マーケットアウトルック - 米国市場 -

投資の視点は2017年3月21日に野村マンスリー投資会議で確認された内容に基づいています。

2017/3/27 現在

投資の視点

3月16日に大統領の裁量的支出に対する予算案が発表されました(裁量的支出は歳出全体の3分の1程度)。トランプ政権が主張している国防費の大幅増額とそれ以外の省庁の予算の削減を実現するためには、国防費予算にキャップを設ける条項を含んでいる2011年予算管理法を修正する必要があると考えられます。上院の共和党の議席数が(民主党の議会妨害を回避できる)60を下回っている状況では、予算管理法の修正は容易ではないと思われます。一方、下院共和党執行部はオバマケア法の改正法案について下院での採決を目指しましたが、下院共和党の党派である茶会党グループや、共和党保守派の下院議員連盟フリーダム・コーカスが大幅な変更が加えられない限り、同法案の採決に反対するとの意向が強く、結局、採決は見送られました。なお、3月25日にムニューシン財務長官は「税制改革は必ず実施する。法人と個人を対象とし、分割することはない」と述べ、税制改正に向けた強い意欲を示しました。1兆ドルのインフラ投資計画の具体的なスケジュールや財源、法人税減税、中間層に対する税控除に関する具体的な内容は5月に発表される予定である予算教書で示されるものと推察されます。なお、米国株式市場は引き続き「米国の成長率が加速する」とのストーリーを前提に概ね堅調に推移しています。米国の実体経済は雇用増加による底堅い個人消費、住宅投資の回復を背景に堅調な成長が続くと見込まれます。

金融政策より

3月14-15日に開催されたFOMCは、市場予想通り政策金利であるFFレートの誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、0.75-1.00%としました。注目されたFOMC参加者の政策金利予測の中央値については、2019年が2.875%から3.0%へ上方修正されただけでほとんど変更がありませんでした。予測の中央値から判断する限り、2017年中にあと2回、2018年中には3回の利上げが想定されています。ただし、前回2016年12月のFOMCと比べると、予想の分布は中央値よりも下の裾野が狭くなっており、FOMC内でコンセンサスが醸成されつつあることを示唆しています。記者会見においてイエレン議長は今回の利上げについて、「景気見通しや金融政策の経路見直しを反映したものではない」と述べ、利上げのペースを速める意図はないことを強調しました。野村證券は2017年はあと2回の利上げ(9月、12月)が行われ、2018年中は2回の利上げ(6月、9月)が行われると予想します。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年3月24日)

米国株の注目点

不透明要因が徐々に後退する中、米国経済は2017年を通じて堅調な成長を続けることが見込まれます。米国企業業績は2017年通期は同10.8%の増益、2018年通期は12.1%の増益が見込まれています(S&P500、トムソンロイター調べ、2017年3月24日時点)。今後1年間のS&P500株価指数のレンジを2000-2600ポイント(従来は2000-2500ポイント)、1年後を2500ポイントと想定します。

株式のマーケット動向から

NYダウは、2016年10月中旬にかけて、9月の米ISM景気指数など経済指標の持ち直しや、大統領選におけるクリントン候補優勢との状況、原油価格の上昇も株価を下支えし、18000ドル台前半で総じて堅調に推移しました。しかし、クリントン候補の私用メール問題を受け、10月27日から11月4日まで7営業日連続安となりました。次期米大統領にトランプ氏が決定し、米上院、下院も共和党が過半数を制したことから、トランプ氏の掲げる「減税、インフラ投資」の実現可能性が高まったと市場は受け止め、11月9日は256ドル高となりました。22日には史上初めて19000ドル台へと上昇しました。その後も、NYダウ、S&P500指数、ナスダック指数ともに史上最高値を更新し、米国株式市場は堅調に推移しました。2017年1月10日のトランプ大統領の記者会見では具体的な政策が示されず、17日にメイ英首相がEUからの完全離脱方針を発表したことなどを受けて、NYダウは20000ドルを目前に足踏みする展開となりました。しかし、経済指標が堅調に推移する中、2016年10-12期の主要企業の決算も概ね予想以上となり、NYダウは1月25日に史上初めて20000ドル台へ上昇しました。2月28日のトランプ大統領の議会演説は過去の講演に比べより穏やかであると市場は概ね好感しました。NYダウは3月1日に21000ドル台へ上昇しました。その後、トランプ政権の政策実現可能性にやや懸念が広がり、20000ドル台で足踏みとなっています。3月24日の終値は20596ドルとなっています。

グラフ

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成(直近値は2017年3月24日)


  • 内容は、「野村マンスリー投資会議」で確認されたグローバルな各資産に関する見方や投資視点などに基づいて作成しております。
  • 「野村マンスリー投資会議」は、グローバル・リサーチによる主要国・地域の景気、金利、為替、株価見通しを前提に、投資戦略を検討する月例の会議です。

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