2025.10.17 NEW
大阪関連銘柄、維新の副首都構想で浮上 ”万博跡地”で話題の大阪IRも大きなテーマに 野村證券・寺田絢子
撮影/タナカヨシトモ(人物)
10月13日に閉幕した大阪・関西万博や「副首都構想」を掲げる日本維新の会の自民党との連立政権の構築を視野にした政策協議入りなどを経て、大阪関連銘柄への注目が高まっています。2030年開業予定の大阪IRを軸に、大阪関連銘柄について野村證券投資情報部ストラテジストの寺田絢子が解説します。
万博や副首都構想で大阪への注目が高まる
足元で、大阪に関する話題が絶えません。大阪・関西万博は10月13日に閉幕しました。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、半年間の開催を通じて未来社会を形づくる理念や先端技術を発信しました。国内開催で過去最多の158ヶ国・地域が参加し、一般来場者は2,500万人を超えました。大阪周辺では来場者増が交通や買い物、飲食などにプラスに働いたとの声もあり、経済波及効果が生じたとされています。
自民党と日本維新の会は10月15日、首相指名選挙での協力や連立政権の構築に向けた政策協議を始めることで一致しました。維新は「副首都構想」を掲げています。副首都構想の実現で大阪の経済が活性化するとの期待があります。実際に、16日の日本の株式市場では、関西で事業を展開する鉄道、不動産、建設などの企業の株価上昇が目立ちました。
大阪IRで地域経済の活性化に期待
足元で注目が集まる大阪ですが、もう一つ大きなテーマがあります。それが2030年に大阪市で開業を目指す日本初のカジノを含む統合型リゾートである大阪IRです。
大阪IRは、運営会社のMGM大阪株式会社が万博が開催された大阪湾の人工島「夢洲」に設置を予定しています。カジノやホテル、国際会議場などを併設した一大エンターテインメント施設が誕生する見込みです。大阪府と大阪市は、年間来訪者を約2,000万人、年間売上高を約5,200億円と見込んでいます。また、IR施設の建設時における地域経済への波及効果は約2兆3,700億円、IR開業後の毎年の波及効果は年間で約1兆1,400億円と推計されています。関西圏を中心に地域経済の活性化につながると期待されます。
都市開発に伴うビジネスチャンスの広がりに期待
海外のIRでは、MICE(ミーティング=企業等の会議、インセンティブ=報奨・研修旅行、コンベンション=国際会議、エキシビション=展示会・見本市)の関連施設が併設される事例が多く見られます。例えば、米ラスベガスは、大型ショッピングモールやファミリー向けのエンターテインメントショー、会議や展示会などが開催できるコンベンションセンターなど、カジノ以外の魅力を高める都市づくりを進め、世界最大級のMICE都市となりました。
(注)全てを網羅しているわけではない。
(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成
日本型IRでは、カジノの面積はIR施設の延べ床面積の3%までとする方針で、観光施設等との一体的な整備が条件となっています。そのため、周辺都市のインフラ整備や広域の観光振興なども視野に入れた都市開発が必要になります。街全体の施設づくりをマネジメントする不動産ディベロッパー、建設会社、鉄道会社などにとって、ビジネスチャンスが広がると期待されます。参考にMGM大阪株式会社に出資する主な国内上場企業を紹介します。
銘柄コード | 銘柄名 | 東証33業種分類 |
---|---|---|
1801 | 大成建設 | 建設業 |
1802 | 大林組 | 建設業 |
1925 | 大和ハウス工業 | 建設業 |
2587 | サントリー食品インターナショナル | 食料品 |
3941 | レンゴー | パルプ・紙 |
5463 | 丸一鋼管 | 鉄鋼 |
6367 | ダイキン工業 | 機械 |
6503 | 三菱電機 | 電気機器 |
6752 | パナソニック ホールディングス | 電気機器 |
8078 | 阪和興業 | 卸売業 |
8088 | 岩谷産業 | 卸売業 |
8591 | オリックス | その他金融業 |
9021 | 西日本旅客鉄道 | 陸運業 |
9041 | 近鉄グループホールディングス | 陸運業 |
9042 | 阪急阪神ホールディングス | 陸運業 |
9044 | 南海電気鉄道 | 陸運業 |
9045 | 京阪ホールディングス | 陸運業 |
9147 | NIPPON EXPRESSホールディングス | 陸運業 |
9432 | NTT | 情報・通信業 |
9503 | 関西電力 | 電気・ガス業 |
9532 | 大阪瓦斯 | 電気・ガス業 |
(注1)全てを網羅している訳ではない。
(注2)サントリー食品インターナショナル、阪急阪神ホールディングス、NTTは、それぞれサントリーホールディングス、西日本電信電話、阪急阪神不動産を経由して出資している。
(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成

- 野村證券投資情報部 ストラテジスト
寺田 絢子 - 2005年野村證券入社、営業店で個人営業に従事したのち、本社部署である人材開発部で新入社員研修を担当、2013年より投資情報部。月刊誌「Nomura21 Global」や「新春セミナー」をはじめとする個人投資家向けの株式資料の作成をはじめ、投資情報の提供を行う。2025年からは金融リテラシー関連コンテンツの企画・制作を担当。わかりやすい解説を心がけている。
※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。