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2026.03.25 NEW

原油価格変動の背景、米・イスラエルとイランの停戦期待を解説 野村證券・髙島雄貴

原油価格変動の背景、米・イスラエルとイランの停戦期待を解説 野村證券・髙島雄貴のイメージ

写真/タナカヨシトモ(人物)

中東情勢の悪化に伴った原油価格の上昇が金融市場に大きな影響を及ぼしています。原油価格はガソリン価格や電気・ガス料金への影響も大きく、我々の生活とも密接に関わっています。2026年3月25日時点の原油価格の変動やイラン情勢の見方を野村證券経済調査部・市場戦略リサーチ部エコノミストの髙島雄貴が解説します。

3月24日に原油価格が変動した背景

3月24日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)期近物(5月限)先物価格は、米国東部時間14時半(日本時間の翌3時半)の清算値ベースで前日比+4.8%の92.35米ドルと反発しましたが、その後に一時86.34米ドルまで下落しました。サウジアラビアとUAEが対イラン攻撃に加わる可能性が報じられたこと等が、原油価格の押し上げ材料となったと考えられます(24日付、ブルームバーグ)。

他方、イランが22日付で「自国に対する攻撃行為を支援せず、イランが定めた規則を順守する限り、外国船によるホルムズ海峡の通航を認める」とIMO(国際海事機関)加盟国に対して書簡を回覧したことがわかりました(24日付、ブルームバーグ)。

また同報道によれば、通航料金の徴収を開始したとのことです。ホルムズ海峡通航を巡る緊張が一部緩和となったことが原油価格を押し下げたとみられます。早ければ26日にも米・イランの高官レベルでの和平協議再開の可能性も報じられており(24日付、アクシオス)、イラン情勢の外交的な解決の行方が引き続き注目されます。

米・イスラエルとイランの停戦期待は高まるか

トランプ米大統領の5日間の攻撃延期発言(米国東部時間3月23日)などを受けて、米・イスラエルとイランの停戦期待が高まっています。米国の予測市場Polymarket上の米・イランの停戦時期に関する参加者予想の割合では、23日に「3月末まで」から「6月末まで」の全てが上昇した後、24日には期近である「3月末まで」と「4月末まで」が続伸しました。一方で、期先である「5月末まで」と「6月末まで」は小幅反落となりました。

米・イスラエルとイランの停戦が実現した場合、中東諸国のエネルギー施設のさらなる損傷が止まり、ホルムズ海峡の航行安全性も回復することで、原油価格に押し下げ圧力が生じると見込まれます。また、原油市場のみならず、金融市場全体のリスク・センチメント改善にも寄与し得るでしょう。

ただし、損傷したエネルギー施設の復旧に長い期間を要すると判明した場合や、停戦後もイランの内政不安定化が続き、ホルムズ海峡においてイラン当局の意図しない攻撃が続いた場合などには、石油供給への影響が残存する可能性に注意を要します。その場合、原油価格は米・イスラエルによるイラン攻撃以前の水準よりも高止まりしやすいと見込まれます。

「いつまでに米・イスラエルとイランが停戦となるか」に関するPolymarket参加者の予想

「いつまでに米・イスラエルとイランが停戦となるか」に関するPolymarket参加者の予想のイメージ (注)時間は日本時間。各日の最高値を掲載。
(出所)ブルームバーグより野村證券経済調査部作成

野村證券 経済調査部・市場戦略リサーチ部 エコノミスト
髙島 雄貴
2018年野村證券入社。2023年6月まで日本経済担当エコノミスト。コモディティー調査を担当。原油をはじめとして、天然ガス、金、非鉄金属、穀物など、幅広い商品の市況を分析し、先行きの見方を提供。日本証券アナリスト協会認定アナリスト。現在、日経ヴェリタスの「コモディティー・インサイト」に定期寄稿中。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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