「金融教育アプリ」で野村と組んだ企業の思い
野村ホールディングス株式会社は、若年層をターゲットにした「体験型」の投資学習アプリを展開するグリーンモンスター株式会社と共同で、金融教育アプリ「つみたて投資シミュレーションアプリ Powered by トウシカ」(以下、本アプリ)を開発しました。野村との協業に臨んだグリーンモンスターの小川亮社長に、企業としての取り組みや、今回の協業の狙いなどについて聞きました。
野村の経験に若年層向けマーケティングの実績をプラス
――今回、野村と共同で本アプリを作ったのはなぜですか。
近年、金融教育が話題となっており、当社でも「トウシカ」などのアプリをリリースしてきました。一方、野村も長年にわたって金融・経済教育に取り組んでおり、豊富な経験やノウハウを蓄積しています。
野村の経験と、グリーンモンスターの若年層向けマーケティングの実績をかけ合わせてみたいと思い、ディスカッションを重ね、今回の共同開発につながりました。国内最大の証券会社を傘下に持つ野村との協業により、日本の多くの方に正しい金融知識を提供し、リテラシーの向上に寄与できるのではないかと考えました。
野村から金融教育に関する豊富な経験を共有してもらい、より良いアプリ開発や、機能改善に取り組んでいきたいですね。そして、多くの教育現場でアプリをご利用いただき、誰でも気軽に金融教育を学べる機会を提供したいと思っています。
金融トラブルの防止にも一役
――もともと、トウシカのような金融・投資教育を目的にした体験型のアプリを作るきっかけはあったのでしょうか。
政府が掲げる「貯蓄から投資へ」の流れや、コロナ禍という状況も相まって、日本人の投資への関心が高まる一方、知識不足や心理的な不安から投資へと踏み出せない方がたくさんいたことが調査などで判明したのがきっかけです。不安を解消すべくシミュレーションやクイズなどの体験型で、投資をわかりやすく学べる学習アプリを開発しました。
――金融・投資教育がほかにどんな形で社会に貢献できるとお考えでしょうか。
投資は個人の豊かさだけでなく、社会全体の発展につながるものと考えています。また、個人が金融リテラシーを向上させることで、金融商品やサービスを選ぶ際により適切な判断ができるようになるだけでなく、現在増加傾向にある投資詐欺など、金融トラブルに巻き込まれることを防ぐこともできます。
――アプリを作る上で特に注力したり、工夫したりしている点はありますか。
ユーザーに寄り添った製品開発に力を入れています。初心者の方でもわかりやすく、気軽に学んでいただけるよう、インターフェースに工夫を凝らしています。また、社内で自社開発のアプリを利用したトレードのデモンストレーションで結果を競う企画を開催するなどし、ユーザーの視点を意識しながらアプリを使って、開発や改善に向けたヒントを得ています。
投資教育アプリのダウンロード、1年で3.7倍に
――来年からNISAの制度が大きく拡充される見通しですね。
つみたてNISA・iDeCoのシミュレーションもできるトウシカは、NISAなどが世間に浸透したためか、ユーザー数が増えています。2021年3月～2022年2月からの1年間は合計14万ダウンロードでしたが、2022年3月～2023年2月までの1年間では合計52万ダウンロードと、約3.7倍に伸びました。
――ダウンロード数も伸び、アプリがターゲットにしている若い人の投資行動が変わってきていることを実感されることはありますか。
若年層は比較的投資への抵抗がなく、SNSなどを通じて積極的に情報収集し、投資をしているようです。また、特に若いZ世代は社会貢献意欲が高いといわれ、ESGに関する投資に興味を持つ方が多いようです。一方で、若者を狙った金融トラブルも増えているため、巻き込まれないためにも十分な知識を身に付けていただかなければなりません。当社も啓発活動にも力を入れています。
――実際にアプリのデータなどを見ていて、意外だと思った点はありますか。
小学生の方にもご利用いただいていたという点でしょうか。少しでも若いうちから金融に触れていれば、将来、自らの資産形成を考える際にも役立つと自負しています。
【グリーンモンスター株式会社】
「トウシカ」「株たす」「FXなび」「暗号資産なび」など体験型投資学習アプリシリーズを運営する。ユーザーの体験に寄り添った製品開発を強みに、投資学習と金融教育、資産形成支援の裾野を広げることを目指しており、シリーズは累計570万ダウンロードを突破。アプリは無料で利用でき、子どもから大人まで誰もが投資などについて学べる機会を提供している。また、投資詐欺の被害防止や、成人年齢の引き下げで起こり得る問題に関する啓発活動を積極的に行うことにより、投資環境の健全化にも取り組む。「投資デビュー」の支援にとどまらず、社会を支援する投資家を増やすことで、起業家が挑戦しイノベーションを実現できる土壌を整備、世界経済における日本のプレゼンスを再び向上させることを目標としている。
野村ホールディングスでは、本アプリを当社ならびにグループ会社の関係者が講師を務める学校向け出張授業や社会人向けの研修、セミナーなどで展開する予定です。NISAの拡充などの社会環境の変化に伴い、若い世代にとって今後ますます資産形成の重要性が増すとみられます。学生や若い社会人の方に本アプリを活用いただき、自分が毎月どれだけの金額を積み立てていくかシミュレーションすることで、計画的な資産形成を進めていだたきたいと考えております。また、本アプリにとどまらず、日本の金融経済教育の拡大や金融リテラシー向上の機会創出のため、さまざまなコラボレーションを展開してまいります。
文責：野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室
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