2026.02.02 NEW

衆院選 自民大勝・辛勝・敗北の3つのシナリオで「株価」を予想 野村證券ストラテジストが解説

衆院選 自民大勝・辛勝・敗北の3つのシナリオで「株価」を予想 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

衆院選の投開票日(2月8日)が近づいています。今回は、(1)自民党大勝(自民党が単独で過半数を確保)、(2)自民党辛勝(自民党は単独過半数に届かないものの、日本維新の会との連立で与党過半数を確保)、(3)自民党敗北(自民党が議席を減らし、日本維新の会との連立を含めても与党過半数を割り込む)の3つのシナリオに分け、株価の反応に関する見方を整理しました。野村證券ストラテジストが解説します。

目先の衆院選挙結果に応じた短期的な株価指数シナリオ

総選挙を控え、衆院選挙結果に応じたシナリオ別の市場見通しを整理します(政治情勢の予想は誤差が大きく、各政治シナリオに対する市場反応も不確実性が高い点に留意が必要です)。野村證券が重視するのは、物価高対策として主要政党が財政刺激策を主張し、世論も一定の財政拡張を支持する環境では「G>R(名目経済成長率>名目長期金利)」が続きやすいという大局観です。

政治予測には不確実性がありますが、目先の参考として下記の関係式が示唆的です。予測市場(ベッティングサイト)の政治予測データ(5分刻み)を基に計測すると、「TOPIX(東証株価指数)=400.2+17.17×米ドル円+0.75×自民党第一党確率+3.93×高市首相続投確率+1.02×自民単独過半数確率」という関数が得られます。回帰係数(説明変数が目的変数にどれだけ影響を与えるかを示す指標)は0.96で、各係数は統計的に5%有意ですが、限られた期間のデータに基づくため、再現性が低いリスクに注意が必要です。

政治変数の中では高市早苗首相の去就の影響度が大きく、高市首相が辞任した場合、TOPIXに対して10%以上の下落圧力がかかると試算できます。上式を踏まえると、推計誤差に注意を要しますが、

(1)自民単独過半数→株価指数が2%弱上昇し、TOPIXが3,603、日経平均株価が54,375円

(2)与党過半数確保→小幅な利益確定売りが優勢(株価指数で1%前後下落)となり、TOPIXが3,501、日経平均株価が52,838円

(3)与党過半数割れ→株価指数が12%下落し、TOPIXが3,108、日経平均株価が46,910円

と機械的に試算しています。(3)に関連して、定性的には、一部政党が掲げる「物価を下げる」や「コーポレートガバナンス(企業統治)改革の見直し」が日本株の売り材料になる可能性があります。2024年4月以降の海外投資家の買い越し(現物・先物合計で10.4兆円)が巻き戻る場合のイメージとも整合的です。

選挙シナリオ別のTOPIX・日経平均株価の目安
  1/28時点の期待形成 自民勝利・単独過半数 自民過半数未達成も勝利 自民第一党も高市首相辞任 自民第一党陥落・高市首相辞任
ドル円 153.3 153.3 153.3 153.3 153.3
自民党比較第一党確率:% 97 100 100 100 0
高市首相続投確率:% 95 100 100 0 0
自民党単独過半数確率:% 52 100 0 0 0
TOPIX妥当値 3,532 3,603 3,501 3,108 3,033
1/28終値からの乖離 -0.10% 1.90% -1.00% -12.10% -14.20%
(参考)日経平均換算値 53,306 54,375 52,836 46,910 45,774
1/28終値からの乖離 -0.10% 1.90% -1.00% -12.10% -14.20%

(注)2026年1月20日から1月28日にかけての5分刻みデータから得られる回帰式、TOPIX=400.2+17.17×ドル円+0.75×自民党第一党確率+3.93×高市首相続投確率+1.02×自民単独過半数確率をもとに試算。100%、0%というのは結果判明時の数字だが、回帰式推計サンプルには存在しない数値であり、いわゆる「外挿」である点に留意。日経平均は1月28日時点のNT倍率(15.09倍)が横ばいと仮定している。
(出所)JPX総研、Bloomberg、Kalshiより野村證券市場戦略リサーチ部作成

3月末にかけての株価指数シナリオ

2026年3月末のTOPIXは3,650、日経平均株価は54,000円をメインシナリオとします。「G>R」環境、2026.3期に2桁増益、株式数の減少といった「三大勝ち筋ストーリー」を軸に、緩やかな株高基調を見込んでいます。一方で想定レンジは広めに設定し、政策次第では野村予想のレンジ上限・下限に到達する可能性にも注意しています。

国内株指数見通し概要
2026年
6月
2026年
12月
2027年
12月
2028年
12月
メインシナリオ:日米ともに「G>R」、26年度2桁増益、株数減少。内外でAI・DX需要が堅調、米国は景気拡大を維持しつつ26年に利下げ実施、日本では適度な財政刺激策実施のもとで日銀が緩やかに利上げ TOPIX 3,700 3,800 4,000 4,200
日経平均株価 54,500 56,000 59,000 62,000
上振れ:AI・DX投資が生産性向上に貢献、賃金・消費の好循環、ROE改善につながる事業ポートフォリオ改革やM&Aブームが生じる TOPIX 4,100 4,200 4,500 4,700
日経平均株価 60,500 62,000 66,000 69,000
下振れ:日米の「G>R」環境、26年度2桁増益、株数減少が成立しなくなるようなレジームシフト。日米マクロ政策が景気抑制に転じたり市場との対話に失敗。AI投資失速、関税再燃、日本のCG改革後退など TOPIX 3,300 3,400 3,500 3,700
日経平均株価 48,500 50,000 52,000 55,000

(出所)野村證券市場戦略リサーチ部作成

(1)自民単独過半数→適度な財政拡大の範囲内で成長戦略を実行できるとの期待が高まれば、海外投資家による10兆円規模の買いが入るなどして、TOPIXが4,050、日経平均株価が60,000円という大台突破も視野に入ります。ただし、自民党が過半数を確保しても財政への懸念が強まり、「G>R」が崩れる(名目長期金利が名目成長率を上回る)場合は、株高シナリオが不発に終わるリスクがあります。

(2)与党過半数確保→短期的な利益確定売りの後は「三大勝ち筋ストーリー」が下支えとなり、TOPIXが3,650、日経平均株価が54,000円とメインシナリオ並みを想定します。成長戦略の進捗や国民会議の議論の行方次第で、上振れ・下振れも起こり得ます。

(3)与党過半数割れ→初期反応は株安になりそうですが、非自民勢力であっても政権運営を担えば、現実的な経済政策に収れんする可能性が高いとみています。ただし、懸念は時間とともに和らぐ一方、3月末時点でもTOPIXが3,250、日経平均株価が48,000円前後と、低迷からの脱却は容易ではないと想定します。

(編集:野村證券投資情報部)

編集元アナリストレポート

Japan Macro Report – 衆院選を受けて金利・為替・株価はどう動く?(2026年1月30日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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