2023.08.31 NEW
【前半】NISA乗り遅れ組も間に合う 世界株インデックスから資産ベースをつくる方法
※上記はイメージ図で、投資成果を示唆するものではありません
上場企業勤務の50代。子供の教育費もゴールが見えてきて、2024年の新NISAをきっかけに、徐々に投資を開始して老後資金を増やしたい……。
そんな相談者さんに、NISAを活用した資産形成に詳しいFP(ファイナンシャル・プランナー)の横田健一さんが「現行のつみたてNISAから始めて、新NISAからはしっかり投資しましょう」とアドバイスします。
【相談者プロフィール】
52歳 男性 IT大手勤務 年収1,000万円
子供2人(23歳、17歳)
・長男は大学を卒業して社会人。次男は理系の大学進学希望の高校生
・妻は50歳で、パート収入が年間100万円
・持ち家で、住宅ローンは完済
資産
貯蓄 2,200万円
勤務先の自社株 500万円分
退職金 60歳定年時に1,500万円程度
投資への興味 これまで持株会のみ。日本の個別株投資には興味あり、しかしベースとしては投資信託を複数持つべきかと思っている。つみたてNISA口座を開設したが、どう始めていいかわからず活用していない。
教育費捻出が終わるまですべて現金で持たなくてもいい
相談者
- 持株会に入って自社株は積み立てていましたが、それ以外は投資の経験なくここまできてしまいました……。子供の教育資金の準備が終わったら、少しずつ投資を始めて老後のために資産形成をしなければと思っています。新NISAも始まると聞くけど、うちはまだあと6年はかかりますね。今のうちに勉強だけはしておきたいのですが、何から始めればいいでしょうか。
横田健一さん(以下、横田)
- 事前に相談者さんのライフプランや家計の収支についてヒアリングしたところ、相談者さんは住宅ローンを完済しています。また現在のお二人の収入で家族の生活資金や教育資金を賄えています。それであれば、貯蓄が2,200万円ある状態で、教育資金が終わるまで待機する必要はないと思います。余裕は十分あります。
ファイナンシャルプランナー、ウェルスペント代表
横田健一さん
1976年、静岡県生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院修士課程修了。マンチェスター・ビジネススクール経営学修士(MBA)。野村證券でデリバティブ商品の開発やトレーディング、経営企画などを経験後、2018年に独立。年間100万PVのサイト「資産形成ハンドブック」(>https://shisankeisei.jp/)やYouTubeで情報発信。近著に『新しいNISA かんたん最強のお金づくり』(河出書房新社)
横田
-
新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠が併用可となり、年間投資枠が合計360万円に拡充されます。生涯の非課税保有限度額(以下、「生涯投資枠」)は計1,800万円で、非課税保有期間が無期限となります。
現行のつみたてNISAは、年間40万円の非課税投資枠があり、20年間の非課税期間が終了するまで運用を継続できます。月々にしますと3.3万円が上限となりますが、今すぐ現行のつみたてNISAで投資を始めてみる。それで慣れていき、新NISAが始まったら本格的に投資をしていいのではないでしょうか。
相談者
- そうなんですか。でも、下の子がこれから大学生で理系志望のため、学費は最低でも年間140万円で6年分かかると思っています。浪人したり留学したりして、もっとかかるかもしれない。怖くて投資できないなと思っていました。
横田
-
投資に回したお金は“触れられない定期預金”のような感覚でとらえている人もいるんですが、そうではありません。投資信託で毎月積み立てながら、資金が必要な期間は一部売却して使う、厳しいときは積み立てを休んでもいいし、余裕が出たらまた積み立てを開始するという流動性を持たせていいんですよ。
新NISAでは、生涯投資枠は最大1,800万円ですが、売却したら翌年から枠を再利用できます。こんなイメージです。
NISAの資産を売却した場合、翌年から再利用可能になる。横田健一著『新しいNISA かんたん最強のお金づくり』(河出書房新社)より引用
相談者
- なるほど。一度投資という箱にお金を入れたら、ずっと入れっぱなしにするのが長期投資だと思い込んでいました。では何に投資するのがいいでしょうか。
横田
- どんなイメージを持っていますか?
相談者
- 複数の投資信託に少しずつ分散投資したうえで、余裕が出てきたら個別株投資もやってみたいです。投資が得意な同僚が、配当が出るたびにちょっと贅沢しているのがうらやましくて。投資信託は日本株と米国株と新興国株と、債券を含むバランスファンドも入れるとリスクが抑えられますかね。たくさんあって迷ってしまいますが。
横田
-
なるほど。個別株は楽しみの部分としてあとで考えるとして、まず長期の資産形成を目的とするなら、ベースはそんなに難しく考えることはありません。幅広い世界の株式を対象とした、低コストのインデックスファンド1本から始めてOKです。
たとえば、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、日本を含む先進国、新興国の計47カ国に分散投資するもので、運用資産残高が1兆円を超えています(2023年7月時点)。組み入れ銘柄の特徴として、各国の上場企業のなかでも特に規模が大きめの企業を対象としています。また、同じく世界株式を投資対象にするファンドで、最近設定された「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」は、業界最低水準の運用管理費用ということで注目を集めています。※1
※1 2023年5月末時点。ファンドの対象指数と同一の指数を対象とする追加型公募株式インデックスファンド(ETF、DC専用、投資一任向けを除く)の運用管理費用(実質信託報酬率等を含む信託報酬率)について野村アセットマネジメント調べ
他に、もっと幅広い企業も対象にしているものや、逆に新興国を除いて先進国だけに投資するものなど、種類があります。いずれも1ファンドで多いものでは数千銘柄に分散しているので、必ずしも自分で分散をする必要はないんです。
相談者
- え、そうなんですか! でも株だけですよね……不安な気がします。世界同時株安がまたくるんじゃないかと思って。
横田
- これを見てください。世界株の動きをとらえる指標として有名なのが、米国のMSCI社が算出しているMSCI指数のひとつ、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」です。その35年分の推移を見てみましょう。
横田健一著『新しいNISA かんたん最強のお金づくり』(河出書房新社)より引用。リターンの数字は年率。上記は過去の実績であり運用成果を示唆・保証するものではない。出所:MSCI Inc. ACWI Gross JPY factsheet(MAR 2023) データ:MSCI
相談者
- おお! たしかにアップダウンしながらも全体は上がっていますね。全世界というと、実感がわかなくて、ピンとこなかったんですよね。
横田
- では、世界株式インデックスの「MSCI ACWI」について、もう少し解像度を上げてみてみましょう。(後半に続く)
【関連リンク】
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」、「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」の詳細、投資リスク・手数料等については、以下のリンク先の目論見書等よりご確認ください。
- 「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」
- https://advance.quote.nomura.co.jp/meigara/nomura2/qsearch.exe?F=users/nomura/detail2&KEY1=0331418A
- 「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」
- https://advance.quote.nomura.co.jp/meigara/nomura2/qsearch.exe?F=users/nomura/detail2&KEY1=01312237