マーケットアウトルック - 米国市場 -

投資の視点は2017年10月16日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/11/13 現在

投資の視点

7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+3.0%となり、4-6月期(同+3.1%)に続き2四半期連続の3%成長となりました。特に、機械設備投資は4四半期連続、輸出は3四半期連続で増加しています。在庫投資も増えており、在庫調整局面が終了したこと、輸出が伸びていることなどを背景に製造業を中心とした景気の加速が確認できます。なお、11月から年末商戦が始まりますが、NRF(全米小売業協会)は小売売上高総額を前年比+3.6~+4.0%と堅調な伸びを予想しています。米国経済は今後も堅調に推移することが見込まれます。一方、上院財政委員会が税制改正の上院案の概要を発表しましたが、地方税控除全廃の代わりに住宅ローン控除を維持、医療費控除など一部所得税控除の温存、所得税7区分を維持、企業の海外所得に対する税率などで下院案とは異なる部分が含まれています。上院共和党と下院共和党の修正協議が長期化する可能性を示唆しています。なお、連邦債務上限は12月8日に凍結の期限が訪れ、財務省は借入を増やさず支払を行うべく「特例措置」の適用を迫られることになるでしょう。

金融政策より

10月31日-11月1日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文では、金融政策見通しの変更を示唆するような修正はありませんでした。文言が修正された点は、エネルギー及び食料を除くコアインフレ率は引き続き弱いとする文章が加えられた一方、ハリケーンの影響により短期的にインフレ圧力が生じるとしていた文章は外されたことです。エネルギー価格を除けばハリケーンによる物価上昇圧力は見られないこと、更にコアインフレ率に上昇の気配がないことをFRBも認めています。しかし、中期的にインフレが2%に戻っていくとの文言は依然として維持されており、中期的なインフレ見通しに変更を迫るような状況にならない限り、12月利上げは揺るがないという姿勢が示されています。なお、11月2日、トランプ大統領は次期FRB議長にパウエルFRB理事を指名しました。大統領を始め政府高官はイエレン路線の継続を望んでいたと言われていましたが、ムニューシン財務長官はオバマ政権からの変化を印象づける意味もあり、イエレン議長の政策を継承しうる人物としてパウエル理事を推していました。最終的にはトランプ大統領がムニューシン財務長官の意見を受け入れて、共和党員でもあるパウエル理事の指名となりました。パウエル理事が議長に就任すれば(上院の承認が必要)、金融政策の方向性はしばらく変わらない可能性が高いと考えられます。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年11月10日)

米国株の注目点

FRBは金融政策正常化を続けるものと思われますが、インフレ率の上昇ペースが緩慢なことから長期金利の上昇は緩やかであり、米国株は緩やかな上昇を続けやすいと思われます。企業業績は引き続き好調さが見込まれ、「適温経済」の下で「適温相場」が続くでしょう。また、株価上昇を牽引しているネット、ハイテク関連の主力企業の持続的な成長力は引き続き米国株のドライバーとして期待できます。S&P500を構成する米国主要企業の業績は、2017年通期は前年比11.3%、2018年通期は同11.2%と2桁の増益が見込まれています(S&P500、トムソンロイター調べ、11月10日時点)。今後1年間のS&P500株価指数の想定レンジを2400-2800ポイント、1年後予想を2800ポイントと予想します。

株式のマーケット動向から

2017年3月1日に21000ドル台へ上昇したNYダウは、その後トランプ政権の政策実現可能性に懸念が広がり2万ドル台で足踏みとなりました。業績好調のハイテク関連株が主導する中、ナスダック指数は4月25日に史上初めて6000ポイントの大台を突破しました。
5月に入り、1-3月期の主要企業の良好な決算などを背景に米国株式市場は堅調に推移し、5日にNYダウは21000ドルを回復しました。ロシアゲートを巡るトランプ政権のスキャンダルが懸念材料となる中でも、米国企業の良好な業績見通しを背景に6月入り後も米国株式市場は堅調に推移し、NYダウ、S&P500、ナスダック指数(主要3指数)は連日史上最高値を更新しました。インフレ指標の減速で金利が低下する中、7月中旬以降に3指数は再び史上最高値を更新しました。4-6月期の米国企業の好決算を受けて、8月2日にNYダウは史上初めて22000ドル台へ上昇しました。
その後、北朝鮮を巡る地政学リスクなどにより頭を抑えられた展開となりましたが、9月11日に国連安保理が北朝鮮に対する新たな制裁決議を全会一致で採択したことなどを背景に9月半ば以降、NYダウは堅調に推移しています。10月以降も米議会での予算審議が進行し、減税の議論が進むとの期待も加わり、良好な7-9月期企業決算もあいまって主要3指数は連日のように史上最高値を更新しています。11月10日のNYダウの終値は23422ドルとなっています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年11月10日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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