マーケットアウトルック - トルコ市場・トルコリラ -

投資の視点は2020年12月14日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2021/01/12 現在

投資の視点

トルコ経済は足元でプラス成長に回復しています。目先は大幅利上げによる金融引き締めや国内の新型コロナ感染再拡大に伴う経済活動の制限再導入などから、消費主導の成長が鈍化する可能性も考えられます。アーバル新中銀総裁の下で金融政策に対する信認が回復しつつあることはリラの安定につながっています。一方、欧米による追加制裁懸念や新型コロナの感染再拡大による景気減速懸念は、引き続きリラの重石になると見られます。

金融政策

トルコ中央銀行は2020年12月24日の金融政策会合において、主要政策金利である1週間物レポレートを市場予想の1.5%ポイントを上回る2.00%ポイント引き上げ、17.00%とすることを決定しました。声明文では、「目標に沿ったインフレの恒久的な低下や物価安定が示されるまで金融引き締めを断固として維持する」方針が示されました。2会合連続の大幅利上げにより、同中銀の独立性が示されたことは、金融政策の信認向上につながると見られます。

金融政策

(注)政策金利の指標は、2018年5月31日まで後期流動性貸出金利、2018年6月1日以降は1週間レポ金利を使用している。政策金利は2021年1月7日発表の利上げを反映している。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成(直近値は2021年1月7日)

トルコリラの注目点と今後の見通し

トルコの最大の輸出先である欧州を中心に、新型コロナの感染抑制のため、行動規制を強化する動きが広まっており、トルコからの輸出や観光収入が減少し、経常収支の赤字が続いている点には留意が必要です。また、外貨準備減少に伴う外貨建て対外債務の返済懸念や、リラ建て預金から外貨建て預金への資金流出に加え、東地中海の天然ガス田の領有権問題や、ロシア製ミサイルシステム導入をめぐる欧米による追加制裁懸念は、リラ相場の重石となっています。

トルコリラの市場動向

2020年9月24日の金融政策会合で、トルコ中銀が主要政策金利の1週間物レポレートを8.25%から10.25%へ引き上げると、予想外の引き上げが好感され、リラは小幅反発しました。しかし、27日に旧ソ連のアゼルバイジャン南部のナゴルノカラバフ自治州をめぐり、同国とアルメニアが戦闘を開始すると、トルコは関与を強め、リラの下落につながりました。
10月7日にトルコがロシア製地対空ミサイルS-400をテストのため黒海沿岸に配備したことが報じられ、対米関係の悪化懸念が強まったこと、14日までにトルコが東地中海にガス田に探査船を再派遣し、欧州連合(EU)による対トルコ制裁リスクが再燃したことから、リラ安が進みました。22日の同会合では、大方の追加利上げ予想に反して1週間レポレートが据え置かれる一方、事実上の上限金利である後期流動性貸出金利の引き上げが決定され、金融政策の不透明性に対する懸念からリラは下落しました。23日にトルコがロシア製地対空ミサイルの試射を認め、米国による対トルコ制裁のリスクが意識されたことを受け、11月6日にリラは対円で12円台前半と、史上最安値を更新しました。
11月7日の中銀総裁更迭に続き、9日に財務相が交代し、大統領が金融政策への支持を表明すると、リラは大幅反発しました。19日の同会合で大幅利上げと金融政策の透明性を高める措置が打ち出されると、一段高となりました。上昇一服後、国内の感染再拡大に伴う経済活動の制限措置を受け、リラは軟化しました。30日発表の7-9月期の実質GDPが市場予想を上回ると、強含みに転じました。
12月11日にEU(欧州連合)首脳会議で対トルコ追加制裁が合意され、14日に米国が対トルコ制裁を発動したことを受け、リラは上値を重くしました。24日の同会合で市場予想を上回る利上げが決定され、金融引き締め継続の方針が示されると、リラは上昇しました。
2021年に入り、足元のインフレ加速から追加利上げ期待が高まったことなどを背景に、リラは上昇基調となりました。1月8日15時現在、対米ドル7.3リラ台前半、対円で14円台前半で推移しています。2021年末のトルコリラの対円相場を1リラ=13.2円と予想します。

トルコリラの市場動向

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2021年1月7日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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