2025.03.24 NEW
日本株、4つの逆風は消えず 業績・マクロ環境とバリュエーションがサポート要因に 野村證券ストラテジストが解説
業績拡大を主因にTOPIXは2025年末に3,000へ
日本株は、日本銀行の金融引き締めや円高の進行、トランプ関税、半導体への懸念という4つの逆風にさらされています。これらの問題は2025年3月に入っても解消される気配がなく、むしろ米国景気への懸念を背景に一層深刻化しています。
S&P500が調整局面に入る可能性も意識されていますが、その後の日米株の反発を左右するのは米国景気の動向です。株価だけを見ると深刻な景気後退に陥るようにも見えますが、直近の米国のマクロ経済指標の弱含みは一時的な要因によるものが多い点に注意が必要です。
米国経済や株式市場は、歴史的に大統領が誰であってもほとんど影響を受けることなく拡大してきました。そのため、トランプ氏に対する過度な期待や悲観は避けるべきです。野村では米国景気が拡大基調を維持すると見込んでおり、当面は日本株にストレスがかかるものの、その後は上昇に転じる可能性が高いと判断しています。
日経平均株価はチャート上で弱含む一方、TOPIX(東証株価指数)は底堅さを示しています。その底堅さの背景には、日本企業の堅調な業績や自社株買い、さらに中長期投資家の押し目買い意欲があると考えられます。一方で、日経平均株価は日銀の金融引き締めや円高の進行、半導体への懸念が強まる局面で下落しやすい状況となっています。
日本株が大幅安となった2024年8月との共通点としては、日銀の金融引き締めや米国景気後退への懸念が挙げられます。ただし、当時との違いとして、現在は投機ポジションがすでに円ロング・株ショートの方向に傾いている点が指摘されます。また、TOPIXの動向を先読みする上で有益とされる「需給・センチメント合成スコア」が2025年2月時点でやや改善したことも、TOPIXの底堅さを示唆する材料といえます。
アナリストによる業績予想の上方修正から下方修正の件数を引いた値を全修正件数で割って算出する「リビジョン・インデックス」は上方修正が優勢で、日本のエコノミック・サプライズ指数もプラス圏で推移しています。値上げに加え、生産回復による数量効果が2025年度の増益要因になるとみています。
バリュエーション(投資尺度)面では、12か月先の予想PER(株価収益率)が14倍前後、予想配当利回りが2.5%前後で推移しており、これが株価を下支えする要因になると考えられます。
今後、米国景気の懸念が一巡するとともに、PERは景気拡大期の中央値である15倍前後に回復すると予想しています。また、EPSの拡大を踏まえ、2025年末にはTOPIXが3,000、日経平均株価が42,000円に達するという見通しが妥当であると引き続き考えています。
セクター判断は、外需では2025年度も2桁増益が期待される電機・精密、機械を引き続き選好しています。一方、自動車セクターについては引き続き回避する方針です。内需については、2025年度の増益の確度が高い銀行と建設を選好し、小売セクターは引き続き回避する方針です。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
日本株投資戦略(3月号) – 下値探る日経平均vs底堅いTOPIX(2025年3月14日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。
※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。