マーケットアウトルック - トルコ市場・トルコリラ -

投資の視点は2019年1月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2019/2/12 現在

投資の視点

トルコでは、通貨安に伴いインフレが加速し、民間消費を中心に内需が減速しました。輸入の落ち込みにより経常収支が黒字転換した一方、2018年7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+1.6%と、年前半の同+5.3%から急減速し、前期比では-1.1%とマイナス成長となりました。
景気減速に伴い、経常収支の黒字化やインフレ減速が進展するなど経済の不均衡は是正されつつあり、リラの底堅さにつながっています。一方、これまでのリラ安によるトルコの企業や銀行の外貨建て債務返済負担の増加がトルコ経済の足かせになるリスクには留意が必要です。

金融政策

トルコ中央銀行は、景気減速やインフレ率の低下を理由に、1月16日の金融政策会合で政策金利の1週間物レポレートを24.00%に据え置きました。声明文で金融引き締め継続の方針が明示されたことを踏まえ、野村證券では、一部市場で懸念されている次回3月6日の会合での利下げの可能性は低いと見ています。

グラフ

(注)政策金利の指標は、2017年1月23日までは1週間レポ金利、その後2018年5月31日まで後期流動性貸出金利、2018年6月1日以降は再び1週間レポ金利を使用している。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年2月7日)

トルコリラの注目点と今後の見通し

トルコリラが長期的な下落基調にある背景として、高インフレと短期対外債務の増加など経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)の悪化が挙げられます。
リラ下落に伴う物価高や大幅利上げの影響により、個人消費が冷え込み、2019年に景気後退に陥ると予想しています。内需減速により輸入は大幅に減少し、経常収支は8月~11月にかけて以降4ヵ月連続で黒字が続いています。
2018年12月の消費者物価(CPI)上昇率は前年同月比+20.3%と、10月の同+25.2%をピークに2ヶ月連続で減速しました。政策金利(24.0%)からCPI上昇率を差し引いた実質政策金利のプラス幅が拡大したことは、リラの支援材料です。一方、2019年3月31日に統一地方選挙を控える中、トルコ政府が財政支出を拡大させたり、国内外で政治的に強硬姿勢を強める可能性には注意が必要です。

トルコリラの市場動向

トルコリラ相場は、2018年8月初旬に米国とトルコが双方の2閣僚に対する制裁や追加関税を発動し、両国の対立が深刻化したことを受け、8月半ばにかけて対米ドルで一時20%超下落しました(トルコショック)。
リラ急落に対して、トルコ中央銀行が9月13日に大幅利上げを決定し、さらにトルコ政府が10月12日に対立の一因となっていた米国人牧師を解放し、11月2日には米国とトルコ双方が経済制裁措置を解除するなど、両国の関係が改善したことで、リラ相場は持ち直しました。経済ファンダメンタルズ(経済の基礎条件)面では、2018年初来のリラ安に伴う内需落ち込みなどにより輸入が減少したことで経常収支は黒字化しました。また、リラ相場の秋以降の回復やエネルギー価格の下落などを背景に11月に続き12月のインフレ率も減速基調を維持しました。
政府による減税や公共料金引き下げが3月末まで延長されたことで、インフレ率は2019年入り後も低下基調となることが予想されます。こうした対外収支の改善とインフレ率の低下見通しはリラ相場の回復を後押ししました。
一方、3月の統一地方選挙に向けて、政府が景気下支えのため財政拡張策を打ち出したことや、野党が出資する大手金融機関への関与を強める姿勢を示したことはリラの上値を抑えています。足元では、欧州の景気減速懸念から、同地域への輸出割合が大きいトルコリラの下落圧力につながっています。2019年2月8日15時現在、トルコリラ相場は対米ドル5.2リラ台後半、対円で20円台後半で推移しています。向こう1年間のトルコリラの対円相場レンジを1リラ=17.0~23.0円と予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2019年2月7日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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