マーケットアウトルック - トルコ市場・トルコリラ -

投資の視点は2019年10月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2019/11/11 現在

投資の視点

トルコでは、インフレ減速や経常収支の黒字化など、経済ファンダメンタルズ(基礎条件)が改善しています。減税策や大幅利下げに伴う景気底打ちは、リラの支援材料になると見られます。他方、政府による金融政策への政治的介入に対する懸念は、リラ相場にとり、リスクと考えられます。
トルコがシリア北東部のクルド人勢力に対する軍事作戦を停止したことを受け、米国との緊張は緩和されました。シリア側の国境沿いの「安全地帯」からクルド人勢力が退去したことで目先の地政学リスクは後退しましたが、同地域の情勢先行き不透明感には引き続き注意が必要です。

金融政策

トルコ中央銀行は、インフレ減速を受け、7月25日の金融政策委員会で政策金利を24.00%から4.25%ポイント引き下げたのを皮切りに、9月12日の会合で3.25%ポイント、10月24日の会合で2.50%ポイントと、3会合連続で市場予想を上回る利下げを決定し、政策金利を14.00%へ引き下げました。政府による利下げ要求が続く一方、インフレ率が年末にかけ再び加速する可能性もあり、金融緩和の継続がどの程度可能となるか、同中銀の舵取りが注目されます。

金融政策

(注)政策金利の指標は、2017年1月23日までは1週間レポ金利、その後2018年5月31日まで後期流動性貸出金利、
2018年6月1日以降は再び1週間レポ金利を使用している。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年11月7日)

トルコリラの注目点と今後の見通し

インフレの落ち着きを受け、トルコ中央銀行は7月、9月および10月に3会合連続で累計10.00%ポイントの利下げを実施しました。金融緩和効果や政府の景気刺激策により消費は回復しつつある一方、巨額の外貨建て債務を抱える企業の投資の落ち込みは成長の妨げとなっています。政府は景気回復のため、トルコ中銀に対し利下げ圧力を強めていますが、同中銀が独立性を維持できるかが注目されます。
10月29日に米下院が新たに対トルコ制裁法案を可決するなど、両国の関係は予断を許さない状況です。11月13日に予定される米トルコ首脳会談が注目されます。
トルコリラの安定には、金融政策の信認回復と米国との関係改善が条件と見られます。向こう1年間のトルコリラの対円相場レンジを1トルコリラ=16.2~18.9円と予想します。

トルコリラの市場動向

2019年7月6日にエルドアン大統領が中銀総裁を更迭したことや、12日にトルコ政府がロシア製最新鋭地対空ミサイル(S400)の搬入を開始し、米国との緊張を高めたことを受け、トルコリラ相場は一時弱含む局面もありましたが、総じて堅調さを維持しました。7月25日の金融政策委員会では大幅利下げが決定されたものの、利下げ幅はインフレ減速に見合う幅となり、市場の反応は限定的でした。しかし、8月19日に中銀による民間金融機関に対する貸出促進策が金融緩和と受け止められたことや、同日にトルコ内務省がテロ組織への関与の疑いからクルド系3市長の職務を停止したことでリラは下落しました。
9月に入り、米中通商協議の進展期待から市場でリスク選好地合いが回復すると、トルコリラは上昇しました。12日の金融政策委員会では大幅利下げが決定されましたが、政策金利がインフレ率を上回る水準に維持されたことが安心感につながり、リラ高が進みました。
10月7日に米軍のシリア北東部からの撤収表明を受け、トルコ軍が9日に同地域のクルド人勢力への軍事作戦を開始すると、リラは一時対円で18円台前半へ急落しました。トルコが17日に米国、22日にロシアとの合意を経て軍事作戦を停止し、23日に米国が対トルコ経済制裁を解除すると、リラは回復基調となりました。24日の会合での市場予想を上回る利下げを受けてリラは一時弱含みましたが、トルコの停戦合意による地政学リスクの後退がリラの下支えとなりました。11月4日公表の10月の消費者物価上昇率が前年比+8.55%へ減速したことは、リラ相場の下支えとなりました。11月8日15時現在、トルコリラ相場は対米ドル5.7リラ台後半、対円で19円近傍で推移しています。

トルコリラの市場動向

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年11月7日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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