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2026.02.24 NEW

野村證券の日本経済・金利・為替・株式市場見通しの修正を解説 衆院選の結果を踏まえ変更

野村證券の日本経済・金利・為替・株式市場見通しの修正を解説 衆院選の結果を踏まえ変更のイメージ

衆院選での自民党の圧勝を受け、野村證券は日本の経済・政策見通し、債券、為替、株式市場の見通しを修正しました。今回は、見通し修正の背景、今後の注目材料、リスクシナリオをまとめました。

日本経済:次の日本銀行の利上げ時期は、メインシナリオでは2026年6月

設備投資を軸に、景気は2026年以降も底堅く推移するとみています。一方、CPI(消費者物価指数)は2026年に一時的に前年比2%を下回る見通しです。ただし、これは主に外生的要因による下振れであり、2027年にはより持続的に2%近辺でのインフレが見込まれます。

経済・物価の動きを金融政策決定に落とし込む際、日銀は(1)物価の基調、(2)すでに実施した利上げの実体経済への影響、の2点を評価します。両点はいずれも、利上げ(金融緩和の調整)の継続を示唆しています。

野村證券は日銀の金融政策について、(1)2026年6月、12月、2027年6月の利上げ(→政策金利は1.50%へ)をメインシナリオ、(2)2026年4月、10月、2027年4月、10月の利上げ(→政策金利は1.75%へ)をリスクシナリオとする見方を維持します。

金利:利上げ継続に伴い円金利カーブは緩やかにベア・フラット化へ

野村證券では、日銀が2027年6月に政策金利を1.5%まで引き上げ、これが今局面のターミナルレート(利上げの最終到達点)になると想定しています。もっとも、その時点では市場のターミナルレート期待が一段と高まり、2.0%までの利上げを市場が織り込むとみています。政策金利とターミナルレート期待の上昇に伴い、5年超のイールドカーブ(利回り曲線)はフラット(平たん)化しやすいと見込んでいます。全体としては、ベア・フラット化(短い年限の債券利回りが上昇する)が緩やかに進む想定です。

海外投資家のJGB(日本国債)投資が続く見通しであることや、超長期JGBの発行減額により、JGB市場の流動性・市場機能は徐々に改善するとみています。これにより、超長期JGB利回りに上乗せされている流動性プレミアムが剥落し、10年超のイールドカーブはフラット化すると予想します。2027年6月時点の予想は、10年JGB利回りが2.4%、30年JGB利回りが3.5%です。

金利上昇方向のリスクシナリオは、高市早苗政権の財政政策が過度に拡張的になったり、大幅な円安が進んだりして国内インフレが加速し、多くの市場参加者がターミナルレートとみる1%台半ば〜2%を大きく上回る水準まで日銀が利上げを迫られる展開です。

金利低下方向のリスクシナリオは、景気・インフレが想定ほど上振れせず、日銀の利上げペースも半年に1回程度の緩やかなペースにとどまる(野村予想通りの)局面で、海外投資家の円債買いによる金利低下・低迷が続く間に、国内金融機関の国債買いが本格化して金利を一段と押し下げる展開です。

為替:緩やかな円高・米ドル安を予想

米ドル円見通しを2月12日付で円安方向に修正し、2026年末予想を147.50円(従来140.00円)に引き上げました。2027年末は140.00円で据え置きます。

米利下げ期待と緩やかな「米ドル離れ」による米ドル安基調が当面続く一方、日本の政策・需給面の変化により、年央以降は円安圧力が弱まる公算です。

当面は高市政権による消費税減税を巡る議論が焦点となり、米ドル円の高止まりが長期化するリスクがあります。一方で、高市政権下の過度に緩和的な財政・金融政策運営への警戒が後退すれば、より早期に145〜150円のレンジに回帰する可能性もあります。

米ドル円見通し
  2026年3月 2026年6月 2026年9月 2026年12月 2027年3月 2027年12月
 
155 155 150 152.5 145 150 140 147.5 140 145 140 140

(注)米ドル円の予測変更は2026年2月12日付。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部作成

日本株見通し:決算と選挙後のマクロ環境を踏まえ、業績見通しを引き上げ

総選挙結果と2026.3期3Q(第3四半期)決算を踏まえ、トップダウンの業績見通しを引き上げ、これを受けて株価見通しも引き上げます。2026年度はTOPIX(東証株価指数)のEPS(1株当たり利益)が15%増益になると見込み、TOPIX4,000、日経平均株価60,000円の到達時期は2026年末に前倒しになると予想します。

メインシナリオでは、TOPIXが2026年末に4,000、2027年末に4,200、2028年末に4,400、日経平均株価が2026年末に60,000円、2027年末に63,000円、2028年末に66,000円と見込みます。PER(株価収益率)は現行の18倍強から、徐々に15〜16倍前後に収束すると想定しています。

メインシナリオに対する上振れ・下振れシナリオとして、潜在成長率やROE(自己資本利益率)の改善の有無次第で、上下に相応の振れが生じるとみています。上振れシナリオでは2027年末にTOPIX4,800、日経平均株価72,000円も想定していますが、DX投資などによる潜在成長率の押し上げやROE改善につながる事業ポートフォリオ改革、業界再編などの大きな構造変化が必要です。

一方、足元で一部に見られる株主還元への批判が、日本企業のバランスシート見直しを抑制し、非効率な資源配分につながる場合、ROE見通しの下振れを通じて株価の抑制要因になります。また、高市政権または日銀がマクロ政策運営に失敗して急激な金利上昇を招けば、株式に追い風だった「G>R(名目経済成長率>名目長期金利)」環境の終焉につながり、下振れシナリオとなります。

国内株指数見通し概要
2026年6月 2026年12月 2027年12月 2028年12月
メインシナリオ TOPIX 3,850 4,000 4,200 4,400
日経平均株価 57,750 60,000 63,000 66,000
上振れ TOPIX 4,350 4,500 4,800 5,000
日経平均株価 65,250 67,500 72,000 75,000
下振れ TOPIX 3,350 3,500 3,600 3,800
日経平均株価 50,250 52,500 54,000 57,000

(出所)野村證券市場戦略リサーチ部作成

(編集:野村證券投資情報部)

編集元アナリストレポート。

Japan Macro Report – 衆院選結果を踏まえた経済・市場見通しアップデート(2026年2月20日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

 
     
 
     

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