2026.02.25 NEW
過去10年、月5万円の積立投資を続けたらどうなったか? 野村證券・磯崎博志
写真/タナカヨシトモ
「積み立て投資研究」は、積立投資への理解を深めていただくために、過去の様々な局面での積立のシミュレーション結果をご紹介していくシリーズです。各試算結果は、あくまで過去のデータを元にした試算であり、実際の投資とは異なります。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもありません。
将来に備え、数年前から積立投資を始めた人は、最近の米国株や日本株の株価上昇に乗り、含み益が増えている方も多いでしょう。利益が出ていると、その利益を確定したいという思いが出てきます。利益確定が悪いわけではありませんが、想定する運用目的や運用期間、積立投資の効果を改めて考えてみる必要があるかもしれません。今回は過去10年間積立投資を行った2種類のケースを想定し、野村證券ストラテジストの磯崎博志がこの期間のパフォーマンスを検証します。
2016年から10年間、毎月5万円を積立投資したケースを試算
積立投資は定期的に、継続して一定金額ずつ購入する投資手法です。決められたタイミングで自動的に株式や投資信託などを買い付けるため、投資するタイミングを見極める必要がなく、少額から資産形成を始められます。
毎回決まった金額を、定期的に投資をすることで、価格が安い時には多く、高い時には少ない量を自動的に購入することになります。その結果、一定口数ずつ購入する方法に比べ、高値でまとめて買ってしまうことがなくなり、平均購入価格を低く抑えられる効果が期待できます。投資タイミングの分散によってリスクの抑制も期待できるため、長く続けることで時間を味方につけられる投資方法ともいえるでしょう。
※ただし、相場が一方的に下落し続けるような局面ではトータルでマイナスになってしまう可能性もあります。
このような積立投資の特徴が分かっていても、日々の株価の変動で一喜一憂し、含み益のときに利益確定を急いでしまったり、逆に含み損のときに狼狽して損切りしてしまうなど、積立投資をやめてしまう方も中にはいるかもしれません。積立投資の効果を改めて考えてみるために、今回は過去10年間積立投資をしたケースを見てみましょう。
2016年1月から2025年12月まで、米国株と日本株の主要な株価指数に連動する架空の投資信託それぞれに、毎月5万円を積立投資したケースで試算します。米国株の対象指数は、「S&P500指数(配当込み、円換算ベース)」です。日本株の対象指数は「TOPIX配当込み指数」とします。実際の投資信託の取引には、購入時手数料や信託報酬等の手数料、税金等がかかりますが、今回の試算ではこれらは考慮していません。
過去10年間、堅調に推移した日米主要株価指数
同期間の2つの対象指数の値動きを月次ベースで振り返ってみましょう。積立投資開始時点を100とすると、S&P500配当込み指数(円換算ベース)、TOPIX配当込み指数ともに堅調に推移していることが分かると思います。加えて、S&P500配当込み指数(円換算ベース)については、株価変動だけでなく為替変動の影響も受けるため、2022年以降に急速に円安・ドル高が進行したことも、指数の押上げ要因となったと考えられます。
(注)データは月次で、2016年1月末から2025年12月末までの間。2016年1月末を100として指数化している。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
(注)データは月次で、2016年1月末から2025年12月末までの間。2016年1月末を100として指数化している。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
S&P500、TOPIXに積立投資を行った場合の試算結果は
次に積立投資のシミュレーション結果を見ていきます。毎月5万円を10年間、積立投資をした場合の累積投資額は600万円です。S&P500配当込み指数(円換算ベース)の場合、2025年12月末時点の評価額は1,803.3万円、累積投資額に対しての上昇率は3倍となりました。2025年4月の「トランプ関税ショック」で評価額が大きく減少する場面もありましたが、その後、株価が堅調に推移したことで、回復する結果となりました。
(注1)2016年1月末から2025年12月末までの間、S&P500配当込み指数(円換算ベース)に連動する架空の投資信託に対して、毎月5万円ずつ積立投資をした場合のシミュレーション。2016年1月末時点で基準価額10,000口あたり、10,000円の投資信託としている。分配金の支払いは行わない。データは月次ベース。
(注2)購入時手数料、信託報酬等は考慮していない。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
TOPIX配当込み指数の場合は、2025年12月末時点の評価額は1,262.3万円、累積投資額に対しての上昇率は2.1倍となりました。
(注1)2016年1月末から2025年12月末までの間、TOPIX配当込み指数に連動する架空の投資信託に対して、毎月5万円ずつ積立投資をした場合のシミュレーション。2016年1月末時点で基準価額10,000口あたり、10,000円の投資信託としている。分配金の支払いは行わない。データは月次ベース。
(注2)購入時手数料、信託報酬等は考慮していない。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
今回の試算では、上昇相場での積立投資の効果を見てきました。累積投資額よりも評価額が大きくなったことが確認できます。一時的に下落する場面もありましたが、10年間売らずに積立を継続したことで評価益が積み上がり、複利効果が働いたと考えられることもあり、安定したパフォーマンスを示しました。
次回は株価高値圏から積立投資を始めたケースを想定し、試算します。
- 野村證券 投資情報部 ストラテジスト
磯崎 博志 - 2002年野村證券入社、営業店を経て2019年より投資情報部。2024年からは金融リテラシーに関するコンテンツを作成。
※この記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。