マーケットアウトルック - 米国市場 -

投資の視点は2018年9月18日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/10/15 現在

投資の視点

米国、カナダ、メキシコは新NAFTA(米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA))で合意に至りました。合意内容には、カナダとメキシコは米国による自動車輸入関税の適用を免除されることが含まれています。9月26日のトランプ大統領と安倍首相による新たな二国間協議の開始に関する共同声明を受けて、米国が当面、日本車に対する輸入関税を適用する可能性は低下しています。これは、欧州委員会のユンケル委員長とトランプ大統領の7月の合意内容とほぼ同様の動きと判断されます。ただし、全面的な自動車輸入関税の発動が回避されるかどうかは欧州連合(EU)、日本と米国の今後の交渉にかかっています。
11月30日~12月1日に開催される主要20ヶ国・地域(G20)首脳会合において、トランプ大統領と習近平国家主席が通商摩擦緩和を模索する可能性が考えられますが、一方で、今回のUSMCA合意を受けて、トランプ政権が対中通商摩擦におけるスタンスを軟化させる可能性は低下するとみられ、更に強硬な対中追加貿易措置を検討する可能性があり、引き続き留意する必要があるでしょう。
一方、米国の雇用市場は堅調に推移しています。9月の非農業部門雇用者数は前月比+13.4万人となり、市場予想の同+18.5万人を下回りましたが、失業率は3.7%と約48年ぶりの低水準となりました。

金融政策

10月2日、FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長は、景気情勢とインフレの関係を中心に講演しました。インフレについてはいくつかのリスク(インフレ期待が大きく変動する、(労働市場のタイト化を受けて)急激にインフレが昂進する、失業率の均衡水準が想定よりも低いなど)があると指摘しながらも、インフレ期待が安定している限り、インフレが想定を外れて加速するリスクは大きくないとの見解を示しました。
なお、次回のFOMC(米連邦公開市場委員会)は11月7~8日に開催されます。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)

米国株の注目点と今後の見通し

米国景気は財政政策の効果もあって好調に推移しています。長短金利の逆転(逆イールド)が景気悪化のサインとの見方がありますが、まだ実現したわけでもなく、景気悪化を懸念する状況にはないと思われます。リスクは、賃金上昇の加速により長期金利の急騰が生じ、FRB(米連邦準備理事会)によるインフレ抑制が後手に回ることですが、インフレ加速が明確化する前に利上げを強化すれば、景気そのものはソフトランディング(軟着陸)すると考えられます。
S&P500指数を構成する米国主要企業の業績は2018年通期は前年比+22.6%、2019年通期は同+10.3%と増益継続が予想されています(S&P500、トムソンロイター調べ、10月11日時点)。今後1年間のS&P500指数の想定レンジを2700-3100ポイント、1年後を2800ポイントと予想します。

株式市場動向

NYダウは米中通商摩擦が先鋭化する中、6月12日から21日まで8営業日続落となりました。トランプ政権が7月10日に中国からの輸入品2000億ドル相当に対する追加関税措置のリストを発表した後、これに中国からの報復措置が発表されなかったため、13日には25000ドルを回復しました。その後は米中通商摩擦に対する懸念が強まる中でも、好決算や堅調な経済指標に支えられ、25000ドル台で推移しました。NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉で米国とメキシコが大筋合意したことを好感し、8月27日には26000ドルを回復しました。9月17日に発表された米国の中国からの輸入品2000億ドルに対する追加関税措置は想定よりも穏当だったため、21日に史上最高値を更新しました。最近の米長期金利上昇を懸念して10月10日には831ドル安、11日は545ドル安となりました。11日の終値は25052ドルです。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年10月11日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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