マーケットアウトルック - 米国市場 -

投資の視点は2017年5月15日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/5/22 現在

投資の視点

米国の1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.7%と弱含みました。個人消費の落ち込みが主因ですが、これは税還付の遅延によるものであり、一時的な減速と考えられます。4月の小売売上高は前月比+0.4%と市場予想の同+0.6%を下回ったものの、2月分、及び3月分は上方修正されています。加えて、GDPの個人消費の推計に利用されるコア小売売上高(自動車、ガソリン、建設資材、飲食サービスを除く)も同+0.2%と市場予想の同+0.4%を下回りましたが、ここでも2月分、及び3月分は上方修正されています。コア小売売上高は弱くはないと考えられます。一方、4月の鉱工業生産は前月比+1.0%となり、2014年3月以来の高い伸びとなりました。製造業も同+1.0%と2014年2月以来の大幅増となりました。1-3月期の米国経済の落ち込みは一時的なものと判断されます。調整に時間を要するものの、減税、インフラ投資などの政策が実現する可能性は依然として高いと見込んでいます。トランプ政権は規制緩和や法人税制改革で米国内の投資を促進するという方向は示しており、企業業績拡大など設備投資が加速する環境も整っていると思われます。今後は民間企業の設備投資が米国経済拡大の長期化、及び加速の鍵を握っていると言えるでしょう。
なお、「ロシアゲート」に関してトランプ大統領の弾劾手続きには下院議員の過半数、上院議員の3分の2の賛成が必要です。トランプ大統領に対する共和党支持者の支持率は約80%と高く、身内である共和党議員が見限るような状況ではありません。

金融政策より

4月のコアCPI(食料品、エネルギーを除く消費者物価)は前月比+0.1%とマイナスだった3月(同-0.12%)からは加速したものの、弱い伸びにとどまっています。前年比では+1.9%と3月の同+2.0%から減速しました。携帯電話サービスと宿泊費以外の品目では弱い動きが続いており、コアCPIは足もとで減速しています。今後の利上げペースなどを想定するうえで、コアCPIの動きには注意が必要です。なお、野村證券は今後のFRBの金融政策について、2017年の利上げは6月、9月にそれぞれ0.25%ポイントずつ、2017年12月のFOMCにおいてバランスシート政策の変更(満期を迎えた保有証券の再投資縮小) 、2018年は6月、9月にそれぞれ0.25%ポイントの利上げ、と想定しています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年5月19日)

米国株の注目点

1-3月期の米国経済の落ち込みは一時的であり、今後は再びモメンタム(勢い)を回復してゆくものと想定しています。自動車販売の伸びしろは無くなりつつありますが、引き続き堅調な雇用が個人消費、住宅市場の拡大を支え、今後は民間企業の設備投資の拡大も期待されます。S&P500を構成する米国主要企業の業績について、2017年通期は同11.3%増益、2018年通期は同11.8%増益が見込まれています(S&P500、トムソンロイター調べ、5月19日時点)。なお、今後1年間のS&P500株価指数の想定レンジを従来の2000-2400ポイントから2200-2600へ、1年後予想を従来の2400ポイントから2500ポイントへと上方修正しました。

株式のマーケット動向から

NYダウは2016年10月中旬にかけて経済指標の持ち直しや、原油価格の上昇を背景に18000ドル台前半で堅調に推移しました。しかし、クリントン候補の私用メール問題を受け、10月27日から7営業日連続安となりました。11月9日は次期米大統領にトランプ氏が決定、米上下院も共和党が過半数を制し、減税やインフラ投資の実現可能性が高まったと市場は受け止め、256ドル高となりました。22日には史上初めて19000ドル台へと上昇し、その後もNYダウ、S&P500指数、ナスダック指数ともに史上最高値を更新しました。
2017年1月10日のトランプ大統領の記者会見では具体的な政策が示されず、17日にメイ英首相がEUからの完全離脱方針を発表したことなどを受けてNYダウは2万ドルを目前に足踏みする展開となりました。しかし、2016年10-12月期の主要企業の良好な決算を受け、1月25日に史上初めて2万ドル台へ上昇しました。更に、2月28日のトランプ大統領の議会演説を市場は好感し、3月1日に21000ドル台へ上昇しました。その後、トランプ政権の政策実現可能性に懸念が広がり2万ドル台で足踏みとなりましたが、ナスダック指数は4月25日に初めて6000ポイント台を超えました。5月に入り、2017年度予算の成立、医療保険制度改革法案の下院での可決、1-3月期の主要企業の良好な決算などを背景に米国株式市場は堅調に推移しました。5月5日にNYダウは21000ドルを回復し、ナスダック指数、S&P500指数は史上最高値を更新中です。なお、ロシアゲートを巡るトランプ大統領のスキャンダルを受けて、17日は372ドル安となりました。19日の終値は20804ドルとなっています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年5月19日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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