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相続税の課税の仕組みと相続対策

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高齢化が進むにつれて、年々亡くなられる方の数も増えています。これに伴い、友人や知人から相続の話を聞くようになったという方も多いのではないでしょうか。

相続は、決して他人事ではありません。ご自身の親族の間でも相続の問題が起こる可能性はあります。今回は、相続税と相続対策についてご紹介します。

相続税はすべての人にかかる訳ではありません

相続税は、亡くなられた方(被相続人)が所有していた財産が課税対象となりますが、相続財産から一定の金額を控除することができます(基礎控除)。

控除できる額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)です。仮に相続人が配偶者とお子様2人で合計3人の場合ですと、3,000万円+(600万円×3)で、4,800万円までは税金がかからないということになります。

基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

令和5年は、157万人の方が亡くなられ、そのうち課税対象となった方は15.1万人、割合は9.6%でした。下記の折れ線グラフは亡くなられた方のうち、相続税の課税対象となった方の割合を示しています。

2014年までは、基礎控除の額が「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」でしたので、課税割合は4%程度で推移していましたが、基礎控除の金額が減った2015年のタイミングで、8%と倍近くにまで跳ね上がり、その後も徐々に課税割合が高くなって、2022年は9.6%まで上昇しました。

上記の棒グラフは、課税対象となった相続財産の金額の推移です。2021年から増加ペースが高まり、2022年は20.7兆円でした。相続財産のうち、現金・預貯金等が34.9%、土地が32.3%、有価証券が16.3%となっています。2015年以降、現金・預貯金等の割合が増える一方、土地の割合が減る傾向にあるようです。

相続の準備をしている人の割合は

下記のグラフは、相続に対する準備をしているかどうかについての調査結果です。全体では63.3%の方が「特に何もしていない」とのことです。相続財産の額が基礎控除の額に収まっているのであれば対策は不要ですが、基礎控除の額を上回るようであれば相続税が課されることになりますので、何らかの対策を考えたいところでしょう。相続対策として、生命保険に加入しておられる方が25.3%、生前贈与をされている方が9.2%、遺言を作成されている方が6.2%という結果となっています。

世帯で保有されている金融資産別にみると、やはり保有資産の額が大きくなるにつれて対策をしていない方の割合が減り、各種の相続対策をされている方の割合が高くなる傾向が見て取れます。いずれの対策も、保有資産が多くなればなるほど割合が増えていますが、中でも「生前贈与」は、保有資産が1,000万円以上2,000万円未満の人が8.6%、保有資産2,000万円以上では22.1%と割合が急に大きくなっています。

(金融資産保有額別)相続対策の実施状況

※「その他」と「無回答」は除外しています。いずれも2.3%以下の数値となっています。
出所:生命保険文化センター「2023年度 ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査 2023年12月」

最後に

  • 日経平均株価が史上最高値を更新しましたが、都市部を中心に土地の価格も上昇しています。相続財産の額が大きくなる可能性もあり、注意が必要です。
  • 相続対策は、亡くなられた後にできるものはありません。まとまった金額を贈与するには、長い期間を要する場合もありますので、対策が必要と思われる方は早めに取り組まれた方が良いかもしれません。
  • 相続税がかかる場合はもちろん、相続財産が基礎控除の額より少なく相続税がかからない場合でも、ご遺族の間で揉めることなく、遺産分割協議をスムーズに進められるよう対策を講じておくことも大切です。

本コラムは、2024年2月時点で信頼できると判断したデータを基に野村證券株式会社が作成したものであり、正確かつ完全であることを保証するものではありません。また、将来変更される可能性があります。この資料のいかなる部分も一切の権利は野村證券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等はできません。

文責:野村證券株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室 堀保浩

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