マーケットアウトルック - 米国市場 -

投資の視点は2017年6月19日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/7/10 現在

投資の視点

オバマケアの改正案について上院共和党執行部は法案の微修正を経て採決に持ち込む意向ですが、穏健派、保守派双方を満足させる修正は難しく、上院で比較的早期に採決に持ち込めるか微妙な情勢です。上院での採決を断念ということになれば、議会の焦点は減税法案、債務上限引き上げ、2018年度予算案へとシフトすることになります。なお、トランプ政権の所得税減税、法人税減税、インフラ投資計画などは依然として詳細が判明せず、不透明感が強いですが、野村證券は減税、インフラ投資などの政策が実現する可能性は依然として高いと見込んでおり、企業業績拡大など設備投資が加速する環境は整っていると思われます。一方、足もとの経済指標はモメンタム(勢い)の回復を示唆しています。6月のISM製造業景況指数は57.8となり、2014年8月以来の高い水準となりました。受注、生産が改善する一方、在庫が減少するという望ましい形となりました。また、同月のISM非製造業景況指数も57.4と市場予想の56.5を大幅に上回り、前月からも上昇しました。6月の非農業部門雇用者数は前月比+22.2万人となり、市場予想の同+17.8万人を上回りました。ただし、時間当たり賃金は前年比+2.5%と低い伸びにとどまっています。

金融政策より

6月13-14日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が公開されました。数人の参加者が数ヶ月以内のバランスシート(BS)縮小開始を支持していることが示されています。一方で、数人の参加者は年後半までBS政策に関する決断を先送りし、景気及びインフレ動向を見極めた方が良いとしており、そのうち数人の参加者は、近いうちにBS政策を変更すれば、緩やかに正常化を進めていくという方針が変わったと市場に受け止められる可能性があると指摘しています。5月の消費者物価(CPI)、及び個人消費支出(PCE)価格指数が弱かったことは、7月のFOMCにおいてBS政策を変更する可能性を低下させたと考えられます。野村證券は9月のFOMCにおいてBS(バランスシート)正常化プログラムを公表し、10月から縮小を開始、12月のFOMCにおいて利上げが行われると予想します。2018年は3月及び9月のFOMCにおいてそれぞれ利上げが行われると予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年7月7日)

米国株の注目点

1-3月期の米国経済の落ち込みは一時的であり、再びモメンタムを回復してゆくものと引き続き想定しています。2017年に入り、自動車販売の減速は鮮明になっていますが、堅調な雇用が個人消費、住宅市場の拡大を支え、今後は民間企業の設備投資の拡大も期待されます。S&P500を構成する米国主要企業の業績は、2017年通期は前年比11.3%、2018年通期は同11.9%と2桁の増益が見込まれています(S&P500、トムソンロイター調べ、7月7日時点)。今後1年間のS&P500株価指数の想定レンジを2200-2600ポイント、1年後予想を2500ポイントと予想します。

株式のマーケット動向から

2017年に入ると、トランプ政権の税制や通商政策を巡る不透明感や、1月17日にメイ英首相がEUからの完全離脱方針を発表したことなどを受けて、NYダウは2万ドルを目前に足踏みする展開となりました。しかし、2016年10-12月期の主要企業の良好な決算を受け、1月25日に史上初めて2万ドル台へ上昇しました。
更に2月28日のトランプ大統領の議会演説は従来よりも過激さが薄まったと市場は好感し、3月1日には21000ドル台へ上昇しました。その後、トランプ政権の政策実現可能性に懸念が広がり2万ドル台で足踏みとなりましたが、業況が好調なハイテク関連株が主導する形で、ナスダック指数は4月25日に史上初めて6000ポイントの大台を突破しました。
5月に入り、2017年度予算の成立、1-3月期の主要企業の良好な決算などを背景に米国株式市場は堅調に推移し、5日にNYダウは21000ドルを回復しました。ロシアゲートを巡るトランプ政権のスキャンダルを受けて17日は372ドル安となりましたが、その後、OPEC(石油輸出国機構)と非OPEC主要産油国による原油協調減産延長との見通しから原油価格が再上昇する中、25日まで6営業日連続で3指数とも続伸しました。ロシアゲートを巡るトランプ政権のスキャンダルが懸念材料となる中でも、米国企業の良好な業績見通しを背景に6月入り後も米国株式市場は堅調に推移し、NYダウ、S&P500、ナスダックともに連日のように史上最高値を更新しました。7月に入ってからは金利上昇を受けてやや足踏み状態となっています。7月7日のNYダウの終値は21414ドルとなっています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年7月7日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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