定年後を左右する「ライフプランニング」入門―漠然とした不安を数値化する方法とは

2020年2月26日

「人生100年時代」とも言われる現代社会。退職後も長く続く人生を、不安や迷いなく幸せに過ごすためには、この先に実現したいことや、起こりうるライフイベントを整理して人生の設計図を描き、それに沿って適切に資産を管理していくこと、いわゆる「ライフプランニング」が不可欠だ。

しかし中には「いったい何から始めたらよいのやら……」と、必要性は感じつつも手を出せていないという人も多いのではないだろうか。そんな人たちにぜひ知っておいてほしいのが、無料でライフプランニングを行う野村證券のサービスだ。さいたま支店で数多くのお客様をサポートしてきた梅垣理衣(うめがきりえ)に、ライフプラニングを行う意義や、具体的な作成の流れについて聞いた!

「分からない」を数値化するところから始めよう!

――最近は、「定年後の生活にはライフプランニングを行うことが不可欠」だと言われます。まずは、その理由からお聞かせください。

「人生100年時代」と言われている現在、100歳まで長生きされた場合、定年後、約40年間という大変長いセカンドライフが待っています。しかし、公的年金だけで悠々自適に生活していけるという時代ではありませんし、再雇用を選択するにしても現役時代ほど収入が見込めるわけではありません。

梅垣は毎年、何十人ものライフプランニングに携わっている

そのような状況の中で、「幸せで充実した生活を送るために、一体どのくらいのお金が必要なのか」、あるいは「果たして資産寿命が持つのか」など、漠然とした不安を感じている方はとても多いのではないでしょうか? ライフプランニングは、そうした「分からない」を明確に数値化し、充実した生活を送るための道筋を立てるツールと考えてください。

――たしかに、具体的な指針がないまま生活していくのはとても危険なように思います。ライフプランを考え始めるのは、やはり早いほうがいいのでしょうか?

どのタイミングでご相談を受けても、お客様の個々のご状況やニーズにあわせて、無理なくゆとりある暮らしができるように、最適なプランを一緒に考えていくのが私たちの役割。いつでもお声がけください。ただ、早めに将来を見据えておくことで、解決するべき課題がある場合に無理なく軌道修正できることは確かです。その結果、軌道修正のための負担も少なくできます。

――とはいえ、中には自分自身でライフプランを作成している方もいるかと思います。そういう方は店頭を訪れてもメリットはないのでしょうか?

そんなことはありません。その場合は、当社がご提案するライフプランをセカンドオピニオン的に利用してもらうことが可能です。

ライフプランニングには多くの視点を持って取り組むことが重要だ

実際のところ、「自分でライフプランを作成してはみたものの、一般的な統計値や各種制度の詳細が分からないので精度を高められない」といったご相談や、「作成したライフプランをどうやって検証したらいいか分からない」というご質問も多いんですよ。加えて、中長期のライフプランをシミュレーションするにあたり、個人の方では計算に入れることが難しい“インフレによる影響”などついてもアドバイスできます。

――なるほど。高度な専門知識や膨大なデータを持っているプロフェッショナルの知見を得られるというのは、すでにライフプランを作成されている方にとっても大きなメリットになりそうですね。

最適なライフプランを作成するには?

――ライフプラン作成の必要性を感じている人が、実際に相談する場合、どのような流れになるでしょうか?

当社に口座をお持ちの方は、まずは口座がある支店にお問い合わせください。お電話でも結構ですし、当社のホームページからもご来店予約ができます。

梅垣の所属する、野村證券さいたま支店 大宮東口店

ご来店いただきましたら、まずはヒアリングシートにもとづいて、現在の収入やご家族の構成、金融資産やご契約されている保険、不動産やローンなどの状況確認など、ライフプランのシミュレーションに必要な情報をお伺いさせていただきます。

――現状の棚卸をしていくわけですね。

そうです。その次に、将来の展望について確認させていただきます。退職や再雇用のご予定、年金や退職金などのこと。その他にも毎月の生活費やリフォーム、移住などお住まいのご予定、趣味や叶えたい夢など、収入、支出の両面からお話を伺います。

プロに相談を行えば、意外な支出の見落しなどからプランが崩れることをある程度避けることができる

もし、お子様の結婚や出産へのお祝い金など、ご家族を支援してあげたいというご希望があれば、それを踏まえた上でライフプランの作成を行いますので、そういった希望もぜひお聞かせください。

――プロに相談を行うことで、意外な支出の見落としなどからプランが崩れることを避けることができそうですね。ヒアリングはそれで終わりでしょうか?

