が増し、リラは急落しました。金融当局は5月15日および20日にリラ建て預金の減少を止めるため、外貨購入を抑制する施策を打ち出しましたが、金融当局への信認低下からリラ安が進みました。
6月入り後には、世界的な金融緩和期待の高まりにより、リラも持ち直しに転じました。しかし、トルコ政府が計画どおりロシア製武器の購入を進める意向を示し、米国による経済制裁懸念が増す中、リラ相場は上値の重い展開が続いています。2019年6月14日15時現在、トルコリラ相場は対米ドル5.8リラ台後半、対円で18円台前半で推移しています。

トルコリラの市場動向

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年6月13日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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