マーケットアウトルック - 米国市場 -

投資の視点は2017年8月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/9/11 現在

投資の視点

9月8日、トランプ大統領は、ハリケーン・ハービー救済措置に12月8日までの暫定予算案と同日までの連邦債務法定上限の停止を盛り込んだ法案に署名し、9月末に迫った政府閉鎖のリスク、及び米国債のデフォルトリスクを回避しました。ただし、政府閉鎖などのリスクを3ヶ月間先送りしただけとも言え、これらの問題が再燃するリスクは残ります。今回の合意で、トランプ大統領は民主党の提案を丸呑みする一方、共和党議会幹部の意見を軽視する結果となりました。共和党が税制改革では減税などに慎重な姿勢に終始しているため、民主党と手を組む姿勢を見せたものと考えられます。大統領には法案、予算提出の権限はなく、政策の立法化や法改正では、与党共和党議員が法案を提出することになります。大統領と与党共和党の関係が悪化する場合には、景気は底堅く推移していますが、大統領政権運営に悪影響を与えるリスクに留意する必要があります。なお、債務の法定上限については財務省の特別措置が認められているため、資金繰りについては、2018年3月辺りまでは問題が発生しないと見られています。

金融政策より

FRB(米連邦準備制度理事会)のフィッシャー副議長は“個人的な理由“により10月13日前後に辞任するとの声明を出しています。フィッシャー副議長は10月15日に74歳の誕生日を迎えるため、引退する予定ではないかと考えられていました。現在、議長、副議長を含めてFRB理事は4名いますが、11月からは3名となります。連邦準備法によりますと、通常必要とされる5名以上の理事がいない場合でも、現職理事全員の賛成があればFRBに与えられている権限を行使することはできると定められており、連邦準備法13条3項に規定されている流動性供給策も必要があれば実行することができます。2018年6月までの任期を残してフィッシャー副議長が退任することにより、2018年2月に任期満了となるイエレン議長の路線が継続されるかどうかはより一層不確実になりました。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年9月8日)

米国株の注目点

米国経済は2%をやや上回る(潜在成長率を上回る)成長の継続により、金融政策正常化が続きやすいと思われます。一方、雇用逼迫が賃金上昇やインフレ率上昇につながらず、企業業績が圧迫されにくい状況が続くため、株高が続きやすい環境にあります。また、株価の上昇を牽引しているネット、ハイテク関連の高成長主力企業は他社から市場シェアを奪うなどの形でマクロ経済成長率を上回って成長しており、こうした要因も引き続き米国株の上昇に寄与するでしょう。S&P500を構成する米国主要企業の業績は、2017年通期は前年比11.5%、2018年通期は同10.9%と2桁の増益が見込まれています(S&P500、トムソンロイター調べ、9月7日時点)。今後1年間のS&P500株価指数の想定レンジを2200-2600ポイント、1年後予想を2550ポイントと予想します(従来は2500ポイント)。

株式のマーケット動向から

2017年に入ると、1月17日にメイ英首相のEUからの完全離脱方針などを受けて、NYダウは2万ドルを目前に足踏みする展開となりました。しかし、2016年10-12月期の主要企業の良好な決算を受け、1月25日に史上初めて2万ドル台へ上昇しました。更に2月28日のトランプ大統領の議会演説は従来よりも過激さが薄まったと市場は好感し、3月1日には21000ドル台へ上昇しました。その後トランプ政権の政策実現可能性に懸念が広がり2万ドル台で足踏みとなりましたが、業況好調のハイテク関連株が主導し、ナスダック指数は4月25日に史上初めて6000ポイントの大台を突破しました。5月に入り、2017年度予算の成立、1-3月期の主要企業の良好な決算などを背景に米国株式市場は堅調に推移し、5日にNYダウは21000ドルを回復しました。ロシアゲートを巡るトランプ政権のスキャンダルが懸念材料となる中でも、米国企業の良好な業績見通しを背景に6月入り後も米国株式市場は堅調に推移し、NYダウ、S&P500、ナスダックともに連日史上最高値を更新しました。インフレ指標の減速により金利が低下する中、7月中旬以降、3指数は再び史上最高値を更新しています。4-6月期の米国企業の好決算を受けて、8月2日にNYダウは史上初めて22000ドル台へ上昇しました。その後、北朝鮮を巡る地政学リスクや白人至上主義を巡るトランプ大統領の発言を嫌気し、頭を抑えられた展開となりましたが、堅調な経済指標を受けて、足もとでナスダック指数は再び史上最高値を更新し、NYダウは9月1日まで4営業日続伸しています。8日の終値は21797ドルとなっています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年9月8日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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