2025.11.05 NEW

日経平均株価が一時5万円割れ 過去の類似急落局面の特徴 野村證券ストラテジストが解説

日経平均株価が一時5万円割れ 過去の類似急落局面の特徴 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

2025年11月5日の日経平均株価は、下げ幅が一時2,400円を超え、5万円を下回る場面もありました。終値は前日比1,284.93円安の50,212.27円でした。日本株急落の背景と状況の整理を行います。

ボラ急騰&モメンタム株急落時は1ヶ月前後で安定化

11月5日の日本株安は、⑴世界的なAI関連株への過熱警戒、⑵NT倍率(日経平均株価÷TOPIX)の低下と日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)の急上昇、⑶モメンタム株(株価の上昇に勢いがある銘柄)急落が特徴でした。⑵⑶は2024年8月の「植田ショック」や2025年4月の「関税ショック」時にも見られました。

1日で日経平均VIが10%以上上昇、かつMSCI日本株モメンタム株指数が2%以上下落となった162回(2000年以降)を検証すると、翌営業日以降のTOPIXや日経平均株価は1ヶ月前後は一進一退、その後は上向く傾向が見られました。

こうした局面後は、指数が一進一退となる中で低ボラティリティー(変動率)株がアウトパフォームする一方、バリュー(割安)・グロース(成長)や大型・小型で明確な優劣は確認できませんでした。セクターでは「通信」「小売」「その他製品」などが底堅い傾向、「電気機器」「銀行」「鉄鋼」「非鉄金属」が弱含む傾向が見られました。

今回はAI一極集中の相場過程であった点が特徴です。「非鉄金属」「電気機器」「機械」などでポジション調整とバリュエーション(投資尺度)調整の進展を確認するとともに、AI相場とは無縁だった内需企業も含めた2026年度以降の業績改善期待を軸に、日本株は持ち直すとみています。ただし、今後も浮動株が少ない銘柄を中心に日経平均株価は乱高下しやすく、日経平均VIも高止まりしやすいでしょう。

日本株全体では極端なポジションの傾きは見られません。外資系の日経平均先物ポジションは10月31日時点で売り持ち超でした。CTA(商品投資顧問)のパフォーマンスが芳しくない点も踏まえると、下げを加速させる先物主導の動きが出ても、企業の自社株買いやTOB(株式公開買い付け)および個人の押し目買いなどで株式需給は底堅いとみています。2026.3期予想PER(株価収益率、野村アナリスト予想)は10月末の16.6倍から11月5日前引け時点で15.9倍へ低下し、割高感はやや和らぎました。

(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

編集元アナリストレポート

Quick Note – 日本株場中メモ:株安の背景と状況整理 – ボラ急騰&モメンタム株急落時は1か月前後で安定化(2025年11月5日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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