2025.07.08 NEW
トランプ氏、日本への25%関税を表明 過度な悲観も楽観も不要 野村證券ストラテジストが解説
トランプ米大統領は、日本に対し、25%の関税をかけると発表しました。野村證券のトップダウン業績予想では、これまで10%関税や、自動車・鉄鋼・アルミニウムへの25%関税を想定していましたが、今回すべての品目に25%関税がかかる場合の影響について試算を行いました。
25%関税がTOPIXのEPSへ与える具体的影響
TOPIX(東証株価指数)のEPS(1株当たり利益)について、全品目に25%の関税が適用された場合、追加でおよそ1~2.5%程度押し下げられる可能性があると考えます。具体的には、関税コストを価格に転嫁できない場合、2025年度のEPSは1.6%、通年で影響を受ける2026年度は2.3%の押し下げと試算しています。
一方で、関税コストの半分を価格に転嫁できた場合、2025年度のEPSは1.0%、2026年度は1.5%の押し下げにとどまる見込みです。
影響を受けやすい分野と間接的なリスク
特に、米国向け輸出が大きい建設機械、半導体製造装置、重電機器、コピー印刷機、医療機器などの業種への影響が懸念される可能性があります。また、直接的な関税による影響だけでなく、国内外のマクロ景気を通じた間接的な影響も考慮する必要があります。
25%関税の適用は2025年8月1日以降とされていますが、これが最後通牒というわけではありません。以上を踏まえると、過度に悲観的または楽観的になる必要はないと考えます。
今後の交渉について
日本政府は参議院選挙を控えており、現時点で米国の要求を全面的に受け入れるのは政治的に難しい状況です。ベッセント米財務長官なども日本側の政治事情を理解しているとみられます。実際、赤沢亮正経済財政・再生担当大臣が7月8日に都内で応援演説を行うなど、交渉は一時休止となっている模様です。
7月20日の参院選後も自公政権の枠組みが維持されれば、最終的に10%関税と自動車の25%関税が落としどころとなる可能性があると野村證券は見ています。7月末の交渉が大きな節目となります。一方、選挙を経て自公政権の枠組みに大きな変化が生じた場合は、関税交渉の先行きに不透明感が高まる可能性があります。
株式市場の反応と足元の動き
7月7日の米国株式市場では、主要株価指数や日本株指数の先物が一時的に約1%下落しました。しかし、これは最近の株価上昇の反動による側面が強いとみています。恐怖指数とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)も18前後にとどまっています。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
Quick Note – 日本株朝メモ:25%関税第一印象 – 交渉は続く、過度の悲観も楽観も不要(2025年7月8日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。