マーケットアウトルック - 米国市場 -

投資の視点は2018年4月16日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2018/4/23 現在

投資の視点

米中の通商問題に関して、米国は知的財産侵害に対する制裁関税の対象品目リストを5月20日前後に発表する見通しですが、更に中国をWTO(世界貿易機関)に提訴する方針です。中間選挙を意識したトランプ大統領のパフォーマンスと見られ、「貿易戦争」には至らないと思われます。現状では双方とも国内法に基づく輸入関税引き上げをちらつかせる段階で、最終的にはWTOの枠組みを利用して交渉する構えですので、自由貿易を否定しているわけではなりません。最終的に中国が(共産党体制に影響しない程度の)サービス業の市場開放などで譲歩して決着する可能性が高いと思われます。これは中国経済の改革開放路線にも合致しています。
制裁関税の対象となる米国向け輸出規模が1,500億ドルと厳しい要求であるため、中国政府は反発していますが、貿易戦争は中国にとっても打撃が大きく、4月10月のボーアオ会議における習近平国家主席が表明したように、構造改革の方向性に一致する金融などのサービス業の市場開放などで対応すると思われます。貿易摩擦問題は中国が米国に譲歩する形で決着すると考えらます。ただし、米国が中国の共産党体制に影響するような通信やメディアでの市場開放や、製造業高度化などを目指す「中国製造2025」に関わる補助金削減などに狙いを定めると交渉は難航するでしょう。なお、中国が人民元切り下げカードを切る可能性は資本流出リスクなどを踏まえると低いと思われます。

金融政策より

3月20-21日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が公表されましたが、特に注目すべき新しい情報は見られませんでした。議事録では、FOMC参加者の多くが景気やインフレの見通しに対して楽観的になっている一方、貿易摩擦に対する懸念はそれほど示されませんでした。財政政策(減税と財政出動)を受けて景気見通しを上方修正したことに加えて、足もとのインフレ関連指標はインフレ率が2%に向かって上昇していくという予測の確度を高めていると述べられています。なお、1-3月期の経済指標が弱含んでいることは一時的であり、所得税還付の遅れや季節調整の歪みなどが要因として挙げられています。一方、鉄鋼及びアルミニウム製品に対する輸入関税の引き上げが景気全体に大きな影響をもたらすとは考えていないと述べられています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年4月20日)

米国株の注目点

3月の非農業部門雇用者数は前月比+10.3万人とやや弱めでしたが、2月が強すぎた(同+32.6万人:改定値)反動もあり、1-3月期を均せば月20万人を上回る雇用増が続き、雇用は堅調です。所得税還付の遅れや季節要因などで1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.0%を下回る見込みですが、4-6月期には持ち直すものと予想されます。これまでの政策金利引き上げが市場の変動性(ボラティリティ)の上昇につながっている面はありますが、米国景気のピークアウトの時期は、財政政策の効果とその反動を考慮すると2019年後半以降と見られます。一方、インフレ加速リスクは一頃に比べ落ち着いています。S&P500指数を構成する米国主要企業の業績は2018年通期は前年比+19.9%、2019年通期は同+10.0%と2桁増益が見込まれています(S&P500、トムソンロイター調べ、4月20日時点)。今後1年間のS&P500指数の想定レンジを2500-2900ポイント、1年後を2900ポイントと予想します(従来通り)。 

株式のマーケット動向から

NYダウは2018年1月4日に25000ドル台、17日には26000ドル台へ続伸しました。しかし、2月2日に発表された2018年1月の時間当たり賃金が予想を上回る伸びとなり、米金利が大幅に上昇する中、同日の終値は前日比2.5%下落しました。その後も米10年国債利回りが約4年ぶりとなる水準へ上昇し、落ち着き所を模索する中、8日には23000ドル台後半へ下落しました。27日のパウエルFRB議長の想定よりもタカ派的な発言を受けて同日は299ドル安、28日は380ドル安となりました。
トランプ大統領がアルミ・鉄鋼に輸入関税を課す計画を発表した3月1日には420ドル安となりましたが、米朝首脳会談の可能性が浮上したことを好感し9日には25000ドル台を回復しました。しかし、米中通商摩擦に対する懸念から再び24000ドル台へ下落し、22日にトランプ政権が対中関税措置を打ち出したことを受けて724ドルの大幅安となり、23日も424ドル安となりました。
その後は米中通商摩擦に対する悲観論がやや後退し、24000ドル台を回復しましたが、4月5日にトランプ大統領がUSTRに対し1000億ドルの中国製品の関税を引き上げる追加制裁を指示したことを受け、4月6日は572ドル安となりました。その後は24000ドル台で推移しています。20日の終値は24462ドルとなっています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2018年4月20日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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