最後に、投資のご経験や、資産運用に対するお考えをお伺いしていきます。ライフプランニングは、収入と支出のバランスを整えていくことが基本ですが、その上で、資産運用が必要となってくるケースもあります。

「お金にどう働いてもらうべきか、という相談が非常に多いんですよ」

たとえば、「節約をする」といっても、生活の質を著しく落とすことはできませんし、最低限必要なものは維持しなくてはなりません。極端な話、食費がお二人分必要なところを、一人分にはできませんよね。だからこそ、今まではご自身がお仕事で頑張ってきたところを、今後は“お金に働いてもらうこと”が必要なのです。

課題を解決し、明るい未来を

――ヒアリング後はどういった流れになるのでしょうか?

「この資料のおかげで、夫婦の話し合いがはかどった」という声も多いという

ヒアリング後には、ご自身の為のライフプランがオーダーメイドで作成されます。本日はサンプルとして、「野村太郎さん」という架空の男性を対象に作成したライフプランのシミュレーション結果をお持ちしました。「野村太郎さん」は現在57歳で、90歳まで生きられることを想定しています。

――こちらのレポートですが、30ページ近くとかなりのボリュームですね! どのような内容になっているか、簡単に説明していただけますか?

レポートには、ヒアリングをもとに作成した2つのライフプランがおさめられています。1つ目は、お客様がご自身で想定している内容・数値で試算を行った「現状プラン」。そして、2つ目は、当社による収入・支出の見直しや資産運用の提案を組み込んだ「提案プラン」です。

冒頭のヒアリング情報をまとめたサマリーページをめくっていただくと、その2つのプランを比較したページがあります。

――2つのプランそれぞれに対して、車のメーターのようなイラストがあしらわれていますね。「現状プラン」ではメーターが赤色のゾーンを、一方で「提案プラン」ではメーターが緑色のゾーンを指しています。これは何を意味しているのでしょうか?

資料は図版やグラフが多数掲載されており、直感的に内容を理解できるようになっている

赤色のゾーンは、プランを見直す優先度が高いことを意味しています。ヒアリングの結果、このままだと「野村太郎さん」は、途中で資産寿命が枯渇してしまうということを警告しているんです。

――それは一大事です! 一方、「提案プラン」の方は「青信号で安全」となっているのですが、どのような改善を行ったのでしょうか?

まずは、収入と支出の見直しを行いました。定年時期や交際費などを最適化するのです。そのうえで、ゆとりある生活の実現に向けてお金の置き所についてもご提案しています。

「野村太郎さん」は、国内株式や国内債券もお持ちなのですが、すべての金融資産のうちの66.7%が短期金融資産。つまり普通預金や定期預金となっているので、そこに改善の余地があると考えました。

資産配分はライフプランニングにおいて欠かせない視点だ

――短期金融資産が多いことは、何が問題なのでしょうか?

今は非常に金利が低い時代です。この資産配分のままだと、預金から取り崩す分を、金融資産の金利でカバーすることができず、ある一定の年齢で資産寿命が尽きてしまいます。そこで、短期金融資産の2000万円のうちの1200万円を運用にまわし、そこで得られるリターンによって資産寿命を延ばすことをご提案しています。

――これで一安心というわけですね! たしかにこの内容は個人で行うには難しいように感じました。

そうですね。また、ライフプランはお客様ご自身の状況やお気持ち、家族等の環境の変化で内容が変わりますので、何かしらの変化があった際には、シミュレーション内容のメンテナンスをする必要があります。

「ぜひお気軽にご相談ください!」

これも個人ではなかなか難しいですが、当社では過去に作成した内容を保存していますので、作成後も何度でもライフプランの見直し、お手入れが可能です。

――いろいろとお話を伺い、ライフプランニングの必要性や、プロフェッショナルにお任せすることのメリットがよくわかりました。最後に、興味を持った読者の方にメッセージをお願いします。

私たちは、お客様の長い人生に寄り添うパートナーのような存在になれるように努めています。日本中、どの支店にもリタイアメント層のお客様を専門とするスタッフがおりますので、ぜひお気軽にご相談ください。


プロフィール

梅垣 理衣(うめがき りえ)

大学を卒業後、野村證券に入社。以来、12年間に渡り野村證券さいたま支店にて個人顧客の運用相談に携わる。その内、直近6年間はリタイアメント層の顧客を中心に担当。