2025.03.19 NEW

日銀、政策金利維持を決定 市場では次回会合で利上げとの見方も 野村證券ストラテジストが解説

日銀、政策金利維持を決定 市場では次回会合で利上げとの見方も 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

市場の一部では早ければ次回会合で利上げとの見方も

日本銀行は3月18~19日に金融政策決定会合を開催し、事前の市場予想通り政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%程度で据え置きました。日銀は声明文の中でインフレに関して「見通し期間の後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる」との見解を示し、利上げ継続の意向を明らかにしました。

植田日銀総裁は従来、(名目金利からインフレを引いた)実質金利が大幅なマイナスにあることから、経済・物価見通しに沿って推移すれば、利上げを継続する意向と示しています。政策金利の着地点として景気に対し緩和的でも引き締め的でもない中立金利を念頭に置いているとしつつも、具体的な水準としては「1.0~2.5%程度」と相当な幅をもって見ています。日銀内で最もタカ派的(利上げに積極的)と目されている田村審議委員が2月6日の講演で、「2025年度後半までに、最低でも1.0%程度への利上げが必要」と発言したことを受けて、市場では利上げ観測が高まっています。市場の織り込むターミナルレート(政策金利の最終着地点)の参考値として注目される円スワップ2年先1ヶ月物金利は、2月6日以降、1.0%を上回って推移しています。また、市場の利上げ観測と連動する形で10年国債利回りが上昇し、為替市場では円高要因となっています。

市場の利上げ観測と日本10年国債利回りの推移

市場の利上げ観測と日本10年国債利回りの推移のイメージ (注)データは日次で、直近値は2025年3月18日。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

野村證券では、日銀は25年7月と26年1月に0.25%ポイントずつ利上げを実施し、政策金利を1.0%まで引き上げると予想しています。ただし、市場の一部では早ければ次回(4月30日~5月1日)の決定会合で利上げとの見方も高まっています。ただし、トランプ政権を巡る政策不透明感が依然として高いこともあり、日銀が早々に次の利上げ時期や今後の利上げペースに関するフォワードガイダンス(指針)を示す可能性は低いと考えられます。このため金融市場では当面の間、金融政策の行方に対して神経質な状況が続きそうです。

野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト
尾畑秀一
1997年に野村総合研究所入社、2004年に野村證券転籍。入社後、一貫してエコノミストとして日本、米国、欧州のマクロ経済や国際資本フローの調査・分析に従事、6年間にわたり為替市場分析にも携わった。これらの経験を活かし、国内外の景気動向や政策分析、国際資本フローを踏まえ、グローバルな投資戦略に関する情報を発信している。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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