マーケットアウトルック - トルコ市場・トルコリラ -

投資の視点は2019年7月16日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2019/08/13 現在

投資の視点

トルコでは、過去1年超にわたる金融引き締めを背景に、消費や投資が落ち込み、景気低迷が続いています。景気浮揚を図る政府の圧力により、トルコ中央銀行による金融政策の自由度が制限されかねないことや、リラ買い介入に伴う外貨準備の減少に対して、市場は懸念を強めています。
通貨リラが安定するには、金融政策に対する信認が回復し、インフレ減速や経常収支赤字の縮小など経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)が改善することが条件となります。さらに、トルコがロシア製ミサイルの配備を進めるにあたり、対米関係の悪化を食い止めることができるかが焦点となります。

金融政策

トルコ中央銀行は、7月25日の金融政策会合で政策金利を24.00%から4.25%ポイント引き下げ、19.75%としました。利下げ幅は市場予想(2.50%ポイント)を大幅に上回りましたがインフレ減速幅にほぼ見合った幅で、実質金利(政策金利ー消費者物価上昇率)は高水準であることから、リラの反応は限定的でした。野村證券では、利下げ幅は金融市場の動向によるものの、2019年末までに政策金利は14~18%まで引き下げられる可能性があるとみています。

金融政策

(注)政策金利の指標は、2017年1月23日までは1週間レポ金利、その後2018年5月31日まで後期流動性貸出金利、
2018年6月1日以降は再び1週間レポ金利を使用している。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年8月8日)

トルコリラの注目点と今後の見通し

トルコでは、景気低迷を背景にインフレが減速しています。消費者物価(CPI)上昇率は2018年10月の前年同月比+25.2%をピークに、2019年6月に同+15.7%へ減速した後、7月には同+16.7%へやや加速しました。物価の落ち着きを受けて、トルコ中央銀行は大幅利下げを実施しましたが、政治的な圧力に対する市場の懸念と景気の下支えへの期待の綱引きが続くと見られます。
トルコ政府は2019年7月にロシア製最新鋭地対空ミサイルシステムS400の搬入を開始し、2020年4月までに配備を完了する計画です。NATO(北大西洋条約機構)の加盟国でありながら、仮想敵国の軍備を導入するトルコに対し、米国が「敵対者に対する制裁措置(CAATSA)」に基づく制裁を発動するリスクが懸念されます。向こう1年間のトルコリラの対円相場レンジを1トルコリラ=17.0~19.7円と予想します。

トルコリラの市場動向

トルコリラ相場は、3月下旬に世界的な景気減速懸念が強まると、対米ドルで一時6.5%下落しました。トルコ中央銀行の通貨防衛策によりリラは一時反発したものの、当局の市場介入姿勢が嫌気され、リラ相場は軟化しました。
3月31日の統一地方選挙で、与党が首都アンカラを始め主要な都市で敗北するなど求心力低下が明らかとなったことや、トルコ政府が米国のけん制に反してロシアから最新鋭地対空ミサイル(S400)の購入計画を進め、米国との緊張が高まると、リラ相場は一段と下げ足を強めました。4月17日付で英紙がトルコ中銀の外貨準備水増し疑惑を指摘し、同25日の金融政策会合の声明文で金融引き締め姿勢が弱められたことは、リラ安に拍車をかけました。 5月6日にイスタンブールの市長選の再選挙(6月23日実施)が決定され、政治の先行き不透明感が増すと、リラは急落しました。
6月23日のイスタンブール市長選の再選挙で、野党候補が再び勝利したことは、民主主義が尊重されたとしてリラ高につながりました。しかし、エルドアン大統領が7月6日、金融政策をめぐり対立していた中銀総裁を更迭すると、中央銀行の独立性に対する懸念が強まり、リラが下落しました。さらに、トルコ政府が7月12日にロシア製地対空ミサイルシステムS400の搬入開始を公表すると、米国による経済制裁への懸念からリラは軟化しました。7月25日の金融政策会合では大幅な利下げとなりましたが、先進国の金融緩和姿勢、トルコのインフレ減速から市場の反応は限定的でした。大幅利下げによる景気回復期待や経常収支の黒字化などを追い風に、8月9日15時現在、トルコリラ相場は対米ドル5.4リラ台後半、対円で19円台前半で底堅く推移しています。

トルコリラの市場動向

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年8月8日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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