2026.02.26 NEW
エヌビディアとセールスフォースの決算 米国株式市場への影響は 野村證券・村山誠
撮影/タナカヨシトモ(人物)
米国株市場を大きく左右する米半導体大手のエヌビディアは、2025年11月-2026年1月期決算を2月25日(米国時間)引け後に発表しました。その内容と米国株式市場への影響について野村證券投資情報部シニア・ストラテジストの村山誠が解説します。

エヌビディアの決算実績は、売上高、調整後EPSともに市場予想を上回る
米国時間25日引け後に、米半導体大手のエヌビディアが、2025年11月-2026年1月期(2026.1期第4四半期)決算を発表しました。
売上高は、前年同期比+73.2%の681.27億米ドルとなりました。市場予想平均は661.27億米ドルだったので、実績は上回りました。期初に会社は、売上高は650億米ドル±2%(637~663億米ドル)との見通しを示していたので、実績は会社予想レンジを上回りました。
調整後売上高総利益率は75.2%でした。市場予想平均は75.0%でしたので、実績は上回りました。期初に会社は74.5~75.5%との見通しを示していましたが、実績は会社予想レンジの中間値75.0%を上回りました。
調整後EPS(1株当たり利益)は、前年同期比+97.8%の1.76米ドルでした。市場予想平均は1.54米ドルだったので、実績は上回りました。
2026年2-4月期の調整後売上高総利益率は市場平均予想を若干下回る
2026年2-4月期について会社は、売上高の見通しを780億米ドル±2%(764.40~795.60億米ドル)としました。市場予想平均の売上高は729.32億米ドルだったので、会社予想レンジは市場予想平均を上回りました。会社は、中国におけるデータセンター向けの売上高については、見通しの中に入れていないとのことです。
調整後売上高総利益率について会社は、75.0%±0.5%ポイントとしました。市場予想平均は75.1%だったので、会社予想中間値は若干下回りました。
(注)EPSは非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。
(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成
CEOは「エージェンティックAIの変曲点はすでに到来」とコメント
決算資料の中で、CEO(最高経営責任者)のジェンスン・ファン氏は、「コンピューティング需要は指数関数的に増大しており、エージェンティックAIの変曲点はすでに到来している」と述べています。そして、「企業におけるエージェントの採用は急増している。顧客各社はAIコンピュートへの投資を急いでおり、それはAI産業革命を駆動する工場であり、将来の成長を支える基盤である」と述べています。
エヌビディア株価は時間外で小幅上昇
25日の通常取引でエヌビディア株は前日比+1.40%の195.56米ドルで引け、決算発表後の時間外取引では終値比+1.09%の197.70米ドルとなっています(NY時間17:19時点)。決算実績が市場予想平均を上回り、会社売上高見通しが市場予想平均を上回ったことに、ポジティブに反応していると推察されます。
株価の上昇幅が小幅にとどまっていますが、エヌビディアの株価は20日以降、既に4営業日連続して上昇していたこともあり、株式市場の反応も限定的にとどまっていると推察されます。
「SaaSの死」が語られる中でのセールスフォースの決算
米国時間25日引け後には、SaaS(Software as a Service)型ソフトウエア企業の代表格である米セールスフォースが、2025年11月-2026年1月期(2026.1期第4四半期)決算を発表しました。
米国株式市場では2026年に入り、多くのSaaS型ソフトウエア銘柄の株価が下落していました。背景には、米アンソロピックや米オープンAIなどのAI開発企業から新しく投入されるAIツールにより、SaaS型で提供されてきたソフトウエアの機能や役割が代替されてしまうのではないかといった漠然とした懸念がありました。
そのような状況下であることから、セールスフォースの決算発表は、エヌビディアと同じく市場の注目を集めていました。
売上高は前年同期比+12.1%の112.01億米ドルで、市場予想平均を上回りました。調整後EPSは前年同期比+37.1%の3.81米ドルとなり、こちらも市場予想平均を上回りました。2026年2-4月期(2027.1期第1四半期)について会社は、売上高は110.30~110.80億米ドルとの見通しを示し、こちらも市場予想平均を上回りました。
2027.1期通期について会社は、売上高は458~462億米ドルとしました。これは前期比+10~+11%の増収見込みになります。市場予想平均の売上高は461.08億米ドルだったので、会社予想レンジの中間値460.00億米ドルは、市場予想平均を若干下回りました。
セールスフォース株価は時間外取引で下落しているが
セールスフォースの株価は、25日の通常取引を前日比+3.41%の191.75米ドルで引けた後、決算発表を受けて、時間外取引では終値比-4.44%の183.23米ドル(NY時間16:50時点)となっています。
決算実績、2026年2-4月期会社業績見通しともに、売上高、調整後EPSが市場予想平均を上回ったものの、2027.1期通期の会社売上高見通しの中間値が市場予想を下回り、調整後EPSの会社見通しの中間値が市場予想平均と一致したことに、ネガティブに反応しているとみられます。
一部会社見通しが市場予想平均を下回ったとはいえ、2027.1期通期の会社売上高見通しは、前述の通り、前期比二桁増収が予想されています。
また、世界的にAIを活用して業務を効率化しようとするニーズは高まっています。今後、同社が提供するAIエージェント等の認知度が高まれば、既に同社CRM(顧客情報管理)ソフトウエアの顧客となっている企業が製品のアップグレードを行う、同社製品を新規に採用する企業が増加するなどで、業容を一段と拡大していくことが予想されます。セールスフォースの決算は、多くの市場参加者が懸念していたよりは堅調だったと言えるのではないでしょうか。
目先の注目イベントは
なおエヌビディアは、3月16~19日に開発者向け会議「GTC2026」を開催する予定です。同会議は例年3月に開催され、同社製品の開発動向についての説明が行われます。初日にはジェンスン・ファンCEOによる基調講演が予定されており、その内容が注目されます。
3月4日にはブロードコムが2025年11月-2026年1月期決算の発表を予定しています。これら他の半導体メーカーの決算内容や、その他半導体関連に関する業界報道などをフォローしながら、エヌビディアには注目していきたいと考えます。
- 野村證券 投資情報部 シニア・ストラテジスト
村山 誠 - 1990年野村総合研究所入社、1998年に野村證券転籍。エクイティアナリスト、クレジットアナリストとして勤務。2011年6月より米国株ストラテジー担当。投資環境の分析、個別株の投資アイデアを提供。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」出演中。
※記事の中で個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。この記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。