2025.10.02 NEW

米政府閉鎖と日本株 過去の傾向ではTOPIXは比較的堅調 野村證券ストラテジストが解説

米政府閉鎖と日本株 過去の傾向ではTOPIXは比較的堅調 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

過去50年で20回目、過去の傾向を振り返る

米国連邦政府の一部閉鎖は過去50年で20回目となります。今回を除く過去19回の平均値や中央値で傾向を確認すると、経済や株式市場への目立った悪影響は限定的だったと言えます。

過去の米国政府閉鎖時の株式市場の反応
閉鎖開始日 閉鎖終了日 閉鎖中のS&P500 閉鎖中のTOPIX 閉鎖中の日本株外需vs内需
1990年10月6日 1990年10月8日 0.30% 4.70% 5.50%
1995年11月14日 1995年11月18日 1.30% 1.30% -4.30%
1995年12月16日 1996年1月5日 0.00% 6.00% 10.40%
2013年10月1日 2013年10月16日 2.40% 0.20% -3.20%
2018年12月22日 2019年1月26日 8.00% 3.20% -2.60%
1976年以降の19回の平均値 0.30% 0.30% -2.10%
1976年以降の19回の中央値 0.30% -0.40% -2.30%

(出所)米国商務省、米国労働省、S&P、JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成

背景や経緯、決着の仕方は毎回異なりますが、S&P500は開始後25営業日前後は横ばい圏でのもみ合いが続いた後、上昇を再開する傾向が見られました。TOPIX(東証株価指数)も、閉鎖後に大きな下押し圧力を受けにくく、相対的に堅調な推移となる傾向が過去にはありました。

1976年以降の米国政府閉鎖前後のTOPIXの傾向

米政府閉鎖と日本株 過去の傾向ではTOPIXは比較的堅調 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

(出所)JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成

閉鎖期間は平均7.5日です。ただし、閉鎖期間が8〜12日前後の場合は、S&P500もTOPIXも軟調になりやすい傾向が見られました。一方で、2013年10月や2018年12月のように閉鎖が長期化した際も、日米の株価は総じて堅調でした。2018年12月はFRB(米連邦準備理事会)による金融緩和期待が相場の下支えとなったように、マクロ経済政策のハト派(金融緩和を志向)への姿勢転換などを通じた株式市場への影響に、多角的な目配りが必要です。

米国政府閉鎖期間別のTOPIXの傾向

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(出所)JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成

国家防衛戦略経由で対日防衛費増額圧力も

ブックメーカー(賭け屋)のオッズでは、9月後半時点で今回の政府閉鎖は高い確率で織り込まれており、意外感は乏しい状況です。オバマケア(医療保険制度改革法)延長を巡る与野党の対立や駆け引きも、過去の事例に近い構図です。一方で、OMB(米行政管理予算局)が政府職員の一時解雇を通じて歳出削減を進め、小さな政府につなげようとする姿勢は、従来と異なる点です。

10月に公表が見込まれる米国の国家防衛戦略にも注目しています。例えば米軍のミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」計画など、ハイテク技術を用いた国内防衛に重点配分する方針が示されれば、その影響が同盟国に波及し、日本を含む同盟国に対する防衛費増額圧力が一段と強まる可能性があります。なお、10月末にはトランプ大統領の韓国・日本訪問が予定されています。

日本株物色面では、外需株やバリューが短期的に軟調もその後に回復

日本株では、政府閉鎖開始後の30営業日前後は外需株が軟調になりやすく、特に閉鎖期間が長引く場合、外需株の相対的なアンダーパフォームが拡大しやすい傾向がありました。バリュー(割安)株とグロース(成長)株の相対では、政府閉鎖開始後はバリュー株が弱含みますが、50営業日前後を経過するとバリュー株の優位性が見られるようになる傾向がありました。時価総額のサイズでは、開始後は小型株がやや優位となるものの、25営業日前後を過ぎると小型株と大型株の間で明確な差は見られませんでした。

米国の政府閉鎖期間中における東証33業種の騰落率を中央値で比較すると、銀行業、情報・通信業、証券・商品先物取引業、卸売業、その他金融業、陸運業が相対的に堅調でした。一方で、精密機器、電気機器、水産・農林業、ゴム製品、鉄鋼、輸送用機器は軟調な傾向が見られました。

米国政府閉鎖期間中の東証33業種の騰落率(中央値)

米政府閉鎖と日本株 過去の傾向ではTOPIXは比較的堅調 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

(注)1976年以降の19回の中央値を算出。
(出所)JPX総研、日本経済新聞社より野村證券市場戦略リサーチ部作成

(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

編集元アナリストレポート

日本株メモ:米国連邦政府閉鎖と日本株 – 外需株やバリューが短期的に軟調な傾向(2025年10月1日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

※この記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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