マーケットアウトルック - トルコ市場・トルコリラ -

投資の視点は2018年11月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/12/10 現在

投資の視点

トルコでは、選挙後に権限を拡大したエルドアン大統領が金融政策へ介入する姿勢を強めており、中央銀行は政治的圧力に屈せずに独立性を維持できるかが問われています。インフレが高止まりする中、中銀が追加的な金融引き締めを実施すれば市場のさらなる信認につながると見られます。
米国人牧師の解放や経済制裁解除を受け、米国との関係は改善しました。景気減速による輸入の減少で経常収支は黒字に転じた一方、金融収支は証券投資が流出超過となっています。中長期的にリラが持ち直し基調を維持するには、インフレ率が大幅に減速することが必要と見られます。

金融政策

トルコ中央銀行は、9月13日の金融政策会合で政策金利である1週間物レポレートを17.75%から24.00%へ6.25%ポイント引き上げることを決定した後、政策金利を据え置いています。トルコ中銀の信認回復には追加利上げが必要ですが、通貨リラが持ち直し基調にあることで、次回12月13日の会合では利上げ見送りとの見方が大勢です。

グラフ

(注)政策金利の指標は、2017年1月23日までは1週間レポ金利、その後2018年5月31日まで後期流動性貸出金利、2018年6月1日以降は再び1週間レポ金利を使用している。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年12月6日)

トルコリラの注目点と今後の見通し

トルコリラが長期的な下落基調にある背景として、高インフレと短期対外債務の増加など経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)の悪化が挙げられます。
リラ下落に伴う物価高や大幅利上げの影響により、個人消費が冷え込み、2018年後半は景気の急減速が続くと見られます。内需減速により輸入は大幅に減少し、経常収支は8月に黒字へ転換した後、9月も黒字を維持しました。
2018年11月の消費者物価(CPI)上昇率は前年同月比+21.6%と、10月の同+25.2%から減速しました。政策金利(24.0%)から11月のCPI上昇率を差し引いた実質政策金利はプラスに転じました。リラが回復基調にあることから、次回12月13日の会合で追加利上げの可能性は低いとみられるものの、中央銀行が金融引き締め姿勢を維持することは信認を高める上で重要となります。

トルコリラの市場動向

トルコリラ相場は2018年5月以降下落基調を強めました。5月14日にエルドアン大統領が金融政策への統制を強める旨を発言すると、トルコリラは一段安となりました。
トルコ中央銀行は5月23日の緊急利上げに続き、6日1日より金融政策の透明化を図る措置を打ち出し、さらに6月7日に1.25%ポイントの利上げを実施しました。これを受けてリラは一時下げ止まったものの、その後再び下落しました。6月24日の選挙を経て権限が強化されたエルドアン大統領は、金融政策への介入姿勢を強めました。7月24日の会合では、市場の利上げ予想に反して政策金利が据え置かれ、金融政策への信認低下がリラ相場の重しとなりました。
8月初旬には米国とトルコが双方に2閣僚に対する制裁や追加関税を発動したことで、両国の対立は深刻化し、リラは翌週13日にかけて対米ドルで一時20%超下落しました。
9月13日にトルコ中銀が大幅利上げに踏み切ったことに続き、10月12日に米国人牧師が解放され、11月2日には米国とトルコ双方が経済制裁措置を解除するなど、対米関係が改善したことで、リラ相場は足元にかけて緩やかに持ち直しています。
経済ファンダメンタルズ面では、年初来のリラ安に伴う内需落ち込みなどにより輸入が減少したことで、8~9月の経常収支が約3年振りに黒字化したことや、11月のインフレ率が減速したことなどもリラ相場の回復を後押ししました。
2018年12月7日15時現在、トルコリラ相場は対米ドル5.3リラ台前半、対円で21円台前半で推移しています。向こう1年間のトルコリラの対円相場レンジを1リラ=20.3~22.5円と予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年12月6日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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