2026.01.29 NEW
FRB、4会合ぶりに利下げ見送り 金融市場の反応は限定的 野村證券・尾畑秀一
撮影/タナカヨシトモ(人物)
2026年1月28日(現地時間)にFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されました。市場の事前予想どおり、FRB(米連邦準備理事会)が政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を、4会合ぶりに据え置きました。今回の会合を通じて、今後の米国の金融政策についてどのような示唆が得られたのでしょうか。野村證券投資情報部の尾畑秀一シニア・ストラテジストが解説します。

予想通り4会合ぶりの据え置き決定、議長は利下げに慎重な姿勢を示唆
FRBは2026年1月27-28日にFOMCを開催し、予想通り政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を3.50-3.75%で据え置きました。利下げ見送りは4会合ぶりです。今回の据え置きは10対2で決定されました。ウォラー理事とミラン理事は0.25%ポイントの利下げを主張し、据え置きに反対しました。
声明文では、雇用に対する下振れリスクの高まりを示す文言は削除され、「失業率は安定化の兆しをいくらか示している」とやや前向きな表現に改められました。会合後の記者会見においてパウエル議長は「多くの委員は、現時点で政策金利が著しく引き締め的だと判断するのは難しいと考えている」と指摘し、利下げに慎重な見方を示しました。
(注)データは日次で、直近値は長期均衡金利は2025年12月10日、それ以外は2026年1月28日。政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利翌日物のレンジの中央値。FF金先はFF金利先物。長期均衡金利は25年12月10日以降は横ばいとして延長。
(出所)FRB、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
当面の焦点は新FRB議長人事とパウエル氏の去就
FRBを巡る当面の焦点として、新議長人事とパウエル氏の去就が挙げられます。トランプ大統領は利下げに積極的な人物を選任する意向ですが、議会共和党はFRBの独立性を毀損する人選には否定的な見解を示しており、事態は未だ流動的です。このような状況下で、市場ではパウエル氏の去就に対する関心が高まっています。パウエル氏の議長としての任期は2026年5月15日までですが、理事としての任期は2028年1月末まで残しています。パウエル氏が議長と共に理事も退任した場合、ボウマン副議長、ウォラー理事、新議長に加えてパウエル氏の後任と、議長・副議長を含むFRB理事7名のうち4名がトランプ大統領に指名された理事となります。これにより、FRB内の政策スタンスの重心が大きく利下げ方向に傾くことが想定されます。
また、新議長が景気・インフレの実体に照らして過度な金融緩和を主張した場合、他の賛同を得られず議論が定まらないことも想定されます。仮にパウエル氏が理事として残留していれば、影の議長として議論を積極的にリードすることで過度な金融緩和が回避されるのではないか、といった見方もあるようです。
金融市場の反応は限定的に
結果がほぼ市場予想通りだったこともあり、株式市場の反応は限定的でした。通常取引時間の終了後に米大手ハイテク企業の決算発表が控えていたことも、投資家の様子見姿勢を強めた可能性があります。一方、為替市場は、ベッセント米財務長官が為替介入観測を否定したことで、米ドルが主要通貨に対して買い戻されました。米ドル円相場は一時1ドル=154円台への回復を試しましたが、足元では153円台前半に押し戻されています。FOMC後の反応自体は限定的でした。
- 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト
尾畑 秀一 - 1997年に野村総合研究所入社、2004年に野村證券転籍。入社後、一貫してエコノミストとして日本、米国、欧州のマクロ経済や国際資本フローの調査・分析に従事、6年間にわたり為替市場分析にも携わった。これらの経験を活かし、国内外の景気動向や政策分析、国際資本フローを踏まえ、グローバルな投資戦略に関する情報を発信している。
※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。