マーケットアウトルック - トルコ市場・トルコリラ -

投資の視点は2018年9月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/10/15 現在

投資の視点

トルコでは、選挙後に権限を拡大したエルドアン大統領が金融政策への介入姿勢を強めており、中央銀行は政治的圧力に屈せずに独立性を維持できるかが問われています。インフレが加速する中、中銀が追加利上げに踏み切れるかどうかは、リラ相場の動向を左右すると見られます。           
NATO(北大西洋条約機構)の加盟国である米国とトルコが双方に制裁を発動して両国の対立が深刻化したことは、リラ相場の重しになっています。中長期的にリラ相場が回復するには、対米関係の修復に加え、インフレが減速し、対外収支が改善することが必要でしょう。

金融政策

トルコ中央銀行は、9月13日の金融政策委員会で政策金利である1週間物レポレートを17.75%から24.00%へと6.25%ポイント引き上げました。市場予想(3.25%ポイント)
を大幅に上回る利上げに加え、資金供給手段が本来の政策金利で行われることで、金融政策に対する市場の信認は回復しつつあります。

グラフ

(注)政策金利の指標は、2017年1月23日までは1週間レポ金利、その後2018年5月31日まで後期流動性貸出金利、2018年6月1日以降は再び1週間レポ金利を使用している。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)

トルコリラの注目点と今後の見通し

トルコリラが長期的な下落基調にある背景として、高インフレと大幅な経常収支赤字など経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)の悪化が挙げられます。リラ下落に伴う物価高や大幅利上げの影響により、個人消費の冷え込みなどから、2018年後半は景気の急減速が続くと見込まれます。内需減速に従って輸入が減少することで、経常収支は改善に向かうことが予想さます。
2018年9月の消費者物価(CPI)上昇率が前年同月比+24.52%と、2003年8月以来約15年ぶりの高水準へ加速したことを受け、市場では次回10月25日の会合における追加利上げ期待が高まっています。
トルコ裁判所が10月12日の審理で米国人牧師の解放に向けて前向きな判断を下すかどうかは、トルコの対米関係およびリラ相場の行方を占う上でカギを握ります。

トルコリラの市場動向

トルコリラ相場は2018年5月に入り、大手格付機関による格下げ(※)や4月のインフレ指標の加速を受け、下落基調を強めました。5月14日にエルドアン大統領が6月の選挙で再選された場合には金融政策への統制を強めるとした発言が伝わると、トルコ中央銀行の独立性に対する懸念が強まり、トルコリラは一段安となりました。
トルコ中銀は5月23日の緊急利上げに続き、6日1日より金融政策の透明化を図る措置を打ち出し、さらに6月7日に1.25%ポイントの利上げを実施しました。これを受けてリラは一時下げ止まりましたが、その後再び下落しました。
6月24日の選挙を経て権限が強化されたエルドアン大統領は、金融政策への介入姿勢を強めました。7月24日の会合では、市場の利上げ予想に反して政策金利が据え置かれ、金融政策への信認低下がリラ相場の重しとなりました。
米国が8月1日、トルコによる米国人牧師の拘束を巡ってトルコの2閣僚に対して制裁を発動したことに対し、トルコも4日に報復制裁に踏み切り、両国の対立は深刻化しました。8月10日にトランプ米大統領が対トルコ追加関税を表明すると、リラは翌週13日にかけて対米ドルで一時20%超下落しトルコショックを引き起こしました。その後、トルコ金融当局の通貨安抑制策により、リラの下落は一服しました。9月13日にトルコ中銀が市場予想を大幅に上回る利上げを決定したことを受け、リラ相場は反発しました。さらに米国人牧師が近く解放されるとの報道や、米国が対トルコ制裁を解除するとの観測に加え、8月の経常収支が約3年振りに黒字化し、リラ相場の回復を後押ししました。2018年10月12日15時現在、トルコリラ相場は対米ドル5.8リラ台後半、対円で19円台前半で推移しています。(※無登録格付)

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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