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健康な老後のために 第1回 耳のケアにかかる費用は?

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年を取るにつれて、足腰の痛みや生活習慣病など、病院や整体などの治療院に払う医療費や治療費がかさむようになったという方も多いのではないでしょうか。特に、定年退職で会社を退職した後にかさむようになる傾向が大きいと言えそうです。本連載では、特に加齢によって影響を受けやすい耳や歯のケアにかかるお金について取り上げます。第1回目は、補聴器など、耳にかかるお金について解説します。

補聴器とは?

補聴器は、聴覚に障害を持つ方が音を聞き取るために使う電子機器です。主に外部の音を拾って増幅し、聴力の低下を補ってくれるのがその役割です。補聴器を耳に装着することで、補聴器内部のマイクが周囲の音を受け取り、それを増幅して耳に伝えます。

なお、日本人の高齢化の進展に伴って、補聴器の出荷台数も概ね右肩上がりで増加しています。一般社団法人・日本補聴器工業会の「国内の補聴器出荷台数(2023年)」によれば、2023年には65万台が出荷されたそうです。

一般社団法人・日本補聴器工業会「国内の補聴器出荷台数(2023年)」折れ線グラフ:2023年には65万台が出荷されたことを示す
(出所)一般社団法人日本補聴器工業会「国内の補聴器出荷台数(2023年)」より、野村證券ファイナンシャル・ウェルビーイング室作成

補聴器の価格

補聴器の価格は種類や機能、性能によって異なりますが、一般的には10万円から30万円ほどです。。高性能で最新技術を活用した補聴器ほど価格も高くなりますが、その分、優れた効果を発揮します。

また、一般的に補聴器は約5年に一度の頻度で交換が推奨されています。技術の進化や個々の聴力の変化に対応するため、定期的なアップデートが必要とされています。

日本補聴器工業会などによる「JapanTrak 2022 調査報告」によると、認定補聴器技能者に応対してもらって購入した補聴器の価格帯は10~30万円の人が全体の約3分の2(67%)を占めます。また、買い替え年数の中央値は4年です。

また、補聴器は「買ったら終わり」ではなく、自分にフィットするように調整を行う必要があります。同調査報告によると、調整回数がゼロの人はわずか13%で、大半の人が複数回の調整後に使用しています。

メンテナンスの必要性

補聴器を快適かつ効果的に使用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。一般的には、3ヶ月に一度のメンテナンスが推奨されており費用は1万円ほどです。

メンテナンスは主に、補聴器の清掃、部品の点検と調整などが含まれます。メンテナンスによって補聴器の寿命を延ばし、最大の効果を引き出すことができるとされています。

耳の健康管理

補聴器だけでなく、聴力を維持するには耳自体の「メンテナンス」も必要になってきます。

欠かせないのが耳掃除です。国立長寿医療研究センターの長期縦断疫学研究(第5次調査)で、日本人の耳垢が聴力や認知機能に影響を与えることがわかりました。耳垢がある人は平均で7デシベルも聴力が低下するそうです。7デシベルは、音の大きさの変化を感じる程度だそうです。耳鼻咽喉科医らによる取り除きが聴力の改善と認知機能の保持に寄与しています。

耳鼻咽喉科医による耳掃除は、保険適用で一般的に1,000~2,000円がかかるとされています。国立長寿医療研究センターでは、高齢で耳が遠い人に対し「1年に1度程度」の耳鼻咽喉科の受診を推奨しています。

また、耳の健康に気を付ける際には、音量管理も重要です。特にイヤホンやヘッドホンを使用する際には、注意が必要です。WHOの勧告によれば、80デシベル以上の音を1週間当たり40時間以上、または98デシベル以上の音を1週間当たり75分以上聞き続けると、難聴のリスクが高まります。テレビや動画を見たり、音楽を聴いたりする時は音量を抑えたり、休憩を挟むよう心がけましょう。

これまで解説したように通り、高齢で聴力が衰えてくると、補聴器や耳鼻咽喉科の受診にかなりの金額がかかってきます。しかし、聴力が衰える前から、こまめな耳掃除やテレビなどの音量の調節などを心がけ、年を取ってもできる限りお金を掛けず、耳の健康を保つことができるようにしましょう。

編集協力:寺澤 真奈美 2級ファイナンシャル・プランニング技能士/
編集・文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室
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