マーケットアウトルック - トルコ市場・トルコリラ -

投資の視点は2018年8月20日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/9/18 現在

投資の視点

トルコでは、2018年6月24日の大統領選挙で再選されたエルドアン大統領が権限を拡大し、金融政策への介入を強めました。インフレは年末にかけて加速する見通しである中、中央銀行が独立性を回復し、金融引き締めを継続することはリラ相場を下支えすると見られます。           
他方、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国である米国がトルコに制裁を発動するなど両国の対立が深刻化していることはリラ相場の重しになっています。中長期的にリラ相場が回復するには、対米関係の修復に加え、インフレが減速し、対外収支が改善することが条件になると見られます。

金融政策

トルコ中央銀行は、9月13日の金融政策委員会で政策金利である1週間物レポレートを17.75%から24.00%へと6.25%ポイント引き上げました。市場予想(3.25%ポイント)
を上回る利上げに加え、資金供給手段が本来の政策金利で行われることで、金融政策に対する市場の信認は回復すると見られます。

グラフ

(注)政策金利の指標は、2017年1月23日までは1週間レポ金利、その後2018年5月31日まで後期流動性貸出金利、2018年6月1日以降は再び1週間レポ金利を使用している。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年9月13日)

トルコリラの注目点と今後の見通し

トルコリラが長期的な下落基調にある背景として、高インフレと大幅な経常収支赤字など経済ファンダメンタルズの悪化が挙げられます。リラ相場の急落に伴う物価高やトルコ中央銀行による大幅利上げによる影響などから、2018年後半は景気減速が続くと見込まれます。内需減速により輸入が減少し、経常収支は改善に向かうことが見込まれます。
金融政策においては、エルドアン大領統による政治的圧力に屈せず、中央銀行がインフレ抑制のため金融引き締め姿勢を維持できるかどうかが注目されます。
対外関係においては、トルコで自宅軟禁下にある米国人牧師の釈放要求を巡り、米国政府が対トルコ制裁に続き追加関税を発動し、トルコも同様の制裁と関税賦課で応じています。今後、リラ相場の安定化には米国との関係修復が図られることが必要と見られます。

トルコリラの市場動向

トルコリラ相場は2018年5月に入り、大手格付機関による格下げ(※)や4月のインフレ指標の加速を受け、下落基調を強めました。5月14日にエルドアン大統領が6月の選挙で再選された場合には金融政策への統制を強めるとした発言が伝わると、トルコ中央銀行の独立性に対する懸念が強まり、トルコリラは一段安となりました。
トルコ中銀は5月23日の緊急利上げに続き、6日1日より金融政策の透明化を図る措置を打ち出し、さらに6月7日に1.25%ポイントの利上げを実施しました。これを受けてリラは一時下げ止まりましたが、その後再び下落しました。
6月24日の選挙を経て権限が強化されたエルドアン大統領は、金融政策への介入姿勢を強めました。7月24日の会合では、市場の利上げ予想に反して政策金利が据え置かれ、金融政策への信認低下がリラ相場の重しとなりました。
米国が8月1日、トルコによる米国人牧師の拘束を巡ってトルコの2閣僚に対して制裁を発動したことに対し、トルコも4日に報復制裁に踏み切り、両国の対立は深刻化しました。8月10日にトランプ米大統領が対トルコ追加関税を表明すると、リラは翌週13日にかけて対米ドルで一時20%超下落しました。その後、トルコ金融当局の通貨安抑制策によりその後リラの下落は一服しましたが、8月17日には大手格付機関2社がトルコの格付(※)を引き下げたことを受け、再び弱含みとなりました。
9月13日にトルコ中銀が市場予想を上回る大幅利上げを決定したことを受け、金融政策の独立性に対する懸念が後退し、リラ相場は反発しました。2018年9月14日15時現在、トルコリラ相場は対米ドル6.1リラ台前半、対円で18円台前半で推移しています。(※無登録格付)

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年9月13日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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